第17話「届かなかった星」
激突。
鉄と星、守護の光。
三つの力がぶつかり合う戦場。
「ぐっ……!!」
ヨゾラが後退する。
息が荒い。
体は、もう限界に近い。
「ギヒッ!!どうしたァ!!」
**ガジル・レッドフォックス**が笑う。
「さっきの威勢はどうした!!」
「……うるさい」
ヨゾラが睨む。
だが――足が重い。
「もう限界だね」
静かな声。
ユウリが一歩前に出る。
「魔力も、体も」
「……まだだ」
ヨゾラが立つ。
ふらつきながらも。
「終わってない」
「いいや、終わりだよ」
ユウリが手を上げる。
「《ガーディアン・バインド》」
光の鎖が、ヨゾラを絡め取る。
「っ……!」
動きが止まる。
「ギヒッ!!もらったァ!!」
ガジルが踏み込む。
「鉄竜槍!!!」
ドゴォォッ!!!
直撃。
ヨゾラの身体が大きく吹き飛ぶ。
地面を転がり、壁に叩きつけられる。
「ヨゾラ!!」
あたしは叫ぶ。
「がっ……!」
血が、口から溢れる。
それでも――
「……まだ」
手をつく。
立ち上がろうとする。
「……立つな」
ユウリの声。
静かで、冷たい。
「これ以上やれば、壊れる」
「……関係ない」
ヨゾラが顔を上げる。
その目は、まだ死んでいない。
「守るって……言った」
震える足で、立ち上がる。
「ルーシィを……!」
その瞬間――
ドクン。
魔力が、大きく揺らぐ。
制御を失いかける。
「……やめろ」
ユウリの目が細くなる。
「それは危険だ」
「……知るか」
星が、歪む。
暴走寸前。
「《スタ――」
詠唱しようとした、その瞬間。
「遅い」
ユウリの手が動く。
「《ガーディアン・ドーム》」
完全防御。
同時に――
「《バインド・レイン》」
無数の光の鎖が降り注ぐ。
「っ……!」
ヨゾラの動きが完全に止まる。
「終わりだ」
ユウリが近づく。
「君は強い」
静かに言う。
「でも――」
目の前に立つ。
「守れなかった」
その一言。
ヨゾラの瞳が、揺れる。
「……っ」
「事実だ」
冷たく告げる。
「君は二度、彼女を失った」
「……やめろ」
「一度目は家で」
「やめろ……!」
「二度目は今」
その瞬間。
ヨゾラの力が――完全に抜ける。
膝をつく。
「……っ」
動けない。
「ヨゾラ!!」
あたしは叫ぶ。
駆け出そうとする。
だが――
「来ないで」
ユウリの声。
あたしの前に立つ。
「……っ」
足が止まる。
「ルーシィ」
優しい声。
でも――怖い。
「もう終わりだよ」
手を差し出す。
「一緒に来よう」
「……断る」
震えながらも言う。
「何度でも言うわ」
「行かない」
「……そうか」
ユウリがため息をつく。
「残念だ」
その瞬間。
「ジュビア」
雨が強くなる。
「はい」
**ジュビア・ロクサー**の水が、あたしを拘束する。
「きゃっ!!」
動けない。
「離して!!」
「安心して」
ユウリが近づく。
「傷つけない」
「やめて!!」
手が伸びる。
その時。
「……行かせるか」
ヨゾラの声。
地面に倒れながらも、手を伸ばす。
「ルーシィ……!」
指先が、わずかに届く距離。
でも――
届かない。
「……ごめん」
ユウリが小さく呟く。
「これは必要なんだ」
光が弾ける。
転移魔法。
「ヨゾラ!!!」
あたしは叫ぶ。
「ルーシィ……!!」
その声が、遠ざかる。
光が消える。
静寂。
残されたのは――
倒れたヨゾラ。
「……っ」
指が、地面を掴む。
「……また……」
声が震える。
「守れなかった……」
拳を叩きつける。
ドンッ!!
地面が割れる。
「クソォォォ!!!」
叫びが、響く。
その瞳には――
絶望と、怒り。
そして――
消えない光。
「……取り返す」
低く呟く。
「何度でも」
ゆっくりと立ち上がる。
ボロボロの体で。
それでも――
「絶対に」
星は、まだ消えていない。
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