神様の祝福は不要です! ~こじらせ魔導師と異世界ガノタ少女のビーム魔法開発記録…のはずだが、周りの連中が勝手に二人をくっつけようとしてくる件~   作:小河白明夫

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第9話 あれから四年

 四年前、名門魔導師の家系である少年、カーマ・セドッグは魔法学校を受験した。

 自信家のカーマは自分こそがこの学年のトップであるに違いないと信じていたのだが、入学試験の結果、カーマは主席にはなれなかった。

 

 その年の入学試験主席は真っ白な髪の少年、レクス・ヴァンダム。

 彼は魔力測定でとんでもない数値を叩きだし、あっさりカーマの成績を上回ったのだ。

 

 そのことに納得がいかないカーマは、ことあるごとにレクスに勝負を挑もうとした…が…

 

「勝負だ、レクス・ヴァンダム! 今日こそはオレ様のほうが上だということを、貴様に思い知らせて…」

「……………」

「おいレクス! 聞いているのか、レクスっ!」

「……………」

 

 他人に興味がなく、そんな勝負もただの無駄な行為としか思えなかったレクスは、しつこく付きまとってくるカーマのことを完全に無視した。

 

 

 こうしてカーマはレクスから魔導師科トップの座を奪うことが出来ないまま、一か月ほどが経過するのだが、そこで事態は急変することとなる。

 

 魔法学校の魔導師科ではまず最初に基本的な魔力制御の技術を学び、全員がある程度魔力をコントロールできるようになったところで、適性属性の判定を行う。

 なぜならそのほうがより正確に適性属性の判定が行えるからである。

 

 そして判定の結果はレクス、カーマ共に光属性。

 だがこの判定結果こそが、入学時には神童とまで呼ばれたレクスにとって最大の不幸であった。

 

 通常魔導師が魔法を使う際は、体内の魔力を操り、発動させたい魔法の術式を構築することで、その魔法を発動させることとなる。

 当然その魔法の強さは、使用者の魔力量と魔力制御技術が高ければ高いほど強くなる。

 

 だが神聖魔法の場合はそうではない。

 神に祈りをささげることで神の力を借りて発動させる神聖魔法の強さは、どれだけ大きな祝福を神から与えられたかによるところが大きく、魔力量や魔力制御技術による効果の差は極めて軽微。

 

 そしてその神からの祝福というものは、まれに生まれつき大きな祝福を与えられている者がいるものの、基本的には神への信仰心の大きさに比例する。

 

 よって、神のことをなんか胡散臭い存在としか思っていない信仰心ゼロのレクスは、神からの祝福を一切与えられず、それを必要とする神聖魔法が全く使えなかったのである。

 

 光属性の魔法はそのほぼ全てが神聖魔法。

 ゆえに光属性の魔導師であるにもかかわらず全く神聖魔法が使えないレクスは、何も魔法が使えない魔導師として、主席から一気に最底辺へと落ちぶれたのであった。

 

 

 魔法学校の魔導師科では適性属性の判定後、属性ごとにクラス分けが行われるわけだが、そのクラス分け後、光属性クラスの授業にレクスが顔を出すことはほとんどなかった。

 それは光属性クラスの授業が、魔法の知識や技術を学ぶものではなく、神の教えを学び神に祈りをささげるものだったからである。

 

 より強い神聖魔法を使えるようにするためのものとしては、決してその授業内容は間違っていない。

 だが元々信仰心ゼロの人間が形だけ祈ったところで、それで神聖魔法が使えるようになるわけでもないため、レクスにとってこの光属性クラスの授業は完全に無意味なものだったのである。

 

 だからレクスは授業をさぼり、魔法学校の図書館に入り浸るようになった。

 レクスがそこで調べていたものとは、神聖魔法以外の光属性魔法を使う方法である。

 

 だが魔法に関する書物のほとんどがそろっているというこの図書館でも、神聖魔法ではない光属性魔法に関する本は何も見つからず、結局レクスはこの学校に通う意味を見失い、自ら学校を去ったのであった。

 

 

 

 

 あれから四年、魔法研究科の生徒であるアナの協力者として再びこの学校を訪れたレクス。

 もう顔も名前も一切覚えていないが、それでも当時の同級生と遭遇したら気まずいと思っていたレクスは、この魔法学校の中に足を踏み入れるのがものすごく億劫だった。

 

 しかし魔導師科の生徒の大半は三年で卒業しているため、実際に入ってみたら全然見かけることもなく、レクスは少し安心していた。

 だが、そんなレクスの前に現れたのが、魔導師科五年の制服を着ているあの男である。

 

 通常魔導師科の生徒は三年で卒業するが、宮廷魔導師や高位神官を目指す者はもうあと二年この学校に在籍することとなる。

 そのうちの一人が、かつてレクスに執拗に付きまとっていた男、カーマであった。

 

 

 そしてそのカーマは今現在、レクスに全く覚えられていなかったショックで放心状態となっている。

 

「う……」

「大丈夫ですか?カーマ先輩」

「あ…ああ、大丈夫だ」

 

 カーマは一緒に歩いていた後輩に声を掛けられ、なんとか正気を取り戻した様子。

 

「それであの人、いったい何なんすか?カーマ先輩」

「そうだ。あいつ…あいつは、魔法を全く使えない無能魔導師だ!」

 

 カーマはこの学校入学当時の嫉妬、全く相手にされなかったことへのいら立ち、そして一切覚えられていなかったことに対する怒りを全てぶつけるかの如く、次から次へとレクスを罵倒してきたのである。

 

「ふははははははっ! 入学直後はずいぶんといい気になっていたようだが、しょせん貴様は魔法を使えない落ちこぼれの落第者! そしてオレ様は、神に愛されし神聖魔法の超エリート! もはや貴様のような無能とは、全く住む世界が違う存在なのだよ。思い知ったか、この無能! 何の魔法も使えない無力な魔導師もどきがっ!」

 

 そう上から目線で好き放題ののしってきたカーマのことを心底うざいと思ったレクスは、カーマが近づけてきた顔の前に手をかざすと、カーマの顔面めがけて閃光の魔法を放った。

 

「うぎゃあぁぁっ!」

「魔法なら使えるが、何か?」

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