第16話「星を奪う鉄と、歪んだ愛」
轟音。
炎、氷、魔力が飛び交う戦場。
マグノリアの街は、完全に戦場と化していた。
「ルーシィ!!こっちだ!!」
ナツが叫ぶ。
「前線は危険だ!!一旦下がれ!!」
「わかってる!!」
あたしは頷く。
狙われているのは、あたし。
ここにいれば、みんなの足を引っ張る。
「ヨゾラ」
振り向く。
「護衛、頼む」
「任せろ」
短く答える。
その目は、もう迷っていない。
「行くぞ」
あたしの手を引く。
戦場から離れる――その時。
「ギヒッ……どこ行くんだよ」
背筋が凍る声。
振り返る。
そこにいたのは――
ガジル・レッドフォックス
鉄の鱗のような肌。
鋭い牙。
そして――
その隣に。
「逃がさないよ」
静かな声。
ユウリ。
「……っ」
あたしは思わずヨゾラの後ろに下がる。
「ルーシィ」
ヨゾラが前に出る。
「あとは任せろ」
その声は、落ち着いていた。
「でも――」
「大丈夫」
短く言う。
「絶対に守る」
その一言で、足が止まる。
「……信じる」
小さく頷く。
ヨゾラは一歩前へ。
「ここから先は通さない」
静かに構える。
星の魔力が、揺らぐ。
「ギヒッ……いいねぇ」
ガジルが笑う。
「またやれるってわけか」
「……ああ」
ヨゾラの目が細くなる。
「今度は止める」
「上等だ!!」
ドンッ!!
ガジルが突っ込む。
「鉄竜の――咆哮ォォォ!!!」
鉄の魔力が、一直線に放たれる。
「《スター・シールド》!!」
ヨゾラが展開。
星の壁が、衝撃を受け止める。
バチィィィン!!
火花のように星が弾ける。
「チッ……!」
ヨゾラが歯を食いしばる。
重い。
だが――耐える。
「まだだ」
踏み込む。
「《スターダスト・ブレイク》!!」
光が、ガジルに叩きつけられる。
ドォォォン!!
「ギヒッ!!」
ガジルが吹き飛ぶ。
だが――すぐに立ち上がる。
「効くじゃねぇか!!」
ニヤリと笑う。
「だが足りねぇ!!」
再び突進。
「鉄竜剣!!」
腕が刃のように変形する。
「っ……!」
ヨゾラが受け止める。
だが――
「甘いよ」
ユウリの声。
「《ガーディアン・バインド》」
光の鎖が、ヨゾラの動きを一瞬だけ縛る。
「……っ!」
動きが止まる。
「今だ!!」
「ギヒッ!!」
ガジルの一撃が、直撃する。
ドゴォッ!!
ヨゾラの身体が吹き飛ぶ。
「ヨゾラ!!」
あたしが叫ぶ。
「ぐっ……!」
地面に叩きつけられる。
血が滲む。
「……二対一は反則だろ」
苦笑する。
「戦争だよ」
ユウリが静かに言う。
「綺麗事は通じない」
「そうかよ」
ヨゾラが立ち上がる。
ふらつきながらも――
「でもな」
目が、強く光る。
「守る側は、関係ない」
星の魔力が、揺らぐ。
さっきより――わずかに安定している。
「……変わったね」
ユウリが目を細める。
「少しだけな」
ヨゾラが構える。
「炎に教わった」
その言葉に、ユウリが僅かに眉を動かす。
「なるほど」
「もう――止められない」
星が、強く輝く。
「《スター・フィールド》」
空間が歪む。
ガジルが舌打ちする。
「ギヒッ……面白ぇ」
「来いよ」
ヨゾラが言う。
「まとめて相手してやる」
その瞬間――
鉄と光が、同時に動いた。
戦いは、さらに激化する。
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