自分だけのオリジナル男子生徒を作って、他と差をつけよう! 作:レイトウカイトウ
アロナ「位置情報が取得できました!」
"ナイス!"
リタ「やっと脱出か」
リタ「疲れたな」
アロナ「本当です」
アロナ「先生は反省してください」
"次来る時は準備してきます"
アロナ「懲りてくださいね?」
"はい……"
リタ「はは、まあ良いじゃん」
リタ「しっかりと準備をして、また来れば良い」
アロナ「それはダメですよ!」
リタ「その時はオレも一緒に行ってあげるから」
リタ「今日みたいに、助けてあげる」
"リタ……!"
アロナ「……まあ、良いです」
アロナ「ですが! その時は口ずっぱく言いますからね!」
"ありがとう、アロナ"
リタ「はは、決まりだな」
アロナ「やっと帰れますからね」
"お風呂に入りたいね"
リタ「わかる」
アロナ「このまま真っ直ぐ行けば、脱出ですよ!」
"やったー!"
先生とリタはそのまま進む。
開けた道が見えてきた。
"森から出られる!"
リタ「感動の瞬間じゃん」
そして、開けた道を出る。
"脱出!"
"私たちの冒険、完!"
リタ「まだ家に帰ってないけどね」
アロナ「ですが、森から脱出できました!」
"ここまで来てしまえば……"
"……知らない道だ"
リタ「まあ、そうだよね」
アロナ「位置情報を取得できるようになった方向を指しただけだったので……」
"でも、ここからなら帰れるね!"
アロナ「お任せください!」
"頼もしいな"
リタ「流石高性能AIってところか」
"自慢の相棒だよ"
アロナ「先生、リタさん、こっちです!」
アロナの示した方向に、先生とリタは進む。
"ふぅ、波乱な日だった"
リタ「先生のせいだけどね」
"そうだったね"
リタ「でも、面白かったよ。ありがとう、先生」
リタは、満面の笑みを浮かべてそう言った。
◇◇◇◇◇
下山中、先生たちは温泉宿を見つけて、入っていた。
"こんな所に温泉があるなんて、ついてるね"
リタ「着替えは持ってないけどね」
"まあまあ、シャーレに帰ってから貸してあげるから"
リタ「それはありがたい」
リタ「小さくて入らないかもだけど」
"君が大きすぎるだけだよ"
"私だって170cmくらいはあるよ!"
リタ「オレは186cmあるから」
リタ「相棒も182cmと193cmだし」
"キヴォトスの男子生徒って高いんだね"
"くっ、私が情けない……"
リタ「まあまあ、落ち着いて」
リタ「周りが女子生徒ばかりだし、身長が高すぎるのは逆に損だよ」
"身長が低い私の当てつけかな?"
リタ「違うって」
"ムキーッ!"
"そんなに笑顔で、楽しいか!"
リタ「あはは、先生って面白いね」
"悔しい……!"
リタ「でも、先生はそれで良いよ」
リタ「身長が高いと、相手を威圧する事が多いからさ」
リタ「特に男子は、ね?」
"そう言われるとそう思える……"
"とか言って、君はモテるんでしょ?"
リタ「それは無い」
"嘘だ!"
リタ「嘘じゃない。オレはトリニティでは悪い奴だから」
"え?"
リタ「……セイア様の後ろ盾を得る前は、いろいろ非道な事に手を染めたから」
リタ「皆オレを嫌ってる」
"……"
リタ「まあ、オレが一番欲しいのは権力だから、別に良いんだけど」
リタ「少なくとも、オレを好きな奴は……」
"奴は?"
リタ「……セイア様は、オレの事を好いてくれてるのかな」
リタ「……無いか」
"……"
リタ「オレはトリニティの嫌われ者だから」
"そんな事は無いよ"
"恋愛方面かどうかはわからないけど、そのセイア様っていう人は"
"君の事は、嫌ってないと思うよ"
リタ「……そうかな」
リタ「自分じゃ、よくわからない」
"後ろ盾になってくれるくらいだよ?"
