ここに来てプロットを書いていないことを後悔している作者です。
先生をアビドス2章とパバーヌ1章までクリアしている設定にしたのがここに来て牙をむいてくるとはね。
「なんで……どうして……こんな、目に」
背後からはドローンから撃ち出された大量のミサイルがすぐそこまで迫っており、さらに追い打ちかのように銃弾が飛んできていた。
かれこれ走って三時間。
息が切れる、視界が滲む、今にも足が止まりそうになる。
「あっ」
うっかり、足下の石に躓いてこけてしまう。
しかしそんなこと関係ないと言わんばかりにミサイルはこちらに向かって飛んできた。
「……もうやだぁ!!」
そんな私の泣き言はミサイルの爆発音にかき消される。
最後に暗転してゆく意識の中、私はこんなことになるなら来なきゃよかったと後悔するのだった。
原因は遡ること前日の夜。
「……大して変わったところはないから期待しないでね」
仕方がないので転生したことは伏せ、そして要所要所を端折りながら、話を進める。
交差点の真ん中で目を覚ましたこと。
餓死しかけたときに助けて貰った大人に何をしたいのかを聞かれてヒーローになることを決意したこと。
ミレミアムで作って貰った銃で今は各地でヒーロー活動をやっているということ。
「そっか、リンゴちゃんも苦労したんだね~……にしてもヒーローか~」
‘‘カッコいいよね、ヒーロー’’
うんうんと頷きながら先生は言う。
やはり、あなたとは仲良くなれそうですよ先生。
それにヒーロー好きに悪い人はいないからね。
……まぁ、会ったことないんだけど。
「ん、リンゴは学校行かないの?」
「まず私、戸籍がないから」
それに学校に行けば、ヒーロー活動できる範囲が限定されちゃうし、学校間のいざこざに巻き込まれてしまう。
それは避けたいのだ。
なにより……
「……
‘‘あの人って助けてくれた人のこと?’’
「うん、いい人だよ。あの人に会ってなかったらたぶんもう死んじゃってるし」
「リンゴちゃんがいい大人に出会えてて良かったよ~」
「ん、どんな人か気になる」
シロコが目をキラキラさせながらこちらを見る。
「かなり目立つ人だからシロコさんも見たこともあると思うよ。なにせ、ヒーロー物の敵幹部みたいな見た目だし」
‘‘「ブフォッ!!」’’
「ん、二人とも汚い」
突然、二人は飲んでいた水を吹きだした。
そんなに驚くところはあっただろうか?
息を整えたホシノは鬼気迫る様子でこちらの肩を掴む。
若干、力が入ってて痛いや。
「……ねぇ、その人って黒いスーツを着てる?」
「着てるよ」
よく知ってたな。
ホシノも知っているのだろうか?
返事を聞いたホシノの顔はさっきとは比べほどのないぐらい曇る。
すると次は先生が紙に黒服そっくりの絵を書いてこちらに見せてきた。
‘‘……その人はこんな顔をしてた?’’
「そうだよ?もしかして二人とも会ったことある?」
というか二人とも会ってるよな?コレ。
「……先生」
‘‘分かってる’’
ん?なんか空気が違くないかこれ?
「二人ともどうしたの?」
「大丈夫だよ、リンゴちゃんは気にしなくて良いからね~?」
‘‘うーん、とりあえずなんだけどさ、シャーレで学籍を作ってみない?’’
シャーレ?
実験のアレかな?
じゃないなら何かの名前?
‘‘そっか、まずはシャーレって言うのはね……’’
こちらの困惑している様子を見て、先生はシャーレについて説明し始めた。
曰くシャーレとは単なる部活ではなく、一種の超法規的機関。
連邦組織のため、キヴォトスに存在するすべての学園の生徒たちを制限なく加入させることすらも可能であり各学園の自治区で制約なしに戦闘活動にも介入可能、言ってしまえば何でもありな激ヤバ組織というわけだ。
「つまり、そこに入れば戸籍も学籍も作れるし、政治のいざこざに巻き込まれる心配も無くヒーロー活動できるってこと?」
‘‘そう言うこと。どうかな?’’
個人的には嬉しい。
めっちゃくちゃ嬉しい。
けどなぁ、そこまでお世話になると申し訳ないって言うかなぁ。
‘‘別にすぐに返事が欲しいわけじゃないから気が向いたら返事を見せて欲しいな’’
「ん、私も手助けする。先輩だから」
シロコは先生の隣で胸を張ってそう言った。
というから先輩?
なんの先輩だろうか。
まぁ年齢的には先輩か。
「ありがとうございます。先生、そしてシロコ先輩」
「ん!」
‘‘嬉しそうだねシロコ’’
「ん!」
とりあえず戸籍とスマホは後日作ってもらえるということで話は終わり私達は柴関ラーメンをあとにした。
そしてなぜかシロコに路上で寝ていることを見抜かれアビドスの保健室を借りることになったのだった。
暖かい日差し。
ふかふかの布団。
あぁ、いつぶりだろうかふかふかの布団で寝られるなんて。
いつもならもう起きている時間だが、今日はもう少し寝たい気分だ。
そう考えているとガンガンと甲高い金属音が鳴り響く。
「ん!リンゴ、朝だから起きるべき。」
誰かいる。
やめて欲しいものだ。
こちとら何週間ぶりの布団なんだから勘弁してほしい。
「まだ眠いから起こさな……イダダダダダダ!!」
強い意志をもって起床を拒否しようとすると思いっきりほっぺたをつねってくる人影……いや、シロコがいた。
「リンゴ、外に出て」
「……なんで?」
「特訓」
そして冒頭に戻る。
目を覚ます。
「ん、起きた」
横には目を輝かせているシロコがいた。
「……なんでいきなり特訓をしたの?」
「ん、私はリンゴの夢を応援してる」
「うん」
それは昨日も言っていたから知ってるよ?
続けてキラキラした目で拳を掲げた。
「ヒーローなら強いほうが良い」
「……だからって三時間もぶっ通しで走らせる必要はないよね!?」
「リンゴの戦い方は聞いた」
「へ?」
シロコは一歩近づいてこちらに目線を合わせる。
「その戦い方なら体力は必要」
「じゃあなんでミサイルとか弾とか飛ばしてきたのさ?」
「避ける力も身につけないとダメ」
「戦い方誰から聞いたのさ……」
「先生」
許さんぞ先生!!
確かにためになるけども!
このままじゃ私死ぬ!
「……それじゃ、特訓再開ね」
シロコはゆっくりと立ち上がる。
ドローンも浮かび上がり、そのナイフのような眼光がこちらを貫く。
「ちょっ、待って!!お願いだから!!助けて誰か-!!」
それから先生が来るまで特訓は続くのだった。
シロコ
似た境遇を持つリンゴとシンパシーを感じており、先輩として世話を見ようと張り切っている。
ホシノ
良い子なリンゴちゃんが黒服に利用されていないか心配。とりあえず黒服はシメる。
先生
黒服に関してはリンゴが懐いているから大丈夫だと思っているが、もし生徒に何かやってたら何が何でも潰すつもり。
リンゴ
何も知らない。スマホが貰えた暁には黒服とモモトークを交換したい。
感想、誤字報告よろしくお願いします。