キャラのエミュってムズくないか!?
このキャラはこんなこと言わないとかになりそうなんだが!?
もういいや!
この世界ではこんな奴ってことで開き直っちゃうのでヨロシクね!
ごめんね!
キヴォトスに転生して早くも七日。
「お腹空いたよぉ」
さっそく私は死にかけていた。
理由は簡単、あの後、持ち物を確認してみたところ今の私にはなにも無いことが分かったからである。
そう、学籍も、お金も、スマホも、銃もないのである。
この7日間、戸籍を作って貰おうにも門前払い、チンピラに絡まれるとお金も銃もないことを哀れまれる。
ご飯を食べようにもお金がないから何も食べられない。
アルバイトをして働こうにも戸籍とか身分証明書とかがないから働けない。
せっかく健康な体になっても飢え死んだら元も子もないではないか。
「あ″-もうむりぃ」
腹が減り過ぎて上手く動けないし、視界もぼやけるしで、むしろ頑丈になったから苦しむ時間が増えただけでは? とすら思ってしまう。
「クックックッ……お困りですか?」
ん? なんか聞こえる。
どうかしたのだろう、誰かいるのはわかるけど、視界がぼやけてよく見えない。
なんて言ってるのかすらさっぱりだ。
いやな感じがする声だということは分かるが。
「……あなたは、だれ、ですか」
私は最後の力を振り絞り、質問する。
「クックックッ、そうですね自己紹介が遅れました。私達は『ゲマトリア』、私の事は『黒服』とでもお呼びください。この名前が結構気に入ってまして」
ああもう、なんか重要そうなこと言ってるのになんて言ってるのか聞き取れない。
「私があなたのことを助けましょう。あなたという存在がこのキヴォトスの地でどのような変数になるのか少々興味が湧きましたから」
結局私は最後までなんと言っているのか聞き取ることなく意識を失った。
目を覚ますとそこは何かのラボのような部屋だった。
部屋はしっかりと片づけられていて、研究器具のようなものがきれいに並べられていた。
なんというか、ザ・研究者キャラの部屋って感じの部屋だ。
「……っていや、どこここ」
部屋に感心している場合ではなかった。
とりあえず周囲の確認を……
「おやおや、目を覚ましましたか」
立ち上がろうとした瞬間、奥の扉から黒いスーツを着た怪人がカゴを持って現れる。
見た目は黒いゆで卵みたいだし、特撮の敵幹部みたいにも見える。
あの時なんか言ってた人はこの人か。
たしか名前は……
「……黒たまごさんでしたっけ?」
「クックックッ、私は黒服ですよ。それと、このカゴにはリンゴが入っているのですが、いりますか?」
そう言いながら黒服はカゴから真っ赤なリンゴを取り出す。
怪人みたいな見た目だけど案外悪い人ではないのだろうか。
「えっと、黒服さん。助けてくれてありがとうございます。危うく飢え死にするとこでした」
「いえいえ、お気になさらず。私もあなたが寝ている間に少しばかり体を調べさせて頂きましたから」
「へー、そうなんですね。それじゃあこの件はチャラってことで」
まぁ、倒れていた理由調べないと助けられるものも助けられないだろうし。
言い方が無駄に悪そうなのは少し気になるが。
しかし、こういった反応を返されるのを予想していなかったのか黒服は少し驚いたような顔でこちらを見た。
「……自分で言うのはなんですが、あなたはこの姿を見て警戒したりしないのですか? 普通ならすると思うのですが」
いや、二足歩行の動物とかスーツを着たロボットとかいるんだから黒スーツの怪人が出てきたところで今更というか、ねぇ?
「……それに、ヒーローものの怪人でもフツーに良いやつもいたし。あとそもそもの話、見た目で人をどうこう言うのは良くないでしょ」
「クックックッ、たしかにそうですね。……そうですかそうですか、あなたには私がそう映っているのですねクックックッ……」
驚いた顔をしていたと思ったら次は心底愉快そうにクックックッと笑い出す。
いったい何がそんなに面白いのかは分からないが、私の言った何かがよほど愉快だったらしくしばらくの間、笑っているのだった。
「ふぅ、失礼しました。引き留めてしまいましたね。お出口はあちらの角を曲がって真っ直ぐなのでご自由にどうぞ」
「あっハイ。改めて助けてくれてありがとうございました。黒服さん」
「……あぁ、そうですね。聞き忘れていたことがありました」
踵を返し出口に向かおうとしたとき黒服がそう呼び止めた。
「なんですか?」
「あなたの名前と、あなたは、このキヴォトスで何をなされるのか聞きたいのです」
何を、成すか。
ここに来てからの七日間、思い返してみれば生きることばかり考えていてそう言うことは何も考えていなかった。
少なくとも前世ではできなかったことをやりたいとは思ってはいる。
しかし、具体的に何をするの? と聞かれると困ってしまう。
顎に手を当て考える。
何かヒントに、指標になりそうなもの……
「……あっ」
「どうかしましたか?」
赤
ヒーローの色。
憧れの色。
私が最期に見たあの色が今、目の前にあった。
カゴの中のリンゴを見て私はそっと決意する。
「私の名前は……赤野リンゴ。
このキヴォトスで私は、ヒーローになります」
「……クックックッ!そうですかヒーローときましたか。それでは期待していますよ?リンゴさん」
「期待していてくださいね、黒服さん。それじゃあ、また会うことがあればということで!」
そうして私は黒服と改めて別れてから外に出た。
「……ん?」
ふと、ポケットに違和感を感じて探ってみるとメモとお金が折りたたまれて入っていた。
メモにはきれいな字で、
『武器などが必要でしたらミレミアムに向かうことをお勧めします』
「やっぱりいい人だな、あの人」
メモを折りたたみ、ポケットに入れ直したのち、私はミレミアムに向かって再び歩き出すのだった。
とりあえずのキャラ設定
赤野リンゴ
名前の由来はそのまんま赤のリンゴ。
一応、前世は十八と高校三年生ではあるのだが、そのほとんどを病気と闘っていたため、青春とはまったくの無縁だった。
精神年齢がほんの少し幼い。
好きなものはヒーロー物全般とカッコいいモノ。
優しい家族のもと育てられたのもあって人を疑うことが苦手。
あと、極端に運が悪い。
感想、誤字報告よろしくお願いします!