勤務時間はギリギリだったが、何とか間に合った。
部隊長のお叱りを受けずに済んだのは助かったか。
事務室を目指して廊下を歩いていると、腐れ縁の同僚がいた。
「よ、○○。珍しく寝坊か?」
「うるせーよヘタレ。遅刻に関してはお前に言われたくない」
こいつは同僚のヨウ・ハルハラ。俺と同じく落ちこぼれで、事務員だ。
といっても、俺と違って魔導師の才能はある。ただ、本人がヘタレな上にやる気が無いだけだ。
昔は結構前線で活躍してたらしいが、何があったか知らんが今はこうして最低部隊に追いやられている訳だ。
ハルハラ、本当に何をやらかした?
「で、何で寝坊したんだよ。お前、不良だけど規律は守るじゃん」
「・・・別に寝坊したわけじゃねーよ。ただ、ここに来る途中で女の子とぶつかっただけだ」
今思い出すと、結構珍しい容姿だったな。金髪はそうでもないが、オッドアイはそういない。
俺の記憶には一人だけいたが・・・会ったのはずっと昔だし、今は音信不通だから向こうも覚えてないだろう。
現に俺も名前を覚えてないしな。歳は・・・12位になってるか?
「マジかよ。なんてベタな展開に出会ってるんだよ!羨ましぞ!」
「知るか。それに、危うく遅刻するところだったのに、どこが羨ましいんだ」
「・・・・・ああ、忘れてたよ。お前って鈍いんだよな~」
誰がだ!
「で、どんな子だよ。僕に教えろよ~○○」
「(ウゼエ)・・・歳下なのは間違いないな。後金髪のオッドアイだった。後美少女だな」
「マジかよ!?何でその時ぶつかったのが僕じゃなかったんだ!そうしたら今頃、テンプレな展開で恋愛に発展したのに!もったいない!」
「アホか」
コイツの頭の中には蛆が沸いてると思う。
まあ、ハルハラだしな。
「でもさ。この部隊で恋愛は無理だよね~。僕らみたいな落ちこぼれや厄介者しか居ないわけだし?ここにいる女って皆凶暴だし「あんだって?」ヒィッ!?」
「ハ~ル~ハ~ラ~!アンタ、またアタシの悪口言ったでしょ!」
「滅相もございませんアンズ様!いやー、今日も美しいですね本当!」
「へ~。で、本音は?」
「凶暴ゴリラめ!」
「死 ね」
あ、顔面にハイキックされて、壁に埋まった。いつもどうり
「ハルハラが死んだ!」
「この人でなし!」
周りの局員たちがいつもどうりのセリフを言ってくる。うん、何時も通りの光景だな。
「少しは僕の心配して下さい」
「嫌だ」
「嫌よ」
『嫌です!』
「ひ、酷いっす・・・ガク」
俺達の容赦無いセリフに奴は力尽きたようだ。
まあ、数分も経てば復活するけどな。
さて、ハルハラを蹴り飛ばしたのはアンズ・トーリン。
見ての通り、凶暴な性格「なんか言った?○○」言ってませんし、思ってません。
まあ、色々合ってコイツもこの部隊に追いやられた訳だ。優秀な魔導師なのにな。
で、こいつには双子の妹がいるらしく、医療舞台の看護師として働いているそうだ。
性格は真逆だがな。
「それにしても、アンタ珍しく遅刻ギリギリだそうじゃない」
「まあな。かくかくしかじか」
「まるまるうまうま。なるほど、アンタも災難ね~」
「ほっとけ。つか、ニヤニヤしながら言うな」
性格がアレな上、人をからかうのだ大好きだから困る。
なのに、結構世話好きだから意外だ。現に、不良で周りから溢れている俺とハルハラにこうして接してくる。
他の奴らは、部隊長を除いて誰も相手にしようとしないのにな。
「それじゃ、アタシは新入り達の面倒があるからまた後でね」
「ああ」
アンズはこの舞台の唯一の戦闘魔導師。人数は少ないが、この部隊に厄介払いされた新入りの局員を指導する役目がある。
それが原因か知らんが、アンズは皆に姐さん呼ばわりされている。
「ホント、こんな部隊には勿体無いよな。アンズは」
俺はまだ気絶しているハルハラを壁から引っ張り出し、事務室へと引きずって連れて行くことにした。
◆
深夜。勤務時間が終わり、寮に真っ直ぐ帰る。何時も通りの事だ。
たまにハルハラの部屋に遊びに行ったりしているが、今日はそんな気分じゃなかった。
アイツには言ってないが、遅刻の原因はあの女の子にぶつかったことだけじゃない。
昔よく見ていた夢をまた見るようになったからだ。
ここ最近、本当に夢見が悪い。一体何だって言うんだ。
「やっ!はっ!」
突然聞こえた声。この声には聞き覚えがあった。
そうだ、今朝ぶつかった時の・・・
そう思って声がした方向に振り向くと、あの時の女の子に似た女性が『ストライクアーツ』の練習をしていた。
あの女の子の姉妹かと思ったが、それ以上に思ったことがあった。
「・・・凄い」
俺は見とれてしまっていた。その姿に
月の光と街灯の光だけだが、その光が彼女を照らし、その動きを美しくしていた。
まるで、おとぎ話に出てくる聖王のような
それにしても、ストライクアーツか・・・・・・魔力がなくても、一定の技は学ぶことが出来た
だが、過去にある事件がキッカケで俺は学ぶのを止めた。
いや、止めざる得なかった
まあ、今ではどうでもいいけど。
しばらく彼女の姿に見とれていると、女性が俺の方に気づき、こっちに来た。
・・・・はい?何で?
「あの、今朝の人ですよね!」
「え?」
今朝の人?何を言ってるんだ?どう見ても、別人にしか・・・
「あ、そっか。今変身魔法を解きますね」
変身魔法?すると彼女は光に包まれ、光が晴れると今朝の女の子がそこに立っていた。
・・・・ああ!成程。そういうことか!
「今朝はごめんなさい!ちゃんと謝れなくて!」
「いや、それは俺の方だ。今朝も言ったが、どんな理由があっても女の子に怪我をさせちゃ駄目だからな」
「で、でも!それに、お詫びをするのはこっちだと思うんですけど・・・」
結構頑固だな、この子。
はて、どうしようか・・・
「ならさ、俺と友達になってくれないか?」
「え?」
「俺さ、友達少ないんだ。だから、俺の友達になってくれ。それでオアイコだろ」
自分でも何を言ってるのか分からない。でも、何故だかこう言わないといけない気がした。
「友達・・・はい!私、高町ヴィヴィオって言います!」
「俺は○○だ。宜しくな高町」
「えっと、ヴィヴィオって呼んだください。高町だとママが有名ですから」
・・・高町?ああ!あのエースオブエースか!
なら仕方ないよな。エースはエース。コイツはコイツだもんな。
「悪いな。改めてよろしくヴィヴィオ」
「はい、○○さん!」
こうして、俺は歳下の少女と友達になった。
そしてこの先、様々な出会いと運命が待っていることをこの時の俺は知らなかった
ども、ゼルガーです。
さて、今回登場したオリキャラの二人。ハルハラとアンズですが、これは某ゲーム&アニメに登場するキャラの名前を別読みにした名前です。性格も本人ですけどね。まあ、知ってる人は知ってるでしょう。
ちなみに、アンズもヒロイン候補です(唯一のオリキャラからのヒロイン)
でも、正ヒロインはヴィヴィオです
あと、ハーレムにはしませんが、ルートごとに分かれる予定です。なので、最初はヴィヴィオルートになると思います。
※現在は共通ルートです
ではまた