FAIRYTAIL〜星空の竜〜   作:パスカルDX

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第28話「ひとりじゃない出発」

 

第28話「ひとりじゃない出発」

 

早朝。

 

妖精の尻尾の前。

 

朝日が差し込む中――

 

ヨゾラは、一人立っていた。

 

小さな荷物。

 

それだけ。

 

「……行くか」

 

静かに呟く。

 

その時。

 

「ほんとに行くのね」

 

振り向く。

 

そこにいるのは――

ルーシィ・ハートフィリア

 

腕を組んで、少しだけ不機嫌そうに立っている。

 

「……ああ」

 

ヨゾラが答える。

 

「予定通りだ」

 

「……そっか」

 

短く返す。

 

少しの沈黙。

 

「……気をつけなさいよ」

 

ぽつりと言う。

 

「死んだら許さないから」

 

「無茶な注文だな」

 

「本気よ」

 

「……ああ」

 

ヨゾラは小さく頷く。

 

「守る」

 

「……」

 

ルーシィは、少しだけ目を逸らす。

 

その時――

 

「おはよ〜」

 

のんびりした声。

 

二人が振り向く。

 

そこにいるのは――

ミラジェーン・ストラウス

 

満面の笑み。

 

「……ミラ?」

 

ヨゾラが目を細める。

 

「どうした」

 

「一緒に行く準備できたわ」

 

「……は?」

 

思考が止まる。

 

「だから」

 

にこっと笑う。

 

「旅、同行するって言ったでしょ?」

 

「……いや、断ったはずだ」

 

「聞いてないわね〜」

 

笑顔のまま返す。

 

「いや聞いてただろ」

 

「でも納得してないもの」

 

即答。

 

「……」

 

ヨゾラが黙る。

 

「ね?」

 

一歩近づく。

 

「一人で無理するより、二人の方が効率いいでしょ?」

 

「それは……」

 

「それに」

 

少しだけ真剣な目。

 

「放っておけないの」

 

その圧。

 

逃げ場がない。

 

「……」

 

ヨゾラが目を逸らす。

 

「……断る理由は?」

 

「……危険だからだ」

 

「それはお互い様」

 

即答。

 

「……」

 

「じゃあ決まりね♪」

 

「決まってない」

 

「決まったわ」

 

「決まってない」

 

「決まったの」

 

「……」

 

完全に押し負けている。

 

そのやり取りを――

 

ルーシィがじっと見ている。

 

「……へぇ」

 

低い声。

 

ヨゾラとミラが同時に振り向く。

 

「楽しそうね」

 

笑っている。

 

でも――

 

完全に怒ってる。

 

「ルーシィ」

 

ヨゾラが言う。

 

「違う、これは――」

 

「いいじゃない」

 

遮る。

 

「一人じゃない方がいいんでしょ?」

 

その言葉に棘がある。

 

「それは……」

 

ヨゾラが言葉に詰まる。

 

「よかったじゃない」

 

ルーシィが続ける。

 

「優しくて綺麗なお姉さんが一緒で」

 

「……」

 

「安心ね」

 

完全に皮肉。

 

「ルーシィ、落ち着いて」

 

ミラジェーンが優しく言う。

 

「誤解してるわ」

 

「してないわよ?」

 

即答。

 

「だって事実でしょ?」

 

「……」

 

空気がピリつく。

 

「……あのな」

 

ヨゾラが口を開く。

 

「これは――」

 

「説明いらない」

 

ルーシィが背を向ける。

 

「好きにすればいいって言ったでしょ」

 

「……」

 

「一人でも二人でも」

 

少しだけ間。

 

「どうでもいい」

 

その言葉。

 

でも――

 

声が少しだけ震えている。

 

「……ルーシィ」

 

ヨゾラが呼ぶ。

 

止めたい。

 

でも――

 

止め方がわからない。

 

「……ちゃんと帰ってきなさいよ」

 

背中越しに言う。

 

「約束、忘れたら許さないから」

 

「……ああ」

 

ヨゾラが答える。

 

「忘れない」

 

「……」

 

ルーシィは、それ以上何も言わず。

 

そのまま歩き出す。

 

去っていく。

 

静寂。

 

「……行っちゃったわね」

 

ミラジェーンがぽつり。

 

「……ああ」

 

ヨゾラは、その背中を見つめる。

 

(……怒らせた)

 

でも――

 

(それでも)

 

目を閉じる。

 

そして、開く。

 

「……行くぞ」

 

前を見る。

 

「ええ♪」

 

ミラジェーンが並ぶ。

 

二人で歩き出す。

 

その後ろで――

 

ギルドの扉の陰。

 

ルーシィが、少しだけ顔を出していた。

 

「……バカ」

 

小さく呟く。

 

「ほんとに行くんだから……」

 

でも――

 

その目は、ちゃんと前を見ていた。

 

「……ちゃんと帰ってきなさいよ」

 

小さく、願う。

 

朝日が昇る。

 

新しい旅が、始まる。

 

 




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