"嫌いな人の後ろ盾になるなんて、きっと無いよ"
リタ「……そうだな」
"あと、私は君の事を嫌わないからね"
"何があっても絶対、信じるから"
リタ「……人を殺しても?」
"君は、そんな事をしない"
リタ「……オレを排除してこようって奴は、トリニティにはたくさんいる」
リタ「元々才能なんて無いくせに、思いあがるなって、皆言う」
リタ「そういう奴は、オレを排除しようって、躍起になるんだ」
"……"
リタ「オレは、そんな奴らを、逆に排除してやった」
リタ「ただの嫌がらせには、もみ消せる程の濡れ衣を着せる」
リタ「ティーパーティから追放しようって奴は、逆に追放させるくらいの悪事に、無理矢理加担させて消す」
リタ「トリニティから追放しようって奴は、トリニティ転覆罪とかを着せて追放する」
"……"
リタ「オレは、そういう奴だ」
リタ「邪魔する奴らは、皆返り討ち」
リタ「権力を得るために、手段なんて選んでられない」
リタ「……どうしてセイア様は、こんなオレの後ろ盾になってくれたんだろう」
リタ「……物好きだな、あの人は」
"……"
"自分からは、決してやらないんだ"
リタ「当たり前だろ。リスクが高いのに」
リタ「せっかく実績を積んできたのに、やる必要は無い」
"……君は悪くない"
リタ「いいや、悪い」
"……なら、君を追放しようって子たちも悪いよね"
リタ「……あいつらは、自分の居場所を守ろうとしただけだ」
リタ「オレがいなければ、変わらずあそこにいた」
リタ「オレが、潰したんだ」
"どうして君は、その子たちの居場所を奪ってまで"
"権力にこだわるの?"
リタ「……」
"確か、あの子のためだっけ"
"あの子が、そう望んだの?"
リタ「……違う」
"……そっか"
リタ「……訊いてこないんだ」
"そろそろ、黙れだなんて言われそうだからね"
"嫌がってる事を、無理矢理訊こうだなんて思ってないよ"
リタ「……オレは怒鳴らないよ」
リタ「……ただ、黙るだけ」
"なら、猶更訊けないね"
リタ「……いつか話すよ」
リタ「心の準備ができてから」
"待ってるよ"
リタ「……ごめんなさい」
リタは、苦しそうにそう言った。
"……セイア様って、どういう子なの?"
リタ「……変な人だよ」
"どのように?"
リタ「初対面の時に、こんな事を訊かれた」
リタ「『キヴォトスの「七つの古則」、その五つ目について、君はどう思う?』って」
"?"
リタ「……確か、『楽園に辿り着きし者の真実を、証明することはできるのか』……だったな」
リタ「興味無くて忘れてたけど」
"どういう意味?"
リタ「うーんと、『楽園の存在証明に対するパラドックス』?だった気がする」
リタ「もし楽園があったら、そこに辿り着いた奴は満足して外に出なくなるはずだけど」
リタ「外に出た場合は『本当の楽園』ではなかったって感じ」
"えっと……"
リタ「まあ、簡単に言うと」
リタ「楽園に到達した奴は、その外では観測されなくて、存在を捕捉だれうるはずがないから……」
リタ「えっと……存在しない者の真実は証明できるの?みたいな」
リタ「要するに、七つの古則の五つ目は証明できないって事。セイア様は『不可解な問い』って言ってたはず」
"うん"
リタ「……あれ、この後にもなんか言われたな」
リタ「セイア様、オレが質問に答える前にいろいろ言う人だからなぁ」
リタ「お喋りが好きな人で、そこが魅力的でもあるんだけど」
"そうなんだね"
"君はどう返したの?"
リタ「待って、今思い出すから」
"覚えてない?"
リタ「うーん……」
リタ「その後は確か、証明できない真実は無価値なのかって、真に問いたい事があるんじゃないってなって……」
リタ「夢を見る人が描く虚像って、そう言われて……」
リタ「……あれ、何にも覚えてないや」
"訊かれた事は覚えてるのに、返した事は覚えてないって事があるんだ"
リタ「まあ、その時はテキトーに返したから」
"えぇ……?"
リタ「そもそも、七つの古則がどうでも良くて、何も考えずに返したんだよ」
リタ「それで、その時の反応がさ、また面白くて」
"うんうん"
リタ「『君が何を考えているのか、更に興味が湧いてきた』なんて言われてさ」
"テキトーに返したのに?"
リタ「うん」
リタ「変な人でしょ?」
"それだけだと変だって思わないけど"
リタ「そうだな」
"でも、変わってる子ではあるかもね"
リタ「言えてる」
リタ「……そんな人だからこそ、オレを助けてくれたのかな」
"君は、セイア様が好きなの?"
リタ「……身分差があり過ぎる」
"そんなのは超えていかないと!"
"行動する者にこそ結果は得られるんだよ!"
リタ「……」
"……そういえば、もういなかったんだっけ"
"ごめん。君が生きてるって感じで言ってたからつい"
リタ「……ミスったなぁ」
"……ミス?"
やっべ、長くなっちゃった。