転生オリ主は綾紬芦花を幸せにしたい   作:天戸 蒼香

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Twitterの超かぐ界隈、「芦花は原作のままで幸せなんだよ余計なことすんな」みたいな論調が主流になってきてるように見えて肩身が狭い。
いや原作芦花も幸せだと思いますよ?
100点満点でないだけで……

というか百合に男を挟むと決めた時点で、神を敵に回す覚悟ですからね。
君もこの作品をお気に入り登録して、私と一緒に反逆者になろう。


パーフェクトコミュニケーションだね、間違いない

次の日。

酒寄のあの顔が脳裏から離れなくて、結局寝られなかった。

寝不足のまま、酒寄と共に学校へ向かう。

 

にしてもねー、やっぱ酒寄は何か我慢してる感じあるよな。

俺の計画が上手くいってれば、芦花が酒寄の心の壁を壊してあんなこと言わないようになっているはず。

ということは計画の修正がいるな……

うーん、やはり芦花を多少強引に酒寄とデートさせるか……?

それでもっと強引にアタックするよう誘導できればなんとかなるかね。

つかわかってたけど酒寄って顔良いよな……

 

「一応かぐやに家から出ないよう言っておいたけど、ちゃんと守ってくれるか……って朝来、聞いてる?」

「……うん? 俺今呼ばれた?」

「呼んだっていうか話しかけてもずっと上の空だけど……大丈夫?」

「あーいやごめん、ちょっと寝不足かも」

「それはごめん……でも授業中は寝ちゃだめだよ」

「成績で黙らすからいーの」

 

変なこと考えたのを誤魔化すように、話を脱線させた。

 

「それでかぐやのご飯とかどうしたん?」

「ちゃんと用意してきたよ、1枚食べて『くそまじぃ』って言われたけど」

「何を食べさせたんだ」

「え、パンケーキ」

「……調理ミスではなく?」

「そんなわけないでしょ」

 

あーそういえばこれってもしかして。

俺の想像を肯定するように、酒寄はどや顔でその一言を放った。

 

「水と粉のパンケーキだよ。安いしお腹も膨れる優れもの」

「えぇ……」

 

やっぱり……

 

「いいか酒寄」

「な、なに」

「そんなに金が無いなら頼れ。お前に倒れられたら困る」

「えっ……わ、わかった」

 

目をそらしながらうなずく酒寄。

本当にわかっているのか、どうなのか。

酒寄が倒れたら困るんだぞ、芦花が。

 

「はあ……」

 

かぐやの育児で疲れているのか、大きくため息をつく酒寄であった。

 

 

 

そして俺は今学校着いて早々、芦花に詰められています。

 

「……圭、彩葉となんかあった?」

「いや何もないが? 誓って何もなかった」

 

やばい。

別にホントにやましいことはないんだけど、なんとなくやばい気がする。

芦花の目が怖い。

 

「……早口すぎ、誤魔化し方が怪しすぎ」

「うっ」

「3連休、私の誘いも断ったし、もしかして彩葉と付き合ったとか……?」

「それはないそれはない絶対にない百合の神に誓ってない」

「百合の神はよくわかんないけど、今のはホントっぽいね」

「嘘なんかつかないさ。絶対に芦花の悪いようにはしない、俺を信じてくれ」

 

ワンチャン押し切れるか?

ダメ元で、芦花の瞳をまっすぐ見据えて真剣な顔して言ってみる。

いや芦花マジで顔良いな、っぱ芦花さんナンバーワンっすわ。

 

顔近い……まあ圭がそう言うなら……」

 

芦花は顔をそらしながらごまかされてくれた。

ピアスをつけた右耳がほんのり赤くなっている。

よくわからんけどありがとう、眼福です。

 

俺たち二人の様子を眺めていた真実は呆れたように首を振り、酒寄は我関せずで一限目の準備をしていた。

この薄情者どもめ。

 

 

 

「「殺人級の睡魔ぁ……」」

 

