勇者一行の『村娘』   作:テイラノ

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遅くなってすみません。
私生活の事情により、毎月一日を目標に更新していきたいと思います。
不満などありましたら感想等にてお伝えください。


挨拶と準備

 

 

 

 

 

 酒盛りして戻ってきた後、二人は微妙な空気になってしまった。

 王都という安全な空間であるからか、二人とも考えていなかったところまで考えてしまっているのだろう。

 

「すみませんでした。もうお酒は呑みません」

「私もです。あんなに騒いじゃうなんて…」

「私は大丈夫そうだからまた今度呑むね」

 

 宿の部屋に戻ったタイミングでセージさんから謝りだした。

 まあ、私は毒とかが効きにくいので呑むけど。

 二人とも騒いだ記憶が残っているようで、私に強く言えない。

 

 取り敢えず、その日は宿の施設で水浴びをしてすぐに寝た。

 

 

 

 

 

 次の日は、教会に挨拶に行くことになった。

 なんでも、セレナさんがお世話になっていたことがある教会らしい。

 宿を出て、通りを3、4本通り過ぎると左右に曲がっていく。

 少し入り組んだところにあるらしく、王都のどの辺りなのかが分かりづらい場所だった。

 しかし、見えてきてしまえば、それが教会であることがすぐに分かった。

 妙な存在感があった。この辺りでは珍しく、石造りであることも理由の一つだろう。

 

「あ、シスターだ!」「本当だー!」「帰ってきた!」

「お帰りー」「やったー!」

 

 あずけられているであろう子供たちがセレナさんを見てはしゃいでいる。

 セレナさんの性格なら子供たちからも人気だっただろうな。

 

 子供たちの相手をしていると、教会の中から老人が一人出てきた。

 

「お久しぶりです、神父さま」

「久しいですね、セレナ。あと、セージくん…そちらの娘が例の?」

「はい。旅先で知り合って、着いてくることになったんです」

「初めまして、ヘレナといいます」

 

 出てきた男性はこの教会の神父さまであるようだ。

 柔らかい表情に気を抜いてしまいそうになる。

 

「帰ってきたばかりで疲れているでしょう?立ち話も何ですし、中で話をしましょう」

 

 そう言うと、彼は私たちを客室に案内した。

 

 

「さて、二人とも。相談があると書いてありましたが、その娘のことでよろしいですか?」

 

「はい。そうです」

 

 椅子に座った瞬間に、神父さまがかなり的を絞った質問をしてきた。

 書いてあったということは、手紙のやり取りでもしていたのだろう。

 相談するということは、やはり、私を連れて行くことに不安があるのだろうか。

 

「そうですか…色々なことを読ませていただきましたが、私としては反対したいと思っています」

「それは、どういうことですか?」

「そうですね……君たちはかなりあやふやにその娘…ヘレナさんのことを決めようとしていますね。

 それが危ういと思うからこそ、その娘が『勇者一行』に同行することを反対したい、ということです」

「あやふやと言っても、ヘレナ自身の決意があったのですが」

「その決意は、彼女の心が定まっていない状態で答えた仮の本音かもしれないと思いましてね。そうでなくとも、()の打算的な事情をしっかりと聞かせてほしいんですよ、セージくん」

「俺に打算はありません。それに、彼女の心は変わっていないと思います」

 

 ふむ、相談という割に、悪い流れが見えてきている。

 セージさんの答えが徐々に白熱してきた。

 

「ほうほう…でしたら、彼女の心のことは横に置きましょう。人の心は熱しやすく、冷めやすいですからね。

 だとしても、打算が一切無いのでしたら、私のところに連れてこない選択もできた筈ですよ。

 それに、もしそうだったとしても、私に調べてほしいことがあるのでしょう?」

「…はい。今後の旅に重要なので、ヘレナの適合を見てほしいんです。それに、その結果を見れば、俺の言いたいことが伝わると思います」

 

