岡崎いるかの生存戦略   作:戎韜

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この章は今書いてる年の全日本ノービス終了まで。そこまで行ったら少し未来に飛びます。


そういえば来年はオリンピック

 突然だが弟がウザい。 

 練習行く準備してて気付いたわ。なんか財布の金が増えてるの。5,000円。コレ、あいつの財布にぶち込んどいたヤツじゃね? 誕生日の日に。

 

「ねえ、5,000円これ。勝手に入れた? 増えてんだけど、5,000円札」

「え? 知らない。前のお札にくっついてたとかじゃないの?」

 

 弟はシレッと適当なことをほざいた。

 練習着に着替えて荷物を持つと、話が終わってないのに出ていこうとする。

 

「んなベタついてないから。私の財布の中は。お前さー、つまんないことしないでよ。人の好意を素直に受け取れないくらい(こじ)らせてるん?」

「拗らせてるのはお姉ちゃ……ン゛ンっ、姉さんの方だよね。茉莉花ちゃんに反抗したとか勘弁して。僕は恥ずかしくて辛いです」

「お前に関係ないじゃん。てかなに。お前ってああいうお嬢さまが好みなの」

「なんでそうなるの?」

 

 なんでって、そりゃあなんとなくだ。お前の好みのタイプなんぞ知らん。茉莉花さんは可愛いから、もしかしてと思って聞いてみただけ。

 どうやら違うみたいだな。本気でアホを見る顔でこっち見てるは。ぶちのめすぞお前ちょうしのんな。

 

「僕は喋ったことほぼないけど、茉莉花さんはいい人だと思うよ。だからウザいとか言ってないで、話しかけられたら普通にしなよ」

 

 うるさいよ。茉莉花さんの絡みが強くなってきてダルいって話、お前にはしなきゃ良かった。他に話せる奴もいないから、ついつい言っちゃったんだよな。

 痛恨のミスだわ。やかましい奴が増えてしまった。

 

「別に……普通にはしてるよ。てかさ、なんで絡みないのに良い人とかわかるん」

「どんな理由があれ、いるかちゃ……ン゛ンっ、姉さんに優しくしてくれるとか……いい人認定するには十分すぎる善行じゃない?」

「おい待てどーゆー意味だ。めっちゃ失礼なこと言ってる自覚ある? 殴るよ?」

 

 つか、無理して姉さん呼びしなくていいから。ずっと甘ったれのお子ちゃまだったくせに、去年くらいからなーんか背伸びしてんだよな。さては好きな女子でもできたか?

 

「ごめんって。だからペットボトルをしまおう。満タンじゃん。そんなんで殴られたら痛いわ」

「そうね。この天然水は満タンだな。理依奈(りいな)さんのこと好きなん?」

「りいなちゃん? カッコイイし尊敬もしてるけど、そういうのじゃないなぁ……」 

「ふーん」

 

 違うんか。つまんね。

 嘘ついてる感じでもないな。あくまでそれっぽい雰囲気を感じないってだけで、実際のところは本人にしかわかんないわけだけど。

 うちらの姉弟(きょうだい)仲は悪くない方だ。

 何かと比べられたり差をつけられたりして育てられてるけど、いがみ合ったり恨みあったりはない。むしろ変な連帯感が生まれてる。

 いつか自立して胸張って生きていけるようになろう、ってね。これで鯨哉(こいつ)が自分本位な人間だったら違ってたけど、小学校入学前の時点で既にお姉ちゃん優先な思考に目覚めてたからなぁ。私のイチゴが1つしかなかった時とか、自分の分を全部くれたりしたし。イナゴは私の分まで食べてくれたし。

 みかちゃんの件で私がイラつきまくってた時は、ストレス解消に貢献してくれたし。だからまあ、誕生日に5,000円あげてもいいやって思うくらいには、こいつのことは大切にしてやってるつもり。

 

