転生オリ主は綾紬芦花を幸せにしたい   作:天戸 蒼香

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Q.なんでヤチヨの分のたけのこ船断られたの?
A.月人はデータでものを見るので、識別信号の同じかぐやとヤチヨは同一人物に見えます。なので、同一人物が同時に二つの肉体を持った際に世界のバグが起こる可能性を恐れています。
あとメタ的なことを言えば、ヤチヨはこの周回(便宜的表現)の彩葉からはまだ何も貰っていなくて、だから彩葉からヤチヨへのプレゼントをあげたかった。

納得いってない方が多そうだったので、あまり美しくないんですが私なりの説明を置いておきます……


地球よ、俺は帰ってきた!

それから1年間、大変だった。

彩葉と芦花が。

 

いやだって、俺もかぐやもヤチヨも画面の中から出られないのだ。

必然、できることは限られる。

画面の中から彩葉と芦花を励ましたり勉強教えたり。

ツクヨミでデートしたりとか。

ツクヨミって触覚は無いわけで、実質見ているだけっていうのは歯がゆかった。

 

彩葉は東大工学部志望に切り替えたので、今まで本腰入れてなかった科目の勉強に追われている。

まあ彩葉もともと数Ⅲもかじってたし、そこに理系教育チャンネルASAKこと朝来圭の力が加われば余裕ですけどね。

数学と物理は任せろ。

 

芦花は将来的にブランド立ち上げなんかもやりたいらしく、経営学部のある大学に絞って頑張っている。

インフルエンサーとしての活動も順調なようで、モデルなんかの話も来ているらしい。

芦花だって都立上位校でしっかり成績を残してるわけで、まあ勉強面では大きな心配は無い。

……芦花は勉強教えてもらう口実で俺といちゃつきに来ている気がする。

自分で言うのもなんか痛いけどさ。

 

 

 

まあ俺も大変じゃなかったわけではない。

 

まず親への説明。

芦花と彩葉に端末も持って行ってもらって、包み隠さず全部イチから話した。

そりゃ驚くよな、自分の子供が知らない間に月行って肉体失って帰ってきてるんだもん。

あとは自分が転生者って話ね。

これは芦花や彩葉には席を外してもらってからにした。

母親も父親も、俺のルーツが月だってことは知らなかった。

しかも転生者だし、小さい頃から変な子だったと思うし、2人の子供ちゃんとできてなくてごめんって言ったら、めっちゃ泣かれた。

恥ずかしいからやりとりは省略するけど、親の愛情を感じて俺も泣いた。

あと、芦花と彩葉との関係性を死ぬほど弄られた。

うざかった、本当に。

親の愛は感じれど、それはそれ、これはこれだ。

 

あとは高認試験とか大学受験の勉強。

さすがに一個下の知らない皆さんと高2の夏からやり直すのは嫌だった……じゃなくて、ヤチヨの肉体を作るために一刻も早く大学へ行きたい。

というわけで、中退して高認取ってから彩葉たちと一緒に入試を受けることにした。

まあ前世でも大学受かってるし、別に適当に大学行く分には大した問題無いのだが。

ただ、彩葉と一緒に東大となるとさすがに頑張らないといけない。

特に現国!

理系なんだから、国語今からでも無くなってくれないかなあ……!

嘆いても仕方ないので、国語は彩葉に教えてもらいつつ、なんとか得意科目で差を付けようと思う。

 

あとはかぐやと遊んだりヤチヨと遊んだり犬DOGEと遊んだりFUSHIと遊んだりしていた。

……やっぱあんま大変じゃなかったかも。

まあこのへんはそのうち話す機会もあるだろう。

 

 

 

そうして時は過ぎ、今日は2031年8月3日。

ついに俺とかぐやの肉体が届く日が来た。

事前に黒鬼やヤチヨのいろんなコネを使って、もと光る竹を回収したらその場で肉体を作れるよう用意もした。

お金は無くなった。

 

