久しぶりの学校だった早乙女 火花は来るや否や
紗良と亜丹を先頭にクラスメイトに取り囲まれて
窓際、後ろから2列目の席についた
紗良「休むとしか聞いてなかったからなんか
あったんじゃないかと思って
気が気じゃなかったし」
火花「あれ〜?ママが学校に怪我したから
休むって連絡したはずだけど〜?」
亜丹「いや、斉藤先生に休むからと
一言しかなかったと言っていた」
火花「(ママ…)ちょっと怪我しちゃってね〜!
でももう大丈夫だよさりー、あーにゃ、みんなも
ほら〜元気いっぱいだよ〜!」
他の女子生徒も口々に火花に声をかけて
無事を喜んだ予鈴が聞こえ、
担任が入ってくると皆が名残惜しそうに
去っていった
頬杖をつきながら出席確認を聞いていると
前の席の女子生徒が後ろでに可愛く折り畳まれた
手紙が回ってきた
前の生徒、金本美里がこちらを見ずに
小さく手を振っている
先生にバレないように美里の背中を
盾に静かに開く、そこには祝いと心配の言葉が
ずらりと書き込まれていた
火花「(さりー、あーにゃ、みりりん、せりーな
りこりん、ひなひな、シャロン……
それ以外にも沢山、他のクラスもいるし…………
心配かけちゃったな〜)」
火花が微かにはにかんだ、
簡素な寄せ書きのようなその手紙が
普通に嬉しかった、そうしてそっと元通りに
折りたたむと、愛用の筆箱の裏に挟み込んだ
担任「早乙女 火花さん?聞いていますか?」
火花「は、はいっ!?」
驚いた反動で、その必要はないのに
起立して返事した
担任「病む上がりかもしれませんが、さっきから
呼んでいましたよ、大丈夫ですか?」
火花「あ、はい……元気です………」
周りからくすくす笑い声が聞こえる、
火花は微かに顔を赤らめ、ネクタイの結び目を
掴み直しながら静かに席に座り直した
午前の授業が終わったお昼休み、
火花は紗良、亜丹の
いつもの2人と共に窓際の席で集まって
弁当を広げていた、ふと窓の外、
眼下に広がる校庭の一角が目についた
火花「あれ?せりーか達が
外でなんかやってるね〜?」
亜丹「芹香……?」
亜丹も身を乗り出して校庭を見る、確かに片隅に
白線で描かれた『マーク』の上に
何人かの女子生徒達が集まって
皆、空に手を翳して見上げていた
ゆん、ゆん、ゆんと不可解な呪文?が
微かに聞こえる、見られてることに気づいたのか
1人が亜丹をちらりと見上げた
紗良「まーた、オカ研連中が
変なことしてる……」
隣のクラスの相川 芹香を部長とする非公式部活動
「オカルト研究部」の面々が
奇妙なことをしているのが目についた
オカ研部員「芹香先輩、中々来ませんね……?」
マークの中心にいた、そばかす垂れ目の
女子生徒が真剣に首を傾げた
芹香「おかしいな、ちょっともう一度見せて」
別の生徒が月刊誌のページを広げて見せた
赤字で「これであなたもアブダクション!
UFOを呼ぶ方法は実在した!」と書かれていた
また別の生徒はカメラを空に構えたまま
覗き込んでいた
カメラの部員「!!………芹香、
これはどうかな?この白い点!!」
芹香「これ、飛行機だね……太陽の光で
白く見えてるだけっぽい」
流石に3階まで会話は聞こえないが、
大方話していることが予想出来るために
火花はくすりと笑った
亜丹「ひばはどうなんだ?」
火花「どうなんだ、って?オカルト信じてるか?
ヒバナはね〜うん、あると思うよ〜!