「ねえ、5,000円」

「いらないってば。ハーゲンダッツ奢ってくれたじゃん。誕プレはあれでいいよ」

「安すぎんだろ」

「ハーゲンダッツは高級品だよ。何言ってんの」

「そういうことじゃねーんだよ。はあ……もういいや。だったら私の誕生日の時もハーゲンダッツだけにしろよ。もしくはそれに準ずる何か。勝手に財布にお金いれたりしないでよね」

「はいはい」

 

 ホントにわかってんのかね、こいつ……。

 あー、早く高校生になりたい。そうすればバイトできるようになるし、自分のお金で胸張って祝ってやれるのにな。今は所詮(しょせん)親から貰った金だから、私がでかい顔するのも違う気がする。なんかスッキリしないのよ。

 

「──入るわよ。ちょっと、早くしなさいよ。今日は送ってくから」

 

 長話してたら、お母さんが現れた。

 やべって思ったけど声が優しい。今日は機嫌がいいみたいで何より。

 しっかし高そうな服だな。チュールスカート可愛いな。新品みたいだけど、いくらしたんだろ。

 

「ごめん、今行く」

「はい。遅刻したら私が恥ずかしいんだからね。鯨哉(きょうや)はどうする? また走ってくの?」

「うん。そうするつもり。こっち来てから大須行くのは大変だろうし、僕もトレーニングになるから」

 

 結局なあなあになったけど、うちは姉弟で所属クラブが違う。(きょう)のことはお父さんがクラブ見学連れてって、家族に相談とかなにもなしに名港に決めて帰ってきた。お母さんはブチ切れたよ。でも、なぜか私が怒られて話は終わったんだ。  

 なんでだ? 今思うと謎すぎて笑える。

 

「そう。じゃあご飯買うお金は先に渡しとくから。ったく……お父さんは本当に口だけよね。きょうやのことは自分が面倒見るって張り切ってたくせに」

「僕が良くないのかもね。土日は休みたいだろうし悪いなと思って、お願いとかしないようにしてるから」

「別に、いるかだって改まってお願いとかはしてこないわよ。そういうのはどうでもよくて、お父さんは私と約束したの。きょうやのことは自分が面倒見るって。自分の言葉に責任が持てないことに、お母さんは失望してんのよ」  

 

 うちの両親の夫婦仲は悪くはない……と思う。

 喧嘩は多いけど、普通にしてる時間の方が遥かに多いし。平穏ではないよ。私にしても弟にしても、いつ、どのタイミングで口撃されるかわからない。お父さんもお母さんも気づいてないっぽいけど、私らは常に構えて接してるから。

 普通じゃないな。異常だよ我が家は。

 

「そっかぁ……あ、時間やばいよお母さん」

「っと、いけないいけない。誰かさんが何もしないから、私がいるかを送ってくるわ! ついでに練習見てくるからお昼は勝手になんとかしてね! きょうやも自分の足で行くってさ!」

 

 廊下から玄関に向かう最中、お母さんはわざっとらしく叫ぶように言った。

 リビングの方からなんか聞こえた。ガンッッ、て硬いものを叩きつけたような鈍い音だ。

 帰ってきた後で喧嘩にならなきゃいいな。

 ヒートアップしたら私か(きょう)が責められることになっちゃう。もしくは二人まとめてかも。その方が気が楽だな。集中攻撃された方に気を使ったり慰めたりするのは、結構シンドい。お互いに。

 

 

──────────────────────

 

 

 名港ウインドFSCは名城クラウンFSCに次ぐ名古屋の古豪クラブである。

 現在のヘッドコーチは鴗鳥(そにどり)慎一郎(しんいちろう)。3年前のオリンピックで銀メダルを取って引退した後、前任者から引き継いだ形。前のヘッドコーチは現在療養中だ。自販機の下に落ちた10円玉を拾おうとして腰を痛めて、無理して生活していたところ、ある日いきなり立てなくなった。

 

 

「来週から一気に忙しくなります。ですが恐れることはありません。しっかりと支えていきますので、良いシーズンにしていきましょう」

 

