FAIRYTAIL〜星空の竜〜   作:パスカルDX

16 / 49
第9話「雨の来訪者と、歪んだ求婚」

 

第9話「雨の来訪者と、歪んだ求婚」

 

夕方。

 

あたしの家。

 

ギルドのみんなは、主力を率いて幽鬼の支配者へ向かった。

 

「……行っちゃったわね」

 

窓の外を見ながら呟く。

 

賑やかだった部屋が、急に静かになる。

 

「静かだな」

 

後ろから声。

 

「ヨゾラ」

 

振り返ると、壁にもたれている彼。

 

「なんか変な感じ」

 

「いつもが騒がしすぎるだけだろ」

 

「それはそうだけど」

 

少しだけ笑う。

 

でも――

 

胸の奥は落ち着かない。

 

「……大丈夫かな」

 

ぽつりと漏れる。

 

「ナツ達」

 

ヨゾラは少しだけ考えて――

 

「大丈夫だ」

 

「根拠あるの?」

 

「ない」

 

即答。

 

「でも負けない」

 

その言葉に、少しだけ安心する。

 

「……そうね」

 

あたしも頷く。

 

その時。

 

ポツ……

 

窓に水滴が当たる。

 

「え?」

 

空を見る。

 

さっきまで晴れてたのに。

 

「雨……?」

 

ポツ、ポツ……

 

すぐに強くなる。

 

ヨゾラの目が細くなる。

 

「……来たな」

 

「え?」

 

次の瞬間。

 

ドンッ!!

 

扉が、ゆっくりと開いた。

 

そこに立っていたのは――

 

青い髪の少女。

 

雨をまとったような存在。

 

「……見つけました」

 

静かな声。

 

それは――

ジュビア・ロクサー

 

「ジュビアは、ルーシィを連れて帰ります」

 

空気が一気に冷える。

 

「なにそれ……」

 

あたしは一歩下がる。

 

「断るわよ」

 

ヨゾラが前に出る。

 

「帰れ」

 

短く言う。

 

ジュビアの視線がヨゾラに向く。

 

「……邪魔者」

 

その瞬間。

 

水が蠢く。

 

だが――

 

「待って」

 

別の声が響く。

 

ジュビアが一歩引く。

 

その奥から現れたのは――

 

整った顔立ちの青年。

 

優しそうな笑顔。

 

「久しぶりだね、ルーシィ」

 

その声に、あたしは固まる。

 

「……誰」

 

思わず言う。

 

青年は少しだけ寂しそうに笑う。

 

「ひどいな」

 

「君の婚約者だよ」

 

空気が止まる。

 

「……は?」

 

間の抜けた声が出た。

 

「何言ってんのよ」

 

「本当さ」

 

ゆっくり近づいてくる。

 

「僕はユウリ」

 

優しく微笑む。

 

「君を迎えに来た」

 

「……ふざけないで」

 

あたしは睨む。

 

「そんな話、聞いたことない」

 

「子供の頃に決まっていたんだ」

 

「知らないわよ!!」

 

即否定。

 

ユウリはため息をつく。

 

「やっぱり……あの人は何も伝えていないんだね」

 

「あの人……?」

 

「君の父親さ」

 

その言葉に、胸がざわつく。

 

「……関係ない」

 

首を振る。

 

「今のあたしは、あたしよ」

 

「その通りだ」

 

ユウリは頷く。

 

「だから迎えに来た」

 

一歩、距離を詰める。

 

「危険な場所から、連れ出すために」

 

その目は優しい。

 

でも――

 

どこか、怖い。

 

「ここは危険だ」

 

「フェアリーテイルは君にふさわしくない」

 

「……は?」

 

あたしの中で、何かが切れる。

 

「今なんて言った?」

 

「事実だよ」

 

ユウリは穏やかに言う。

 

「荒くれ者の集まりだ」

 

「君のような子がいる場所じゃない」

 

「……ふざけないで」

 

声が低くなる。

 

「ここは、あたしの居場所よ」

 

「違う」

 

ユウリが首を振る。

 

「本当の居場所は、僕の隣だ」

 

手を差し出す。

 

「来てくれ、ルーシィ」

 

静かな誘い。

 

でも――

 

あたしは、その手を見ない。

 

代わりに。

 

「断る」

 

はっきり言う。

 

その瞬間。

 

空気が変わる。

 

ユウリの笑顔が、ほんの少しだけ歪む。

 

「……どうして」

 

「決まってるでしょ」

 

あたしは前に出る。

 

「仲間がいるからよ」

 

その言葉に、ヨゾラが少しだけ目を細める。

 

「守りたい人達がいる」

 

「帰る場所がある」

 

ユウリの手を、はっきりと払う。

 

「だから行かない」

 

沈黙。

 

雨の音だけが響く。

 

「……そうか」

 

ユウリが小さく呟く。

 

その目が、少し冷たくなる。

 

「残念だ」

 

次の瞬間――

 

「なら、無理にでも連れて行く」

 

空気が凍る。

 

「ジュビア」

 

「はい」

 

水が一気に膨れ上がる。

 

「行くぞ」

 

ヨゾラが一歩前に出る。

 

「ここから先は通さない」

 

その声は――

 

もう迷っていなかった。

 

「……星の滅竜魔導士」

 

ユウリが静かに言う。

 

「邪魔だ」

 

ヨゾラは少しだけ笑う。

 

「そうかもな」

 

構える。

 

「でも――退かない」

 

雨が強くなる。

 

水が唸る。

 

戦いの気配が満ちる。

 

その中心で――

 

あたしは拳を握った。

 

「絶対に……負けない」

 

ここが、あたしの場所だから。

 

 




感想、評価、お気に入り、オリキャラ募集よろしくお願い致します!

ヒロインアンケート

  • ルーシィ
  • ミラジェーン
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。