 ふむ、適合とは『聖霊力』や『魔力』についての適合だろう。

 稀に、『呪い』の適合も見つかるが、異端扱いされることが多い。

 セージさんも呪いを使っているから、『勇者一行』を追放されるとは考えにくいが。

 

「なるほど…では、先ずは見てみるとしましょうか。ヘレナさん、この水晶に触れてみてください」

「はい」

 

 神父さまが脇にあった水晶を手に取り、目の前の机の上に置いた。

 私がその水晶に触れると、神父さまも水晶に手を置き、魔法を発動した。

 

「『解析(アナライズ)』」

「え?」

 

 驚きと共に声が漏れた。

 その魔法は、『魔女』が使っていた、『理解する魔法』によく似ていたのだ。

 そして、驚いたのは私だけでは無かった。

 神父さまも私と同様かそれ以上に驚いていた。

 

「これは、すさまじい」

 

 何かに堪えるような表情を見せて、一言だけ呟いた。

 水晶には四色のもやが浮かんでおり、それぞれ青、金、黒、虹の色をしていた。

 中でも、青色のもやが一際大きく、他のもやを隠しそうになっている。

 

「手紙には書けませんでしたが、()()は、恐らく、私たち『勇者一行』で見ていく必要があります。それに、この力は私たちの旅を助けてくれるものだとも思います」

「…これは、セージくんの言っていることの方が一理あるようですね」

 

 魔法を解除すると、神父さまはそう呟いた。

 そして、私の目をずいと覗き込んで一言だけ質問した。

 

「君自身は、それでいいんですね?」

「はい」

 

 私は、『勇者一行』に着いていくことに迷いは無かった。

 

「…そうですか、ならば、大丈夫でしょう」

 

 神父さまはそう呟くと、優しい雰囲気に戻った。

 そして、しばらくセージさんたちと話した後、私たちは教会を出て宿に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そういえば、神父さまは水晶を見て、何に驚いたのだろうか。

 体に影響が出るほどの内容だったようだが、何を理解したのだろう。

 …もしかしたら、『魔女』が居ることを理解されたのかもしれない。

 まさか、セージさんは私を殺すために教会を訪れたのか?

 だとしたら、殺されたくない。

 

「セージ、何か隠し事してない?」

「えっ、急にどうした?ていうか、し、してないけど。俺がそんな風に見える?」

 

 分かりやすい。

 何かを隠しているのは明白だろう。

 

「嘘だね、信じられない」

「イヤダナア、ウソジャナイヨ」

 

 少し罠にかけよう。

 

「私に言えないような隠し事って何かな?もしかして、どこかで素敵な人に出会ったとか?恥ずかしがらなくてもいいんだよ?」

「そうなんですか?セージさん」

「違うよヘレナ、そんなことはないから。あと、目が怖いよセレナ、大丈夫だから」

 

 セージさんが震えながら私たちを落ち着かせようとする。しかし、セレナさんは私の嘘の真相を明かそうとして無理やりセージさんに詰め寄っていく。

 

「本当に?それとも、セレナさんにも言えないほどの隠し事だったりして」

「適当なこと言うなって!」

「セージさん、本当のことを言ってください。私は今、冷静さを欠こうとしています」

 

 ふむ、最後の一押しに欠ける気がする。もう少し、具体性を持って聞こうかな。

 

「例えば、私を教会に連れて行った理由は何?教会を通じて私を追放しようとしたりしていない?」

「何言ってんだ、そんなバカなことあるか!それより、早くセレナの誤解を解いてくれ!」

「怪しいな」

「嘘なんて吐いてない!素敵な人とか考えられないし、教会に連れて行ったのはただの適性検査だって!」

 

 ふむ、追い詰められた状況で、このクソ雑魚勇者が嘘を吐く筈がない。

 その言葉を信じようではないか。

 

「セレナさん、セージにまともな女性が寄りつくとは考えられません。私の早とちりでした」

「…確かに、セージさんの隣に普通の人は立たないですね」

 

