ヒーローアーカイブ    作:ろくでなしの青二才

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 作者はアドビスが好きなんですよね。

 で、どうにかして絡ませたいなと思って頑張った結果、一からの書き直しを二回やるレベルの難産でした。

 これでいいのかな?

 ホントにこれでいいのかな?


生徒?いいえヒーローです

「よし、今日も大漁大漁」

 

 自転車の後ろにある捕縛されたチンピラとかヘルメット団が積まれた箱を見て満足すると私は近くの交番へ向かってチャリを全速力でかっ飛ばす。

 

 ここ最近分かったこと、それは悪いことをしている奴をヴァルキューレに連れて行くと、運が良ければお金が貰えるのだ。

 

 これならアルバイトできなくても関係ないし、黒い仕事じゃないから問題ない。

 

 なんならヒーロー活動も一緒にできるから一石二鳥である。

 

「はなせー!」

 

「雑に運転すんな!」

 

「鬼畜!外道!」

 

 ……次からは口を塞いだほうが良いな。

 

 

 

 

 

 

 交番にて

 

 担当の生徒が少し顔を青くして指をさす。

 

 そこには頭に大きなたんこぶを作ったチンピラ、ヘルメット団の群れだった。

 

「……えーと、そちらの方々がさっき言ってた方々ですか?」

 

「はい、いちいち交番に行くのも面倒だったのでまとめちゃったんですけど大丈夫ですか?」

 

「あー、はい、大丈夫ですよ。それじゃあ少しあそこで待っておいてくださいね」

 

 少女はぎこちない動きでそさくさと奥の部屋に逃げていった。

 

 周りの人もお願いだからそんな顔でこっちを見ないでほしい。

 

 下ろすときに暴れるものだからゴツンと殴るしかなかったんだもの。

 

 しょうがないので指定された場所に座り、窓から外の風景を眺めることにした。

 

「……にしても遠くに来ちゃったな」

 

 外は砂だらけ、人影一つないゴーストタウン。

 

 たしか地名はアドビスだったか。

 

 この様子なら空き家も多いことだろうし寝床探しには困らなそうだ。

 

 本来ならまともな家に住みたいが、お金がないから仕方がないのだ。

 

「換金終わりましたよー」

 

 考えるのを切り上げて、受付の人から報酬金を受け取る。

 

 このお金が手元に来ているということはきっとあのチンピラ達もちょうど今ぐらいに更生させられてる頃だろう。

 

 送ったのは私だが、冥福ぐらいは祈っておこう。

 

 ちなみに報酬金のほとんどはスモークグレネードと閃光弾に変わった。

 

 

 

 

 

 アドビスを探索すること三時間。

 

「そろそろ夕方だし晩ご飯を食べたいんだけど、この周辺コンビニないんだけど。どうしよう」

 

 さすがに餓死はしないだろうけど晩ご飯抜きは明日の活動に支障をきたしそうだ。

 

「さて、どうしたものかな……む?」

 

 いかにもおいしそうな匂いが鼻腔をくすぐる。

 

 「こっちかな」

 

 匂いのする方向に進んでいくと、そこには柴関ラーメンと書かれた看板見えてきた。

 

「いらっしゃい!」

 

「どうも」

 

 中に入ると柴犬の店長が出迎えてくれた。

 

 猫耳の生徒にテーブルまで案内してもらい、メニューを見る。

 

 メニューには柴関ラーメン、醤油ラーメン、豚骨ラーメン、塩ラーメン、その他諸々。

 

 ……多くない?

 

 ラーメンってこんなに種類あるものなのだろうか。

 

 私、ラーメンなんて食べた記憶ないからどれがどんな味かも分からないんだけど。

 

 「……」

 

「なぁ嬢ちゃん、初めてなら柴関ラーメンがおすすめだよ」

 

 私が困っているのを見て店長が助け船を出してくれた。

 

 ありがとう店長。

 

 私少しあんたが天使に見えてきたよ。

 

 ……にしてもラーメンか。

 

 前世では食べる機会が無かったから楽しみだ。

 

‘‘お久しぶり、大将’’

 

「おっ先生じゃねぇか!また来てくれてうれしいよ」

 

「セリカちゃーん、来たよ~」

 

「ん、元気?」

 

「二人達なんで来たのよ!それに先生も!」

 

‘‘ホシノ達に誘われちゃってね……’’

 

 ふむ、どうやら誰か来たらしい。

 

 入り口には青いマフラーを巻いた狼耳の少女、長いピンクの髪のチビっ子、そして先生と呼ばれるごくごく普通の大人の男が立っていた。

 

 話の内容的にあの店員の子の友人だろうか。

 

 にしても先生?

 

 この世界に教師という概念があったことに驚きだ。

 

 少なくともこの世界に来てから一度も会ったことがないから存在しないのでは?とすら思っていたのだが……

 

「ん、何か用?」

 

「へ?」

 

 突然、狼耳の少女がこちらに来てそう聞いてきた。

 

「あなたさっきからずっとこっち見てたから何か用があるのかなって」

 

 いやないよ?

