第11話「ぶつかる炎と星」
幽鬼の支配者本拠地前。
激しい戦闘の余波が、あたりを包んでいた。
「くっ……!」
「マスター!!」
その中心で――
倒れている小さな体。
それは――
マカロフ・ドレアー
「チッ……」
空を見上げる男。
それは――
アリア(エレメント4“大空”)
「……魔力を奪う風、悪くないでしょう」
そう言い残し、姿を消す。
「逃げたか……!」
歯を食いしばる
グレイ・フルバスター。
「クソッ……!」
ナツが拳を地面に叩きつける。
「マスターが……!」
その時。
「ナツ」
静かな声。
振り向く。
そこに立っていたのは――ヨゾラ。
服は破れ、体には傷。
明らかに戦闘の後。
「……ヨゾラ」
エルザが目を細める。
「ルーシィはどうした」
その一言で――
空気が止まる。
「……」
ヨゾラは答えない。
その沈黙が、すべてを物語る。
「……おい」
ナツの声が低くなる。
「どうしたって聞いてんだよ」
「……攫われた」
短い言葉。
それだけで十分だった。
「は?」
ナツの目が見開かれる。
「……誰に」
「ファントムロード」
ヨゾラの声は、静かだった。
「ジュビアと……ユウリって男だ」
その瞬間。
「テメェ何やってんだぁぁぁ!!!」
ナツが怒鳴る。
ドンッ!!
一瞬で距離を詰める。
「守るって言ったんじゃねぇのかよ!!」
胸ぐらを掴む。
「……ああ」
ヨゾラは抵抗しない。
「言った」
「だったらなんでだ!!」
「俺が……」
少しだけ目を伏せる。
「守りきれなかった」
その言葉に、ナツの拳が震える。
「ふざけんな……!」
そのまま――
ドゴッ!!
殴る。
ヨゾラの身体が吹き飛ぶ。
「ナツ!!」
エルザが叫ぶ。
だがナツは止まらない。
「テメェのせいでルーシィが!!」
さらに踏み込む。
「約束したんじゃねぇのかよ!!」
拳を振り上げる。
その瞬間。
ガシッ!!
「そこまでにしろ」
グレイが腕を掴む。
「離せ!!」
「離さねぇ」
グレイの目は冷静だった。
「殴って戻るのかよ、ルーシィが」
「っ……!」
言葉に詰まるナツ。
その間に――
「ナツ」
エルザが前に出る。
「気持ちはわかる」
静かに言う。
「だが、今やるべきことは何だ」
ナツは歯を食いしばる。
「……ルーシィを」
「そうだ」
エルザが頷く。
「取り戻すことだ」
沈黙。
ナツの拳がゆっくり下がる。
「……チッ」
舌打ち。
だが、それ以上は手を出さない。
一方で――
ヨゾラはゆっくり立ち上がる。
口元から血を拭う。
「……悪かった」
ぽつりと呟く。
その声は、いつもより低い。
「守れなかった」
拳を握る。
「俺のミスだ」
ナツが睨む。
「……当たり前だ」
吐き捨てるように言う。
「だから――」
ヨゾラが顔を上げる。
その瞳は、強く光っていた。
「取り返す」
空気が変わる。
「どんな手を使ってでも」
その言葉に、グレイが目を細める。
「……一人で突っ込む気か?」
「そのつもりだ」
即答。
「待て」
エルザが止める。
「それでは同じことの繰り返しだ」
「……」
「仲間がいる」
その一言。
ヨゾラの目が、わずかに揺れる。
「一人で背負うな」
「……でも」
「さっき言っただろう」
エルザの声が少しだけ柔らかくなる。
「ここはギルドだ」
その言葉に――
ヨゾラは少しだけ目を閉じる。
「……ああ」
小さく頷く。
「そうだったな」
そして。
ナツを見る。
「……殴ってくれて、ありがとな」
「は?」
ナツが眉をひそめる。
「頭、冷えた」
ヨゾラは少しだけ笑う。
「一人で行く気だった」
「……バカか」
ナツが吐き捨てる。
「最初から一緒に行けってんだよ」
少しだけ間。
そして――
ニヤリと笑う。
「ぶっ飛ばして取り返すぞ」
その言葉に――
ヨゾラも頷く。
「ああ」
グレイが肩をすくめる。
「やっとまともになったな」
エルザが剣を構える。
「作戦を立てる」
その中心で――
ヨゾラは静かに拳を握る。
「待ってろ、ルーシィ」
今度こそ。
絶対に。
守るために。
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