いや、サボりでは無く本当に忙しかったので、申し訳ないなとは思いつつご理解いただければと……
7月中は投稿頻度ずっとこんな感じです、たぶん。
かぐや生誕記念 かぐや、メイドやってみたい!
これは俺とかぐやの肉体がまだ月から送られてくる前、ツクヨミ内で電子の妖精として生きていた頃の話。
かぐやのライバー収入で手に入れたかぐや&いろP&ROKA&ASAK’S ハウスで、俺たちはだらだらしていた。
すると。
「かぐや、メイドっていうのやってみたい!」
かぐやは突然ソファーから立ち上がって叫んだ。
別に何でも無い日の夜。
「は? あんた突然どうしたん」
気が抜けているのか、微妙に方言の出ている彩葉が即座に返す。
俺と芦花……と真実も遅れてかぐやに目線をやった。
目線に気づき変なポーズを取るかぐや。
ちなみに、なんで真実がいるのかは俺もよくわからない。
まあ暇なんじゃないかな。
ツクヨミ内で俺たちが集まるなら今はここだし。
「テテテが今配信しててー、メイド服? っていうの着ててー、これ可愛いしかぐやも着たい!」
テテテさんのメイド服……だと?
慌ててテテテさんの配信を確認すると、確かにメイド服アバターで喋ってる。
配信タイトルは「とりあえずメイド検定2級とったよ〜」だった。
そもそもメイド検定ってなんだ。
「圭もかぐやたちがメイド服着てるの、見たいっしょ?」
テテテさんのメイド服に意識を奪われていると、かぐやがこちら側にボールを投げ込んできた。
「てか圭、今テテテの配信に目奪われてなかった? 彩葉と芦花と、かぐやにヤチヨもいるのに……これが浮気?」
「は?」
かぐやの冗談めいた一言で、一気に殺気を漂わせ始めた人が一人。
そう、酒寄彩葉さんである。
この人独占欲エグいから冗談でもそういうこと言わないで!
あと浮気とかじゃないから!
「そっか……」
そして俺の隣では芦花が少し沈んでいる。
「やっぱ私じゃ……」とか呟くのやめて、勘違いだし心が痛い!
「ちがう、ちがう、ちがう、ほんっとちがう」
「何が違うの? この浮気者」
彩葉の刺すような視線がマジ怖い。
あの紅葉さんの娘だよなって感じだけど、そんな呑気なこと言ってらんねえ!
「あの、その、テテテさんではなくて……メイド服が好きでぇ……」
だんだん小さくなる俺の声、下に向けられる俺の視線。
俺は、浮気者呼ばわりされるより変態のレッテルを貼られる方を選んだ。
肉を切らせて骨を断つ……はちょっと違うか?
でもまあドン引きされても嫌われるまではいかないだろ……と思いたいんですが。
勇気を出してみんなを見ると、反応は三者三様。
真実は普通にドン引きしてた。
そうでしょうね。
芦花は特に反応なし。
え、俺の勘違いじゃ無ければなんか既に知ってたから驚かない的な顔なんだけど……?
かぐやはうんうんと頷いている。
アテレコするなら、「だよな、メイド服可愛いよな!」ってとこか。
彩葉はなにやら少し考え込んでいる。
一番よくわかんない反応なんだけど。
「ねえ、圭」
「はいっ」
さっきの半分くらいの冷たさの声で、彩葉が俺に声をかける。
反射的に伸びる俺の背筋。
そんな俺に、彩葉は想像の遙か上をぶっ飛ぶ言葉を発した。
「私たちがメイド服着たら、圭は嬉しい……?」
うん(即答)。
場所は特に変わらず、ツクヨミの俺たちの家の一室。
彩葉の問いかけに反射的に頷いてしまったのだが、それからいろかぐろかで何やら円陣を組んでヒソヒソ話し合ったあと、家の一室に隔離された。
声をかけるまで出てくるなと厳命されて。
まあ俺はニブチンではないので、もしかしてメイド服着てくれるのかなーって期待してるんだけど。
普通に処刑の準備だったらどうしよう。
なお、真実は帰った。
「メイド服萌えの変態と一緒にいられるか〜!」と言って。
賢明な判断だと思います。
でもあいつの彼氏がメイド服萌えだったらどうするんだろう。
この世の全ての男は潜在的にメイド服萌えの変態だと言うのに。
こんこん
要らない心配をしていると、部屋の扉がノックされる音がした。
「圭くーん、出てきていいよ〜☆」
「オッケー……って、ヤチヨ?」
扉の外から聞こえてきたのは、ヤチヨの声だった。
誰が呼んだのか……まあ仲間はずれはかわいそうだもんね、うんうん。
いや、ヤチヨのメイド服ぐへへとかちょっとしか思ってない。
意味も無く深呼吸を一つしてから、リビングへのドアを開けると。
「「「おかえりなさいませ、ご主人さま!」」」
そこには、理想郷が広がっていた。
そうか、ここがユートピア……いや、実在するからアルカディアか?
