連載版始めました。
作者はマルクト達のハッピーエンドを求めてビタンビタンと地で跳ね、大地を揺らした。ただ欲した、彼女達のハッピーエンドを。ただ笑顔で過ごす光景を。
なければ書くしかないと思った。いつ供給されるかもわからないものを待つのなら、自分の脳内に存在する光景を書くしかないと思った。だから私は我慢せずに書く。
なんやかんやあってハッピーエンドを迎えたマルクトと三人娘、そして生徒になった預言者達がただ日常を謳歌したりキヴォトスを旅したりする話を書くのだ!日常を過ごして、たまにドタバタがあって、色んなことに巻き込まれつつも笑顔で過ごす彼女達を私は見たいのだッ!
キヴォトスの多くの人間が知らないところで起こった、世界が滅亡するかもしれない事態だった鋼鉄大陸騒動。デカグラマトンと呼ばれる超常の存在としか言えない存在が関わった騒動は、陰ながら活躍したミレニアムのとある生徒達により終息に向かった。
そうして、そんな騒動から暫く。ミレニアムにもいつもと変わらない日常が戻ってきた頃、ミレニアムサイエンススクールの近くの住宅街にあるとある大きな一軒家でもまた、ありふれた日常が今日も始まろうとしていた。
ありふれているかもしれない。だが、それは彼女達が願った最も欲しかった幸せなのだ。
「……ふむ。まあこんなものでしょう」
むふー、と。一見クールな顔をしている彼女は満足げにその顔に笑みを浮かべる。その姿は現在、ミレニアムの制服の上にエプロン姿。白い、絹のような長髪は調理をするために後頭部で結い上げられている。
彼女の名は、マルクト。かつて10番目の預言者として『巡礼者』と名乗り、鋼鉄大陸の騒動において先生。そしてミレニアムの生徒達とシャーレの生徒と敵対した、騒動の中心人物の一人でもあった。
そんな彼女が。正確には、彼女と彼女の妹達、そして。幾度となく先生やシャーレの生徒達とも敵対してきた預言者と呼ばれる存在達は現在、ミレニアムの生徒として暮らしている。
そう、預言者と呼ばれていた存在達もまた、『生徒』として暮らしているのだ。しかもそれぞれ個性が強く、特定の自治区に愛着を持っておりよくその自治区に行く者まで居る。セミナーのユウカなどは『騒がしい子が沢山増えた……』とぼやいていた。もっとも、嫌そうな顔ではなかったが。
本来、今存在している彼女達の内誰かが。もしくは複数が存在していなかった可能性は大いにあった。それ程の事態が起こっていたのだ。そうして、自分達がそうなる覚悟で行動を起こした者達も居た。
しかし、その犠牲を許さない者達もまた居たのだ。先生と騒動の解決に尽力したミレニアムの生徒達、そこには
「――まだ、実感がちゃんと湧きません。今の日常が本当は幻なのではないのか、と思うことも」
思い出すのは、あの決戦の時の彼女達の言葉。
あの時、不屈の心を持つミレニアム最強は叫んだ。
『諦めるだと?ハッ、巫山戯けるなよ!それこそ絶対に有り得ねえな!』
『言い訳して自分の未来すら自分の意志で見えていない今のお前に、この私が負ける訳ねえだろ!』
『そんな運命なんぞ言い訳しないでぶっ飛ばしてみろよ!』
王女としての資格を持つ、されどそれを望まなかった少女。
そして、彼女と共にある侍女は諦めなかった。
互いを理解して、そうして歩んでいく未来のことを。
『アリスは……アリスは諦めません!だって、だってマルクトやアインにソフにオウル、そして――デカグラマトン!あなたのこともまだ何も知りません!』
『だから知りたいと思うんです!そして、あなたもアリス達のことをもっと知って下さい!』
『頭が硬いんですよ、あなたは!もっと……もっと自分に自由に、我儘になったらどうですか!?』
そうして、自分達は救われた。今の自分や妹達、そして生徒となった預言者達には以前ほどの超常のものや、預言者としての能力はない。それでも、リオとヒマリ曰くヘイローを持つ生徒の基準で言えばかなり高い方の素質は持っているらしい。
ともあれ、高い素質に健康な身体。何より、きっとキヴォトスで暮らす人々からすると当たり前なのかもしれない日常があることが夢のようなのだ。
「おっと、いけません。我としたことが考えに耽っていて調理が止まっていました」
食事。ここで暮らすようになってからは、自分が姉であるからと言って用意するようになったそれの作業を再開し、4人分の朝食をテーブルの上に準備する。それを見て再び満足げに彼女は頷いた。
「しかし、遅いですね。はぁ……どうせまた夜更かしでもしたのでしょう。此方に来てから、ゲームという娯楽に興味を示し熱中していますからねあの子達は。姉として、生活リズムというものについてはしっかりと言わなければなりませんね」
