神様の祝福は不要です! ~こじらせ魔導師と異世界ガノタ少女のビーム魔法開発記録…のはずだが、周りの連中が勝手に二人をくっつけようとしてくる件~   作:小河白明夫

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第19話 魔法薬の使い道

 冒険者ギルドの受付嬢であるベルのもとに、レクスがクエストの達成報告にやって来た…が、そんなレクスの隣に一人の女の子の姿が見える。

 そしてそれはベルが知る限りでは唯一レクスとまともに話せる相手のアナではない。

 そこでベルは尋ねた。

 

「レクスさん、その子は?」

「アナの知り合い」

「知り合いではなくて大親友ですわ」

 

 いつの間にか大が付け加えらた。

 

「初めまして。わたくしはシオン・ガーナインと申します。アナさんとは、魔法学校でとても親しくさせていただいていますわ」

「そう、アナちゃんの…」

 

 このときシオンはこのギルドの状況から推察した。

 レクスはこのギルド内にいるほとんどの者からかなり距離を置かれている様子だが、目の前にいるこの受付嬢だけは例外。

 そしてこの受付嬢はアナのことも知っている。

 つまりこの人こそが、ここでの二人の関係について一番詳しいはず…と。

 

「受付嬢さん!」

「は…はい」

「ここではアナさんとレクスさんはどのような感じですの?」

 

 このシオンの問いを聞いて、ベルは即座に感じ取った。

 この少女は魔法学校でのアナとレクスのことを一番よく知っている人間であり、そして自分と同じ思いを持つ者であろうと。

 

「シオンちゃん、このことについては後でじっくりお話ししましょうか」

「はい、ぜひともお願いいたしますわ」

 

 こうして同じ思いを持つ二人が手を組むこととなった。

 そしてこのときの二人の笑顔に、レクスは得体の知れぬ恐怖を感じたという。

 

「お前らいったい何を企んでいる?」

「何も企んでなどいませんわ」

「そうですよ、レクスさん」

 

 今のこの状況は何か危険を感じると思ったレクスは、さっさとクエストの達成報告を済ませて、一刻も早くこの場から立ち去ろうとした…が…

 

「シオンちゃんは今日はどんな御用で?」

「ちょっと手に入れたい素材がありまして、それの採取依頼をしに来ましたの」

 

 ベルがレクスのことそっちのけで、シオンの依頼の話を先に始めてしまったため、レクスはクエストの達成報告が行えず、まだ帰れない。

 

「それでシオンちゃん、その手に入れたい素材は何なのかしら?」

「一稔仙草という少し珍しい薬草ですわ」

「一稔仙草…ね」

 

 あまり名前を聞かない素材であったため、ベルは冒険者ギルドで受け付けている採取素材のリストを確認してみた。

 

「……あっ、ありました。大丈夫ですよ、ちゃんと手に入れられる素材です」

「それはよかったですわ」

「でもほとんど依頼が来たことのない素材だけど、これどんな素材なの?」

「この薬草を使用することで、普通とは違う特別なポーションが作れますの」

「もしかして回復効果がすごいとか?」

「いえ、回復効果は普通の薬草で作るものと大差ありませんわ。ですがこの一稔仙草で作ったポーションは余計な味がなく、そして作り出すポーションの種類ごとにそれぞれ違うとてもいい香りがしますの」

 

 このシオンとベルの会話を聞いていたレクスは疑問に思った。

 

「ポーションにそんなの必要か?」

「必要ですわ。料理に使用するのには、とても重要なことですの」

 

 料理にポーションとか言われて、レクスもベルも少々困惑している。

 そんな二人の様子に気づいたシオンは、自分が目指しているものについて語りだした。

 

「わたくしは魔法薬を使用した料理を作る料理人になるために、魔法学校で魔法薬について学んでいますの」

 

 魔法薬のことを学ぶために魔法学校に通っている者は、その大半が医者か薬師を目指している者である。

 それ以外の目的で魔法薬について学びに行く者などほとんどいないため、料理人になるために魔法薬のことを学んでいるシオンは結構な変わり者といえるだろう。

 

 そしてそんな変わり者のシオンだからこそ、神聖魔法ではない光魔法で異世界のゴーレムの力を再現しようとしている変わり者のアナとは仲がいい。

 

「今アナさんはとても難しい術式を作り出すために奮闘されていますので、わたくしはこの一稔仙草を使用した特性スタミナポーション料理で、少しでもアナさんのお力になりたいんですの」

「素晴らしい友情ね、シオンちゃん。では、この一稔仙草採取の依頼は確かに受け付けました」

 

 こうしてシオンの依頼を受け付けたベルは…

 

「ではレクスさん、クエストよろしくお願いします」

 

 即座にそのクエストをレクスに投げた。

 

「何で俺が…。俺は討伐クエスト専門だぞ」

「でもレクスさん、一稔仙草の入手はアナちゃんのためなんですよ」

「そうですわ。アナさんは今もレクスさんのために、術式を作るのをがんばっているんですのよ」

 

 アナが作っている術式の話を出されると、レクスもさすがに断りづらいようである。

 

「じゃあ、このクエストはレクスさんが受けてくれるということでよろしいですね」

「こんなにもすぐにクエストを受けてくださって、とても助かりましたわ」

「おいお前ら、何を勝手に……」

 

 こうして普段討伐クエストしか受けないレクスは、一稔仙草を手に入れるため採取クエストに向かうこととなった。

 そしてレクスは、面倒な奴らが手を組んでしまった…と、今後のことを不安に思うのであった。

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