Mission : Protect Their Youth. 作:晴沙萪
朝。
自分以外の寝息が隣から聞こえ、目が覚める。
寝息がする方へ目をやると、ワカモが寝ていたため、起こさぬよう彼女の髪を撫でベッドを出る。
どうやらワカモがアロナの充電をしてくれていたようだった。
そういえば昨日は風呂に入らず寝てしまったことを思い出し、シャワーを浴びに向かう。
服を脱ぎ額に巻いてある包帯を取り、備え付けの鏡で確認する。
傷は完全には塞がってはいないものの、出血は止まったようだ。しかし傷口がジンジン痛む。
──ふと、視線を下にして映った光景に思わず苦笑する。
傷だらけの身体に欠損した右腕。
これでは女として見られることはもうないだろうと自嘲する。
今更気にするものでもない。そんな未来はとっくに諦めている。
シャワーを浴びたことで気分と身体はリフレッシュされ、替えのスーツを身に纏う。
眠っている間に連絡が来ていないかアロナに聞くため、ベッドに向かいタブレットを手に取る。
──────
目を開けるとあの半崩壊した水浸しの教室。
「おはよう、アロナ。なにか連絡は来て......る......」
アロナは机に突っ伏していたが、自身に呼びかけられた声に気付き顔をあげ微笑む。
「あっ! 先生! おはようございます!」
目尻は擦ったのか赤くなり、頬には涙の通った痕跡。
今のアロナはまるで笑顔の仮面を貼り付けているように思えた。
「アロナ............ごめんね、一人にして。アタシは生きてるから、ね?」
アロナの横に屈み込み、少女の頬に残る涙の痕跡に触れる。
アタシの行動に驚いたように目を開いたと思ったら、その目を覆うように涙が溢れてくる。
「うわぁぁぁぁぁん! ごめんなさいっ! 先生を守れなくて! 肝心な時に一緒にいれなくて! ごめんなさい!」
抱きついてきたアロナを片腕で受け止め、謝りながら泣きじゃくる少女を宥める。
片腕があればと少し後悔する。
あの時、便利屋にバリアを張るためタブレットを手放した。
おかげでアタシは便利屋を守れたが、代わりにアロナに背負わせてしまった
アロナをこんな顔にさせたのはアタシだ。
自分のエゴのために悲しませた。
「ねぇ、アロナ。泣き顔よりも笑っていてくれるとアタシは嬉しいな」
どの口が、と一人毒づく。
「うぐっ......ひぐっ......ありがとう......ございます......」
涙を引っ込めようとしているのだろうか、少しの間抱きしめたままでいた。すると少しずつ泣き声が小さくなり。
「......先生、もう大丈夫です! ありがとうございました!」
落ち着いたのかアロナが離れ笑いかけてくれる。
今度は本当の笑顔だった。
「そういえば、連絡が来てるかどうかの確認でしたね。......特に緊急性の高いものはないですが、対策委員会の皆さんはシャーレで寝泊まりしたそうですよ」
「そっか、分かった。もしなにか届いたら教えて」
「はい! お任せください!」
胸を張って応えるアロナを撫で、目を閉じる。