転生オリ主は綾紬芦花を幸せにしたい   作:天戸 蒼香

16 / 25
ついにお気に入りが1,000件突破したんですって、ありがとうございます。
この作品追ってる人集めたら村作れるよ、やばいね。

というわけで、待ちに待った芦花のターン!


熱狂のスタジアム、膝枕の上の静寂

『注目のイベントが始まります! 王者ブラックオニキスが異例の速度でのし上がった超新星かぐや・いろPに宣戦! そしてまさかの求婚!』

『帝のファンダムは一時騒然としましたが、たぶんノリで言ってるだけだと思いまーす』

 

俺に密会を持ちかける一方で、帝は原作通りかぐやにもDMを送っていたらしい。

ヤチヨカップ終了日に無事KASSENを行うこととなった。

乙事照琴と忠犬オタ公が、会場を盛り上げんと声を張り上げている。

 

それで俺は今どこにいるのかというと、ツクヨミ特設スタジアムの観客席。

隣には芦花もいます。

 

かぐやからは当然一緒に出てくれとお願いされたが、鋼の意思で断った。

大前提として俺のKASSENの腕前は、お助けヤッチョはおろか、芦花や真実よりも下だ。

ましてや相手は黒鬼、勝てるわけない。

というわけで、駄々をこねるかぐやを「これは黒鬼に勝つためだ」と説得し、最終的に真実を推薦することでなんとか納得してもらった。

真実は喜んで引き受けてくれたよ。

かぐやのためというより、帝に会いたい一心って感じだったけど。

 

『ヤチヨカップの結果発表も近づいてまいりましたけれども』

『この勝負の結果次第ではかぐやいろPの逆転も?』

『ルールはSENGOKU——』

 

会場ではルール説明が行われている。

まあざっくり言えば、2つの櫓を取り合って、どっちか取ったら相手の天守を落とす権利をゲット。

もし2つとも取ったらそこで終わり。

1つずつ取り合ったら天守落とした方の勝ち。

 

「こんな理解で合ってる?」

「うんそんな感じ」

 

ありがとう芦花。

 

「圭は苦手だもんね」

「うん、視聴者参加型もSETSUNAしかやらないし」

 

参加型なら回転の早いSETSUNAの方が向いてるからね。

 

そんな会話をしていると、原作通りにド派手な演出をかまして黒鬼がステージに降り立った。

 

『黒鬼、ご来臨——!』

 

いやあ、派手だねえ……

周りはもう耳が痛くなるような大歓声だが、俺と芦花は二人で苦笑い。

 

ステージ上では、明らかに目がハートマークの真実が帝に話しかけている。

あっ、ということは……

 

「あ、真実倒れた」

「えっちょっ、大丈夫なのあれ」

 

知っていた展開に頭を抱える俺に、本気で心配する芦花。

 

「大方、推しに『まみ、今日は手加減できない』とか言われて、致死量の推し摂取で倒れたとかでしょうよ」

「あー……いやいや」

 

芦花は一瞬納得しかけるも、やっぱりおかしいと突っ込む。

 

「ていうかこれどうするの?」

「ん、こういうときはなー……」

 

「真実の離脱にどう対処するのか」という当然の疑問を持った芦花に対し、俺が説明をしようとするよりも早く、天から玉手箱が降ってきた。

 

「お助けヤッチョが来てくれるんだよ」

「へー……圭、KASSEN普段しないのによく知ってるね」

「え、あー……まあ視聴者から聞いたことあって……」

 

ああ、推しの登場に今度は酒寄がバグみたいな挙動してる。

キツネの着ぐるみでわからないけど、たぶん見せられない顔してるんだろうなあ……

 

 

 

2勝先取の1戦目。

黒鬼側は、3人別々のレーンに進むトライデントという戦法を取った。

 

「なあ芦花、これなんで舐めプなの?」

「彩葉とかぐやの2人に対して帝1人で対処しなきゃいけないからじゃない?」

「ふーん」

 

そういうもんか。

 

その間に、酒寄かぐやペアが帝と接敵していた。

 

『お前、彩葉だろ』

『オレ、イロハ、チガウ』

 

なぜかカタコトで否定する酒寄。

 

『彩葉ー!』

 

そこにかぐやが堂々といろPの本名を叫びながら援護に入った。

同時に頭を抱える俺と芦花。

酒寄も動揺したのか、帝にポコポコ叩かれている。

なんなら帝もちょっと笑ってない?

 

『そのスキン当てやすくて助かるわ〜』

 

帝に煽られた酒寄は、一瞬の逡巡の後、着ぐるみを脱いだ。

 

『いろPが脱いだ〜!』

 

「いや脱いだて」

「言い方……」

 

興奮するオタ公と、オタ公の言い方に引く俺と芦花。

間違ってはないけどさあ……

あの人かぐやのガチ勢だと思ってたけどセットで推してんのか。

 

『お兄ちゃん会えてうれし〜』

『えっお兄ちゃん!?』

 

帝が、いろPと自分が兄妹であることをばらす。

かぐやが驚いて、酒寄と帝を交互に見ている。

驚いているのはかぐやだけではない。

観客やオタ公、当然隣の芦花も。

 

「えっそうだったの!?」

「イヤー、ビックリダナー」

 

知ってたとは言えないので、同調しておく。

が、幼馴染みにそんな誤魔化し通用するわけもなく。

 

「……圭、さては何か知ってるでしょ」

「ソンナワケナイネ」

「……まあ言えないならいいけどさ」

 

いやーすまんね。

心の中で手を合わせる。

そんな俺に対し、芦花はぼそっと。

 

「圭に隠し事されるの、ちょっと悲しいな」

 

………………。

今なんかすごいものを見た気がする。

具体的に言うと、芦花がなんか上目遣いで俺のこと見て、それでちょっと拗ねたみたいに呟いて。

ただでさえ綺麗な見た目してんのにそこに可愛いが加わってあばばばば……

 

「圭? ちょっと圭? おーい」

 

 

 

みんなおはよう。

えー、あのね、俺は二度と真実のことを笑えません。

なんでかって?

