Mission : Protect Their Youth. 作:晴沙萪
安静にするという約束を守るため、皆に手伝ってもらいながらシャーレに溜まっていた書類仕事を捌いていた。
「うへ〜、こんな量毎日やってたら、おじさん死んじゃうよ〜」
「ホシノ先輩、手伝うって言ったんだからちゃんとしなきゃ」
「それにしてもなかなかの量ですね〜」
「ん......頭パンクする......」
「あとちょっとですし、頑張りましょう?」
なんだかんだかなりの量をこなしてくれている対策委員会。
「先生、ここの計算ずれてるからこっちで修正しておくわね」
「はい、コーヒー。いるかなって思って。先生、無理しないでね」
「せんせ〜! スミちゃん達とこっちの片付け終わったよ〜!」
「せ、先生! こちらも、お、終わりました!」
手が回らない部分やアシスタントをよくやってくれる便利屋。
皆が皆、自分のできる事を率先して、時には協力して仕事を手伝ってくれている。
「かなり早く終わりそうですね」
「うん。皆が手伝ってくれてるおかげでね。優しい子達だよ、ホント」
「......確かに、そうですね......」
近くにいる彼女達を遠い目で見つめるワカモは、まるで他人事のように言った。
そんな彼女の手を取る。
「何言ってんのさ。ワカモも優しい子達の一人なんだよ?」
「私が......?」
「そうだよ。ワカモはいつもアタシの事を考えて、悩んでくれてアタシが妥協できるラインを引いてくれる。優しくなきゃそんな事できないよ」
「わ、たくしが......やさ、しい......」
ワカモの声が震えている。
「優しいよ。たまに暴れたりするのだって自分のことを分かって欲しいからだもんね」
狐面の下からキラリと光るものが落ちてくる。
それが涙と気付くのにアタシとワカモは少し時間がかかった。
気付いてからは早く、彼女の手を引き抱きしめるとそれは止めどなく溢れ出した。
その光景を皆は静かに見て見ぬフリをしてくれた。
──────
お昼頃になり、誰かのお腹の虫が鳴いたことで昼休憩にした。
皆の昼食を作ろうと献立を考えていると、スミともう二人が部室に顔を覗かせる。
「先生、皆、腹減ってるか?」
「はーい! お腹減った!」
「うん、お腹ぺこぺこだよ」
「お! 持ってきた甲斐があったな! レン、ユイ。早速準備しちまおう」
スミがそういうとレン、ユイと呼ばれた二人と共には各々の机に皿を並べ始める。
よく見れば炊飯器まで持ってきているではないか。
「これは......」
「前に連絡した料理好きのヤツらが作ったんだ。まぁ、そこの二人なんだけどな。今回は一品だけだが、味は保証するぜ」
スミが目で指すとレンは朗らかにサムズアップし、ユイは微笑し軽くお辞儀した。
その三人が机の上に出したのは青椒肉絲。そこにプラスされた光り輝く白米。
空腹時にとてつもない破壊力を持った香りとビジュアルが口腔内に涎を充満させる。
珍しくワカモも尻尾を揺らして今にも食べたそうだ。
我慢できず全員ほぼ同時に「いただきます」と唱え、箸を伸ばす。
一口運ぶ。
その美味しさに目を開く。
人は本当に美味しいものを食べると黙るらしい。
ピーマンと筍のシャキシャキとした食感に、牛肉の旨味とオイスターソースのコクが具材の全てに絡み合う。
空腹という最高のスパイスも相まって白米が進み、あっという間に皿と炊飯器の中が空っぽになった。
「ごちそうさまでした!」
部室に響く全員の声。
それから皆の口から溢れる感動の声。
「ん......もっと食べたかった......」
「こんなに美味しいご飯食べたの久しぶりだぁ〜」
「美味すぎるわよ! このクオリティならお店出せるんじゃないかしら......」
「本当にね。柴関もそうだったけど本当に美味しいもの食べると幸せだね」
満足の声にスミは嬉しそうに笑う。
「どうやら、お気に召したようだな」
「すごく美味しかった! これならアタシが作らなくても良さそうだ」
冗談を言うとスミとワカモが真面目な表情になり
「それはそれ、これはこれだ。あんたにも作ってもらうからな」
「ええ、絶対に作ってもらいます」
「ハイ......」
ほのぼの会でした