酒に狂った男   作:鶏肋

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なんだか今日中に連続投稿したかった。要は気分
それだけです


石実現、覚醒する(ライジング)

ヤチヨとRe:ALの勝負(タイマン)は凄絶を極めていく。

 

(久し振りだッ……)

「それ──ほぅら、それ」

(誰かに、“追い付けねぇ”なんてのは!)

 

いや、そう評するには一方的だった。無表情のヤチヨによる泡の絨毯爆撃、その爆風に揉まれるRe:ALの有様は。

これでも必死に避け、躱し、迎え打つ事で最小限のダメージに抑えている。だが被弾頻度とその傷の深さはデバッグモード解放以前から加速度的に増加し、明らかな劣勢として彼を苛む。

 

そんなRe:ALが感じ取った殺気。理性は先ほど見つけた上空にヤチヨの存在を探し、だが本能は背後への回し蹴りを選んだ。

手応え。だがその感触は鋼鉄より硬い。

 

(傘!防がれ、)

「残念」

(ならそれはそれでッ!!)

「!」

 

既に靴は破れ果て、だが好都合とばかりに足の指で鷲掴み。そのまま虚を突く形で傘を蹴り投げた。

武器を奪い、いよいよ反攻……というRe:ALの気勢を削ぐ一打。ステータスに任せた近接攻撃、掌底の連打が彼の顎・喉・腹を強かに穿つ。

 

「ふぅぅっ……!!!」

「ガッギィっ……くそ、が!!」

 

打たれる事10合。一方的。

打ち合う事20合。やっと2打、だがその4倍を返された。

打ち合う事30合。5打と5打。

 

飛び退いたヤチヨが傘を拾った事で、趨勢は膠着した。これまでの応酬で、というか主にヤチヨの広範囲攻撃によって地形はあちこちクレーターだらけとなっていた。

 

(……やっぱり、まだ()()()())

 

だがこの優勢の中で、ヤチヨは警戒の一切を緩めはしない。先程の乱打戦において、彼が追随どころか加速して追い付いてきた事がその判断を裏付けていた。

その折、欠けた口のポリゴンを吐き捨てた彼が何かを投擲。一瞬身構えかけるけれど、だがすぐにそれを解いて受け入れる。

手に取った頭襟。その中には無論、FUSHI。

 

「キュウ」

「……何のつもり?」

「これ以上は巻き込んじまうだろ。かぐや風に言わせりゃ、“データの連続性がー”ってとこだ」

 

Re:ALの挙動に振り回されながら彼を解析し続けた負担か、完全にノックアウトされたウミウシをヤチヨはメンダコの中へ避難させる。コレで憂いは無し、言いたいところだが……

 

「……どうして、怒らないの?」

「は?」

「怒って良いんだよ。私の八つ当たりに、キレて本気出して良いんだよ?」

 

それより、質問。ヤチヨは其方を優先した。自分の不義理と理不尽な怒りを、謗りもせずに正面から応じ続ける彼の在り方が不可解だったから。

だが問われたRe:ALはと言えば首を傾げるばかり。これもまた当然、当人からすれば要領を得ない……ので、ヤチヨは個人チャットにて情報を与えた。

 

「彩葉に、期末テストで貴方と競えって誘導したのはヤッチョだよ」

「あ、やっぱ?そんな気はしてた、酒寄が急に動くならお前絡みだろうなって」

「……リアルが傷付くように、ヤッチョが唆したんだよ」

「あんな生き方してりゃいつか来る結果だったしな。後悔はしてないが反省はしている」

「それで味わわされた苦労、全部私の所為なんだよ」

「何?キレて欲しいの?」

「そうだよ」

 

全ての黒幕は私だという告白。それは懺悔でもあり、打算でもあり、その比重の天秤がどちらに傾いているかなど彼女本人にも分かりはしない。というより、知らずにいた。知った所で意味は無いから。

だがその思惑を、Re:ALは敢えて蹴る。

 

「無茶言うなよ。散々育ててもらっておいて逆ギレしろは無理あんぜ」

「……およよ。とんだ孝行息子に育ててしまって、ヤッチョ感涙」

「褒めてんだか貶してんだか。あのさぁ、見縊ってくれんなよおばさん」

「お婆ちゃんです!」

「どっちでも良いわ」

 

キレるのそこかよ、と苦笑しつつ、彼は息を吸う。今の自分の在り方と、目指す未来を見据えて。

 

