『kaiyare&双葉の短編小説どんと来い 2nd』の参加作品です
薄暗い地下室に潜む複数の影。
その中の一つが厳かに立ち上がる。
「急な招集にも関わらず幹部の半数が集まってくれたこと大変うれしく思う。
今回集まってもらったのは、昨今のヒーロー達に関し重大な発見があったからだ。
我らが苦労して追いつめても急にパワーアップしたり、急に助っ人が来たり幹部が裏切ったり...
まるで神か何かがヒーローに都合の良い状況を作り出しているかの如く我らの作戦は成功しない。
この事実を重く受け止め、私は密かにヒーロー達の調査を実施していた。その成果が出たのだ。
今からその調査結果をスクリーンに映す。どうか、リラックスして見てほしい」
影が言い終わると、スクリーンに一つの映像が流れ始めた。
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『ヒーロー密着24時~最近噂の最強レッドに1日密着取材してみた~』
最近目覚ましい活躍をしているヒーロー。
その名も、スカーレッド三沢。
悪の組織の計画を数多く妨害し、市民を守った彼の一日に密着しようと思う。
ヒーロー三沢の朝は早い。
我々スタッフは彼の起床に合わせるように起床し、彼の朝に密着しようと思う。
--午前9時--
三沢がいつも起床するという朝9時に我らは彼らの家を訪ね、彼の朝食風景を見させてもらった。
彼は朝9時に起床し、身支度を整えた後に朝食を摂る。
今日の朝食は『NIS〇INのBIGヌードル』とのことだ。
我々は思わず、「毎日そのような食事」を?と尋ねたところ彼は毎日このような食事をしているそうだ。
ヒーローのこのような食事風景に思わず涙を禁じ得ないが、三沢はこれは自分が望んでいることだという。
ヒーローの食事環境の改善は急務かもしれない。
--午前10時30分--
朝食を終えた三沢は、とある場所に向かうとのことだった。
それに我々もついて言って良いかと聞いたところ、彼は快諾してくれた。
彼に付いて行ってみると、そこはとある行楽施設だった。
施設内はとても騒がしく、とても賑わってる。
三沢にこの施設に来た理由を尋ねてみたところ、彼はこう言った。
「僕はいつでも動けるようにしないといけないので、ここで暇つぶし兼軍資金集めをしているんですよね」
そう。彼はどこまでもヒーローだったのだ。
彼を必要とする状況が来れば、いつでも駆け付けられるようにDAMUZUで時間を潰しているとのことだった。
我々は中に入ることがかなわなかったため、1時間ほどで戻ってくるという彼を信じ待機することにした。
--午前11時30分--
流石はヒーローというべき、彼は1時間で戻って来た。
中で何があったか我々が尋ねると、彼は笑顔で答えてくれた。
「今日はツイてたみたいで、3万も勝てました!
いやぁ。やっぱり、善行でカルマ値リセットするのは最高ですね!」
専門用語なのか我々には理解できなかったが、視聴者の皆様ならわかるだろうか。
--午後0時--
ヒーローらしく、彼は我々に昼食を奢ってくれるとのことだった。
このような細やかな所作からヒーローとしての片鱗が垣間見えるのだろう。
我々は遠慮したが、彼が奢らせてほしいというのでその言葉に甘えることにした。
曰く、この近くにとても美味しいラーメン屋があるとのことだ。
常連だとのことなので、店主に彼について尋ねようと思う。
--午後0時10分--
三沢イチオシのラーメン屋に付いた。
店主曰く、「彼はとても良いお客さんですよ。皿を通路側に出したり、あまりテーブルを汚さないし物腰も丁寧ですのでウチとしてはとてもありがたいですね」とのことだった。
私生活でも彼は丁寧でヒーローらしいことが判明したのだ。
やはり、ヒーローは私生活でも善良な好青年なのだろう。
--午後1時--
此処で緊急連絡が彼に入った。
どうやら、また悪の組織が暴れているようだ。
彼に付いていくのは危険なので我々は彼が戻ってくるのを待とうと思う。
--午後5時20分--
三沢が戻って来たとの連絡を受け、彼が待っているというカフェに向かうことにした。
カフェに付くと、彼は大した怪我もなくテーブルに座っていた。
今回の緊急出動について聞ける限りで話を聞いてみると、どうやらいつも通りに無事解決したようだ。
--午後7時--
三沢はこれから夕食に行くとのことだが、我々は付いて行くことはかなわなかった。
どうにか付いていけないかと尋ねたが、彼はかたくなに我々が付いて行くことを許可してくれなかった。
行先だけでも、と我々が必死に頼んだところ彼は美人が居てお酒が飲める場所とだけ教えてくれた。
我々にはよくわからないが、視聴者の皆様ならわかるかもしれない。
以上が、最近話題のヒーロー。スカーレッド三沢の1日だ。
彼が居るからこそ我々の平和が維持されいている。
今後とも視聴者の皆様、番組、スタッフ等含めて彼の活躍を応援したいと思う。
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スクリーンの映像が終わると、スクリーンの横に立っていた影はまるで体に鉛が纏わりついているかのように重苦しくイスに座り込んだ。
「...わかるか?
これが、ヒーローの姿だ。おかしいだろう。
なんでパチ屋に行ってキャバに行ってる自堕落な男に我らの計画が此処まで阻止されるのだ。
まるで訳が分からん。しかし、事実として阻止されているのだ。
故に!故にこそ!!
我らはこのヒーローの醜態を表に出そうと思う。
意義があるものは此処で宣言せよ」
座り込んだ影はそう発言し、周囲を見渡す。
映像を見ていた他の影達は様々な反応を示していた。
頭を抱える者や怒りに震える者、天を仰ぐ者。
しかし、否定を述べる者は居なかった。
「では、この度の緊急会議を終わる。
各々は30分の休憩の後に仕事に戻るように」
その後、ヒーロースカーレッドはピンチに陥るが幹部の裏切りにより悪の組織の作戦はまたしても失敗に終わった。