Mission : Protect Their Youth. 作:晴沙萪
今思えば、この出会い方が一番訳がわからなかった気がする。
地下へと続く階段を降りていくと徐々に気配を感じる。
(...一人か?)
壁から顔だけ出し様子見する。
「うーん、これがなんなのか全く分かりませんねぇ。
これでは壊そうにも...」
なにかを壊そうとしている少女は
九九式小短銃を担ぎ狐の面に可愛らしい和装を着て、
おそらく“とある物”を前にしてうーんうーんと唸っている。
先ほどのリンの情報と戦闘離脱の時間を考えて、
その少女は狐坂ワカモであろうと推測する。
油断している少女の背後に、あえて音を立てずに忍び寄る。
「ワカモごめんね、それアタシのだから壊さないでくれると嬉しいな」
「ッ‼︎」
声をかけられて少女は即座に距離を取る。
「いつの間に私の後ろに...」
小声なのとお面でこもってなにを言っているか聞き取れない。
「ワカモ...で合ってるよね?
アタシは風見透子」
「ええ、狐坂ワカモで...す...」
互いに自己紹介して目が合ったと思いきや。
「......あら?」
先ほどまでの気配はどこに。
急に素っ頓狂な声を出し、お面を手で隠して
「???」
「あら、あららららら......」
次第に声音が震え始め。
「し、し、失礼しましたー‼︎」
走り去ってしまった。
「えぇぇ...?なにかしたかなぁ...」
逃げられたことに心当たりがないため、純粋に嫌われたのではと落ち込む。
(そりゃ急に距離詰めたら、嫌だよな...)
「お待たせしました。
...先生?」
やることを終えたリンが地下室に入ってくる。
「先生、どうかしました?」
「ううん、なんでもない...
それよりこの部屋はなんなの?」
「ここは生徒会長が残したものが保管されてます。
例の物も...どうやら傷一つ無いみたいですね」
そういうとワカモが壊そうとしていたものを渡してきた。
「これが...“とある物”?」
「はい、これが生徒会長が先生にと残した“シッテムの箱”です」
ただのタブレット端末じゃないのか?と思うほど変哲もない端末。
リンも思ったことと同じような説明してくれる。
「普通のタブレットに見えますが、何もかもが不明です。製造会社、OS、
システム構造、仕組み。その全てが不明です。」
不明て...
そんな物を渡されても困る。
「私たちには起動すら不可能な物ですが、先生なら起動させることが可能でしょうか...
私はここまでですので、邪魔にならないよう離れていますね」
では、と言い地下室を出ていくリン。
感謝を述べて見送ったあと、端末に視線を戻す。
起動くらい試してみるかと端末の画面に触れるとあっさりと画面が点き、
パスワードを求められた。
(しまった、パスワード聞いておくんだった...)
今からでもリンに聞いてこようかと思った時、突如脳内に浮かび上がる二文。
──我々は望む、七つの嘆きを。
──我々は覚えている、ジェリコの古則を。
『シッテムの箱へようこそ、透子先生』
声が響く。
『生体認証および認証書作成のため、メインオペレートシステム-A.R.O.N.A-に接続します』
視界が光に包まれ、目を閉じる。