第10話「守護と星、そして奪われた光」
雨が叩きつける。
室内なのに、まるで外の嵐みたい。
水が渦を巻き、空気が重くなる。
「ジュビア、足止めを」
「了解です」
**ジュビア・ロクサー**の水が、ルーシィの周囲を囲う。
「くっ……!」
あたしは鍵を握る。
でも――
その瞬間。
「そっちは任せた」
ヨゾラが前に出る。
「ルーシィには触れさせない」
その声は、静かに燃えていた。
「頼もしいね」
柔らかな声。
その奥にいるのは――ユウリ。
「でも無理だよ」
ゆっくりと手を上げる。
「僕の魔法は“守護”だからね」
空気が震える。
「《ガーディアン・ドーム》」
淡い光が、ユウリを包む。
球状の結界。
外界と完全に遮断する防御。
「……厄介だな」
ヨゾラが呟く。
「攻撃が通らないタイプか」
「正解」
ユウリが微笑む。
「君のような攻撃型には相性がいい」
「そうか?」
ヨゾラは少しだけ笑う。
「なら――壊すだけだ」
足元に星の光が広がる。
「《スター・フィールド》」
空間が歪む。
星の粒子が舞う。
「へぇ……」
ユウリの目が細くなる。
「美しいね」
次の瞬間。
「《スターダスト・ブレイク》!!」
光の奔流が、結界に直撃する。
ドォォォン!!!
衝撃が空間を揺らす。
だが――
「無駄だよ」
煙の中から、ユウリの声。
無傷。
結界は、揺らぎながらも維持されている。
「その程度じゃ破れない」
「……硬いな」
ヨゾラが目を細める。
「でも――」
一歩踏み出す。
「砕けないものじゃない」
連続で魔力を叩き込む。
星の光が、結界にヒビを入れる。
「おっと」
ユウリが少しだけ驚く。
「やるね」
「終わりだ」
ヨゾラが踏み込む。
あと一撃で――
その時。
「今です」
ジュビアの声。
「なに――!?」
ヨゾラの視線が、一瞬だけ逸れる。
水がルーシィを飲み込む。
「きゃっ!?」
「あっ……!」
あたしの身体が、拘束される。
「ルーシィ!!」
ヨゾラが振り向く。
その“たった一瞬”。
ユウリの目が光る。
「隙だよ」
結界が解ける。
そして――
一瞬で距離を詰める。
「っ――!」
「もう遅い」
ユウリの手が、ルーシィに触れる。
「やめて!!」
「安心して」
優しい声。
でも――冷たい。
「傷つけたりしない」
光が弾ける。
転移魔法。
「ルーシィ!!」
ヨゾラが手を伸ばす。
届かない。
「ヨゾラ……!!」
あたしの声が、遠ざかる。
「待て――!!」
星の魔力が暴れる。
だが――
消えた。
雨も、水も、気配も。
すべてが一瞬で消える。
静寂。
壊れた部屋。
残ったのは――
ヨゾラ一人。
「……」
動かない。
ただ、そこに立っている。
「……またか」
小さく呟く。
握りしめた拳が震える。
「守るって言ったのに」
床に、ひびが入る。
「……遅かった」
その瞬間。
星の光が、異様に揺らぐ。
「……クソ」
低く、押し殺した声。
でも――
抑えきれていない。
「……取り返す」
顔を上げる。
その瞳が、強く光る。
「絶対に」
空気が震える。
魔力が、歪む。
「どこに行こうが……」
一歩、踏み出す。
「追いかける」
その声は――
静かで、怒りに満ちていた。
「待ってろ、ルーシィ」
星が、わずかに歪む。
暴走の兆し。
物語は――
一気に加速する。
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