主人公に成って絶賛記憶喪失だけど、何故か全キャラの好感度が既にMAX なんだが?! 作:ひまなめこ
穹side
「ね、ねえ本当に大丈夫なの?」
「ああ、
俺は頭から滝のように血を流しながら、笑顔でそう答える。
「全く、大丈夫に見えないんだけど…。」
「仕方ないな…ほれ、イリュージョン!」
そう言って俺は両掌を掲げて自分の顔を隠す。
そして、暫くの間顔を手で覆い隠した後に手を放すと…アラ不思議!血塗れだった俺の顔が顎がしゃくれた城之内の顔に大変身!
「完全復活!パーフェクト穹様だぜ☆」
「戻してえええ!!」
どうやら城之内顔は不評だったようだ。
俺は直ぐ掌で自分の顔を覆って元の顔に戻す。
「これならどうだ?傷も治ってるだろ?」
「本当だ…。どういう原理?」
原理…?
確かにどういう原理なんだろうな…?
…まあ、良いか!
考えても仕方ない!
「原理も心理も万里も二宮和也も考えた所で分からんよ。それよりも、中枢エレベーターはこの先だろう?早く行こうぜ!」
「う、うん…。二宮和也?」
そんなこんなで俺達は無事に中枢エレベーターにたどり着く事が出来た。
出来たのだが…。
「あっわかった!」
「何が分かったんだ?もしかして壊したのか?」
俺達がたどり着いた中枢エレベーターは機能を停止していた。
「ウチじゃないからね!絶対に反物質レギオンのせいだよ。」
「人のせいにするのは行かんよ三月なのかさん。正直に言いなさい。壊しましたね?」
「んもー!ウチをからかわないで!」
おっと怒らせてしまった。
ゲームでもそうだったけど、三月って反応がいちいち可愛くて面白いから弄り甲斐があるんだよな…。
「こういうとき丹恒がいてくれたらなー。」
「丹恒はこう言う機械に詳しいのか?」
「なに言ってんの!当たり前じゃん!ウチらが困っている時いつも丹恒が解決してくれたでしょ?」
そうなのか?
意外と過去の俺とこいつらはかなり親しい関係だったみたいだ。
しかし、原作開始前の主人公は星核ハンターだった筈だからどうやってこいつらと仲良くなったかが謎だ。
「うーん?」
「あっごめん、あんた記憶喪失だったね。変な事言ってごめん。」
また、暗い表情になってしまった。
別に困らせる気なんて無かったのだが…。
「お前達もう着いていたのか。」
そこにさっき別れた丹恒がさっそうと現れた。
かなり気まずい空気に成っていたので、グッドタイミングだ丹恒先生。
「丹恒!?早くない?生存者は見つかったの?」
「ああ、一人だけな。ここの防衛科責任者のアーランだ。負傷していたが、管理室に龍城する事で何とか生き残っていたようだ。」
アーランか…。
原作によると、レギオン達が中枢エレベーターを使って避難場所まで襲撃するのを恐れたアーランが中枢エレベーターの操作を弄って機能を一時的に停止させたんだったよな。
なら、アーランの所に行けば中枢エレベーターを使えるようになるんじゃないか?
「その防衛科のアーランって人なら、中枢エレベーターをどうにか出来るんじゃないか?」
「あっ、確かに!ねえ、丹恒今中枢エレベーターが故障(?)してて動かせないの。アーランなら何とか出来ないかな?」
「防衛科の責任者なら恐らくは可能だろう。アーランを救出するついでに中枢エレベーターについて聞いてみよう。」
そうと決まれば早速俺達は丹恒がアーランを見付けたと言う管理室に向かう。
「っ!誰だ!」
管理室に入るや否やアーランと思われる灰色の髪をした少年が武器を突き付けてきた。
「うお!たんま!俺達は敵じゃない!」
「っ?!穹!何で貴様がここに?」
アーランとも面識があるのか…。
過去の俺って何か人脈広くね?