眠い。

あまりにも眠い。

よりによって音楽とか。

しかもピアノとか。

寝てくれって言ってるようなものじゃん。

俺の斜め前で真実もそうだと言わんばかりに船を漕いでいる。

 

しかし酒寄にとってはそうではないらしい。

なんか朝よりも生き生きとして見える。

俺と同じくらい寝不足のはずなのに……

すごい……無理してんだろうなあ……

今日放課後に芦花真実酒寄の三人でパンケーキ食べに行くはずだし、芦花に入れ知恵を……むにゃ……

 

「ちょっと起きなよ圭」

「ぐえ」

 

あの芦花さん、隣からシャーペンで突き刺してくるのやめてください……

 

 

 

「芦花、芦花、ちょっといいかい」

「圭じゃん、どしたの」

 

芦花に入れ知恵をすべく、昼休みに声をかけた。

 

「今日芦花真実酒寄でパンケーキ行くって言ってたじゃん?」

「うん、そうだけど……やっぱり圭も行く?」

「それは勘弁」

 

フツメンが見た目麗しい女子高生3人とおしゃカフェなんて無理でしてよ。

しかも一人は彼氏持ちだぞ。

 

「圭が良いなら良いけど……じゃあ何?」

「酒寄、いつもにもまして無理してるように見えないか?」

「うーん……言われたらそうかもだけど……」

「まあ、だから息抜きになるように上手く肩の力抜かせよう」

「それは言われなくてもだけど」

「あとそれとなく『もっと頼って』ってアピールしてほしい」

「難しいこと言うなぁ……」

 

具体性のない指示なのはごめんだけど、芦花が頑張らないと酒寄の心がかぐやで埋まってしまいますよー。

俺もできる限り援護するけど。

と、芦花が少しさみしそうに切り出した。

 

「圭ってば、彩葉のことよく見てるんだね」

「ん? まあそりゃね」

 

芦花の幸せの鍵を握る人物なので。

 

「……やっぱ圭は彩葉のこと好きなの?」

「へ? いや全然?」

 

急だな。

もしかして俺が酒寄のこと横取りすると思われてる?

そんなことはぜっっっったいにないから安心して欲しい。

この世界線では、酒寄の運命の人は芦花だ。

俺がそうすると決めたので。

 

「芦花、安心して欲しい。俺は絶対に芦花の味方だから」

「えーっと……?」

「俺がついてるから、芦花は前だけ見て突き進めばいいんだよ」

「???」

 

信じてもらえるように、芦花の手を包み込んで伝える。

たぶんこれで芦花も安心して酒寄攻略に全力を注げるだろう。

パーフェクトコミュニケーション!

 

 

 

お昼の眠い眠い授業もくぐり抜けて、放課後。

おしゃカフェに向かう3人を教室で見送ったあと、時間差で帰る。

時間差を作っておかないと、かぐやが酒寄たちの尾行をする未来が変わりかねないからね。

 

かぐやの暴挙を止めないのかって?

まあ俺の立場ではスマコン買うのは止めようが無いし、ここでかぐやの存在を芦花に知られる方が後々使えると思っている。

具体的に言うと、原作よりも芦花とかぐやを近づけようかなと。

その過程で酒寄が芦花のこと意識してくれれば最高。

かぐやが2人を振り回して、芦花がかぐやと酒寄を甘やかして溶かす。

ついでにそれを遠目に眺める観葉植物の俺。

あーいいねいいね、ハッピーエンド見えてきたね。

 

♪てんてけてけてんてんてん♪

 

スマホが着信を知らせている。

そういやかぐや乱入イベント起きてそうな時間だけど……芦花から?

 

「もしもしどうした?」

「かぐやちゃんのこと、説明してくれるよねえ……?」

 

えっ、なんかめっちゃ怒ってる……

 

 

 

俺も2人の待つおしゃカフェに来た。

逃げようにも、電話越しですら伝わってくる圧に逃げられなかった。

 

「お、圭来たね」

「圭君もとりあえずなんか頼みなよ〜」

 

自然体の真実と背後になんかオーラが見える芦花が出迎えてくれる。

酒寄とかぐやはどこにいったのかって?

