書くと決めたのが22:45では間に合わなかった。
彩葉視点はこの前やってしまって、あれ以上のものは出せないので、圭視点で。
追記
彩葉が圭のことを「朝来」と呼ぶべきところ「圭」と呼んでしまっている箇所があったので修正しました。
これはかぐやが来る前の話。
2030年5月10日、つまり俺らが高校2年生になって、ゴールデンウィーク終わった直後。
世の高校生は五月病でダルいと嘆いている頃だが、俺ら3人は違った。
「去年は仲良くなりきれなくてお祝いできなかったから」
「今年は盛大にお祝いをしようねー!」
「おうよ!」
そういうことである。
5月11日は我らが主人公、酒寄彩葉の誕生日。
去年は、誕生日を聞いた頃には過ぎてしまっていて、お祝いできなかった。
だから今年は絶対にお祝いしてやろうと、去年から密かに決めていたのだ。
おあつらえ向きなことに、今年の5月11日は土曜日。
学校も気にせずにたっぷりお祝いすることができる。
芦花も真実も、当然俺だって、燃えていた。
「全員誕生日プレゼントは用意したか?」
「私は明日朝一で人気のお店のクッキーの詰め合わせ買ってくるよ〜」
「素晴らしい! 芦花は?」
「彩葉一人暮らしだから、ちょっと良いハンドケア用品一式にしたよ」
「そういう圭君は何にしたのー?」
ふっふっふ、俺はなー……
「充電できるタイプのスマホスタンド!」
「無難だね」
「酒寄に渡すなら消え物か実用的な方がいいだろ」
「それはそうなんだけど」
真実さんは俺に何を期待していたんだ?
「圭のことだからアクセとかチョイスしてくるかと思ってた」
「芦花も俺のこと何だと思ってんの?」
ここでアクセチョイスは距離感バグってるでしょ。
そのくらい俺でもわかりますよ。
「あとは明日のパーティーの段取りだけど」
「バッチリだよ、お母さんにも言っておいたから」
誕生日パーティーは、芦花の家でやることになっている。
酒寄はバイトのシフトをフルで入れようとしてたけど、そこは俺が裏で手を回して阻止した。
同じシフトにしてもらって、俺が芦花の家まで連れて行く算段である。
当然酒寄に今日の昼の予定がないことは確認済み。
「飾り付けとかお菓子とかは?」
「もう買ってあるから明日真実とやるよ。誕生日ケーキも明日受け取ってくる」
「オッケー、あとでふじゅ〜送るから金額教えてね」
よし、後は明日芦花と真実に頑張ってもらって、俺が酒寄を連れて行けば、完璧……!
「明日は最高のパーティーにするぞー!」
「「おー!!」」
5月11日。
昼営業も一段落して、バイトも上がる時間になった。
「酒寄ー、今日時間あるって言ってたよな。ちょっと付き合って欲しいとこがあるんだけど」
「え、別に良いけど……」
「良いけど、なにさ」
「……なんか企んでる?」
「ベツニ、ナニモ」
酒寄察し良すぎない?
いや、サプライズにこだわっているわけではないので、別にばれてもいいのだが。
「じゃあ行きましょうか」
「どこに?」
「それは着いてのお楽しみ〜」
「やっぱなんか企んでるな……?」
誤魔化し誤魔化し、芦花の家へ。
「さて、目的地はここでーす」
「ここ芦花の家じゃん」
「まあまあ、インターホン押してくださいな」
インターホンを酒寄に押させる。
怪訝な顔をしながら、酒寄は俺の言うとおりにしてくれた。
『はーい』
「朝来に連行されました、酒寄です」
「ちょっと待ておい」
応対した芦花に対して物騒なことを言う酒寄。
近所の人に聞かれたらどうするんだ。
『あはは、今開けるから待っててね』
芦花は笑って流してから、スタンバイ。
そして待つこと10秒。
「どうぞ〜」
扉の向こうから芦花のくぐもった声が聞こえてきた。
準備できてそうですね。
「ささ、どうぞお入りください」
「え、何事……?」
訝しみながら扉を開ける酒寄。
次の瞬間。
ぱんっぱんっ!
「「彩葉、お誕生日おめでとうー!」」
クラッカーを構えた芦花と真実が、酒寄に祝福を浴びせた。
思わぬ歓迎に固まる酒寄。
そんな酒寄の手をそれぞれ握って、2人が家の中へ導く。
「お姫様、リビングへどうぞー」
「れっちご〜」
俺も3人の後ろをついて行き、リビングへ。
リビングは芦花真実がしっかりと飾り付けをしてくれていて、空間全体がお祝いムードに仕上がっていた。
テーブルの上には、17本のろうそくが立てられたホールケーキ。
当然、「いろは おたんじょうび おめでとう」のプレート付き。
それにしても、酒寄の反応が薄い。
もうちょっと喜びを表現してくれても……と酒寄を見ると。
「そっか、今日、私の誕生日……」
……えっ、まさか自分の誕生日忘れてた?
少し困惑する俺らを余所に、酒寄は目に涙を浮かべ始めた。
「えと……」
「あ、えと、違うの」
困ってしまった俺らに対し、目を潤ませながら否定する酒寄。
「嬉しいの、自分でも忘れてた誕生日をこんなすごいお祝いしてくれて」
酒寄が泣いているの、初めて見たかもしれない。
嬉し涙を流しながら、酒寄は続けた。
「お父さんいなくなってから、こんなお祝いしてもらうの初めてで……」
「彩葉ぁ……!」
俺も芦花も真実も、言葉が無かった。
俺らが思っている以上に、酒寄は長く苦しい日々を過ごしてきたんだな……
芦花なんかもらい泣きして一緒に泣き始めている。
真実も、感極まって酒寄に抱きついていた。
正直俺もちょっともらい泣きしそう。
「私、本当に、良い友達持ったなって。だからありがとう、芦花、真実、朝来」
涙を流しながら微笑む酒寄はすごく綺麗で、少し見惚れてしまった。
いかんいかん、その笑顔は芦花とかぐやのものだからな。
自分を誤魔化すように、酒寄に声をかけた。
「じゃあ酒寄にはもっと最高の誕生日パーティーにしてもらわないとな。ささ、お席へどうぞ」
「美味しいケーキ屋さん探したんだ〜」
「お菓子もゲームも用意したし、今日はいっぱい楽しもうね。彩葉」
俺に続いて、芦花も真実も酒寄に声をかける。
ネタで用意した「今日の主役」タスキを酒寄に掛けてもらって、お誕生日席にご招待。
最後には月からきたお姫様が酒寄を救うけど。
それまではこうやって、俺らが支えてあげないとな。
そうだろ?
バースデーソングを歌って、ろうそくの火を吹き消して。
みんなから改めてお祝いの言葉を伝えられ、満面の笑みを浮かべる酒寄。
その目に、もう涙は無かった。
「みんな、ありがとう!」
あのイラストマジで何?
半目ロリ彩葉よ。
狂いそうなんだけど(通常運転)