ツクヨミという実態を持たない電子空間だからやっぱユートピアでいいのか。
そんなしょうもないことは置いておいて。
俺の前には、三人のメイドさんが立っていた。
いつも通り元気一杯に挨拶してくれたかぐやは、チャイナメイド服。
活発なかぐやとマッチしていて良く似合っている。
そのかぐやの隣、ヤチヨはクラシカルメイドに身を包み堂々と立っている。
照れなど微塵も見せず完璧な立ち振る舞いなのは、ツクヨミ管理人兼トップライバーだからか。
目の奥に面白がるような光がチラチラ見え隠れしてるけど。
そして、二人の少し後ろから控えめに出迎えてくれたのが彩葉。
彩葉は和メイドですね。
元々の衣装も和風だからまあそりゃ似合うよねって話。
「彩葉はちょっと照れが入ってたね」
「うっさい」
照れ隠しで軽く小突いてくる彩葉。
あーもう、こういうとこが可愛いんですこの子は。
「ところで芦花は?」
俺がそう尋ねると、ヤチヨが「やれやれ」って顔でソファーの方を指さした。
その指の先に目線をやると、かぐやがソファーの後ろに回って何かを引っ張り出そうとしている。
何かって言うか、芦花だ。
「や、やっぱ恥ずかしいって……!」
「えー、もう着ておいて今更〜?」
「や、私はこういうのあんま似合わないから……」
「ええい、問答無用! 彩葉も手伝って!」
「ほーらっ、恥ずかしいのは私も一緒……っ!」
「い、彩葉まで……っ」
わちゃわちゃの末に、ソファーの後ろから芦花が転がり出てきた。
芦花は、まさかのミニスカメイド服だった。
意外なチョイス……!
「ヤッチョが選びました〜☆」
「よっ、さすがツクヨミ管理人! スーパー歌姫! 8000歳の年の功!」
「……最後のは褒められているのかにゃ?」
もちろん褒めてます、ホントダヨ。
ヤチヨいじりもほどほどにして、しゃがみ込んだままこちらを見ない芦花の元へ。
そして少し強引に目線を合わせる。
こういうのはちゃんと伝えないとね。
「芦花、ちゃんと可愛いし似合ってる。自信持ってよ」
「……圭がそう言うなら」
うんうん、芦花は何着ても似合うんだから。
自信持って立ってる姿が一番好きだよ。
そんな俺たちを優しく見守ってくれていたヤチヨが、手をパンパンと叩いて空気を変えた。
「さて、じゃあかぐや。あれ、持ってきて〜!」
「めいどーっ!」
ヤチヨに声をかけられたかぐやは、謎の返事と共に一旦奥に消えた。
そのかぐやが、ケチャップで大きく『LOVE』と書かれたオムライスを運んできた。
「ご主人さま! メイドと言えばこれ! 美味しくなるおまじない、一緒にやろ!」
「え、あ、うん」
テーブルの上にオムライスを置き、俺をその前に座らせ、みんなは俺を囲むように整列。
そして
「ご主人様も一緒にーっ、せーのっ、萌え萌え、きゅんっ☆」
「も、萌え萌え、きゅん……」
かぐやの完璧なスマイル。
それに合わせて、ヤチヨがウインクを飛ばす。
彩葉と芦花が顔を真っ赤にしながらも、小さな声で追随していた。
やばい。
破壊力がカンストしている。
間違いなくここが天国。
俺が世界で一番ご主人様。
だが、言い終えた瞬間。
「無理無理無理無理! やっぱこれ恥ずかしすぎるって!」
彩葉が真っ赤になってクッションに顔を埋めた。
芦花は既にフリーズして、頭から湯気を出している。
ツクヨミってそんな描写あるんだ。
「うわー、自分でやっといてなんか照れる!」
「……これはなかなかの精神的攻撃力だにゃ
かぐやですらなんか恥ずかしくなったらしく脚をジタバタ。
ポージング完璧で照れ一つなさそうに見えたヤチヨも、よく見ると耳を赤くしている。
え、ええと……?
「あ、あの……オムライス食べさせてもらえたりとかは……?」
「……自分で食べて!」
恥ずかしさが限界を迎えた彩葉に、クッションを投げつけられた。
しょうがないので、俺は味のしないオムライスを静かに口に運ぶ。
ああ、味しない……
かぐや「めいどーっ!」(返事)の思いつき一点突破。
当作品の過去の生誕記念と毛色が違いすぎるし、かぐやに言うほどスポットライトが当たってる感じも無くて「生誕記念……?」って感じですが。
ちなみにオチは圭がメイド服着る羽目になるパターンと迷いました。
Q.芦花がミニスカメイド服とか着るか?
A.ヤチヨはツクヨミ内ならなんでもできる(権限の悪用)