自分だけのオリジナル男子生徒を作って、他と差をつけよう!   作:レイトウカイトウ

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唐突な動物表現


トリニティのタヌキ

トリニティの監獄

 

ミカ「タヌキ?」

 

ナギサ「はい。私が彼に対して抱いている印象の事です」

ナギサ「トリニティにはキツネが多いですが、タヌキは彼だけですね」

 

ミカ「うーんと?」

 

ナギサ「策略を巡らせ、他人を化かそうとするキツネ、それが一般のトリニティ生だとすると」

ナギサ「彼は、策略を巡らせずに、自ら化けて他人を騙すタヌキ……」

ナギサ「それで、彼は今まで生き残ってきました」

 

ミカ「わかるような、わからないような……」

 

ナギサ「要するに、彼はあまり策略を巡らせない、単純な方なのです」

ナギサ「策略に嵌めてこようとしてきたキツネを騙す事はできますが、自らが他人を化かす事はできない」

ナギサ「難しい事は考えず、やり返しだけを考える方」

 

ミカ「それはわかるかも」

 

ナギサ「そんな彼だからこそ、一番厄介であり、心強くもある」

ナギサ「……エデン条約の調印式、彼を私の傍に付けます」

ナギサ「口ではゲヘナと友好を示そうと言っておりますが、心の底ではまだ怖いです」

 

ミカ「そっかぁ……」

 

ナギサ「彼は優しさからなのか、それとも地獄への望みからなのか、エデン条約には賛成派です」

 

ミカ「多分両方だと思うよ」

ミカ「リタくんは地獄だって望むし、だけど他人には強要しない」

ミカ「本人が一番線引きしてるからね」

 

ナギサ「ミカさんの言う通りです」

ナギサ「……これはセイアさんが言っていた事でもあります」

 

ミカ「……?」

 

セイア『彼は、まるでタヌキだ』

セイア『キツネに化かされないように、自らが化ける』

セイア『……私は、彼の本当の姿を見てみたい』

 

ナギサ「……本当の姿、彼はそれを晒していない」

ナギサ「……私も、ミカさんに本音を話せていないかもしれません」

 

ミカ「……」

 

ナギサ「ミカさん、私は――」

 

ミカ「そういうの、無しにしよう?」

ミカ「本心なんて、わかる訳無いんだし」

 

ナギサ「ミカさん……」

 

◇◇◇◇◇

 

リタ「こんにちは」

 

ミカ「……来たんだ」

 

リタ「ドーナッツの差し入れですよ」

 

ミカ「おー……ってダメでしょ」

ミカ「私はトリニティの裏切者として捕まってるのに」

 

リタ「限定品ですよ?」

 

ミカ「逆に君はそれで良いの?」

ミカ「限定品のドーナッツ、あの時は激怒してたのに」

 

リタ「今日はもう五個食べてるので」

リタ「一個くらいはあげます」

 

ミカ「食べすぎだと思う」

ミカ「まあ、いっか。リタくんも一応ティーパーティーだし」

 

リタ「百合園セイア代理ですからね」

 

ミカ「それは名前だけでしょ」

ミカ「実権は無いよね」

 

リタ「こういうのは雰囲気なんですよ」

 

ミカ「それで誤魔化せる程今の雰囲気は軽くないよ?」

 

 そう言いながら、ミカはリタからドーナッツを受け取って食べる。

 

ミカ「美味しい」

 

リタ「では、ドーナッツも渡せたし、帰りますね」

 

ミカ「ちょっと待って、それだけ?」

ミカ「尋問とかはしないの?」

 

リタ「え?」

 

ミカ「何その、意味不明な事を聞いたって顔は!?」

ミカ「面会なのにドーナッツだけって、おかしいよね!?」

 

リタ「別に、ミカ様とはそんなに仲良くないし」

 

ミカ「そうだけどさ!?」

ミカ「さっきまで飽きる程話したのはそうだけど、話しが無さ過ぎるのも退屈だよ?」

 

リタ「ざまぁ」

 

ミカ「その顔、ムカつく……!」

 

リタ「そういう訳で」

 

ミカ「待って、一つだけ訊かせて」

ミカ「リタくんは、私を恨んでる?」

 

リタ「毛ほど恨んで無いのでさようなら」

 

ミカ「えぇー……」

 

 リタは、振り返る事無く去って行った。

 

ミカ「……」

 

ナギサ『彼は、タヌキです』

 

ミカ「……君の本当の姿は、それなの?」

 

◇◇◇◇◇

 

"リタがタヌキ?"

 

ハナコ「……先生には、心当たりがありませんか?」

ハナコ「自らを化かしている、そんな様子が」

 

"うーん……"

"心当たりは無いかも"

 

ハナコ「……心配なんです」

ハナコ「あの子が、無理していないか」

 

"無理はしてると思うよ"

"まあ、リタはそれを望んでいる節はあるけど"

 

ハナコ「……」

 

"大丈夫、リタは強い子だから"

"少しくらいの無理なら、簡単に超えてくるよ"

"耐えられなさそうなくらいの無理は止めるけどね"

 

ハナコ「……」

ハナコ「リタくんは、私が嫌いになってしまったのでしょうか」

 

"そうかな"

"ハナコのために頑張ってるって、そう言ってたから"

"嫌いではないと思うよ"

 

ハナコ「……」

ハナコ「私、あの子の事が、よくわからなくて」

ハナコ「幼馴染で、一緒にいたはずなのに」

 

"でも、中学校は違ったんじゃない?"

"またハナコと通いたいからトリニティを選んだって言ってたし"

 

ハナコ「……私が誘ったんです」

ハナコ「離れ離れになって、寂しくて」

ハナコ「もう一度一緒にって」

 

"なら、中学校で彼は変わってしまったのかもしれないね"

"何があったんだろう"

 

ハナコ「……もう一度、話したい」

ハナコ「私は、リタくんの事が、大好きですから」

ハナコ「もう一回、仲良くなりたい」

 

"きっと、リタもそう思ってるよ"

"今は仲違いをしてるかもしれないけど"

"いつか、もう一回話せるように、私も協力する"

 

ハナコ「……ありがとうございます」

 

 ハナコは、寂しそうな表情になったが、すぐに元の笑顔に戻した。




リタにとっての本当の姿とは、何だろうね。
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