「感謝してんだよ、マジで。“要らない子”だった俺に居場所をくれた事。ずっと見守っててくれた事。単純な金銭面での話もそうだし、アンタは俺の甘えをずっと受け入れてくれたから。まぁ躾はして貰えなかったけど、不良の道を選んだのは俺の選択だし」

「……」

「だからさ。して欲しい事があんなら、遠回しにせず直に言ってくれるか。まぁイエスマンにゃなれねぇが……それでもアンタにとっての“最良”を掴めるよう尽くすぜ、俺は」

 

恩を返させてくれ、と。それを孝行としてくれと。

ヤチヨは……言った。

 

「……望みを、貫いて」

 

ずっと見てきた幼子の、その行く末を憂いながら。

 

「貴方が私に対してそうであるように、私もまた貴方のイエスマンにはなれない。けど、例え私に阻まれたって……そんな他の人からすれば受け入れ難いような願いだって、それは紛れもない貴方だから」

「──ハッ。それじゃアンタの望みじゃなくて俺の望みになっちまうだろが」

「そうだね。だから私はせめて……()()()って」

「!」

「望みの為に戦わなきゃいけなくても、命をチップにしなきゃいけなくても、それでも……やるならせめて、なんとしてでも生き残って。生きて未来を掴み取る為にして」

 

まるでこの先、Re:ALが命を賭す事を知っているかのような物言い。だが彼の中にあるのは納得だけ、何故なら他ならない彼もまた自分をそう評していたから。

今の言葉が無ければ、ただ身を張るにしたって捨て鉢になっていたかも知れない。そんな自分を嘲笑して、面を上げる。口を開く。

 

「ヤチヨ。俺は……」

「うん。言って」

「酒寄と戦いたい」

 

彼女の望み通り。

自分の望みを生きる為に。

 

「酒寄を傷付けたい。酒寄に傷付けられたい。酒寄とぶつかって、競って──」

 

それはまさしく傲慢そのもの。相手の意思など関係無い、一方的で暴力的な想い。妄執と言って差し支えない、というかそれそのものだろう。

だから抑えてきた。自覚して自制してきた。こんな自分を否定する為に尽くしてきた。

だがそれも、もう終わりだ。

 

「──アイツと、決着(ケリ)をつけたいッ!!!」

 

いつからだろう、己の男女論(ポリシー)から始まった摩擦なのに、その摩擦そのものに執り憑かれたのは。それとも、今になってまだ彼女を異性として見たいと思っているのか。どちらでも良い、言い訳の出来ない悪である事に最早変わりなど無いのだから。

けど、これが俺だ。石実現で、Re:ALだ、変えようの無い現実(リアル)の俺だ。

それを受け入れて良いってんなら……こうなるに決まってんだろ!!

 

「──よく言えました」

 

そう怒気にも似た啖呵を放ち、構えるRe:ALに、ヤチヨは微笑んだ。それは悲しげで、それでいて満足げで、しかし取った構えは上段。促したその欲求を、真正面から打ち砕くとばかりに。

 

「行くよ、Re:AL。望みを貫きたいなら、彩葉と傷付け合いたいなら……私の屍を超えていけ、なんてね!」

「──上等ッ!!!」

 

互いに急加速。システムバフの乗ったヤチヨの究極技(ウルト)が大気を裂き、過負荷となって世界の悲鳴を轟かせる。それを迎え撃つは、Re:ALの両刀による(武器)狙いの十文字斬り。

 

技同士の勝負は一瞬でついた。拮抗すらしなかった。

全ての足掻きを塵に帰した傘の一振りが、Re:ALの片口から心臓寸前までその躯を引き裂く形で。

 

「あが……ッ」

 

寸での所で傘を掴む事で致命傷こそ避けたが、その手も究極技の余波で削れていく。HP全損も時間の問題、それ以前に例え助かっても流血によるスリップダメージで長くはない。

 

「本気出しなよ!じゃないと彩葉と戦えないよ!?彩葉を、()()()()よッ!?」

(ンなこと言ったって……!)

