第13話「星は砕けても、消えない」
崩れかけた塔の最上階。
瓦礫が散乱し、壁はひび割れている。
その中心で――
ヨゾラは、静かに立っていた。
肩で息をしながら。
「……はぁ……」
すでに満身創痍。
だが、目だけは死んでいない。
その正面に――
揺らぐ影。
**ジョゼ・ポーラ**の思念体。
「素晴らしいですねぇ」
ゆっくりと拍手する。
「まさかここまで耐えるとは」
「……うるさい」
ヨゾラが吐き捨てる。
「本体じゃないくせに、よく喋るな」
「思念でも、私ですから」
クスクスと笑う。
「ですが、限界でしょう?」
その言葉通り。
ヨゾラの魔力は、不安定に揺れている。
「……ああ」
隠さない。
「ギリギリだ」
「でしょうねぇ」
ジョゼが目を細める。
「では、終わりにしましょうか」
空間が歪む。
無数の魔力弾が、ヨゾラを囲む。
逃げ場はない。
「これで終わりです」
一斉に放たれる。
その瞬間――
「……まだだ」
ヨゾラが呟く。
足元に、微かな星の光。
「終わってない」
ゆっくりと顔を上げる。
その瞳が――強く光る。
「俺は――」
魔力が、無理やり引き上げられる。
「守るって決めた」
星が、軋む。
空間が歪む。
「だから――」
拳を握る。
「ここで終われない」
ドクン――
心臓の音が響く。
その瞬間。
星の光が、一気に膨れ上がる。
「……ほう?」
ジョゼが興味深そうに見る。
「その状態で、まだ出しますか」
「出す」
即答。
「全部」
ヨゾラの周囲に、無数の星が浮かぶ。
それは――
不安定で、荒々しく、でも美しい。
「……星竜の滅竜」
低く呟く。
「奥義――」
空気が震える。
塔全体が軋む。
「《スターノヴァ・ドラグニル》」
光が、爆発した。
ドォォォォォン!!!
すべてを飲み込む閃光。
ジョゼの魔力弾が、一瞬で消し飛ぶ。
「……なっ!?」
初めて、驚きの声。
思念体が崩れ始める。
「バカな……この出力……!」
「終わりだ」
ヨゾラが踏み込む。
残った力、すべてを乗せて。
「消えろ」
光が、ジョゼを貫く。
「ぐっ……!!」
思念体が崩壊する。
「見事……です……」
最後に、ジョゼが笑う。
「ですが……戦いは……終わっていませんよ……」
その言葉を残して――
完全に消えた。
静寂。
光が消える。
そして――
「……っ」
ヨゾラの身体が、崩れる。
ドサッ……
そのまま膝をつく。
「はぁ……っ……」
呼吸が荒い。
魔力は、ほぼ空。
「……やりすぎた」
苦笑する。
視界が、ぼやける。
でも――
「……これで」
小さく呟く。
「道は開いた」
ルーシィは、取り戻した。
仲間も、戦ってる。
「……あとは」
立ち上がろうとする。
だが――
足に力が入らない。
「……チッ」
そのまま、壁にもたれる。
「情けないな」
自嘲気味に笑う。
でも。
「……行かないと」
ゆっくりと顔を上げる。
「まだ終わってない」
その瞳は――まだ燃えていた。
どれだけボロボロでも。
星は、消えない。
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