いろいろ忙しくてですね……
帰省の飛行機確保したり、帰省の準備したり、大量にシフト入れられたバイトを消化していたり、実家の犬と遊んだり、ムビチケ確保したり、ビビビコミック読んだり、ぬくりん(湯雲ぬくみ×神北林檎)のSS書いてTwitterにアップしたり……ん、なんですか?
タイトルと一致しなくてアレなんですが、圭視点でお送りします。
「けーいっ!」
「ぐえっ……痛くない」
ツクヨミの我が家で惰眠を貪っていた俺は、かぐやの襲来によって目を覚ました。
昨日はなんか女子会とか言って夕方くらいから一人ハブられたし。
それで特にやることもないので、とっとと寝ていたわけだ。
やだ、俺ったら男友達いなさすぎ……?
「やっと起きたー」
「まだ朝の9時ですよかぐやさん……」
俺はいつも昼前まで寝てるのに……
自堕落?
うるさいやい。
「今日からみんなで交替で、圭とデートするの! そんで最初かぐやの番!」
もそもそとベッドから這いずり出る俺に向かって、かぐやはそんなことを宣った。
「…………俺の意思は?」
「ない!」
即答された。
まあどうせ寝てるだけなら、デートの方が8000倍有意義だろう。
俺も、かぐややみんなとデートできるのなら嬉しいし楽しいので。
「まず今日のお昼過ぎまでかぐやのターンね。そんでその後は別の人にバトンタッチ」
「なるほど。それで別の人って誰?」
「それは後のお楽しみー、今はかぐやのこと考えて!」
「はいはい」
わがままお姫様だこと。
かぐやはそうでなくちゃとも思うけど。
「じゃ、さっそく行こ!」
「ちょい待って」
急かすかぐやを制止し、指パッチン。
するとあら不思議、アバターの衣装がパジャマから外出用に早変わり。
かぐやが目を輝かせてこちらを見ていて、非常に気分が良い。
……まあ指パッチンしたのはただのかっこつけなんですけどね。
「よし、じゃあ行くか」
「おー!」
というわけで、やってきましたツクヨミ商店街。
かぐやが初ログインした後に、ヤチヨのミニライブ前に色々見て回ったあの通り。
かぐやに手を引っ張られて連れてこられた。
どうやら最初から行き先は決めていたらしい。
そのままの流れで、手を繋いだままいろんなお店を見て回る。
「見てこれ、懐かしー!」
「ぬいぐるみじゃん。もうだいぶ昔に感じるなあ」
「色々あったもんねー」
「ほんとにな」
かぐやがあの日と同じように、ぬいぐるみを抱きしめながら言う。
本当に色々あったもんなあ。
今こうしてツクヨミでのんびり出来てるのも、全部みんなのおかげ。
「欲しいなら買ってあげようか」
「え、いいの!?」
「……まあ、デートだし」
一応デートだし、一応……彼氏? だし。
あんまプレゼントとかした記憶無いから、ちょうど良いかなって。
「んふふー」
「そのにやにや顔やめて」
「でもこれは自分で買う! 圭にはもっと恋人っぽい物買って欲しいなー」
「ふむ。わかった」
「また今度でいいよ!」と付け加えるかぐや。
そっか、俺ら恋人か……
なんか、あんま意識してなかったな。
「んー、やっぱり味しないね」
「わかってはいたけどな」
むくれるかぐやに、苦笑いで返す。
今はカフェでゆっくりしてるところ。
足湯みたいになってて味のしないパフェが食べられるあそこだ。
なんとなく思い出のパフェを頼んで二人で食べてみたけど、やっぱり味はしなかった。
わかっては、いたけどな。
やっぱり、思うところはある。
かぐやと二人、しばし黙り込む。
「彩葉のパンケーキ、また食べたいな」
「俺はかぐやのハンバーグ食べたいよ」
俺とかぐやは、ほぼ同時に呟いた。
そして顔を合わせて、曖昧に笑い合った。
食事は大切な娯楽でもある。
少なくとも俺は、毎日かぐやの作るご飯を楽しみにしていた。