 

本気?とっくの昔に。全力?もう尽きてる。これ以上何をひり出せというのか。

だが諦められないのはRe:AL本人も分かり切っていた。故に、絞り出す。

 

「……ぅ……!」

 

自身を構成する物、全てをフル稼働して。その上でそれらを超える。

オートマモードの動きとは即ち自身のイメージ。言わば自分の思念(いのち)の形、その流動を忠実にトレースした物だ。なら現実で出来る事はツクヨミでも出来るし、ツクヨミで可能な事は石実現の肉体ならば再現可能と言えるだろう。

なら、自身が現実で為してきた事を思い出せ。自身の強みを、このツクヨミの肉体(Re:AL)に投影しろ。

全盛期の中学時代。自分だけの世界で、自分が許した真実(もの)以外を許さず排斥した暴力。その性根を今、心窩から──

 

……解き放て。

 

 

「ぅおおおああああああああッ!!!」

 

 

咆哮したその時、起こった。その出来事は。

 

『『は?』』

 

電撃の波動。Re:ALの心臓より放たれたそれは、ヤチヨを吞み込んで尚拡がる。実況も解説も、観客も呆気に取られ。

 

「……あちゃ~……」

 

全身を罅割らされたヤチヨが、着地と共に砕け散った事で。それでようやく、皆が知ったのだった。

誰が勝者かを。焼け跡に立つ彼だけが、そうであると。

 

 


 

あ。これダメだ。

ダメなヤツだ。

 

『……ゃ……ヤチヨ陥落!Re:ALの反撃によって、我らがヤチヨが敗れたァ!!』

『何だ今のは!?今度こそチー……いや検出されてない!何があったんだ?!』

 

()()()()()。言い表すならガチでそんな感じの浮遊感。今だ限界突破ぁなんて気軽に喜べそうもない、だって壊れたのは天井じゃなくて床の方なんだから。

でもまだ落ちない。まだ戻れる。戻れる、内に。

 

「どこだ」

 

俺の敵。

俺の壁。

俺の目標。

 

いた。

 

 


 

 

「彩葉っ!」

「帝!!」

 

虎バイクから降りた私達を出迎える3人。駒沢兄弟と停戦して駆け付けたのだろうかぐやに抱き留められて、私はようやく人心地を取り戻す。

 

「かぐや……私……っ」

「うむ、善き働きであった!大儀であるぞっ」

 

臆した後悔を一瞬で覆すようなノリの押し売り。それに救われ、幾らか気が楽になってしまった。彼女のこういう所には敵う気がしない。

そんな私達へと歩み寄るのは駒沢雷、そして乃依だ。

 

「いろ女史、かぐやを褒めてあげてくれ。敵ながら天晴な暴れぶりだった」

「も~兎ながら獅子奮迅って感じ?まさか鰻ミサイルで狙撃返ししてくるとは思わなかったねぇ」

「かぐやちゃんの活躍はぜひアーカイヴで見直させてもらうとして、本題はRe:ALだ。話し合おうぜ」

 

彼らから聞かされる活躍に「どやっ☆」と胸を張るかぐや。その姿に呆れていると、お兄ちゃんからの言葉に再び気が引き締まる。

そうだ、Re:ALだ。石実をどうするか、その為に私たちがどう動くかを決めなきゃ。

 

「もう俺達で優先権奪い合う、って雰囲気じゃないよね」

「雰囲気以前にそれどころじゃない。このセットはデバッグモードのヤチヨに持ってかれるとしても……考えるべきは億が一、彼女が突破されでもした時だ」

「ヤチヨが?有り得るのか」

「可能性としてはな。Re:ALがこの局面をどう切り抜けてくるかによって第3セットでの此方の動きも変わってくる。そのすり合わせをして置きたい」

「ヤチヨがやられる可能性があるなら……」

 

助けに行きたい、そう意見しようとした。

つい先刻に足手纏いになると指摘されたのは覚えている。けれどここにいる全員でなら話は違う筈だろう。誰がラストアタックをとっても恨みっこ無しとすれば、残る遺恨も無い。

 

というか……そうでもしなければ。あのRe:ALには、石実には、私達は絶対に。

 

『……ゃ……ヤチヨ陥落!Re:ALの反撃によって、我らがヤチヨが敗れたァ!!』

 

無情なアナウンスが轟いたのはその時の事。

お兄ちゃんの議論も私の駄々も、全てを手遅れとして……アイツが来る!

