主人公に成って絶賛記憶喪失だけど、何故か全キャラの好感度が既にMAX なんだが?! 作:ひまなめこ
今後誤字がありましたら遠慮なく報告してください。
今なら、誤字報告してくれた方にはアッハが直接会いに来ます。
穹side
「ありがとう皆。お陰で殆どのスタッフの精神バイタルが正常に成ったわ。」
各々がメンタルケアの時間を終えて、再び集合した俺達はアスターから感謝の言葉を述べられていた。
…しかし、感謝されるのは嬉しいのだが、スタッフのメンタルケアは殆ど姫子が一人でやったから素直に感謝を受け取りづらい…。
「これで取り合えずは目下の不安を拭いきれたかしら?」
「ええ、十分よ。後はこっちで何とかしてみるわ本当にありがとう!」
そうアスターが言葉を締めくくり、今の所は一件落着かと思ったのも束の間…、突然宇宙ステーション内に警報が鳴り響いた。
「なっなに!?また何か出たの?」
三月の悲鳴に呼応するように目の前にモニターが出現し、問題発生地点の監視カメラ映像が流れる。
「終末獣…。まさかレギオンの対天体兵器まで出てくるなんて…。」
モニターの映像には宇宙ステーションヘルタを防衛しているバリアを意図も容易く破る終末獣の姿が映し出されていた。
「…あなた達は早く列車に乗って脱出しなさい。後は私が何とかするから。」
「でも…。」
「…行きましょう。」
アスターの無茶な発現に三月は抗議するが、その声は姫子によって掻き消され、俺達はやむなく姫子に従う形でその場を後にする。
「姫子…さん、本当にアスター達を見捨てて宇宙ステーションを脱出するのか?」
「そんなわけ無いでしょ。あの終末獣はアスターのキャリアで対処できる範疇を越えているわ。速やかに私達だけで対処するのよ。」
宇宙ステーションの廊下を足早に進みながら、俺と姫子はその様な会話を交わす。
「しかし、相手は終末獣だ。俺達のキャリアでも身に余る。」
「でも、流石にアスター達を見捨てられないよ。」
切迫した状況の中、列車組の安全第一の丹恒からの遠回しな撤退発言に三月が抗議の言葉を述べた。
「二人とも、安心して。何も無策で突っ込む訳じゃないわ。」
「何か、秘策があるのか?」
丹恒からの質問に姫子は小さく頷いて、俺を見詰めてくる。
「ん?」
「秘策と言うより、秘密兵器ね。」
姫子は真っ直ぐ俺を見詰めたまま悪い笑顔を浮かべてそう言った。
そのまま、俺達は姫子先導の元、終末獣がいるとされるサポート部分にたどり着く。
「終末獣は見当たらないね…帰ったのかな?」
「三月さん…、フラグ建てるのやめて?」
ナチュラルにフラグを建築する三月に注意しながら、俺達はサポート部分から最寄りのホームへ移動する。
サポート部分の廊下を抜けてホームへ出た瞬間、遂に奴が現れた。
《GYAAAA!!!》
「「うわー!出た!」」
「落ち着きなさい二人とも!居ることなんて分かりきってた事でしょ!」
俺と三月が同時に絶叫を挙げると姫子から鋭い突っ込みが炸裂した。
「姫子さん、作戦は?」
「そうね…、あの終末獣の胸の辺りに浮かんでる、ひし形の物体が見えるかしら?」
「ああ、他の部位よりもエネルギーが集中しているように見えるな。」
「恐らくアレが弱点よ。出来るだけアレを狙いましょう。」
俺と三月が絶叫する中、姫子と丹恒は努めて冷静に作戦会議をしていた。
「成る程、あのひし形の物体を狙えば良いんだな。お前の出番だ。三月さん!」
「え!ウチ?あんたがやるんじゃないの?」
「だって俺、近接戦闘型だし、あんな高いところ届かねえよ。」
終末獣の身体は軽く見積もって俺達の身長の3、4倍はある。
普通に攻撃が届かないのだ。
「えー…もう、しょうがないな………えい!」
三月は氷で矢を生成し、弓につがえて、終末獣の弱点に向かって射出する。
そして、寸分違わず、弱点部位に命中するが…。
《…。》
「何アレ固ー!本当に弱点なの?」
…一切ダメージが入らなかった。
「多分、火力が足りなかったんだろう。どけ、俺が見本を見せる。」
「は?」
俺は三月を一度どかして何処からともなくロケットランチャーを取り出し、終末獣の弱点部位に向かって射出した。
ドガンッ!!!