 邦和スケートリンクの休憩室に、低く渋い男性の声が響く。

 名港ウインドヘッドコーチ、鴗鳥慎一郎である。

 表情筋があまり動かないことで有名な彼は、身長186cm。真顔でいることが多い大男だが、内面は情熱的で人格者。とはいえ迫力があるのは事実なので、怖がられることも結構ある。

 

「慎一郎先生」

「はい。なんでしょうか、鯨哉(きょうや)君」

「りんなちゃんが今から上がってます。多分あんまり話聞いてないんで、説明し直した方がいいと思います」

「なるほど」

 

 現在は全体練習後のミーティングタイム。来週以降はイベント盛り沢山で慌ただしくなる。慎一郎がいない週末も出てくるので、軽く飲み食いをしながら話をしている。強制ではなく希望制。

 丸テーブルに椅子3つ×2箇所。

 参加者は7人、各々自由に座っている。

 理依奈(りいな)鯨哉(きょうや)夕凪(ゆうな)理凰(りおう)。目をグルグルさせている8才、申川(さるかわ)りんな。手作りクッキーを持参してきた8才、牛川(うしかわ)四葉(よつば)

 

「では、りんな君。どこがわかりませんでしたか?」

「あ、あうあうあう……」

「何テンパってんだ……お前そんなんで大丈夫か?」

 

 ハーっと色っぽい吐息を漏らしたのは、イケメン担当の雉多(きじた)先生である。ホストのような気遣いと立ち振る舞いに定評があり、現役時代は『暴れんボーイ』の二つ名で恐れられていたのだとか。

 雉多先生は柱に背中を預けて、なんとなく格好良いポーズを決めている。

 

「ら、らいしゅうの名港杯……初級枠は何人くらい、なんでしょうか……できればすべる順番はあとの方がよくて……えっと」

「は? 聞こえねえ。はっきり喋れ」

「ひぃん……1番とか絶対はいやなんで、いっぱい人がいるといいなって思いましたぁ!」

 

 りんなはビシッと挙手して声を張った。

 目をクワッと見開いている少女に、鯨哉(きょうや)は気の毒そうな顔を向ける。

 現在のレイアウトは休憩室の中央にホワイトボード。前には慎一郎が立っていて、生徒達は2つのテーブルにわかれて座っている。慎一郎から見て左にりんな、鯨哉、理凰(りおう)。右に理依奈(りいな)、夕凪、ラブリー&クッキー担当の四葉(よつば)

 

「あー、たしかに1番滑走はやだよね。でも大丈夫だよ。りんなは初級枠でしょ? 去年は20人くらい出てたはずで、毎年そんな変わってない。1/20の確率って考えれば安心するでしょ」

「する! した! ありがとキョーヤ君!」

「ふ……私がフォローするまでもありませんでしたね。そういうことです、りんな君。仮に1番を引いてしまったとしても大丈夫です。それだけの確率を引き当てられるのは運があるということ。吉兆だと前向きに捉えていきましょう。まあ、そうそう引けるものではないと思いますが」

 

 鯨哉のデータを用いた慰めにりんなは安堵し、慎一郎の後押しも受けて安心し切った笑顔になった。

 そうなのだ。1番滑走を好む選手は少ないだろうが、引こうと思っても中々引けるものでもない。滑走順はくじ引きである。

 

「そうだぞりんな! 1番とか引けたらむしろ胸を張っていい。私だって経験ないんだから」 

「りいなちゃん……えへへ。ありがとう。わたし、不安じゃなくなった!」

 

 りんなは完全に立ち直ったようだ。

 それはさておき、名港杯。  

 伝統ある名古屋のローカル大会だが、初級から選手権クラスまで多くの出場枠があるので、地域を(また)いで参加してくる選手も多く見られる。

 フィギュアスケートの大会というのは参加資格が設けられていることがほとんどで、資格を満たすには連盟のバッジテスト合格が必須。バッジテストは初級から8級までの9段階で、全日本ノービスAではバッジテスト6級以上*1が必要。