まあ月に行くと決めた時点で、味覚無くす覚悟はしてたけどさ。
月だとそもそも食べ物がないから味覚無いのを意識もしないのに対して、ここでは一見美味しそうなものがたくさんあるわけで。
自分がツクヨミに幽閉されていることを、人間完全にやめたんだなってことを、嫌でもわからされる。
もちろん、かぐやもヤチヨもいるし、他のみんなも可能な限り一緒にいてくれるからさみしいとかはないんだが。
やっぱね、心の奥に重しがずっとあるような感覚があって。
人生二度目なのに、情けない。
俺が軽く自己嫌悪に陥っていると、かぐやがこちらに寄りかかってきた。
かぐやが俺に対してこういう甘え方をしてくるのって珍しい気がする。
「圭はさ」
かぐやはそこで言葉を一度切って、俺の方を見る。
俺がちらっと目線をやったのを確認してから、かぐやは続けた。
「私たちのこと、好き?」
「そりゃもちろん」
「えへへ、ありがと」
俺がかぐやの問いかけに即答すると、かぐやは照れたように笑った。
「前にさー、海行ったときに、『彩葉に対する好きと他のみんなに対する好きは違うかも』みたいな話二人でしたの。覚えてる?」
「もちろん。片時も忘れたことない」
「そっか、ならよかった」
俺にとっては、「みんなのこと現実の一人の人間として見てなかったんじゃないか」って突きつけられた大事な瞬間だったし。
「私、圭が好き。ちゃんと、彩葉に対してとおんなじ意味で」
かぐやのその言葉に、俺は口を開きかけて、また閉じた。
かぐやがまだ言葉を続けそうな様子だったから。
言葉を探しているのか、かぐやはすこし目線を宙に向けた。
足元の水音が、耳に心地よく響く。
「まあ? かぐやまだ0歳だし。恋愛とかあんまよくわかんないけど」
かぐやは、自分の胸に手を当てた。
自分の気持ちをそっと抱きしめるように。
「命懸けてまで月に乗り込んで、かぐやのこと助けに来てくれてさ。圭のことも芦花のことも、好きにならないわけないっしょ?」
かぐや、そんなこと思ってくれてたのか。
ぶっちゃけ俺は何も出来なかったわけだし。
家族として一緒にいてもいいくらいなんだと思ってた。
もしくは友達くらいの距離感。
俺が思ってたより、かぐやも俺のこと大事に想ってくれてたんだなあ……
その後に「圭はかっこ悪かったけど」と付け加えるかぐや。
おいおい、一言余計ですよ。
わざとらしくむすっとして見せた俺を軽くいなして、かぐやは俺に聞いた。
「圭は、どう?」
もちろん、好きだ。
即座に返事をしたいところ、少し立ち止まってみる。
もちろんかぐやのことは好きだけど、これはどういう好きなんだろうか。
電柱から出てきて、彩葉と一緒にお世話して。
あっという間に大きくなって、気づけばこんなに大人びて。
目を閉じれば、激動の一ヶ月を鮮明に思い出せる。
俺も大概おちゃらけてる方だと思うけど、意識的にヘラヘラ振る舞ってる俺と違って、かぐやは素で常にポジティブエネルギーに満ち溢れている。
月から来たのに、太陽みたいな子。
いつでも俺たちを明るく照らしてくれて、俺たちの手を引っ張ってくれて。
そんなかぐやとずっと一緒に楽しく歩んでいきたい。
きっとこれもまた、恋と呼ぶんだろう。
隣にいるかぐやの手をそっと握る。
感触はないけれど、この胸の温かさは伝わると信じて。
なんか照れくさいから、かぐやの方は見ずに。
「好きだよ、かぐや。ずっと俺と一緒に生きて欲しい」
俺の返事に、かぐやは満面の笑みを浮かべて、こう言った。
「もちろんっ!」
圭の告白のセリフはどうしてもanotherの時とかと似てくる。
同一人物なので。
その分ヒロイン側の反応やセリフで差別化しなきゃなんですが、これが難しい。
次回、ヒロイン未定! お楽しみに!