FAIRYTAIL〜星空の竜〜   作:パスカルDX

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第14話「帰る場所」

 

第14話「帰る場所」

 

夕暮れ。

 

ボロボロになった妖精の尻尾の建物。

 

それでも――

 

そこには確かに、“帰る場所”があった。

 

「……戻ってきた」

 

あたしは、ゆっくりと扉の前に立つ。

 

隣には、ナツと――

 

「着いたな」

 

ヨゾラ。

 

体はボロボロなのに、平然と立っている。

 

「大丈夫なの?」

 

思わず聞く。

 

「平気」

 

短く答える。

 

でも、その顔は少し青い。

 

「無理してるでしょ」

 

「してない」

 

即答。

 

「嘘」

 

「……少しだけ」

 

小さく笑う。

 

そのやり取りに、少しだけ緊張がほぐれる。

 

「……入るか」

 

ヨゾラが扉に手をかける。

 

ギィィ……

 

扉が開く。

 

中には――

 

見慣れた顔。

 

エルザ・スカーレット、

グレイ・フルバスター、

そして、他の仲間達。

 

「ルーシィ!!」

 

声が飛ぶ。

 

その瞬間。

 

胸の奥が、熱くなる。

 

「……ただいま」

 

気づけば、そう言っていた。

 

「おせぇぞ!!」

 

ナツが笑う。

 

「バカ、あんたでしょ!!」

 

思わず言い返す。

 

笑いが起きる。

 

いつもの空気。

 

でも――

 

あたしは、俯く。

 

「……みんな」

 

静かに言う。

 

「話があるの」

 

空気が少しだけ変わる。

 

「……なんだ」

 

グレイが腕を組む。

 

あたしは、深く息を吸う。

 

そして――

 

「今回のこと」

 

ゆっくりと口を開く。

 

「全部、あたしのせいなの」

 

ざわ、と空気が揺れる。

 

「どういう意味だ」

 

エルザが真剣な目で見る。

 

あたしは拳を握る。

 

「……あたし」

 

少しだけ間。

 

「ハートフィリア家の令嬢なの」

 

沈黙。

 

「……は?」

 

ナツが間の抜けた声を出す。

 

「マジかよ」

 

グレイが眉をひそめる。

 

「つまり、あの大金持ちの?」

 

あたしは頷く。

 

「そう」

 

視線が集まる。

 

逃げたくなる。

 

でも――

 

「今回、あたしが攫われたのは」

 

続ける。

 

「お父様が依頼したから」

 

空気が凍る。

 

「……なんだと」

 

エルザの目が鋭くなる。

 

「幽鬼の支配者に依頼して」

 

声が震える。

 

「……あたしを連れ戻そうとしたの」

 

誰も、何も言わない。

 

ただ、聞いている。

 

その沈黙が――辛い。

 

「そのついでに……」

 

喉が詰まる。

 

「妖精の尻尾を潰すって……」

 

言葉が、崩れる。

 

「言ってた……」

 

静寂。

 

胸が、締め付けられる。

 

「……だから」

 

顔を上げる。

 

涙が、滲む。

 

「全部……あたしのせいなの」

 

声が震える。

 

「みんなが傷ついたのも」

 

「ギルドが壊されたのも」

 

「マスターが……あんなことになったのも……!」

 

涙が溢れる。

 

「全部、あたしが原因で……!」

 

拳を握る。

 

「……ごめんなさい」

 

頭を下げる。

 

「迷惑かけて……」

 

声が、途切れる。

 

「本当に……ごめんなさい……」

 

涙が、止まらない。

 

静かなギルドに、嗚咽だけが響く。

 

その時。

 

――ゴンッ

 

「いっ!?」

 

頭に衝撃。

 

顔を上げる。

 

そこには――ナツ。

 

「なにすんのよ!!」

 

涙目で睨む。

 

ナツは、呆れた顔で言う。

 

「バカかお前」

 

「はぁ!?」

 

思わず声が裏返る。

 

「何が“全部お前のせい”だよ」

 

腕を組む。

 

「関係ねぇだろ」

 

「関係あるわよ!!」

 

「ねぇよ」

 

即答。

 

「敵が勝手にやってきただけだろ」

 

「でも……!」

 

「でもじゃねぇ」

 

ナツが言い切る。

 

「ルーシィが来たから、楽しいんだろ」

 

その言葉に――

 

息が止まる。

 

「……え」

 

「だからいいんだよ」

 

ニッと笑う。

 

「なぁ?」

 

周りを見る。

 

グレイが肩をすくめる。

 

「まぁな」

 

エルザが頷く。

 

「仲間だ」

 

その一言。

 

胸に、刺さる。

 

その時。

 

「……ルーシィ」

 

隣から声。

 

ヨゾラ。

 

「お前のせいじゃない」

 

静かに言う。

 

「俺が守れなかっただけだ」

 

「……違う」

 

あたしは首を振る。

 

「ヨゾラのせいじゃない」

 

「いや」

 

ヨゾラは少しだけ目を伏せる。

 

「約束した」

 

拳を握る。

 

「守るって」

 

その声は、少しだけ悔しそうだった。

 

「……だから」

 

あたしは一歩近づく。

 

「一人で背負わないで」

 

まっすぐ見る。

 

「仲間でしょ?」

 

その言葉に――

 

ヨゾラの目が、少しだけ揺れる。

 

そして。

 

「……ああ」

 

小さく頷く。

 

その瞬間。

 

「そういうことだ」

 

エルザが一歩前に出る。

 

「責任は分け合うものだ」

 

「一人で抱えるな」

 

グレイも言う。

 

「むしろ巻き込まれたんだろ、お前は」

 

ナツが笑う。

 

「だから気にすんな」

 

ハッピーも飛び回る。

 

「ルーシィはルーシィだよ!」

 

その言葉に――

 

涙が、また溢れる。

 

でも今度は――

 

少し違う。

 

「……バカ」

 

笑いながら泣く。

 

「ほんとバカばっかり」

 

でも。

 

「……ありがとう」

 

心から言える。

 

ここが、あたしの居場所。

 

誰に何を言われても。

 

絶対に、手放さない。

 

「……よし」

 

ナツが拳を鳴らす。

 

「じゃあ、ぶっ飛ばしに行くか」

 

「当然だ」

 

エルザが剣を構える。

 

ヨゾラも、静かに前に出る。

 

「終わらせる」

 

その言葉に――

 

あたしも頷く。

 

「ええ」

 

涙を拭く。

 

もう迷わない。

 

あたしは――

 

妖精の尻尾の魔導士だから。

 




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