 ここにいるメンバーは全員が来週の名港杯に出場予定で、理依奈(りいな)は7級のシニア枠、鯨哉はノービスB*2男子。低学年組は仲良く初級枠での出場だ。

 

 

「慎一郎先生!」

「なんでしょう、夕凪くん」

「これから先のこともイメージしたいので、年間のレギュレーションのようなものがあれば、ぜひ教えて欲しいです!」

 

 ここで夕凪(ゆうな)がビシッと挙手。

 彼女は年齢よりもかなり大人びている。友達からは『同い年じゃないみたい』と尊敬されているのだとか。

 

「わかりました。私もそのつもりでしたので、ここにホワイトボードがあります。わかりやすいように書いてみましょう」

「ありがとうございます!」

 

 きりつ、れい!

 まるで軍人のような動きの夕凪に、隣に座っている四葉(よつば)は「!‍?」と目を丸くする。他のメンバーもだいたい同じ反応で、慎一郎だけが誇らしげな笑みを浮かべていた。『礼儀正しいですね』とか賞賛しているのかもしれない。

 

「きょーや君はノービスBだよね……いけそう?」

「去年はコケて6位だったから、今年は気合い入れていくつもり」

「りんな、わかってないなぁ。鯨哉くんはあくまで調整だから。何がなんでもって大会じゃないの。2週間後に長野合宿あるんだし、そのまえにケガでもしたらたいへんだろ」

 

 そう言って、理凰は「フッ……」と微笑を浮かべた。

 りんなの可愛らしい顔からスーンと表情が消えて、次には哀れみの目を理凰(りおう)に向けた。

 

「そんなのわかってるよ〜、なんでそんな自信まんまんに言うの? ちょっとカワイソウだなって思ったから、やめた方がいいとおもうな……」

「!‍? か、かわいそう……!‍? りんな待って、どういうことだよそれ!」

 

 りおう君は慌てふためいている。

 顔は一瞬で真っ赤だ。二人の間に挟まれている鯨哉は思った。りんなちゃん恐ろしい子……と。知識をひけらかしたい年頃の男子をイジめてはいけない。さっきのは痛いからやめなよと同義だ。かわいそうすぎた。

 

「では、書けましたので、皆さん視線をこちらに。今年の主なスケジュールです。士気を高めていきましょう」

 

 慎一郎からの呼びかけによって空気がリセットされる。子供達の後ろにいる保護者数名も含めて、ホワイトボードに視線を送った。

 

 

────────────────

 

 7/10(土)←本日。

 

 7/17(土)〜7/21(火)

 名港杯

 邦和スケートリンク

『選手権女子』理依奈(りいな)

『ノービスB』鯨哉(きょうや)

『初級』理凰、夕凪、四葉、りんな

 

 

 7/23(土)-7/31(土)

 連盟主催長野合宿(有望新人発掘合宿)

『ノービスB』鯨哉

 補足:若手選手の登竜門。後に日本代表クラスの選手が大勢参加してきた実績がある。

 

 8/5(木)~8/8(日)

 西日本中小学生大会

 京都宇治折アリーナ

 理依奈(りいな)

『ノービスB』鯨哉(きょうや)

『1級』理凰、夕凪、四葉、りんな

 補足:未来を担う有力選手が多数参加してくる。開催地の京都は強い選手が一番多い。上記4名は名港杯の後に1級バッジテストを受験予定。

 

 9/24(金)~26(日)

 中部ブロック大会

 邦和スケートリンク

 

『選手権女子』理依奈(りいな)

『ノービスB』鯨哉(きょうや)

 

 補足:全日本ノービス、全日本ジュニア、全日本選手権に繋がっている大切な大会。

 

 10/22(金)~24(日)

 全日本ノービス

 新横浜アリーナ

 

『ノービスB』鯨哉(きょうや)

 

 10/31(日)~11/3(水)

