神様の祝福は不要です! ~こじらせ魔導師と異世界ガノタ少女のビーム魔法開発記録…のはずだが、周りの連中が勝手に二人をくっつけようとしてくる件~ 作:小河白明夫
レクスがカーマとの決闘で使用した光の剣を見て以来、アナはずっとその魔法の術式の開発に取り組んでいた。
「アナさん、今日はお一人ですの?」
「はい。あとはこの前見て記録したものをもとに術式を作るだけですから」
「そうですの。それで術式の開発、調子はいかがですか?」
「ええっと…」
今術式を作ろうとしている光の剣の魔法は、以前作った閃光の魔法とは全く違うものであるため、これまでの応用で術式を作ることが出来ず、アナもかなり苦戦している模様。
「ここの魔力の流れと性質の変化を術式に起こすのが難しくて、なかなかうまくいかないです」
「そ…そうですの」
シオンの専門はあくまで魔法薬であるため、今アナが作ろうとしている全く新しい魔法の術式に関しては、正直見たり聞いたりしてもさっぱり理解が追い付かない模様。
「行き詰っているようでしたら、先生か魔法開発専攻の先輩などに相談してみては…」
「いえ、この術式はわたし一人で作り上げたいので、誰かの手を借りるつもりはありません」
そう答えたアナの目に力強い意志を感じたシオンは、きっとレクスのためのものだからアナもこんなに必死に頑張っているのだろうと感じた。
「愛…ですわね」
「はい、愛です」
「まあ」
「これは白いゴーレムへのわたしの愛です!」
だがその答えはシオンが思っていたものとは違っていた。
「そっちですの?」
「そっち…って、何のことですか? 紫のゴーレムの武器なら一見光の剣とはよく似てますけど、こっちは実体のある棒を熱しているもののようですし、これなら今ある火属性の魔法でも普通に再現できます」
「わたくしが言っているのはゴーレムの種類のことではありませんわ」
「ん?」
シオンの言いたいことの意味がアナには伝わっていないからか、二人の会話はいまいちかみ合っていないようである。
だがそれはそれとして、自分も少しはアナの力になりたいと思ったシオンは、自分に何ができるのかと考えた。
そして……。
その日の午後、冒険者ギルドにて。
「なあねえちゃん、おれら今クエスト終わったところだからさ、どっか一緒に遊びにいこうぜ」
「いえ、わたくしはその…」
「かてえこと言うなよ、ねえちゃん。ちょっとくらい、いいじゃねえか」
「で…でも……」
とある冒険者パーティーがナンパをしている模様。
そしてそこにやって来たレクスは、そんな連中には一切かかわることなく通り過ぎようとしたのだが、ナンパをされていた少女がとっさにレクスの腕をつかんだ。
「わ…わたくし、この方と用事がありますの。で…では…」
「そんなっ!」
「何でそんな奴と…」
こうして少女はナンパ者の冒険者たちをまくことに成功したわけだが、それに利用されたレクスは、面倒なのに巻き込まないでくれ…とでも言いたそうな顔をしている。
だがそれと同時に、自分の腕をつかんできた少女の顔に見覚えがあるような気がした…が、人の顔と名前を覚えるのが苦手なレクスはいまいちこの少女のことを思い出せず、まあ別にどうでもいい存在だろ…と思って、さっさとこの少女から離れようとした。
「じゃ…」
「先ほどは助かりましたわ、アナさんの彼氏さん」
「っ!」
レクスは突然事実とは異なることを言われてすっ転びそうになったが、なんとかギリギリのところで踏みとどまった模様。
そしてそのときレクスはこの少女の顔をはっきりと思いだした。
今日は魔法学校の制服ではないのですぐには思い出せなかったが、間違いなくこの前魔法学校で会ったあの少女である。
「お前、魔法学校の、ええっと…」
「はい。アナさんの親友の、シオン・ガーナインですわ」
「何でこんな所にいる?」
「ちょっと手に入れたいものがありまして、クエストの依頼に来ましたの。アナさんの彼氏さんはクエストの達成報告ですの?」
「変な呼び方をするな」
レクスは二度も事実と異なる呼び方をされたことで、割と本気でシオンの顔をにらみつけている。
「あら、あれで何も進展されてなかったんですのね。アナさんのあの反応、絶対何かあったと思いましたのに」
「おい」
「アナさんの…いえ、レクスさん、もっと自信を持って積極的にいきましょう! わたくしも応援していますわ」
「お前何なんだ」
レクスはやはりこの女苦手だ…と思った。