 

「避けて、皆ッ!」

「へ?」

「──っ、総員俺から離れろォッ!!」

「「!!!!」」

 

必死の叫びと号令に、まず飛び退いたのは駒沢兄弟。私はかぐやの手を引いて、防御姿勢を取ろうとしてるお兄ちゃんに手を伸ばして……突き飛ばされる。

刹那、衝撃波。お兄ちゃんの姿が視界から消えて、次いで私はまたも地面を転がった。

 

「ンギャ~!?なんじゃこりゃ!」

「っ、()ぅ……!」

 

ゴロゴロするかぐやの決してオーバーリアクションとは言えない叫びをバックに、見遣るは土煙。あの中にお兄ちゃんが。どうなったの?無事なの?

どうか健在である事を願って凝らした目は、しかし残酷な現実を映す。

 

「カ……、ハッ……」

「────ッ」

 

上半身を抉られた兄の姿と。

またも出遭った深紅の眼光が、それを踏み躙る光景。

 

「ぃし、み……!」

 

再び体が竦む。伸ばした手が空を切り、指の震えが止まらない。

そんな私を差し置いて、いや庇うように前線を張ったのは3人。要は私以外の全員、かぐやと雷と乃依だ。

 

「こらー!何好き勝手してくれとんじゃいリアルーっ!」

「ちょっと度が過ぎてるぞッ」

「帝を離して……!」

 

殴り掛かり、撃ち放ち、斬り飛ばす。3方向からの3種類、特製の異なる攻撃を紙一重で躱したRe:ALの身体は、よくよく見れば既にボロボロの死に体だ。あと一押しさえすれば倒せそうにすら思える。

でも私には分かった。

 

(──100)

 

というか、()()()()()()

私じゃない。私の視界の先、アイツが今何を思っているのか。

 

(150は無理だな。単独でやるなら140強、ってとこか)

「何が……?」

 

蚊の泣くような声での問い、もちろん解答などある筈も無い。なら出来るのは自分自身での分析だけだ。

100以上150未満?“繋ぐ”とは?ゲームで、何かを繋ぐ。と、いえば。

まさか。

 

「かぐやっ!!」

「彩葉!?」

 

強張る足を無理やり動かし、前へ。彼女だけは守りたい、その思いだけで何とか。

同時に、Re:ALが動いた。回復薬を呑んで復帰した帝、中距離での牽制に徹する乃依、帝と入れ替わる形で一旦退いて地雷を敷く雷。彼ら黒鬼3人に囲まれ、その中心で身を引き絞る。

一度破砕したのだろう、再生途中で刃毀れだらけの大太刀と短刀を手に。バネが捩じられるような、軋みを上げて呻るような、そんな音さえ幻聴に響かせて。

 

解放した。

後に“惨劇”と呼ばれる地獄絵図を。

 

「1」

 

斬撃。

 

「2、3」

 

斬撃、投擲。

 

「45。67、8」

 

打撃斬撃、斬撃打撃、投擲。

 

「910111213141516171819202122232425262728293031323334353637383940414243444546474849505────!」

「ああああああああああッ!!!」

 

嵐。そう呼んで差支えの無い、石実が振り回す暴虐。

それはチートでもなんでもない、純正な()()()だった。常人でも条件さえ整えば再現可能、何の不正も仕込みも無いプレイスキル。

 

ただ。常人が目で終える速さでしか発揮できないそれを、彼の速度で奮えば。

常人が繋げられない技と技の隙間を、彼の力で繋げば。

常人が詰められない間合いを、彼の踏み込みで詰めてしまえば。

 

それはもう、Re:ALを中心とした高速移動する即死判定でしかない。

 

(102、104!107……111!!)

 

全身を刻まれながら我武者羅に剣を奮う。自らだけではない、何よりも背後のかぐやを守る為に。

最も防御値の低い弓職である乃依は早期に粉微塵になった。次に支援役を担う雷が中盤で爆散(リタイア)。お兄ちゃんが最後まで粘って……139合で、力尽きる。

私はただただ、自分とかぐやに迫り来た分だけ。それだけを、必死に。

 

(140!14、1!1、4、2っ……)

 

……143。

 

 

“惨劇の143コンボ”。

そんな名を冠して後世のゲーム史に刻まれた時間は、そこで終わりを告げたのだった。

 

 

「彩葉っ」

 

終わった瞬間、右足首が千切れる。防ぎきれなかった分の投擲で腱を抉られていたらしく、だが支えて貰えた事で斃れずに済んだ。かぐやは……良かった、無事だ。それだけで勇気を振り絞った甲斐があったと言える。