 この暴論だと、セレナさんと私は普通ではないことになるが、まあ、いいだろう。

 

「ごめんね、セージ。じゃあ、私は寝るね」

「ええ、おやすみなさい」

「…とばっちりかよ」

 

 こうして、私は布団に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

─────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もう一日様々な場所に挨拶をしに行って、王都に来てから五日目になった。

 

「セレナ、ヘレナ、そろそろ食料などの買い出しもしようか」

「そうですね。そろそろ出発ですし」

「もう出るんだ」

 

 いや、寧ろ丁度いいのかもしれない。

 なにせ、一日目は睡眠、二日目は酒盛り、三日目は教会に、四日目は色々なところに挨拶に行っていたのでやることは大体終わったのだろう。

 あとは、次の旅の準備をするだけだ。

 

「…『勇者は聖女の手を引くと満天の星空の下でキザな台詞を』って、俺はそんなことしてないぞ」

「満天の星空の下は合っていますが、泣いて懇願されましたよ。『誠に“せくはら”案件でした。申し訳ありません。お許しください。どうか聖女として来ていただけませんか』って言ってましたね」

「いいじゃん、こういうのは雰囲気が大事なの。胸が締め付けられたり興奮で空想がかき立てられたりする方がいいんだよ」

 

 私が書いている、『勇者一行』の王都での話を纏めた本も結構いい具合に仕上がってきている。

 現在書いているのは、『勇者』が酒場から逃げ出してしまった『聖女』と気持ちを確かめ合うシーンだ。

 正直、今作の最大の山場にして最高の見せ場である。

 

「捏造は良くないよ」

「そうですよ。事実を正しく伝えることで後世に正確な歴史が刻まれていくのですから」

 

 二人から叱責が浴びせられるが知ったこっちゃない。

 私は私が書きたいモノを書いていくのだ。

 多分、未来の私も賛同するだろう。

 

 まあ、どれだけ二人が違うと言っても、二人の関係は周知の事実なのでこの本の方が正しいと評価されてしまうことに変わりは無いだろうし。

 問題ないな、うん。

 

「本を書くのもいいが、俺が渡した本も読んでおけよ」

「はいはい」

 

 そういえば、つまらない本を渡されてたな。後で読もう。

 それよりも、ここで『勇者』がこうして、『聖女』がこう応えて……

 

「じゃあ行くぞ、ヘレナ」

「ちょっ、この、服を引っ張らないでって」

 

 という訳で、私は無理矢理買い出しに連れ出された。

 二日ぶりの市場が珍しく見える。

 

「おお!今日のパンは一段と安いですよ!」

「あはは、そうだな」

 

 セレナさんがパンの安さに驚いている。

 値切った末にパン3個で銅貨4枚とは…村に居た頃から見ても、少し高い程度だろう。

 まさか、セージさんがここまで情報収集していたとは思わなかった。

 

 他にも、安値の野菜や穀物、燻製肉などを色々な場所から買い漁っていく。

 鞄の中は時間経過などから隔離された空間になっているので、詰め込んでおけばいつでも新鮮な物を食べられるのだ。

 

 大体欲しいものを買い終わったところでセージさんの視線がある場所に留まった。

 

「骨董市が開いてるみたいだから行ってみようか」

「セージさんってそんな趣味ありましたっけ?」

「まあまあ、気になるものがあるかもしれないし」

 

 近くで開かれている骨董市を見に行くことになった。

 古今東西の様々な珍しい物が並んでいる。

 稀に呪いの品や由緒ある物が売られたりしていて退屈しない。

 昔から、そういう物を集めることが趣味なのだ。

 片っ端から見て回り、小遣いで買える物を買っていく。

 特徴的な呪いの鉾や古代帝国の祭具など、聞いただけで興奮してしまう。

 

 

