主人公に成って絶賛記憶喪失だけど、何故か全キャラの好感度が既にMAX なんだが?! 作:ひまなめこ
穹side
…最っ高ー!な気分だ!!
黒閃を決めて、俺のボルテージは今最高にハイっ!に成ってる。
正月元旦の朝にパンツを履き替えたようなバッチしな気分だぜ!
「今度こそ遊んでやるよ!どっからでも掛かってこい!」
そう言って、俺はスヴァローグとルカに対して手招きをして軽く挑発する。
すると、俺の安い挑発に乗って、ルカが真っ直ぐ俺に殴り掛かってくる。
しかし、ルカの拳が俺の顔面に届く寸前、ルカの拳は突然空中で止まる。
「なんだ…これ…?見えない何かに阻まれて…拳が届かねえ…。」
「お前が触れているのは俺とお前の間にある"無限"だよ。」
そう、俺が今使っているのは【無下限呪術】だ。
【六眼】無しでどうやって使ってるかって?
細かい事は良いんだよ…。
それよりも重要なのは、ルカの攻撃はもう俺に一切のダメージを与えることが出来ないって事だ。
「アキレスと亀…分かるか?アキレスは亀に絶対に追い付けない。それと同じでお前の攻撃は俺に近付くに連れて遅くなる。つまり絶対に当たらない。」
「なっ?!」
俺の説明にルカは驚愕の表情を浮かべる。
うん、分かるよ…。
俺も呪術○戦を読んでいた時はそんな反応をしていた。
マジでこれ反則だよな…。
一体どうやって倒せって話だよ。
{それはおかしい。アキレスと亀のパラドックスは最終的に2に収束する無限の足し算だ。つまりあなたに触れられないと言うのは論理が破綻している。}
「えっ!?そうなの!」
その瞬間、スヴァローグによってロジカルに論破された事で俺の無下限バリアが無意識の内に解かれてしまった。
その隙を逃さず、ルカが俺に追撃を仕掛けてくる。
「ぐはっ!」
反応が遅れてしまい。
俺はルカの攻撃を諸に受けてしまった。
{穹、あなたの能力は既に分析済みだ。あなたの能力はあなた自身が叶えたい願いやイメージを実現すると言うもの。一見強力な力に見えるが、精神的なストレスを掛けられたり、今のように正論で論破されると、あなた自身のヴィジョンが揺らぎ能力が発動できなくなる。}
…初めて知ったよ…俺の能力、そんな力を持っていたんだな。
今までその場の乗りで何となく使っていたけど、漸く自分の能力の正体を知れてスッキリしたよ。
つまり、これは俺のメンタルの問題だ。
ちょっとストレスを掛けられたり、ちょっと正しい言葉で諭されるだけで、自信を無くしちゃう俺の精神の問題だ。
俺は…まだ完全にぶっ飛べていない。
だってそうだろう…そもそも【六眼】無しで【無下限呪術】使ってんのに、今さらそこ気にするかって話だし…正直、アキレスのパラドックスの原理とかそんなものどうでも良い。
常識に囚われるな!いくらスヴァローグに常識を押し付けられようとも、俺が望めば、常識も理屈も超越してなんでも実現出来る筈なんだ。
だからもう、常識なんか考えるな!
俺は誰だ?愉悦の使令で主人公だ!
常識に囚われる奴に愉悦の使令が勤まるか?
…否!!
スタレの主人公はどんな奴だった?
ゴミ箱を漁る非常識の塊だ!
そうだ…俺に常識は通じねえ、だって常識ねえもん!
「ああ!もう!下らねえ事なんかどうでも良い!とことん非常識に行こう!愉悦らしく、主人公らしく!戦いってのはなぁ…乗りが良い奴が勝つんだよ!」
俺の能力は俺の望みを叶えるんだろ?
だったら、とことん自由に戦ってやる。
自分勝手に、俺が考えうる様々な方法で…。
そう言って俺は両手を天井に掲げる。
すると、天井に突然、雨雲が現れて雷雨が降り注いだ。
空のない地下の下層部の天井に雨が降ったのだ。
「なんだこれは!?下層部に雨?あり得ねえだろ…。」
「その"あり得ない"を実現させるのが俺の力だ!」
そう言って俺はその場で高くジャンプし、雷雨を降らしている雲の中に入り、雷を掴んで雲の中から出てくる。
「食らえ!雷神トールの一撃!」
俺はスヴァローグとルカに対して、手に掴んだ雷を投げる。
スヴァローグは俺の攻撃を防ぐ為にバリアを再び展開するが、雷はそのバリアを貫通し、スヴァローグとルカに直撃する。
バッチーン!!!
感電したような痺れる轟音が鳴り響くと同時にバッチーンと言う擬音が俺の目の前に具現化する。
俺はその擬音を手で掴み、スヴァローグに向かって振り回す。
「バッチーンスイングだぜ!銀河打者の腕前とくと見よ!」
俺のバッチーン擬音はスヴァローグの腹に見事炸裂し、スヴァローグの体は数メートル先までぶっ飛んだ。
「スヴァローグ!」
「他人よりも今は自分の心配したらどうだ?」
吹き飛ばされたスヴァローグを心配するルカに一瞬で肉薄した俺はルカの背後に回ってそう耳打ちする。
そんな俺に対してルカは咄嗟に回し蹴りを放つ。
しかし、そこで俺はある技を発動させる。
「ザ・ワールド!」
残念、スタンド能力も使えるのさ。
スヴァローグがどれだけ俺を分析していようと、ルカがどれだけ訓練していようと…このザ・ワールドの前では無駄無駄無駄無駄無駄!!!