 

「オイ」

 

そんな安堵も束の間、目を逸らしていた真正面からの声。冷や水を浴びせられた脊髄が、全身へと悪寒を伝える。

居る。其処に。彼が。

 

「流っ石だなぁ、ホント。耐え切るとは、思ってたが……」

「リアル……!」

「いざ、目の当たりに、すると、戦慄モンだ、わ」

 

今の私と同じかそれ以上のズタズタっぷりで、砕け散った二刀を捨てての徒手で。

でも私と違って1人で立ってる。そうだ、彼はやっぱり独りで立つ人物なんだと、改めて認識する。

 

「やっぱ、お前って……とことん、俺の、否定者、なんだ、なぁ」

 

そんな彼からの称賛なんて。

 

「ふざけないでよ」

「え?」

「……は?」

 

受け入れられるワケ、無い。

 

「何が流石、よ。何が戦慄よ。何が。なにが……!」

「彩葉……?」

「そっちばっかりが見上げてるみたいに言うな……!」

 

見上げてるのは私の方だ。あなたに戦慄してるのも私の方で、そして!

 

「私を否定し続けたクセにっ!!」

 

Re:AL(石実)の存在は私へのアンチテーゼだ。私が憧れるお母さんみたいな自立を体現して、私が憧れたお父さんの在り方を拒絶する存在。2つの憧憬が両立しないのをこれでもかと示してくるあなたの生き方は、私には受け入れ(がた)過ぎたんだ!

 

でも同時に惹かれた!決して恋情なんかじゃない、でもそんなあなたの強さに確かに焦がれた!!

 

「あなたみたいに1人で生きたかった!あなたに憧れたッ!!」

 

誰の助けも借りずに独力で、孤立しても平気で、それでいて大切に出来る(真実)がいる。

何が完璧超人だ。私なんかよりよっぽど、あなたの方が!

 

「でも私が、奪ったから……!」

 

……全部そこから歪んだんだ。1番になるべきじゃない人間が、その覚悟も無いヤツが、追い立てられるままに掴んでしまった。だからあなたとの奪い合いになった。

私が悪いんだ。私だけが悪くて、他は何も。あなた、だって。

 

「だから……怖かったの……!!」

 

私が悪いからこそ、でも償う手段が無いからこそ。始まってしまった、あなたとの終わりの無い鬼ごっこ。それがどれだけ怖く恐ろしかったか。

振り切れない。終わらない。果てなど無い。ずっとあなたに追い駆けられて、食らいつかれて、引き裂かれるまで。

 

「返したい……もう全部、終わりにしたいっ」

「────」

「許して。限界なの……!」

 

あなたと対峙するのは。あなたと対立するのは、もう。

その為なら、私の持ちうるもの全部、差し出すから。償いにもならないけど、私にはもうそれしか無いから。だから、どうか。

 

「ダメだな」

 

……結果は、取り付く島も無い即答で。

 

「みなまで言うなよ。俺とお前の関係は因縁は、とっくの昔にライン超えてんだ。今まで互いに謝って、償って、それで何か一つでも解決したか?」

「それ、は、」

「してねぇだろ。それが唯一の答えなんだよ」

 

顔を上げれば、そこにはより一層眼光を輝かせる石実の姿。その光は私への嘲笑か、それとも怒りか、此方から判別は叶わない。

分かるのはただ一つ、もう退路など無い事だけだ。

 

「終わらせんなら2つに1つ。俺がお前を制するか……お前が俺を屈服させるか、だ」

「……そんな」

「それ以外あり得ねぇよ」

 

その瞬間ブザービート。時間切れが私達を救い、目の前の彼から逃がした。

でも分かり切ってる。この逃避が一時しのぎに過ぎない事なんて。

 

「待ってるぜ、酒寄(いろ)

 

私たちが転送されるその瞬間まで。

彼に瞳はずっと、私を捕らえて離さなかったから。

 

「あの日みてぇに捩じ伏せてみせろよ。俺という暴君を」




ふ……伏魔御厨子を耐え切るキャラとして設定したオリ主が、気付いたら逆に人力伏魔御厨子みてーな技を出す側のキャラになっていた
何を言ってるのかわからねーと思うが以下略(作者としてもマジで想定外)

ちなみにヤチヨにやった波動攻撃のイメージは体内放射です。もう宿儺なのかゴジラなのか分かんねぇなコレ
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