 ……まさか、セージさんは私のために提案してくれたのだろうか。

 この前は行けなかったから、代替としてこの提案をしたのかもしれない。

 嬉しい。

 骨董市もそうだが、何より、私のことを考えて行動してくれたことがとても嬉しい。

 本当に、家族のような、そんな優しさをセージさんから感じるときがある。

 もう、本当の家族はどこにもいないというのに。

 

「…ありがとう、セージ」

「おう」

 

 少し照れくさいが、感謝の気持ちは大切だ。

 それに、気持ちは伝えられるときに伝えないと、伝わらないのだから。

 

「セージさん!板が光りました!」

「マジで!……パソコンじゃん」

 

 セレナさんの方向を見れば、見たことのない材質の板が光っている。セージさんは見覚えがあるようで、驚きと諦めの目で板を見た。

 

「多少型落ちだけど割と最近のノートパソコンだな…光ったってことはまだ望みがあるかもしれないけど流石に直せないな。他の転生者に聞けばまた別かもしれないけど」

「コレを知ってるのか?っていうか、使えないから此処に出してるが、直せる人がいるのか?」

 

 売主と議論が始まった。

 価格交渉でもないのに盛り上がっている。

 それにしても、細かい造形の板がこんなに滑らかに動いて壊れないなんて、二枚一対なのに丈夫だな。

 

「転生者自体の数が少ないから現実的ではないな」

「そうか、残念だな……で、あんたは買うのか?」

「う~ん…ヘレナ、どうする?」

「値段による」

「ふむ…銅貨50枚でどうだ?これだけ精巧な造りは見たことがないからな。安くしとくぜ」

 

 ちょっと高い。

 まあ、再現性も無さそうな物を手放すなら安めだが。

 

「高い。20枚がいい」

「は?安すぎる。俺じゃなかったら銀貨1枚でも売らないかもしれないのに、そんなに安く売れるか」

「なら30枚でどう?光らせる以外の使い道が無いなら丁度いいと思うけど」

「…あのな、嬢ちゃん。こんなに細かい物を同じ大きさで何個も一枚の板に付けてる物は見たことがないんだよ。ここまで綺麗で整った物は王宮お抱えの職人でも作れないかもしれない。それを、銅貨50枚で売ってやるって言ってるんだ。分かるか?」

 

 まあ、分からんでもない。

 それでなくとも、素材本来の滑らかな質感や丸みを帯びた外形など、確かに技術の高さなどがうかがえる。

 まあ、それ以上の価値は見出せないが。

 

「いや、高く見積もっても40枚が限界かな。そうじゃなかったら買わない」

「頑固だな…なら、45枚ぐらいに負けてやってもいいぜ」

 

 そこそこ釣り上がったが、丁度いい塩梅だろう。

 いや、もう少し値切るか。

 

「私が買えばこの板の価値を証明できるかもしれないよ。この人(セージさん)は直せたら使い方も分かるみたいだし。それに、荷物とか倉庫の肥やしになるよりいいと思うな~」

「…ああ、クソッ、分かった。銅貨40枚で手を打つ。それでいいか」

「もちろん」

 

 この人は『使えないから売りに来た』と言っていた。

 つまり、美術的な価値を感じてはいるものの、実用性に欠けるから売りに来たのだ。

 正直、光を出すだけの板はあまり必要としないし、旅などに持って行くには大き過ぎるし重すぎる。

 その点を加味せずとも、持ち運ぶには程よく面倒くさい。

 

「大切に扱えよ」

「はい。ありがとうございます」

 

 私は古い物が好きだが、未知の物も好きなのだ。

 この出会いは正に千載一遇だったと考えよう。

 

「セージ、帰ったら出来る限り直してみて。お願い」

「……善処するよ」

 

 苦い顔をしているがセージさんしか頼れる人も居ないので仕方ない。

 セージさんはその後、すぐに真面目な顔で売主に質問し始めた。

 

