神様の祝福は不要です! ~こじらせ魔導師と異世界ガノタ少女のビーム魔法開発記録…のはずだが、周りの連中が勝手に二人をくっつけようとしてくる件~   作:小河白明夫

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第1話 光属性の魔導師

 異界の書、それはこの世界ではない別の世界で書かれたといわれる本で、それがどうやってこの世界にやって来たのかはまだ分かっていない。

 今現在わかっていることは、それはこの世界には存在しない言語で、この世界には存在しないものについて書かれているということだけ。

 

 そしてそんな異界の書の内の一冊を手にし、それに描かれているものに心奪われる一人の少女がいた。

 少女が手にしたその本に描かれていたものとは、光の剣を手にして戦う白いゴーレム…らしきものである。

 

 

 

 異界の書の内の一冊、白きゴーレムの書の所有者である少女アナ・ハイラムは冒険者ギルドへとやって来た。

 冒険者の中には荒くれ者も多いため、アナは周りにいる冒険者たちを警戒しながら恐る恐る歩みを進めていき、そしてやっと受付カウンターにたどり着く。

 

「あ…あのっ…」

「何かご依頼ですか?」

 

 小柄で気弱そうなアナの姿を見て、一瞬で冒険者でも冒険者志望の者でもないと悟った受付嬢はそう尋ねた。

 そしてもちろんその受付嬢の予想通りアナは冒険者などではなく、あるものを求めてここにやって来たのである。

 

「えっと…あのっ、そのっ…」

「何ですか?」

「わ…わたし、光属性の魔導師さんを…」

「光属性の魔導師…ですか。それはちょっと難しいですね。神聖魔法が使える光属性の方たちは、教会や診療所に所属される方が多いんですよ」

 

 神聖魔法とは、神の力を借りて行使する魔法であり、その効果は主に回復、浄化、結界など。

 そして光属性の魔法は、ほぼ全てがこの神聖魔法に属するものである。

 

「冒険者になってくれた数少ない光属性魔導師さんたちも、回復魔法が欲しい高ランクパーティーから引っ張りだこなので、なかなか手の空いている人がいないんですよ」

「そう…なんですか…」

「回復や浄化の力が必要なら、教会か診療所を訪ねてみたほうがいいかもしれないですね」

「わかり…ました……」

 

 アナの求める者はこの冒険者ギルドにはいないということを告げられて、アナは残念そうにとぼとぼと帰っていく。

 

 そしてそんなアナと入れ違いに受付カウンターにやって来たのは、剣を携えた真っ白な髪の青年であった。

 

「あっ、レクスさん。ついさっき光属性の魔導師を探している女の子が来たんですけど…」

「じゃあ俺には関係ないな」

「ですよね。レクスさん、光属性だけど神聖魔法使えないですもんね」

「そんなことより、何かちょうどいい討伐クエストは…」

「ああ、それでしたら、森でゴブリンの群れを見たという報告があって、普通はソロじゃちょっと厳しい感じだと思うんですけど、レクスさんなら…」

 

 そう言われてレクスはクエストの内容を確認する。

 そして…

 

「まあ、この程度なら問題ないだろ。これでいい」

「ではレクスさん、クエストよろしくお願いしますね」

「ああ」

 

 こうしてクエストを受注した冒険者レクスは、そのゴブリンの群れがいるという森へと向かった。

 

 

 

 町のすぐ北にある森へとやって来たレクスは、そこでクエストの討伐対象であるゴブリンの群れを発見する。

 ゴブリン五体に、その上位種であるホブゴブリン二体とゴブリンロード一体。

 

 ただのゴブリンだけならまだしも、ゴブリンロードまでいる群れにただの冒険者が一人で突っ込むのはあまりにも無謀。

 そこで物陰から群れの様子をうかがっていたレクスは、小石を一つ手に取ると、それをゴブリンの群れのほうへと放り投げた。

 

「ゴガッ?」

「ゴギャギャ?」

 