芦花の可愛い攻撃にやられて、意識を取り戻したときにはもう3試合目の最終決戦前。

いくら推しだからって気絶はないってwwwとか笑っててほんとごめん真実。

顔面良い人間からの近距離ファンサって凶器なんだと、俺は身をもって知った。

それにしてもかぐヤチのハイタッチ見たかった……!

 

ちなみにね、今芦花に膝枕されています。

うらやましい?

俺は嬉しさ半分、この膝枕は酒寄の特権なのにという申し訳なさ半分でおかしくなりそうです。

気がついてから咄嗟に飛び退こうとしたんだけど、優しく押さえつけられて、「起きたばっかなんだから急に動かない」って、めってされた。

で、頭優しく撫でられて髪いじいじされてる。

それは俺じゃなくて酒寄にやるんだよ。

でもごめん酒寄、俺今幸せだわほんとごめん。

 

『もしうちらが勝ったら、そっちもお願い聞いてくれんだよね?』

 

そんなことになっているなんて知るはずもなく、酒寄はかぐやと同時に帝を仕留めるべく駆け出した。

うむ、覚悟を決めた良い表情だ。

 

それから原作の流れ通りにかぐやを囮にして、そこにひっかかった帝をワイヤーで拘束して。

 

『かぐやの考えてることくらい、わかってるっつーの!』

 

んーーー名台詞。

俺ちょっと感動して泣きそう。

 

酒寄はそのまま帝を仕留めきり、かぐやと共に天守へ向かう。

まさかの番狂わせに、会場も大興奮である。

そこかしこから「笑顔に惚れたのでかぐや推すわ」とか「いろP可愛すぎ結婚して欲しい」とか聞こえてくる。

でもいろPは芦花とかぐやのだからねー、だめだよー。

 

『彩葉が危なくなったら、かぐやが助ける!』

『かぐやがミスっても私は置いてくー』

『なんで!?』

『あははっ』

 

ふざけながら笑い合う2人。

いい光景だ、涙止まらん……寿命が延びる……

と、なんか視線を感じて上を見ると、芦花がじっと俺を見つめていた。

え、あの、ここは酒寄が幸せそうで芦花も涙ぐむシーンでは……?

試合そっちのけで見つめ合う俺と芦花。

少しの沈黙の後、芦花が口を開いた。

 

「圭、ちょっと泣いてる? やっぱ彩葉が幸せそうで嬉しい?」

「まあそりゃね、酒寄とかぐやが仲良くてほんと尊いなって」

「そうだね……ねえ、圭。一つ聞いていい?」

「うん?」

 

芦花がいやに真剣な顔をしている。

な、なんでしょうか……

 

「圭はさ。彩葉のこと、好きなの? 恋愛的な意味で」

「いや、それはない。というか、俺が恋愛するのは芦花が好きな人と結ばれてからかな」

「……はあ」

 

キメ顔で言ってみたところ、芦花に大きなため息をつかれた。

俺そんながっかりすること言った……?

 

「もし、万が一、彩葉に告白されたらどうする?」

「まあ天地がひっくり返ってもあり得ないけど……んー……ちょっと想像つかないな」

「そっか」

 

芦花はホッと、さっきとは質の違うため息をひとつ。

心配しなくても、俺が酒寄を取るとか無いんだけどな……

 

『ちゃんと見てよ』

 

なんとなくかぐやの台詞を思い出した。

同時に一つ思い浮かんだことがあって、俺は口を開いた。

 

「芦花の方こそ、酒寄のこと好きなんじゃないのか?」

 

それを聞いたときの芦花の顔は、たぶん一生忘れられないだろう。

なんかもう、心の底から「こいつ何言ってるんだろう」みたいな。

永遠にも思える沈黙を越えて、芦花が聞き返してきた。

 

「……本気でそう思ってたの? どうして?」

「どうしてって……え、もしかして俺の思い込み……?」

 

え、うそん、だとしたら大前提崩れません……?

どこで世界線変わった……?

 

「違うよ。彩葉は私の大切な友達。それ以上でもそれ以下でもないから」

「あれぇ……マジぃ……?」

「マジ。逆になんでそんな勘違いしてたの?」

 

なんで……?

どうして……?

俺のこれまでの暗躍は一体……?

 

大混乱する俺に対して、芦花は意を決したように、

 

「私が好きなのは」

 

どがーーーーーん!!!

 

『あーーーっと!!! 雷の地雷トラップ!!!』

「「あ」」

 

芦花が何かを言いかけたところで、かぐやのやらかしに全てを持って行かれた。

あー……かぐやはやはり輪廻からは逃れられないのか。

そしてそのまま帝が大逆転フィニッシュ。

俺は頭を抱え、芦花はあまりの展開に固まってしまった。

うん……なんというか……

とりあえず、帝高々と拳を突き上げてるけど、展開的には魅せプして負けかけたんだから普通にダサいと思うよ。




作者がMOBAミリしらで……トライデントがなぜ舐めプなのかも説明されてもわかんないので、いっそのこと圭君には観客席で芦花といちゃついてもらおうと思って。
告白キャンセル食らいまくる芦花はやや不憫ですが、やっと前に進んだし、これからもめげずに頑張ってほしいですね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。