俺は静止した時の中でルカに対して無駄無駄ラッシュを叩き込む。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄…無駄!!WRYYYYY!!!」
そして、時は動き出し、ルカの体が高速でぶっ飛ぶ。
「ぐはっ!!…一体何が…?」
「ルカ、お前はこの卓に呼ばれていない。【グラニテブラスト】」
一瞬でセットしたリーゼントから極太のビームを放ってルカとの戦いを終わらせる。
残るはスヴァローグだ。
さっき数メートル吹き飛ばしたが、あいつはタフだからまだ動けるだろう。
俺はルカに背を向けてスヴァローグの元に歩みを進める。
しかし…。
「待てよ…兄貴…。俺は…まだ終わってねえぞ!」
「おいおい!マジか!」
ルカがまだ立ち上がって来た。
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ルカside
体全身がいてえ…。
それに痺れるし、鉛みてえに重い。
それでも、倒れるわけには行かない!
負けたくないんだ!いつか兄貴に自慢の弟だって言って貰えるように…俺は…。
「あんたに勝たなくちゃいえないんだ!」
「良いねえ!お前のその熱、こっちまで熱くなるぜ!こんなに熱くなれたのはスタレに課金するために使ってたクレジットカードがリボ払いになってた時以来だぜ!」
そう言って兄貴は突然腕を巨大化させて俺に受かって振り下ろしてくる。
「巨大な腕なら俺だって持ってる。」
俺は右の鉄腕に巨大な装着式の鉄拳を装備して、兄貴の攻撃を真っ正面から受け止める。
「ぐっ!」
重い…。
まるで巨人の腕だ。
俺の鉄腕からバチバチと火花が散ってる…、もう、長くは持たない…。
「結構頑張ったけど、もう限界なんじゃないか?」
「うるさい!勝手に決めんなよ!俺はいつまでもあんたの背中を追ってばかりの自分に甘んじる気はねえ!いつか絶対にあんたの隣に追い付いてやる!!!」
限界を超えて、更に超えたその先の壁も超えて、俺は自分が出せる最大限の力を振り絞って…兄貴の腕を弾き返した。
「…っ!」
俺に力負けしたことが予想外だったのか、兄貴は呆然とその場で立ち尽くす。
…へっ!試合中に隙を見せるなんて、素人丸出しだぜ!兄貴!
俺は兄貴との距離を詰めて、拳をつき出す。
この一撃で決める!全てをこの拳に掛ける!
しかし、俺がつき出した拳は兄貴に触れる直前で何かに阻まれて静止してしまった。
「なっ!」
「【無下限呪術】さっき見せただろ。」
また、この技かよ!
同じ技に引っ掛かるなんて馬鹿か俺は!
このまま終わるのか?
兄貴に一矢報いれずに何も出来ずに終わるなんて嫌だ!
こんな訳のわからないバリアなんて…ぶっ壊してやる!
「ぐおおお!!!」
「だから、無駄だよ。お前の攻撃は無限に遅くなってて俺には届かない。」
うるせえ!
そんなの分かってんだよ!
俺が兄貴に勝てないことくらい、とっくの昔に分かってる…。
でも、だからこそ、あんたは俺にとって特別で憧れだった。
あんたに勝てなくてもあんたに認めて欲しかった、誉めて欲しかった。
簡単な言葉でも良い、「すごいな」って、「良くやった」ってあんたに言って欲しかった…。
なあ、聞いてくれよ兄貴。
俺、ボルダータウンじゃ、負け無しなんだぜ。
凄いだろ?
後、俺に憧れてくれてるファンも出来たんだ。
体の弱い病弱な女の子だけど、いつか俺みたいな負け無しのチャンピオンになるんだって手紙をくれてよ…俺嬉しくて…。
出来れば今の俺を昔の兄貴に、俺の知ってる兄貴に見て欲しかった…。
沢山俺の話を聞いて欲しかった…。
…なのに!記憶喪失で帰ってくるとか聞いてねえよ!!
俺は更に腕に力を入れる。
後悔も悲しみも怒りも全部拳に乗せて、兄貴に届くように…ありったけの力をぶつける!
次の瞬間、ガリガリッ!と言う擬音と共に俺の拳が兄貴が纏うバリアを突破した。
しかし、俺の拳が兄貴に届く直前で兄貴に片手で受け止められてしまった。
「【領域展延】か?…いや、少し違うな。まあ、良いか。ルカ、もう終わりにしよう。これ以上やっても意味ない。」
そう言って兄貴は俺の腹に重い一撃を放つ。
「ぐふっ!」
なんて威力!
危うく意識が跳びかけた。
でも、まだ…まだ終われない…!
俺は必死に意識を保ち、再び兄貴に向かって拳を振りかぶる。
しかし、その直後、兄貴の口が開き、こう告げてきた。
「…ルカ、正直驚いたよ。お前のこれまでの健闘に見合う言葉は残念ながら俺のボキャブラリーからは捻り出せない。だから代わりに俺が一番好きな言葉を送ろう…。」
ーーーーー誇れ!お前は強い!
「あっ…あぁ…。」
その瞬間、俺の瞳から大粒の涙が滴り落ちた。
俺が欲しかった言葉だ。
認めて貰えた。
ずっと欲しかったものが手に入った…。
他でもないあんたに貰えた…一番認めて貰いたくて一番隣にいて欲しいあんたに…。
兄貴から送られた言葉を聞いて、俺の体から一気に力が抜ける。
今まで後回しにしていた疲労とダメージが一気に押し寄せてきて…俺の意識はゆっくりと暗転した。