夜も10時を回り、もと光る竹が到着する予定の砂浜には、俺たち以外誰もいない。

人影は2つ、芦花と彩葉。

芦花の持つタブレットには俺のアバター。

彩葉の持つ大きめのモニターには、かぐやとヤチヨが映っている。

 

黒鬼の3人と真実は後で到着する。

この時間に電車とかもう無いから、真実の送迎は黒鬼に任せたのだが。

……今考えると真実にとっては天国だけど地獄だな。

すまん真実。

 

閑話休題、なんで俺たちが早く来たかというと。

 

「あのさ、俺からみんなに打ち明けたいことがあるんだけど」

 

いい加減言わなきゃいけないことがあるからだ。

みんなが俺に注目したのを確認して、俺は口を開いた。

 

「あーええっと……」

 

訂正、言いよどんでしまった。

なんか改めて打ち明けるのってどう切り出して良いかわからない。

 

気恥ずかしくてみんなの顔を窺うと、じっと待ってくれていた。

……まあ、今更変な前置き要らないか。

 

「実は俺、前世の記憶ってやつがあってさ」

 

まあ別に前世でも……いや、前世で「は」かな、普通の人間だったんだよ。

その世界には、「超かぐや姫!」っていう、彩葉が主人公の映画があってね。

 

「え、私!?」

 

うん、彩葉。

でもそれはアニメ映画で、作られたキャラクターでさ。

つまるところ、俺にとってこの世界は最初アニメの中の世界だったんだよ。

 

最初に気づいたのは、芦花と初めて会ったとき。

「超かぐや姫!」には、芦花も彩葉の友人として出てくるから。

正直めちゃめちゃテンション上がった。

俺からしたらテレビの中の有名人と会った感覚だった。

 

「圭そんなこと思ってたんだ……幼稚園のときの圭、妙に私と居たがるなと思ってたんだ」

「まあ、今思えばその頃から……いいや、話を続けます」

「えー……」

 

それからはみんな知っての通り。

かぐやに怒られたときは効いたよ。

転生者ってばれたかと思った。

 

「かぐやあんま考えてなかったけど、そーいうことだったんだ」

「そういう鋭いとこはさすがかぐや。あれがあったから今こうしてみんなで居られてるから感謝してる」

「えへへ〜」

 

ぶっちゃけちゃうとね。

前世の「超かぐや姫!」では、彩葉がかぐやとヤチヨと……同一人物だけど、3人で幸せになって。

それで、芦花は彩葉のこと好きなんだけど、最後まで付き合ったりせずに終わるんだよね。

 

「「えっ」」

 

芦花と彩葉の声がかぶった。

そりゃそんな反応するよね。

2人とも目を合わせた後になんかもじもじしててウケる。

 

話戻すけど、俺はこの世界に転生してきて芦花を見つけて、芦花と彩葉が付き合う未来が見られると思ったわけ。

それで色々と頑張ってたんだ。

結果として斜め上の結末になったけどね。

結局何が言いたいのかと言うと。

 

「俺は最初から普通の人間じゃなかったわけだ」

 

確証が無いからあくまで推測だけど、俺を転生させたのは月人の誰か……もっというと、月の姫なんじゃないかと思っている。

前世の最後に聞いた声がかぐやとヤチヨの声を足して2で割ったみたいな声で、月にいたときに会った姫の声とそっくりだったから。

 

「まあその、今更受け入れてくれるか不安とかじゃなくて、ただみんなには俺の全部知って欲しくて」

 

1年間みんなと一緒にいて、まあ本当に俺のことすごく大事に思ってくれてんだなってことはさすがにわかった。

今になってそれを疑うなんてことはしない。

だから。

 

「こんな俺だけど今後もよろしくねって話」

 

はにかみながらそう言うと、みんなきょとんとした顔になった。

ちょっと、反応してくれないと恥ずかしくなってくるじゃん。

 

「そんなの言われなくてもだよ」

「うんうん」

 