 

 強いて言うならその先生って人に興味が少しあるってだけだ。

 

「確かにおじさんも初めて見る子だ~」

 

‘‘その服カッコいいね’’

 

 先生、あなたとは仲良くなれそうですよ。

 

 それとおじさんってなにさ、チビっ子。

 

 君はおじさんと言うほどの歳でもないだろうに。

 

「先生っていうの初めて見たから気になっただけだよ」

 

「ん、そっか。いきなり話しかけてごめん」

 

「まぁ珍しいもんね、キヴォトスの外の人なんてさ~」

 

 キヴォトスの外から来た人、ヘイローの無い男性、そして先生……なるほど、この人がこの世界の主人公なのか。

 

 この世界がブルーアーカイブというゲームが元になっているならもちろん主人公が存在しないといけない。

 

 そしてきっとストーリー通りに進んで行くのだろう。

 

 ……え?つまり今私そんな重要人物と接触してるの?

 

‘‘どうかした?めちゃくちゃ震えてるんだけど’’

 

 ごめん先生、前言撤回。

 

 あなたとは仲良くできません!

 

 変に干渉してストーリーわめちゃくちゃにしそうだもの!

 

 少なくともブルーアーカイブに私という人物はいないはずだ。

 

 だからバタフライ何ちゃらで大変になる可能性が全然あるのだ。

 

「せ、先生。大丈夫。だからあと一メートルくらい離れて欲しい」

 

‘‘なんでぇ!?’’

 

 

 

 

 

 

「……すみませんいきなりあんなことを言って」

 

 いくらパニクってたとは言え一メートル離れろはひどかったな、うん。

 

‘‘ううん、別に私は気にしてないよ’’

 

 なんて言うかこの人からは背後から圧倒的な善のオーラを感じる。

 

 若干後光見える気がするし。

 

「はいよ嬢ちゃん、柴関ラーメンだ」

 

「あ、どうも」

 

 先生達と話しているうちにラーメンができたらしく、大盛りのラーメンが湯気を立ててやってきた。

 

「いただきます」

 

 とりあえず麺を箸でつまみ、啜る。

 

「……おいしい」

 

 病院食とはまるで大違いだ。

 

 ……病院食と比べるのは失礼か。

 

 最近は弁当ばかりだったから温かい食事は久々だった。

 

「本当においしいよ店長さん」

 

「そんなにおいしそうに食べてくれるとは料理人冥利に尽きるねぇ!」

 

「それにしてもおいしそうに食べるね」

 

 狼耳の少女はこちらのほっぺを押しながらそう言った。

 

「まぁ、ラーメンを食べるのこれが初めてだったから。あとほっぺたつつかないで」

 

「へーこれが初なんだ~」

 

 チビっ子も狼耳の少女に便乗して反対側のほっぺたをつつきだした。

 

 ええいやめろ、うっとうしい。

 

 はたき落としてやろうか。

 

「えー良いじゃーん。おじさんも混ぜてよ~。というか君はどこの所属の生徒なの?ラーメンを食べたことが無いってことはお嬢様だったりするのかな~?うりうり~」

 

「いや、そもそも私生徒じゃないよ」

 

‘‘「「へ?」」’’

 

 そう言った途端、三人は石になったかのように固まった。

 

 そりゃ、学籍も戸籍も無いですし、全くもってすべてが白紙といっても過言ではないぐらいですよ?

 

 転生ボーナスでせめて戸籍ぐらいは欲しかった。

 

 戸籍ないからアルバイトもできやしない。

 

‘‘えっと……君の名前を、聞いても良いかな?’’

 

「赤野リンゴ。たぶん一年生です」

 

 

 

 

 

‘‘……赤野リンゴって名前の生徒はいない。それどころかそんな人物の戸籍も無いね’’

 

 当たり前だ。

 

 だってあの時アドリブで考えた名前なんだから。

 

 むしろ先にあったら怖い。

 

「戸籍も無い、かー」

 

「ん、私と同じ」

 

 うーん空気が重い。

 

 できれば早く寝床を見つけて寝たいのだけど。

 

 この状況でそれをやれるかって言えばまぁ、

 

「あー、その私は少し用事があるので帰りた……」

 

「ダメかな~」

 

「ん、ダメ」

 

‘‘ごめん、ちょっと待ってて欲しいな’’

 

 無理だよねー。

 

 これどうしようと天井の角を見つめていると、チビっ子が私の太ももの上に座ってきた。

 

「おじさんは小鳥遊ホシノって言うんだ~。とりあえずリンゴちゃんについて教えて欲しいんだけど良いかな?」

 

 チビっ子もといホシノはふんわりした雰囲気でそう聞いて来るが、その目はこちらの目をしっかり捉えていた。

 

‘‘私からもお願い。もしかしたら君の問題を解決できるかもしれないから’’

 

 そして目の前の先生も真っ直ぐなその目でこちらを見ていた。

 

「……はぁ、大して変わったところはないから期待しないで」

 

 そうしてアドビスでの最初の夜はさらに更けていくのだった。




 
 リンゴの自転車。

 そこら辺に捨てられていてまだ使えそうな自転車を拾って使っている。

 後ろには、捕縛した人を詰めるための箱がついており、乗り心地は最悪らしい。

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