《GUGYAAA!!!》
俺が放ったロケランは狙い通り終末獣に多大なダメージを与えたようだ。
「…フンッ!…クリティカルヒットだぜ…。」
「「「何だそれ!」」」
「何ってロケットランチャーですけど何か?」
全員で総ツッコミしてくる皆に俺はなんて事無いようにそう答える。
「何で?ロケットランチャーなんか持ってるの?何処から取り出したの?」
「何処からって…確かに何処から出てきたんだ?」
謎だ。
これが心理か…。
何もわからない、誰にもわからない。
しかし、確かな事がある。
「こうして世界に新たなトリビアが生まれた。それ即ち、終末獣はロケランで倒せrっ…アバババ。」
俺がかっこ良いセリフでかっこよく決めようとした矢先、突然、俺の全身を極太のビームが呑み込んだ。
「「「穹!」」」
「…どうやら、強い刺激を与えすぎたようだな。激昂した終末獣が穹にビームを放ったんだ。」
この状況を冷静に分析する丹恒。
君、実況と解説の才能有るよ。
「穹、大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ問題ない。」
ビームのせいで全身真っ黒焦げで頭がアフロでボンバーな形に成っているが、概ね問題ない。
「「「問題しかない!」」」
「髪!アフロ!綿飴みたいになってるよ!」
「まあ、落ち着け三月さん。直ぐに髪をイカした形に直すから…。」
騒ぎ立てる三月を尻目に俺は何処からともなく櫛を取り出して髪を整える。
そして、数秒しないウチにイカした髪型が完成した。
「どうよ?この立派なリーゼント!」
「「「古!」」」
「古いとは何だ!昭和を代表する不良の代名詞なんだぞ!」
戦いの最中でもお構い無しに俺は俺独自の世界を展開し、皆にリーゼントの良さを熱く語る。
そんな時、終末獣が再び動き出した。
俺に狙いを定めて口にエネルギーを集中させている。
「またビームか!なら俺も取って置きのを食らわせてやる!」
俺も終末獣に対抗するためにリーゼントにエネルギーを集中させる。
やがて、俺と終末獣は同時にエネルギーを溜め終わり、渾身の一撃を放つ。
《GYAAAA!!!》
「【グラニテブラスト!】」
その瞬間、俺のグラニテブラストと終末獣のビームが交差し、押し合いが発生する。
最初は力が拮抗していたように見えたが徐々に俺のグラニテブラストが終末獣を押して行く。
そして、この状況に追い討ちを掛ける様に俺の意識に一瞬だけ、傷だらけで全身から黄金の血が流れている白髪の男性が映った。
…間違いないナヌークからの一瞥だ。
本当に一瞬過ぎて気付くのが遅れたけど、間違いなく今ナヌークは俺に一瞥を与えた。
その証拠に俺のグラニテブラストの勢いが更に増していき、やがて終末獣を呑み込んだ。
そして、終末獣の肉体は光の粒子となって静かに消えていった。
「へへ!どうよ?俺のリーゼントの威力!」
「…もう、ツッコむ気力もないよ…。」
「ああ、同感だ…。」
「そうね、取り合えず面倒臭いから放って置きましょう。」
そう言って皆は俺を無視してその場を後にする。
「え?ちょっと皆!置いてかんといて!」
宇宙ステーションのホームには俺の情けない声が木霊するのだった。