 西日本選手権大会

 西日本ジュニア

 京都宇治折アリーナ

 

『選手権女子』理依奈(りいな)

 

 補足:中部ブロック大会を勝ち抜いた後の2次予選。突破すれば全日本選手権に出場できる。

 

 11/19(金)~21(日)

 全日本ジュニア

 名古屋レインボーアリーナ

 

 12/22(水)~26(日)

 全日本選手権

 さいたまスーパーアリーナ

 

 対象者:理依奈(りいな)

 

 補足:優勝すればオリンピック出場確定。

 

 

────────────────

 

 

 今年の僕達はおまけみたいなもんだ。

 なんて言っちゃ駄目だな。慎一郎先生はそんなこと考えてもいないだろう。理凰(りおう)はじめここにいる4人はみんな才能があって、これから始まるのは選手として迎える初めてのシーズン。

 色んなことを犠牲にして練習に打ち込んでるのは知ってるから、できれば最初くらいは辛い想いをしないで楽しんで欲しい。嫌でも順位はついてしまうから、みんながみんな充実したシーズンになるかはわからないけど。それでもね。

 

(オリンピック……かぁ)

 

 15才のりいなちゃんはギリギリ選考対象。

 調子が上がったり下がったりでここまで来てて、ハッキリ言って突出した実績はない。でも、国内じゃ数少ない4回転持ちだし、最近の良い状態を維持できれば可能性はあると思う。子供が夢見てるだけかもだけど、なんとなくいけるんじゃないかって思うんだよね。スケート通な人達からは笑われるだろうけど。

 行って欲しいな、どんな形でもいいから。

 僕がクラブに入ったばかりの頃、約束してくれたことを叶えてくれたら凄い嬉しい。

 

 

『慎一郎先生をもう一度オリンピックに連れていく。まずは私が。次は鯨哉と夕凪で。私が名港のナンバーワンなら、ナンバーツーは……』

『夕凪で。僕よりも早く慎一郎先生の弟子になったし、ナンバーツーは夕凪がいい』

『30分くらいしか、かわらないよ!‍?』

 

 あの頃はまだ理凰はいなかったし、りんなも四葉も始める前。クラブ自体も変化が激しかった時期というか、引退する選手の方が多くて今より人が少なかった。

 りいなちゃんがナンバーワン。

 誰がナンバーツーに立候補するんだって話になって、僕は当たり前に夕凪だって言ったよ。いつまでスケートできるかもわかんないし、自分じゃないと思った。ただの願望だ。

 結局、今は僕がナンバーツーって言われてる。   

 年齢も技術も上なんだからそうなるよね。でも、いつか抜かれるかもしれないって思ってるよ。うちのお姉ちゃんみたいな才能あるから、夕凪って。

 

 

「鯨哉くん。明日はエイヴァが出てこられるので、よろしくお願いします」

「よろしくお願いするのはこっちですよ……先生」

 

 さて、今更だけど僕のメインの担当コーチは慎一郎先生ではない。はじめは慎一郎先生だったんだけど、途中から変わった。

 エイヴァさんが気晴らしも兼ねてリンクに出てくるようになったので、折角だから本格的に教えてもらうことにしたのだ。少し指導してもらっただけでいい感じになったっていうか、フィーリングが合うみたいで凄いやりやすかったんだよね。

 慎一郎先生に教えて貰えないって話ではないから、僕にとってはいいことしかない。エイヴァさんはまだ日本語が怪しいけど、わかんない時は通訳担当の理凰(りおう)君を呼べば問題なし。

 慎一郎先生もエイヴァさんもオリンピックに連れていく。連れていこうねって、今年入ってすぐくらいに夕凪(ゆうな)と話した。両親のためにとは思えない僕だけど、そういうことなら頑張れそうだ。

 

 

『やくそく! いいよね! 約束!』

『うん、いいよ』

*1
男子は4級

*2
7月1日の前日時点で9~10才。鯨哉は誕生日が7月6日なので、今年までノービスB

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