「そういえば、いつ、どこでコレを手に入れたんだ?」

「やけに食い気味だな…確か、何年か前のウルメリア大森林の…南西だった気がするな」

「ウルメリアか…やっぱり絞れないな。いつだったかとか詳しく分からないか?」

「ええと…4、5年前だったかな。いや、2、3年前だったかも…すまん、分からねえ」

「いや、大丈夫だ。ありがとう」

 

 そう言うと、セージさんは誤魔化すようにに歩き出してしまった。

 怪しい。

 確かに、見たこともないものについて知りたがるのは分かるが、集中したりあっさりしていたりする部分が妙だ。

 喋り方から見ても、何らかの仮定を前提に話している気がする。

 

 未知の物、落ちていた場所、年月、落とし物が何なのかを知っているセージさん……

 

 

 もしや、セージさんは『転生者』なのだろうか。

 

 

 『転生者』とは、大陸の外から稀にやってくる人間のことだ。

 基本的に、身体能力などの特徴は私たち人類と変わらない。

 価値観の相違が顕著だが、しばらく生活している内に慣れてしまうようで、そこまで変わっているとも言えないらしい。

 しかし、人間によるのだが、『転生者』は私たちが考えられないような高度な教育を受けていることがある。

 私と変わらないような年齢でも、王都の役人として抜擢されてしまうことすらあるのだ。

 まあ、大半は風邪を拗らせたり魔族や盗賊に殺されたりして長く生きられないようだが。

 

 もしセージさんが『転生者』だとすれば、天からの使いに等しい。

 『勇者』になる程の人間かは別として、なり得る程度には条件が整っているだろう。

 

 そして恐らく、さっきの板は大陸の外から来た物だと考えられる。

 セージさんが使い方や直し方まで分かっている以上、その可能性は十分有り得る。

 

「おーい、大丈夫か?ヘレナ」

「…あ、うん。平気平気、大丈夫大丈夫」

 

 誤魔化し方が下手だったかもしれない。

 でも、流石に思考まで読まれることは無いだろう。

 

「さっきの質問が変だったか?」

 

 何故バレたし。

 

「いや~、あんな板があったら欲しくなるからね。偶に、落ちてる場所とかを聞いてるんだよ」

「ふーん、そうなんだー」

 

 うん、信じられない。

 まず動機が怪しい。

 さっきの行動は、物が欲しい人間の行動ではなかった。

 次に、詳細を聞こうとしている時点で大体の情報として欲しい部分が分かっていることになる。

 しかし、情報に確信がないと分かった瞬間にそれ以上聞き出すのをやめた。

 

 つまり、セージさんは、ある程度の仮説の検証を行っているのだと考えられる。

 大方の内容は、『転生者』がどこに『転生』してくるのかだろうが、どんな仮説なのかは知りたい。

 

「セージは、どこで似たような板を見たことがあるの?それに、なんで使い方を知っているの?」

「あー…ミズリー港の近くだったかな。海に流れ着いた板を弄ってたら使い方が分かったんだよ」

「それって何年前だった?」

「去年か2年前の夏か秋だった気がするよ」

 

 あれ、意外と嘘を言っていない気がする。

 堂々としていながら、誠実な言い方だから、騙されているように思えない。

 

 ……もしかして、私自身が、人を疑い過ぎているのかもしれない。

 これから旅をする仲間だし、信じられるようにしていこうかな。

 

「ありがとう、ごめん」

「ん?どう致しまして…?」

 

 セージさんが返答に困っていたが、それ以上のことを私は言わなかった。

 

 

 

 

 

 セレナさんと合流した後は宿に戻り、身支度を整える。

 明日には出発するということで、この宿には戻ってこないようだ。

 また、明日は朝から王城に行くので、この夜が私たちが安心していられる最後の夜になるということだ。

 

「おやすみ、二人とも」

「ああ、おやすみ」

「おやすみなさい」

 

 二人の声を聞きながら、私の意識は闇に沈んだ。

 

 

 

 

 




次は来月中に出したいです。
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