 その石で何やら敵らしき者が来ているのでは?…と考えている様子のゴブリンたちは、すぐさま下っ端のゴブリン二体をレクスのいる場所へと偵察に向かわせた。

 

 そしてその二体のゴブリンは物陰に潜んでいたレクスの姿を発見すると、棍棒を振りかざして襲い掛かってきた。

 

「ゴガァァッ!」

「ゴギャァァッ!」

 

 だがレクスはそんな襲い掛かってくるゴブリンに慌てることもなく、その二体のゴブリンに向けて手をかざした。

 するとレクスの手から強烈な閃光が放たれ、ゴブリンたちの目をくらましてしまう。

 

 こうなっては視力を奪われたゴブリンはレクスに攻撃を当てることもかなわず、その隙にレクスがゴブリンたちの急所を斬りつけて、まずは二体討伐完了。

 

 だが先ほどレクスが放った閃光とゴブリンたちの血の匂いにより、残りのゴブリンたちは仲間がやられたことに気づき、今度はゴブリン三体とホブゴブリン一体が一気に突撃してきたのである。

 だが……

 

「ゴ…?」

「ゴギャ?」

 

 ゴブリンたちがレクスのいた場所へとたどり着いたとき、そこにレクスの姿はもうなかった。

 今レクスがいるのは、取り巻きの減ったゴブリンロードの背後。

 

 レクスは強烈な閃光で先ほどの場所にゴブリンたちの注意を引き付けることで、群れのボスであるゴブリンロードに気づかれることなく、その背後へと回り込んでいたのである。

 

 そして背後から首を切り裂いて、まともに戦えば結構な強敵であるはずのゴブリンロードを実にあっけなく討伐完了。

 一体だけロードの傍らに控えていたホブゴブリンも、すぐさまレクスに攻撃を仕掛けようとしてくるものの、閃光の魔法で目をつぶされてから急所を斬られておしまい。

 

 その後戻ってきた残りのゴブリンたちも、同様に閃光の魔法で目をくらませてから急所を突くというやり方で次々と倒していき、ゴブリン討伐クエストはあっさりと終わってしまった。

 

 するとその直後、どこからかぱちぱちという音が。

 そこで音の聞こえてきたほうにレクスが目を向けると、そこにいたのは冒険者ギルドに光属性の魔導師を探しに来ていた少女、アナであった。

 

 どうやらアナは冒険者ギルドでレクスと受付嬢の話を聞いていて、そこで光属性の魔導師であるレクスの後をつけてきて、レクスとゴブリンたちとの戦いをこっそりと見物していた模様。

 

 そしてアナはそんなレクスの戦いにずいぶんと感激したらしく、目をキラキラと輝かせながらぱちぱちと手を叩いている。

 するとそんなアナのもとへと向かってレクスが歩き出す。

 そしてレクスはアナの目の前までやって来ると、手のひらを前方にかざした。

 

「?」

 

 突然のレクスの行動にきょとんとするアナ。

 するとその直後、レクスの手からあの強烈な閃光が放たれる。

 

「きゃあぁっ!」

 

 閃光に視力を奪われて何も見えなくなるアナ。

 

「な…何も…見えな…」

「見ないほうが身のためだ。特に後ろはな」

「えっ?」

 

 その後視力の戻ってきたアナが目を見開くと、そこにあったのは血の滴る剣を前に突き出しているレクスの姿であった。

 そこでアナは自分の顔の横にある突き出された剣のほうへと視線を向けてしまい、そして自分の背後でその剣に額を貫かれているゴブリンの姿を目にしてしまった。

 

 どうやら群れを離れていたゴブリンがこの場に戻ってきて、そしてアナに背後から襲い掛かろうとしていたようである。

 つまりアナは間一髪のところでレクスに命を救われた…ということになるのだが…

 

「きゃあぁぁぁっ!」

 

 離れた所から見物するくらいなら大丈夫でも、目の前でゴブリンの死体を見せられるのはさすがにきつかったようで、アナはその場で意識を失って倒れてしまった。

 

「だから見ないほうがいいと言ったのに…。これ、どうするんだ?」

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