やっと、ここまで来れたね……!
「あー酷い目にあった、もうお嫁にいけない……」
「私たちが貰うから大丈夫だよ。ね、芦花」
「うん」
「2人とも真顔で言うのやめて」
貰ってくれるのはありがたいけどさ。
さすがにR18にはならなかった。
そこはなんとか死守した。
まあそもそも芦花も彩葉も、かぐやですら我に返った後は恥ずかしそうだったから、本当にやましい気持ちはなかったんだと思う。
じゃないと、真実や黒鬼のいる前でおっぱじめる変態ってことになるので。
俺そんな高度なのついていけないよ。
それはさておき。
念のためにと用意しておいた服を着て、改めてみんなと抱き合う。
真実と黒鬼は握手。
彼氏持ちや男と抱き合うのはちょっとあれなので……
「やー、久々の肉体はいいね」
「風が気持ちいい〜!」
それからかぐやと2人、現実世界を五感でフルに堪能する。
頬をつねってみたり、海の匂いを感じてみたり、走り回って風を感じたり。
いやー、幸せ……!
ただ、忘れてはいけない。
俺とかぐやは一足先に幸せになったが。
「あとはヤチヨだな」
「ヤチヨのことだって置いていかないからね」
「ヨヨヨー、ヤッチョは果報者なのです〜」
誰も取り残さない。
そんな完璧なハッピーエンドまであと少し、みんなで幸せになるぞ……!
9年後。
今日はいよいよYC型ボディの起動・適合試験の日。
酒寄研究室には、室長の彩葉と副室長の俺、かぐや、芦花、真実、それから黒鬼の3人も集まっている。
雷なんかオフの旅行を切り上げてまで来てくれた。
真実も子育てで忙しいだろうに、ありがたいことだ。
朝日さんと乃依は別に暇そうなんで良いや。
9年、あの砂浜でのわちゃわちゃからもう9年か。
さっきちらっと言ったけど、俺と彩葉は東京大学を順調に卒業して、無事研究室を持つことができた。
芦花は美容系No.1インフルエンサーになり、自分のブランドを経営しつつ他のブランドのアンバサダーなんかもやっている。
街の広告とかでよく見かけるし、そのたびに「これが俺の嫁さん……」ってなる。
かぐやはしばらくしてライバーに復帰し、ツクヨミ四天王と言えばヤチヨかぐや黒鬼テテテというポジションまで上り詰めた。
研究や私生活は順調そのものだったのだが、結局原作と同じだけの年月がかかってしまったな。
単純に大学院の卒業待ちとか資金不足による実験の停滞とか、そういう研究以外の面にだいぶ足を引っ張られたから。
ヤチヨには本当に待たせてしまった、ごめん。
そう謝ると、ヤチヨは、
「8000年待ったんだから、10年程度誤差誤差〜☆」
と笑い飛ばした。
俺たちは笑えないですヤチ上……
まあでもヤチヨは終始心の底から楽しそうにしてくれていて、それは結構救いだった。
「じゃあ、実験を始めます。圭、操作お願い」
彩葉が起動実験の開始を宣言する。
ボディにつないだパソコンを慎重に操作し、ヤチヨの体を目覚めさせる。
みんなが固唾をのんで見守る中、かすかな起動音がして。
そして、ボディの目が開き、ヤチヨはゆっくりと体を起こした。
「おはよ」
笑顔で声をかける彩葉。
ヤチヨはしばらく手を握ったり開いたりした後、あたりを見回して、言った。
「パンケーキ食べたいな〜」
あまりにも気の抜けるようなセリフに、張り詰めていた空気が一気に霧散した。
知らず止まっていた息を吐き出す。
「味覚はもうちょいお待ちあれ〜」
彩葉がおどけるように言った。
それを聞いたみんなが笑う。
ヤチヨも本当に楽しそうに笑ってくれる。
実験結果にホッとしたのか、彩葉が大きく息を吐く。
俺とヤチヨが彩葉の方をのぞき込むと、彩葉は少し目を潤ませながら言った。
「ふう……私からのプレゼント、やっとヤチヨにあげられた。ヤチヨには貰ってばっかりだったから」
……彩葉、ずっと言ってたもんなあ。
「前のヤチヨに名前を上げたのは私だけど私じゃない。だから、この義体を作り上げてプレゼントして、それでやっと最高のハッピーエンドなんだ」って。
「……彩葉っ!」
感極まったヤチヨが、彩葉に飛びついた。
あんま女の子に言っちゃいけないけどそのボディ機械だからかなり重い……はずなんだけど、平然と受け止めてる酒寄さんは何者なの?
