襲撃と報告
あれは、ブラウンさんに教会まで送っていただき、チャド神父のメンタルケアを受け熟睡した後のことでした。
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四月 二十日 二十一時 三十分
教会の中にある小さな礼拝堂。そこにある木製の椅子の上でチャド神父にいただいた毛布に身をくるみ眠りについていた時のことです。
「どちら様でしょう?」
扉の開く音とチャド神父の声で目を覚ました私は、開いた扉に目を向けました。すると、そこにいたのは私があの日目撃した怪物だったのです、
渦巻きのような触手の生えた頭、鉤爪の生えた三対の足に、それからコウモリのような羽。私を殺しに来たのだと想像した私は、毛布で頭を包み小さくなって身を隠すことしかできませんでした。
「本日は神に祈りを?それとも懺悔に来たのですか?」
(怪物相手に何言っているんだ!)とその時の私は思ったが、今思い返せば余裕の現れだったのでしょう。あの恐ろしい怪物があんなことになるなんて。
「貴様に用はない、そこにいる男に用がある。」
機会のような声で話す怪物に、隠れていることがバレているのだと悟った私は逃げようと考えましたが、恐怖で動くことができず、隠れていることしかできませんでした。
「……申し訳ありませんが、彼はあなたが恐ろしくて顔を合わせたくないようです。おかえりいただけないでしょうか?」
「ダメだ、私たちを知ろうとするものを無視できない。悪いが死んでもらう」
その言葉を聞いたチャド神父は手に持っている聖書を置き、怪物へと歩みを進めた。
「……残念です。怪物とはいえ生物、殺めたくはなかったのですが。彼の悩みを解決するのも神父の役目……ユゴスより来たりし怪物よ、主のみわざの元にあなたを滅します。」
「貴様……なぜ我々の星を……」
動揺した怪物の声が聞こえたかと思うと、次の瞬間、祭壇にいたはずのチャド神父の姿は消え、怪物のいた方向から激しい物音が礼拝堂に響きました。
「さっきの怪物はもういません。顔をあげても大丈夫ですよ。」
チャド神父の優しい声が聞こえ、恐る恐る顔を上げ、怪物のいた場所を見ると、青色の返り血?を浴びたチャド神父だけが、そこにいました。
「あの怪物は息絶えると、死体が残らないのです。ひとまず安心して大丈夫ですよ」
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四月 二十一日 十時 三十分 ブラウン探偵事務所
「ということが昨日の教会内で起きたのです!」
事件を解決することができなかったことをカルンズさんに伝えると、「そんなことより」と言いながら昨夜教会で起きたミ=ゴの襲撃の話を嬉々として語ってくれた。
「教会に預けて正解でした。チャド神父はああ見えて私の先生なので、怪物退治はお手の物なんです。」
「それで、あんなに強かったんですね!」
よかった……カルンズさんの顔色がよくなっている。よく眠れたようだ。
「話は戻りますが……申し訳ありません。遺体はバラバラの状態で回収することができませんでした。」
「そうですか……仕方ありませんね。命があっただけマシと考えることにします。それに、あんな怪物に会うのは懲り懲りなので墓守の仕事は辞めようと考えていたんですよ!」
「そう言っていただけて心が軽くなりました。今回の事件は解決するに至りませんでしたが、何か困ったことがあれば、また訪ねてください。できれば今度は怪物以外のことで……」
「ハッハッハ!そうですね……あんな怪物と会うのはもう、懲り懲りです。探偵に頼らないのが理想ですが、次、依頼することがあれば、もう少し平和な依頼になるよう努力してみます。それではブラウンさん、お元気で。」
そう言うとカルンズさんは軽く頭を下げ事務所を後にした。