たぶん原作通り酒寄がかぐやの手を引っ張って逃げたんじゃないかな。

 

とりあえず店員さんを呼んで芦花と同じパンケーキを頼む。

注文が届くまでは適当に雑談をして、届いてから本題に入った。

 

「それで、芦花はどこまで聞いた?」

「かぐやちゃんは彩葉の親戚の子で、築地から来たって彩葉は言ってた」

「うん」

「それで……この週末圭と彩葉がずっと一緒にいたって」

 

……うん。

いやーパンケーキ美味いなこれ。

ふわふわの生地に濃厚なチョコレートと生クリームがよくあってる。

シンプルだけど、シンプルが故に誤魔化しのきかない味……

 

「圭? なんで遠い目をしてんの」

「いや、パンケーキ美味しいなって」

「それで、これはどういうことなの。圭と彩葉とかぐやちゃんはどういう関係なの」

「ええとね」

「やっぱ圭君と彩葉って付き合ってんの〜?」

「そうなの?」

「いやちがくて」

「うん、大丈夫、私は圭と彩葉のことちゃんと応援できるから」

「一旦俺の話聞いて?」

 

真実は恋バナの匂いに目をキラキラさせるのやめて!

そんで芦花は自己完結して身を引こうとしないで!

あなたが酒寄のこと諦めたら俺も困るから!

 

「実はかくかくしかじかで……」

「私たちエスパーじゃないからそれじゃ伝わらないよ」

 

おふざけもほどほどにして、ちゃんと説明をする。

実はかぐやは月から来たということ。

偶然(偶然ではないけど)俺と酒寄が赤ちゃん状態のかぐやを拾って育てたこと。

3日で大きくなったこと。

誓って俺と酒寄は恋愛関係ではないということ。

 

「築地出身じゃなかったんだー」

 

真っ先に反応したのは真実だった。

じゃあお寿司屋さん知らないかー、とか言ってる。

 

「……そっか、よかった」

 

芦花も遅れて安堵の声を漏らした。

酒寄とくっつくチャンスが残っていて安心したご様子。

最初に背負っていた恐ろしいオーラは消え去っていた。

 

「自分で話しててなんだけど、俺かなり荒唐無稽なこと言ってるよ? 信じてくれんの?」

「まあ私も最初頭おかしくなったのかと思ったけどさ」

 

一拍おいて、芦花は続けた。

 

「圭が嘘ついてるかどうかなんてすぐわかるよ、何年の付き合いだと思ってんの」

「芦花に同じく〜」

 

真実も追加で頼んだミニパンケーキをほおばりながら同調した。

ちょっと信じてくれなかったらどうしようと思っていたんだけど、杞憂だったな。

持つべきものは理解のある友人。

 

「ありがとう。それで芦花、芦花もこっちに積極的に顔出さない?」

「へ、私も?」

「うん。酒寄は今かぐやに振り回されて限界が近いから……酒寄と一緒に振り回されてあげてほしい」

 

芦花は感情の読み取れない顔で俺を見た。

顔の動きに合わせて小さくピアスが揺れる。

 

「……圭はどうするの?」

「まあ俺も必要に応じていろいろするけど」

 

主に芦花の恋路のアシストを。

 

芦花はしばらく俺の顔をじっと見つめてから、決意を込めてうなずいた。

 

「……そっか、ならわかったよ」

「よっしゃ、よろしくなー」

 

よしよし、あとは俺がフェードアウトすれば全部上手くいく……!




おまけ カフェにて

かぐや「彩葉ー、圭はどこいるのー?」
彩葉「あっ、ちょっ、バカ!」
芦花「え、かぐやちゃん圭のこと知ってるの?」
か「うん、彩葉とよく一緒にいた!」
芦「!?!?!?」
彩「いや、えと、これはちが……」
芦「……圭に事情聞かないと、だね」
真実「なになに、修羅場〜?」
彩「あーもうっ、埋め合わせは今度するから! かぐや帰るよ!」
ぴゅーん
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