自分だけのオリジナル男子生徒を作って、他と差をつけよう! 作:レイトウカイトウ
リタ「……誰も聞いてない、かな」
"どうしたの?"
リタ「……セイア様は、ヘイローを破壊されたって、そう言ったじゃん」
"うん"
リタ「あれ、実は嘘なんだ」
"えぇ!?"
リタ「誰にも言っちゃダメだよ?」
リタ「極秘情報だからさ」
"まあ、言わないけど"
リタ「あぁ、知られたら怒られるよ、絶対」
"言いすぎちゃったね"
リタ「うぅ、セイア様への想いが仇になるなんて……」
"大丈夫、応援するから"
リタ「今はそんな事言わないで」
"ごめんって"
"誰にも察せられないようにするから、許して"
リタ「……約束だよ?」
"わかってる"
"約束は守るから"
リタ「……はぁ」
リタ「そもそも、セイア様に劣情を抱いてるのが悪いんだけど」
"そんな事ないよ"
"そういう心は大事だから"
リタ「うぐぅ……」
"魅力的な人なんでしょ?"
"なら、仕方ない"
リタ「……そうかなぁ?」
"大丈夫、安心して"
"もし何か言われたら私が守るから"
リタ「嫌な予感しかしない」
"泥船でも、乗っていれば快適かもしれないよ?"
リタ「泥船を補修するのはオレだよな?」
"任せた!"
リタ「結局丸投げじゃん……」
リタ「……まあ、いっか」
溜息をついたリタの表情は、どこか嬉しそうだった。
◇◇◇◇◇
温泉宿、休憩室
リタ「ふぅ、コーヒー牛乳は美味しいな」
"フルーツ牛乳も美味しいよ"
アロナ「イチゴミルクをください!」
"はい"
アロナ「やった!」
リタ「AIも飲み物を飲むんだ……」
"高性能AIだからね"
リタ「関係なくない?」
アロナ「AIだってお腹が空くんですぅ!」
リタ「あはは……」
"休憩したら、下山しよっか"
"駅まで一時間くらい歩くけどね"
リタ「おんぶしてあげよっか?」
"君の本気の速度に合わせたら死んじゃうよ"
リタ「ごめんって」
リタ「あれでも手加減しまくってたんだけどな」
"あれでも!?"
アロナ「もっと上があるんですね!」
リタ「うん」
"男子生徒って、凄いんだね"
リタ「それほどでも」
"まあ、今回は私に合わせてもらうけど"
リタ「わかってる」
"お願いだよ"
リタ「任せて、泥船の方がオレは楽しめるからさ」
"そういう趣味?"
リタ「なんでだよ」
リタ「……否定できないけど」
"虐めた方が良い?"
リタ「そういう事じゃなくって」
リタ「天国とか楽園とかよりは、地獄の方が楽しめるかなってだけ」
アロナ「凄い趣味してますね」
リタ「あんまり舐めるなよ?」
アロナ「すみません……」
"地獄の真ん中で大声で笑うタイプ?"
リタ「ご名答!」
"今からでも楽園の事について教えてあげなきゃ!"
リタ「うーん、それは困るかも」
"どうして?"
リタ「……」
リタは目を閉じた。
??『君はどうして、楽園を否定する?』
リタ「……」
リタ「……楽園とか天国があると、困るんだ」
リタ「そんな物はあっちゃいけない。あってはならない」
リタ「もしあるとするのなら、もしあるって証明できてしまったのなら……」
"なら?"
リタ「……オレが、オレたちが、困る」
アロナ「どうして困るんですか?」
リタ「……」
??『それは、君にとって不都合があるのかい?』
そして、リタはゆっくりと目を開ける。
リタ「……楽園だって信じていた所が、実は地獄でしたって」
リタ「そんな事を何回も何回も何回もされると、何も信じられなくなるだろ?」
リタ「……だから、楽園の事なんて、作られた真実の裏に存在する事実なんて、知りたくもない」
"……"
リタ「まあ、さっきの古則って言うわけじゃないけど」
リタ「楽園の存在を証明する事はできないならさ」
リタ「それで良いよ」
"そっか"
"君がそう言うんなら、仕方ないね"
アロナ「重いですね、何があったんでしょうか」
リタ「聞きたい?」
アロナ「遠慮しておきます」
"でも、これは言っておく"
"世の中は苦しい事だけじゃないよ"
リタ「知ってる。セイア様と出会えたし、あいつらとの日々も楽しかったし」
リタ「……だけど、それは楽園で起きた事じゃない。地獄で起きた、数奇な出来事だったんだ」
リタ「……先生に出会えた事もな」
"今は楽しめてるの?"
リタ「うん、先生との冒険だし」
"それは良かった"
アロナ「うぅ、油っこい物を食べた気分です……」
リタ「ご愁傷様」
アロナ「深堀しなければ良かったです……」
"そうだね"
"なんだか、君の事ばっかり聞いている気がする"
リタ「そうだな」
"帰り道は、私の事でも話そうかな"
リタ「それは助かる」
アロナ「私も聞きたいです!」
"それじゃあ、十分に休憩できたから、行こうか"
◇◇◇◇◇
一時間後、駅のホーム
"いろいろ話しちゃったね"
リタ「楽しかった」
アロナ「もっと聞きたいです!」
"うん。続きは電車の中かな"
電車が来た。
ゆっくりとした足取りで、乗る。
"それでね、私はその子の脚を舐めたんだ"
リタ「キモイね」
アロナ「でしょう?」
"魅力的な脚をしてる方が悪い!"
リタ「加害者は皆そう言うよ」
"君はセイア様の脚を舐めたいとは思わないのか!?"
リタ「普通は無くない?」
アロナ「そうですよ!」
"そんな、味方がいないなんて……!"
"君だってセイア様にあれやこれやをしたいって思わないのかい!?"
リタ「確かに、一緒に買い物したりとか、一緒にご飯を食べたりとか、したいけど」
"キヴォトスの男子生徒は純粋過ぎる……!"
アロナ「健全ですねー」
リタ「何を想像したんだよ……」
"君の性癖をあれやこれや暴こうって思ってたのに!"
リタ「これが大人の姿か?」
アロナ「違うと思います」
"えぇい! 君も性癖を教えろ!"
"不公平だろうがい!"
リタ「そんな事を言われても……」
リタ「……よくわからないな」
"セイア様のどこに魅力を感じたんだ!"
リタ「お話が面白い、行動が面白い、一緒にいて落ち着くし楽しい、オレを救ってくれた、後ろ盾になりたいって言ってくれた――」
"私の敗北だよ"
アロナ「全く、これだから先生は」
"うぅ……!"
リタ「まだあるけど」
"もう良いよ、私は負けたんだ"
リタ「敗因を教えてくれ」
アロナ「それ以上はダメです」
リタ「えぇ……?」
電車に揺られながら、先生たちは盛り上がっていた。
信じる者は、救われない