結った髪とエプロンはそのままに、階段へと向かい、それを登り二階に赴く。そうしてとある部屋、扉には3人の妹達をデフォルメしたような顔が描かれたルームプレートが下げられている部屋の前で立ち止まるとそのまま扉を開く。
そうして、部屋の中の光景を見た彼女は『予想通りだ』というようにため息を付いた。
今日は週末といえど、時刻は既に八時過ぎ。部屋の中は真っ暗であり、整理整頓はされているものの物が所々に散乱しているそのどれもが、ゲームに関係するもの。雑誌であったり、コントローラーであったりである。広めの室内には大きめのソファに大きなモニターがあり、そのモニターには何種類ものゲーム機が繋がれている。そして、現在そのモニターはつけっぱなしであり、画面は何かのゲームだろうか。一時停止画面でとまったままになっている。
そうして。この部屋の『主達』の姿はそのモニターやソファから少し離れた場所にある、大きなベッドの上にある。ベッドの上でそれぞれが布団もかけずにすやすやと寝息をたてており、そのうち一人の右手はベッドの物置き場に置かれていた奇っ怪な見た目をしたキャラクター、巷ではモモフレンズと呼ばれるそれの目覚まし時計に伸ばされている。恐らくは目覚ましがなって寝ぼけたままそれを停止させ二度寝したのだろう。
「アイン、ソフ、オウル。朝ですよ。もう朝食も出来ています、起きて下さい」
「んー……むにゃ……おねぇさまぁ……?」
「いちごミルクぅ……んん……ふぁ? 」
「ふぁぁ……おはようございますぅ……」
寝ぼけていた3人だったが、ぼんやりとした頭で部屋の入口に立つジト目の姉の姿を見ると暫くの間固まり、そうして高速ですぐに頭を回転させる。いくら以前ほどの神聖や権能を有していなくとも頭脳は極めて高い彼女達だ。そんな頭で考えるのは、そう。
言い訳である。
「お、お姉様!これはその……ア、アインが週末だし夜更かししようって!」
「え、ええっ!?最新作のゲームやりたいからって言ったのはソフですよね!?それにオウルが目覚ましを止めたから……」
「た、確かに止めましたけど!?でもそれを言うなら二人だって――」
ああだ、こうだと姉に対する言い訳を並べ始める3人の妹達に対してコホン、とマルクトは咳払いをする。すると、今から叱られる子犬のようにしゅん、と静になる3人。
「ゲームという趣味を見つけてくれて、姉としては嬉しい限りです。ですが、夜更かしのし過ぎは身体に悪いと前にも言いましたね?」
『ごめんなさい』と素直に謝る3人に対して、『気をつけましょうね』と返す。
「さて、朝食ができていますから着替えて顔を洗ってきてください」
マルクトのそんな言葉に対して、返事を返すとそれぞれが身支度を始める。マルクトもまた、すぐに降りてくるだろう妹達を下で待とうと考えながら、エプロンを外し、結っていた髪を解く。
慌ただしく朝の準備をする3人の妹達。そんな彼女達には、以前は存在しなかったものがある。
それは、謂わばあの騒動で救われた結果。最良の結末により与えられたものと言ってもいい。
3人の頭上には、それぞれ形やデザインは微妙に異なるがよく似ており。このキヴォトスにおいて『生徒』であれば持つもの、ヘイローが存在したのだから。
新たな道を歩き始めた者達の日常が、今日も始まる。
■原作との相違点
鋼鉄大陸事変にC&Cが全員参戦、拙作では更に全員に強化バフ済み。具体的に明確な変化があるのは
・アスナ
健康体で直感フル稼働させても身体に負荷がない上、幸運値がカンストされているレベルで高い。幸運の女神に愛されて加護でもかかってるのかってレベルであらゆる事象が優位に働く上、干渉系の攻撃がほぼ効かない。フルパワー大型犬。
・ネル
原作よりさらにバフされている上気合と根性で心が折れない限り何度でも立ち上がりその度に奇跡や覚醒、強化が入る。アツィルト発動されてもネルだけ気合と根性で動けており渾身のフィジカルパンチやキックがデカグラマトンにクリーンヒットしていた。伝わる人間が限られているが『まだだ』が搭載されているネル。
更にアリスとケイにもなんやかんやあって奇跡を起こしてその後になんやかんやあって和解して仲間になった。
■あとがき
どうしても彼女達が救われて日常を過ごすだけの話がね、書きたかったんですよ。我慢できなかったんです。それを考えたら仕事も手につかなかったんです。だから書きます。
マルクト達が日常過ごしたりキヴォトスを旅行したりたまにドタバタしたりするだけの話。預言者が生徒化して所属がミレニアムなのでつまりビナマキもある。
マルクトは帽子かぶってないマルクト。
なんでマルクトがミレニアムの制服着てるのかって?
着た姿絶対かわいいでしょう?似合うでしょう?
ケイであの破壊力だったんですからそりゃもうですよ!
ともあれ。
私は彼女達が幸せに過ごしているのを見たいのだ!!!!!!!!
供給はいくらあっても困らないのでみんな、書こう!!!!!!!!!