神様の祝福は不要です! ~こじらせ魔導師と異世界ガノタ少女のビーム魔法開発記録…のはずだが、周りの連中が勝手に二人をくっつけようとしてくる件~   作:小河白明夫

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第20話 山盛り弁当

 ここ連日、アナは休む間も惜しんで光の剣の術式開発に取り組んでいたため、どうやらかなり疲れがたまっているようである。

 そして魔法学校での昼休みの時間、そんなアナのもとにシオンがやって来た。

 

「アナさん、わたくしお弁当を作ってきましたの。アナさんもいかがですか」

「でもわたし、今はちょっと食欲が…」

「そんなことおっしゃらずに……はい」

 

 シオンは持ってきた弁当のおかずの中で、一番食べやすそうな大きさのものを選んでアナの口に入れた。

 すると…

 

「んっ…んんっ……。おい…しい…。それになんだか、ちょっと体が楽になってきたような…」

「これはわたくしの特性スタミナポーション料理ですの」

「ついに完成したんですか?シオンさん」

「はい。レクスさんがアナさんのために、この料理に使うポーションの素材を採ってきてくださったんですのよ」

 

 

 

 

 時はレクスがクエストを受けた直後にさかのぼる。

 シオンはレクスがすぐにでもクエストに出向いてくれると思っていたのだが、どうもそういった様子ではないようなので、ひとまずシオンはレクスの後についていってみることにした。

 

 そしてレクスがやって来たのは町の図書館。

 そこでレクスは何やら調べ物を始めた。

 

「レクスさん、まだクエストには出向いてくれないんですの?」

「……なんだ、お前か」

「お疲れのアナさんのためにも、出来るだけ早く一稔仙草が手に入るとありがたいのですけど」

「だから調べてるんだろ、それの入手法を」

「一稔仙草が生えている山なら、さっき冒険者ギルドで…」

「あんなアバウトな情報だけで探しに行けるわけないだろ」

 

 レクスは慎重な男だった。

 より確実に、より少ない労力で目的のものを手に入れるために、事前に念入りに情報を集めていた。

 

「入手確率が高く、比較的短い移動距離で行ける場所となると、第一候補はこの辺りか。とりあえず近くの村までは馬車で行けて、そこから別の馬車で山のふもとまで送ってもらえそうだな。……おい」

「何ですの?」

「馬車代は経費として請求してもいいか?」

「も…問題ありませんわ」

「……よし」

 

 レクスが本を閉じた。

 どうやらこれで全ての調べ物は終わったようである。

 

「では、これから向かいますのね」

「行くわけないだろ。今出発したら着くころには完全に夜だぞ」

「では明日…」

「いや、今夜からあの山の辺りは天気が崩れるらしいから、明日は山道がぬかるんで歩きづらい。明後日の早い時間の馬車で出発するのがベストだろうな。それなら日帰りで戻ってこれる」

「そ…そう…ですの」

 

 無駄な労力を割きたくない男レクスは、最も楽に一稔仙草を手に入れられる時を待った。

 その結果、本当にレクスは大して苦労することもなく、あっさり一稔仙草を入手して帰ってきたのであった。

 

 

 

 

 そして話は再び魔法学校での昼休みの時間に戻る。

 

「ポーションの素材、わざわざレクスさんが採ってきてくれたんですか?」

「え…ええ。術式開発をがんばっているアナさんのために、レクスさんは寝る間も惜しんで…」

 

 しっかり休んでから日帰りで戻ってこれる時間に出発した。

 

「長く険しい山道を登り…」

 

 比較的短くて歩きやすい道しか通っていない。

 

「雨にも風にも負けず…」

 

 とても過ごしやすい登山日和な気候の日である。

 

「それはもう必死に探し回って…」

 

 事前に当たりを付けていた場所であっさり見つかった。

 

「そしてついに手に入れたのが、このポーションの素材である一稔仙草ですの。全てはアナさんのために!」

 

 二人の仲を進展させたいシオンは、アナがレクスの行いに感激してくれるように、思いっきり話を盛りまくった。

 

「レクスさん、そんなことまでしてくれていたんですね」

 

 だが話を盛ったおかげか、アナはレクスの行いにかなり感激しているようである。

 

「わたし感激しました。レクスさんの白いゴーレムへの愛に!」

 

 そこは自分自身への愛だと思ってほしい…と言いたいところだが、元々盛りまくった事実とはかなり異なる話なので、シオンはこれ以上余計なことは言えなかった。

 

「これは一刻も早く光の剣の術式を完成させないとですね、レクスさんのために」

「そうですわね」

 

 だがとりあえずアナが元気になったので、今日のところはこれで良しとするシオンであった。

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