TS雪女さんち中継中   作:神ショー

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2000文字くらいの短めで少しずつ話を呟きます。




いち

 

 

ここはあなたたちの住む地球とは少し、いやかなり? 違う地球です。

それは地形? いいえ、ムー大陸やアトランティス大陸などが存在しますが違います。

では国? 確かにキャメロットやティル・ナ・ノーグが存在しますがそれも違います。

 

答えは、なんと!

妖や悪魔などのファンタジー種族が実際に存在し、人間と共存しているという夢のような地球なのです!

 

とはいえファンタジーだから当然血湧き肉躍るバトル物だなどと思ってはいけません。

世の中にはファンタジーな癒し系のほのぼのストーリーも元気にゴロゴロしているので、そちらの可能性があることも忘れてはいけないでしょう。

 

 

さて、こちらの地球についてですが。

妖───つまり妖怪が普通に人間社会に溶け込んで暮らしていました。

あっちを向けば角を生やした鬼の美人が歩き、そっちを向けば翼を広げて飛んでいる烏天狗少女が信号待ちをしていたり、こっちを見れば険しい顔付きでこちらを睨みつけているとても恐ろしい雪ゴリラがいたりします。

 

なんということでしょう!

この画面の後ろ側にはきっと、この暴力雪女を怒らせるようなことをしてしまった哀れな人物が腰を抜かして失禁してしまい泡を吹いて気絶しているような面白───可哀想な光景が広がっているに違いありません!

 

 

「オメェのこと睨んでんだよオイ」

 

 

ちなみに、彼女の目の前にはたまたま偶然期せずして通りがかった人物がいて、本当に腰を抜かして失禁し気絶しています。

唯一の救いは泡を吹いていないことでお口周りが汚れていないことでしょうか。

しかし人通りが少ない道でとはいえ気絶どころかスカートを汚してしまったのは、誰もが恥ずかしがる黒い歴史となること間違いなし。

ここは責任を取って家まで運び、甲斐甲斐しくお世話をするべき場面であると断言できます。

 

 

「だからオメェのせいだっつってんだろ」

 

 

ところで、自己紹介すらしないとは物語の冒頭らしからぬ登場です。

ましてや主人公に相違ない場面での登場なので、もっと主人公っぽい人物であることを意識しなければ物語の進行が滞ってしまう事になってしまいます。

 

ここは精一杯ぶりっ子をして可愛らしく自己紹介し、己の存在を画面の向こうにお見せする時でしょう。

 

 

「私、白魔(はくま) 六花(りつか)。年齢不詳の雪女。ひょんな事から転生して女になっちゃった。しかも気付けば神代の日本とか超無理ゲー。生きるために強くなるしかないから私すごく頑張ったの(怒)」

 

 

いい歳こいたTS娘がぶりっ子とか恥ずかしくないのでしょうか。

これにはあまりのイタさで皆さまにお伝えするための画面にヒビが入ってしまうのも仕方がありません。

そこから少しの怒気が感じられたとしても錯覚でしかないので気にしても無駄になるだけでしょう。

 

何やら顔を赤くして今にもこちらに殴りかかってきそうな雰囲気ですが心配ありません。

何故なら彼女には目の前の女子生徒を連れ帰り、粗相をしてしまったアレやソレを綺麗にしてあげなければならないからです。

なので安心してグレート絶壁ワン───改め六花のことを見ていられます。

 

 

「オメェ、中継が終わったら覚悟しておけよコノヤロウ」

 

 

どうやら六花もトイレを我慢しているのでしょうか。

ウルフカットの綺麗な白髪が静かに波打ち、新雪のように白く汚れない肌が仄かに赤く色付いています。

よほど限界が近いのか、氷河の如き青さの瞳の中に浮かぶ氷晶が樹枝六花のようになっていました。

これは六花も急がなくてはいけません。

 

早速、彼女は女子生徒を軽々と抱え上げ自分のミニスカ浴衣が汚れることも厭わず、すぐ近くの自宅まで運ぶことにしました。

 

六花が住むのは、自身が大家(オーナー)をしている武家屋敷を改造したシェアハウスです。

武家屋敷をシェアハウスにするなんて無理じゃない?なんて言ってはいけません。

ファンタジーシェアハウスなどありふれた存在。

ここは妖や怪異が普通にいるようなファンタジー世界ですので、そちらの常識は通用しないと言っても過言ではないからです。

陸上生物の常識と深海生物の常識くらいには違いがあります。

 

あっという間に到着した六花は、まず自分ではできないことを管理人さんに頼むことにしました。

ヤンキーTS女である己が年頃の生粋少女にやってはいけないこと。

それはすなわち、彼女の体を洗うことです。

 

しかしそれだけでは管理人さんに昼間からお風呂の世話をさせるだけのクソ野郎になってしまうので、流石にそんなことは許せないと感じた六花は自分にもできることを探すことにしました。

これでも女として過ごした年月は男の時よりも圧倒的に長いのですから、なんとかギリギリ衣服を洗うことだけなら許されるだろう。

そう結論付けた六花は、一応いつもと違う感じになってしまっても許して欲しいと保険をかけることも忘れません。

 

 

「はい。なんだか分かりませんが分かりました。大丈夫ですよ。それじゃあ、その子お預かりしますね」

 

 

よろしく、と六花が女子生徒を渡したのは保護欲を掻き立てる大変可愛らしい小さな童女です。

身長170cmと女性としては長身な六花の胸下辺りまでしか身長がないのですから、相当小さな女の子でした。

六花と触れ合わせるのが勿体ないくらいに可愛らしい。

 

童女の名は白雪(しらゆき) いろは。

六花に頼まれてシェアハウスの管理人をしている座敷わらしです。

 

ヒョイっと軽々しく女子生徒を抱えたいろはは、トテトテ歩いてお風呂場の方へ消えていきました。

それを見届けた六花は、ようやく玄関で履いていた下駄を脱ぎ、素足のまま屋敷(シェアハウス)の中を進んでいきます。

向かう先は勿論いろはが今向かったばかりのお風呂場でした。

正確にはその隣にある洗濯場に向かっていますが、これは言わない方が勘違いを産んで面白かったかもしれません。

 

 

「勘違いさせるなよ! オメェのせいで日頃からどんな目にあってると思ってんだ!」

 

 

さて?

話している相手の前に画面を置いてから思い切り関係ない話をし、大事な部分だけを聞き逃す難聴系主人公にしようとしたり。

一丁前にも六花に挑んできた下っ端が華々しく散られるようにそれっぽいBGMを六花の頭の中で再生させたり。

くらいしか思い当たることがありませんが。

 

 

「思いっきりあんじゃねぇか! 毎回誤魔化す身にもなれってんだ全く!」

 

 

さあさあ此度の中継はここまで。

これ以上六花のお小言は皆さんのお身体に触りますので、十分な休息を取ってから再度お越しください。

次回はお風呂に入って磨きあげられた女子生徒が目を覚ます辺りになったらお届けします。

 

 

「おっ? 中継ここで終わりか? よし、ならオメェ奥座敷来いよ。今日のこと併せて今までの恨み辛み、放送できないような事して分からせてやる」

 

 

それは淫乱パーティのような?

 

 

「殺伐タイムだっつの!」

 

 

 





最初に言っておくと、百合の間に男を挟める行為は極刑派です。
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