第8話「刻まれた怒り」
昼下がりの街。
広場には、ざわめきが広がっていた。
「……なに、あれ」
あたしは思わず足を止める。
人だかりの中心。
そこにあったのは――
ありえない光景だった。
木々に、磔にされた三人の姿。
血に染まり、意識を失っている。
それは――
レビィ・マクガーデン
ジェット
ドロイ
「……嘘でしょ」
足が震える。
「レビィ……!」
あたしは駆け出す。
近づくほど、現実が突き刺さる。
動かない。
息は――ある。
でも、ひどい。
「誰が……こんな……」
震える声。
その時。
「……決まってるだろ」
低い声。
振り返ると、ナツが歯を食いしばっていた。
「ガジルだ」
拳が震えている。
「ぶっ殺す……!!」
「待て、ナツ!!」
グレイが止めるが、止まらない。
その空気の中で――
ヨゾラは、ただ静かに三人を見ていた。
「……やりすぎだ」
ぽつりと呟く。
その声は、低く冷たい。
いつものヨゾラとは違う。
「見せしめか」
「……ああ」
グレイが答える。
「完全に宣戦布告だ」
空気が張り詰める。
その時――
「どけい」
低く、重い声。
人々が道を開ける。
現れたのは――
マカロフ・ドレアー
小さな体。
だが、その背中は誰よりも大きい。
「……」
何も言わない。
ただ、三人を見る。
その目が――変わる。
「……誰がやった」
静かな声。
でも、その奥にあるものは――
怒り。
「ガジル……ファントムロードだ」
誰かが答える。
その瞬間。
空気が歪む。
「……そうか」
マカロフはゆっくり頷く。
そして――
「よくも……」
その声が、震えた。
「よくも儂の子らを……!!」
次の瞬間。
ドンッ!!!
地面が揺れる。
膨れ上がる魔力。
圧倒的な威圧。
「戦争じゃ」
その一言で――
全てが変わった。
「報復はせん……と言ったが」
顔を上げる。
その目は、燃えていた。
「考えを変える」
ナツが顔を上げる。
「マスター……!」
「やりすぎたな、幽鬼の支配者」
その声は、完全に“敵”へのものだった。
「妖精の尻尾(フェアリーテイル)を敵に回したこと……後悔させてやる」
その言葉に――
「っしゃああああ!!」
ナツが吠える。
「待ってたぜ!!」
「暴れるぞコラァ!!」
グレイも笑う。
エルザが静かに剣を握る。
「総員、準備しろ」
ギルドの空気が一変する。
戦いの空気。
その中で――
あたしは、三人の手を握る。
「……絶対に」
小さく呟く。
「取り返すから」
その時。
隣に、ヨゾラが立つ。
「ルーシィ」
「……なに」
「怒ってるな」
「当たり前でしょ」
涙が滲む。
「仲間がこんな目にあって……怒らないわけないじゃない」
ヨゾラは少しだけ目を伏せて――
「ああ」
小さく頷く。
そして。
「俺もだ」
その声は、静かだけど――
確かに怒っていた。
「……行こう」
ヨゾラが言う。
「終わらせる」
あたしは、強く頷く。
「ええ」
その先にあるのは――
戦争。
でももう、止まらない。
守るために。
取り返すために。
妖精の尻尾は――
牙を剥いた。
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