彩葉のセリフに、かぐやが後を追う。

かぐやの隣では、ヤチヨも大きくうなずきを繰り返していた。

 

「結局私たちのこと考えて、頑張ってくれたんでしょ? そんな圭を、今更よろしくしないわけないじゃん」

 

彩葉がタブレットの中の俺をのぞき込みながら、笑った。

彩葉も芦花も少し目に涙が浮かんでいる。

最後に俺の入ったタブレットを優しく抱き直して、芦花が言った。

 

「圭、末永くよろしくね」

 

こちらこそ。

 

 

 

「みんなやっほ〜!」

 

真実がすごいダッシュで俺たちの元へ来た。

黒鬼3人と一緒という天国の車内で昇天することなく、なんとか耐えきったらしい。

真実から少し遅れてやってきた朝日さんに聞いてみた。

 

「誰が運転して、席どうなってたんです?」

「運転は俺、助手席に乃依」

「真実どんな感じでした?」

「なんかガチガチで、喋りかけても反応がなかった」

「なるほど」

 

外界の情報をシャットアウトすることを選んだか。

苦渋の選択だったことだろう……合掌。

尊い犠牲となった真実(死んでない)に心の中で手を会わせていると、今度は朝日さんが俺に質問してきた。

 

「そんでお前とかぐやちゃんの体は?」

「時間的にはそろそろなはずですけど……」

 

「あ、あれじゃない?」

 

最初に見つけたのは芦花だった。

その声にはじかれて夜空を見上げると、確かに2筋の流れ星が落ちてきているのが見える。

虹色の尾を引きながら空を駆ける流れ星。

 

「なんだろ、やっぱお願い事しといた方がいいのかな?」

「『か、金……ぐすん』とか言って?」

「……え、もしかして私いじられてる?」

 

彩葉と軽口をたたき合いながら準備をして、もと光る竹の到着を待つ。

そんなにかからずに、もと光る竹は砂浜に着弾した。

結構眩しい……あと地面に突き刺さったのに砂埃とかあんま立たないんだ。

 

「よし、じゃあ始めよっか」

 

黒鬼の皆さんにたけのこ船を運んでもらって、ヤチヨとかぐやの指示のもと彩葉が色々作業している。

俺は何もわからないので、ただ見ているだけ。

しばらく芦花と駄弁って待っていると、彩葉から声がかかった。

 

「圭、こっちは準備できたよ。覚悟はいい?」

「いつでもいいぞー」

「ふう……じゃあ、いくよ」

 

彩葉が何か操作をすると、何かタブレットから吸い出されるような感覚があって、その次の瞬間。

たけのこ船が眩く光り輝いて、人間の形に姿を変え。

俺は一年ぶりに現実世界へ帰ってきた。

いやー、ぬるく吹いてくる風が気持ちいい。

股間がスースーする。

……ん? スースーする?

 

「あちょっとまっt」

「「かぐや! 圭!」」

「彩葉ー! 圭ー! 芦花ー!」

 

俺の静止はみんなの歓喜の声にかき消され、芦花彩葉かぐやの3人にもみくちゃにされた。

ちょっと待って! 俺今全裸なんだよ!

芦花も彩葉もかぐやもまずいって、俺のオレが……ねえ!

特にかぐやも全裸なんだからほんとにさ!

逃げも隠れもしないから服着させて!

 

朝日さん、真実助け……あちくしょう雷乃依含めて全員目逸らしてるし!

ヤチヨも感動で止める気なさそうだし……!

こういうのはまだ早いって!

聞いて!

あーっ!




おかしい。
今話でついに完結かー……と感慨に浸りながら書いてたら、ヤチヨの義体製作までいけなかった。
次回、最終話。たぶん……おそらく……maybe…

この作品オリジナルのセリフで皆さんの好きなものとか、このシーン好きとか聞きたいなー……

あと作品名の略称も募集してます。転芦花……オリ紬……うーん……
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