「ね〜ヤッチョもリアルライブしたい〜」
「おー、じゃあかぐやと彩葉と芦花も入れて4人でやろ!」
「いいね!」
「え、私も!? もう28なんだけど!?」
「でもヤッチョ8000歳だよ〜?」
「かぐやちゃん、私は歌もダンスも経験まともに無いんだけど?」
「だいじょ〜ぶ、かぐやが教える!」
「彩葉ー、ヤッチョと一緒に踊って〜?」
「ええい、排熱で暑苦しい!」
「ヤチヨだけずるい、かぐやも彩葉にくっつくー!」
「えっちょっ、かぐやちゃん私もなの!?」
「俺まだヤチヨの義体のデータの記録終わってないんだが!」
おのおの好き勝手にしゃべりはじめてもう収集がつかなくなってくる。
かぐやが俺と芦花を引っ張って、彩葉とヤチヨがわちゃわちゃしてるところに突っ込んでいった。
後ろでは真実と黒鬼が肩をすくめながらも暖かく見守る目をしている。
もうめちゃくちゃだ。
でもこのカオスと自由さもまた、この地球で立派に生きている証だろう。
だから胸張って言える。
俺は今、最高に幸せだ!
どうだろうか、俺はちゃんと超ハッピーエンドを作り上げることができたんだろうか?
まあでも物語の当事者としては思うんだよ。
ハッピーエンドかどうかって、俺たち自身で決めるものじゃないかなって。
これは創作じゃなくて、俺たちが生きて、俺たちがもがいて、俺たちが編み上げた物語だ。
だから結局、俺たちが幸せだと胸を張って言えるなら、それはハッピーエンドなんだと思う。
みんなもそう思わないか?
だからみんなの物語だって、周りの評価に惑わされず自分の幸せを追い求めていけば、きっとその先はハッピーエンド。
この朝来圭が保証しよう。
え、タイトル?
まあ結果として斜め上のエンディングになったけど、この世界に来たときの誓いは今でも胸の真ん中にあるし。
タイトルつけるなら初志貫徹がいいな。
ってなわけで、タイトルは——
転生オリ主は綾紬芦花を幸せにしたい 完
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!
おかげさまで完結まで走りきることができました……! ドンドンパフパフー
最後はだいぶガバガバというか尻すぼみというか、色々と申し訳ない気持ちでいっぱいです。
もし私が神作家だったら、もっとみんなを虜にできてたのかな(隙あらばちょかぐセリフパロ)
それでも自分が書き上げた中でぶっちぎりで長いですし、こんなに多くの皆さんに読んでいただけたのも初めてです。
「超かぐや姫!」という神作品をこの世に生んでくれた制作陣の方々、そしてこの作品にアクセスしてくれた全ての方に、心から感謝を伝えたいです。
あと、ちゃんねるとーろくじで!
……じゃない、高評価と感想をください!
感想何書けばいいかわからない方は、このシーン好きですって書けばいいよ!
番外編とかね、まだまだ書きたいことも書くべきこともたくさんありますので、更新は(不定期にはなりそうですが)まだまだ続きます。
番外編のネタ(こんな圭たちが見たい・こんなifルートが見たい)とかも募集しようかなと。
明後日くらいまでには活動報告に募集用のものを作っておくので、ぜひぜひ。
それでは近いうちに番外編でお会いしましょう……!
あそうだ、みんなもちょかぐ二次書こうよ。
俺も書いたんだからさ()