「えーとお前が…そのアーランであってるよな?」
「何を当然の事を…?」
俺にとっては当然じゃないんだよ…。
「アーラン、今の穹は記憶喪失なんだ。難しいだろうが、色々理解してほしい。」
「記憶喪失…。そんな…穹が…。」
初めて会った時の丹恒と三月みたいに信じられない…いや、信じたくないと言うような表情を浮かべるアーラン。
「その…なんだ…。この状況に困惑する気持ちは分かるんだが、今は悠長に感傷に浸ってる場合じゃない。早く中枢エレベーターを直して安全な場所に行かないと。」
「…そうだな、すまん取り乱した。中枢エレベーターの事だが、レギオン達が主制御部分へ侵入するのを防ぐために管理権限を一時的に遮断したんだ。再び起動するには解除用の暗号キーが必要だ。」
「暗号キー?確か三月がアスターからカードのような物を受け取っていたような気が…。」
「え!?ウチ?…えーと…確かにそれらしいものを貰ったような…。」
丹恒の言葉に三月は分かり安く取り乱しながら、ポーチの中を必死に探す。
「三月………。」
「おい…。」
「…三月さん?」
この場にいる男性陣全員の心が一つに成った。
「あっあった!これを使えば中枢エレベーターを起動出来るんだよね?」
「ああ、それを使ってエレベーターで主制御部分にたどり着いたら直ぐにエレベーターの管理権限を再び遮断しろ。それまでは俺が殿を努める。」
「殿ってもしかしてアーランさんはここに残るつもりなのか?」
「ああ、俺の命と俺が万が一我が身かわいさにエレベーターに乗ってしまった際に起こり得るリスクを天秤に掛けた結果、これが最適解だと判断した。」
アーランは雲一つないその瞳で迷わずそう言い放った。
こんなに若いのに防衛科の責任者を任されているくらいなのだから、これくらいの覚悟は既に出来ていたのだろう。
そう言う男気の有るところ俺は嫌いじゃない。
でも、だからって見捨てるわけには行かない。
「そうか、アーランさん。あんたの天秤壊れてるよ。俺にとってはレギオンにエレベーターを使われるリスクよりもあんたの命の方が遥かに重い。全くもって釣り合ってねえよ。」
「穹…。」
「一緒に行こう。見捨てるなんて俺にはできねえよ。」
俺はアーランにそっと手を差し伸べる。
「…フッ記憶を失ってもお前は相変わらずなんだな。」
そう言ってアーランは俺の手を握り返す。
「そう言えば、負傷してるんだったな。肩貸そうか?」
「ああ、頼む。」
こうして俺はアーランに肩を貸しながら三月と丹恒と共に再び中枢エレベーターに向かった。
しかし、俺達が中枢エレベーターに到着すると、ケンタウロスのような下半身が馬の体の形をしたヴォイドレンジャー・蹂躙がエレベーター前で俺達を待ち伏せていた。
「あのデカブツ…他の個体よりも強いぞ。気を付けろ。」
「ご忠告どうも。でも、一瞬で終わらせるから意味ないよ!」
肩を貸してるアーランを一度下ろして俺はヴォイドレンジャー・蹂躙に向かって全力で走り抜ける。
「無茶だ!穹!」
「流石に一人は無鉄砲過ぎでしょ!」
丹恒と三月からの静止の声を振り切って俺はヴォイドレンジャー・蹂躙に肉薄し、思い切り拳を放つ。
この世界に転生した俺はどうやらかなり強いらしい。
そう言えば、アッハが転生前に何か一つ能力を俺に与えると言っていたのを思い出した。
恐らくはその影響で俺はこんなにも強くなったのだろう。
ヴォイドレンジャーの刃が頭にぶっ刺さっても死なないし、瞬時に再生するし、今の俺は限りなく無敵に近い。
それに俺には絶対的な自信がある。
何処から湧いたのかわからない謎の自信。
あのヴォイドレンジャー・蹂躙を一撃で倒せる自信。
だから、俺は拳を放った。
この自信を証明するために。
そして次の瞬間、ヴォイドレンジャー・蹂躙の肉体が粉々に爆散した。
「なっ!?」
「っ!?」
「ウソ?!」
「一件落着だな。」
驚く皆を尻目に俺はそう呟くのだった。