Mission : Protect Their Youth.   作:晴沙萪

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アタシは

目を開けるとそこは、清々しいほどの青空とキラキラという擬音が当てはまるほど

陽の光に照らされた海が見える“半壊し水浸し”の教室だった。教室には机が何個かあった。

 

「すぅぅぅ...すぅぅぅ...」

 

そしてその教室に、今まであった子供の中でも一際小さい少女が机に突っ伏して寝ている。

 

「むにゃ...カステラにはぁ......いちごミルクより...バナナミルクのほうが...zzz...

えへっ...まだたくさんありますよぉ...」

 

どうやら幸せそうな夢を見ているらしい少女が寝言をこぼす。

気持ちのいい睡眠をしているところを起こすのは忍びないが、聞きたいことが山ほどある。

 

「ごめんね、ちょっと起きてもらえる?」

 

「...ふぇ?...あれ?どうしてここに人が......

って透子先生⁉︎」

 

リンと同じで既に名前を知られているようだ。

プライバシーはないのだろうか...。

 

「ええと、ええと...

はっ!そうだ自己紹介!」

 

年相応の対応で思わず微笑んでしまう。

 

「私はアロナです!このシッテムの箱のシステム管理者、メインOSにして──

透子先生の秘書です!」

 

“この”シッテムの箱の──

つまりここはタブレットの中ということ。

ひとまずの疑問が解消された。

 

「よろしくアロナ。

知ってると思うけど改めて。

アタシは風見透子」

 

「はい!よろしくお願いしますね先生!」

 

にぱーという笑顔を浮かべているアロナ。

 

「やっと会えて嬉しいです!

先生が来るのをずぅーーーっと待っていました!」

 

「ずっと?」

 

少女の言葉に引っ掛かりを覚える。

なぜか...説明できないがそこだけが喉に刺さった魚の小骨のように引っかかった。

 

「はい!先生が教官になる前から......あっ‼︎」

 

しまったと言わんばかりに手で口を塞ぎ、目を逸らすアロナ。

 

「──なんでそれを知ってる」

 

思わず声が低くなる。

こっちでは誰も知らないはず。

知ってほしくないから開示してないのに。

 

「...ごめんなさい先生。

怒らないで聞いてください...。

 

私は......先生の過去を知っています...」

 

 

                             後頭部を殴られたようだった。

 

 

「先生が元軍人であること」

 

 

                                銃声が聞こえた気がした。

 

 

「軍人から教官になった理由も」

 

 

                                    血の匂いがした。

 

 

「-Orion-と呼ばれていたことも」

 

 

                         腰に差しているリボルバーが重く感じた。

 

 

「その右腕が義手であることも」

 

 

                                  義手の付け根が痛む。

 

 

「──そして何故義手になったのかも」

 

 

                                   幻肢痛が強くなる。

 

 

──全てだった。

人生の全てを少女に知られていた。

 

フラッシュバックする記憶に脂汗が吹き出る。

血と硝煙の匂い、爆発音、銃声、薬莢の落ちる音。

思わず顔を塞ぎ俯く。

 

「全て......知っているんだ...」

 

「...はい

だから私は先生の秘書になったんです。

もう苦しんでほしくないから......」

 

面影が重なる。

救えなかった同じ部隊の後輩。

 

 

 

『先輩...苦しまないで...

いつかこうなるって決まってたんだから...』

 

 

 

空を見上げ深呼吸をする。

 

「...わっ!せ、先生?」

 

アロナの頭を撫でる。

 

「アロナ。

君の気持ちはよく分かった」

 

ここに後輩がいたら子供を怖がらせるなって横っ腹をど突かれてる。

 

「...!」

 

「これから頼むよ。

アタシの秘書さん?」

 

「はい!」

 

アロナと握手を交わす。

 

「これから先、頑張って色々な面で先生のことをサポートしていきますね!」

 

そのあと、形式上(思ったより雑な)の生態認証を終わらせ、今までの疑問を聞いた。

一つ目は、連邦生徒会長について。

キヴォトスについての情報の多くを知ってはいるが、

生徒会長についてはほとんど知らないらしい。

二つ目は、サンクトゥムタワーの問題。

これに関しては解決できるとのこと。

 

「ではサンクトゥムタワーのアクセス権を修復します!

少々お待ちください!」

 

数秒の沈黙の後、アロナが口を開く。

 

「サンクトゥムタワーのadomin権限の取得完了したので、私の統制下にあります!」

 

「早いね。というかすごいね」

 

というか数秒で権限修復できるとか、どんだけ演算能力が高いのだろう...

 

「えへへ!私はすごいんです!エッヘン!」

 

動きだけでなく口にまで出しちゃうあたり、ちゃんとかわいい少女だ。

働いてくれた褒美にアロナを撫でる。

 

「よしよし」

「えへへ」

 

権限か...。

権限はシャーレのだけで十分。なんなら過剰だと思うけど。

 

「その権限って連邦生徒会に譲渡できたりする?」

 

「大丈夫ですが...渡しちゃってもいいんですか?」

 

個人の持つ範疇を超えるといつかどこかで崩壊するものだと、

見てきたから分かる。

 

「アタシが持つより有意義だと思うから」

 

「わかりました。

これよりサンクトゥムタワーの制御権を連邦生徒会に移管します!」

 

「ありがとう、そしてお疲れ様。アロナ

──で、この教室から出たいんだけど...」

 

「それでしたらもう一度目をつむっていただければ出れます!」

 

じゃあまたねとアロナに手を振り目を閉じる。

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