そっちの方が面白そうじゃん〜!」
紗良「ひばちゃん、そうなんだ〜!あーしは
信じてないかな、今の時代作れちゃうし」
火花「(スタンドもある意味、
超常現象(オカルト)みたいなもの
だしね〜………)」
亜丹「ん?」
と、いきなり亜丹が不思議な声を出した、
それも誰も来ていないクラスの入り口に向かって
亜丹「んー………?」
火花「あーにゃ?」 紗良「どうしたし?」
だが、亜丹は首を傾げると、首を横に振った
亜丹「いや、見間違えだったみたいだ」
火花「ええ〜?怖いこと言わないで〜?」
亜丹「(今のなんだ……?明らかに人間じゃ……
紗良が怖がるから黙っておくか……)」
〔第10話 未知との遭遇〕
夕方、火花は教室にいた、
クラリネットの練習のため
たまたま自分達の教室にやってきた吹奏楽部の
紗良の近くに座り、練習する様子を見ていた
紗良「ちょ、ひばちゃん、
めっちゃ緊張するんだけど!近すぎじゃん?」
火花「なーんの曲やってんの〜?」
紗良が譜面台の軽く持ち上げて楽譜を見せた
火花「吹奏楽の為の音詩『輝きの海へ』……
知らない曲だ〜!難しい?」
紗良「めっちゃむずい、
見てこの連符ありえんくない!?」
火花が楽譜を覗き込んだ、確かに所狭しと
音符が並んでいる
紗良「ってかさぁ?ひばちゃん、
今日は何もない感じ?
りらっちさんのバイトは?」
火花「今日はないんだ〜!だからひま〜!」
と、教室にクラリネットを持った3年の生徒達が
顔を出した
「ごめん遅くなっちゃって、
ちゃんと練習してる?」
「全然音聞こえないんだけど…‥
何してた……?」
紗良「やっべ真島先輩、酒井先輩!
い、今すぐに〜」
火花「あ、ヒバナ邪魔しちゃったね、
さりーまたね〜!」
紗良「ちょっとマジで!?待っ……」
真島「お友達と話してたんだ、紗良」
クラリネットの1stの真島 高良と2ndの酒井 七が
むむむと顔を顰める
酒井「オッケー……じゃあ、あなたの言うとおり
今すぐにやろう、連符部分から、いいわね?」
紗良「は、はい〜………」
一方、体育館では、バレー部の面々と共に
ユニフォーム姿の亜丹が長椅子で汗を拭いていた
河西「亜丹先輩、なんか今日調子悪いっすね?
だいじょぶすか?」
後輩の河西がそう顔を覗き込んできた、
亜丹はタオルから顔を上げた
亜丹「本当に?あんまりそう思わなかったけど」
増尾「え、それな、てかさ亜丹、
なんか扉気にしてね?なんかいる?」
篠崎「お化けとか〜〜〜!!」
亜丹「…………」
篠崎「え、ごめんじゃん、でもあんまり
調子悪いんだったら保健室に連れてこっか?」
亜丹「…………大丈夫、行ける」
と、亜丹の顔にいきなり横から
スポーツドリンクが当てられる、3年のセッター、半田が見下ろしていた
半田「具合悪くなったら部長のボクに
すぐに言うんだぞ本当に行けるかい尼丸 亜丹?」
亜丹「行けます」
半田「よし、じゃあいこう!
河西、篠崎、増尾、尼丸、
行くぞ!ボク達の出番だ」
はい!!!と4人が大きく返事をすると長椅子から
立った、だがその途中でちらりと亜丹だけが
体育館の入り口を見た
亜丹「(やっぱり………『いる』)」
亜丹の目線の先には、
正確には視界の中の入り口には
奇妙すぎる者がいた、頭は緑色のピラミッド、
手は黒く細長く、身体は宇宙人の様、
その緑色のピラミッドにはエジプトの壁画の様な
一つ目がギョロリと開いていた
試合開始のブザーが鳴る、相手チームとの攻防が
始まる、だが亜丹はその人?が気になって
仕方ない
余裕があると見てふとちらりと見た
『体育館』の『中』に入ってきていた。
亜丹「!?」
半田「ぼさっとしない!!」
亜丹「すみません!!」
飛んできたボールをトスで打ち上げる、
そして隣から河西がレシーブで繋げて
セッターの半田へコントロールした、
半田がそれをアタックして
相手のコートに返した!
亜丹がまたもちらりと見る
それは『コート』の中にいたッ!
後方端、フォーメーションを守っている
篠崎の目の前に迫ってきたッ!
だが、篠崎は気にしていない、
恐らく見えていないッ!
と、その時なんと手が動き始めた
両手でその人?は三角を作ると一つ目に当てた
キィ…………ン
緑の光が強くなる、放たれた怪光線は
亜丹に浴びせられた!
その瞬間、まるで金縛りの様に!
しかしまるで力士に全身を締め上げられた様に
亜丹の全身を締め付ける様な痛みが走って
体を硬直させた!!
亜丹「う………ぁ………っっ!?」
そこに相手コートからのスパイクが亜丹の顔面に
直撃したッッッ!!!!!
半田「尼丸!!!」
相手部員「うわーーー!?
亜丹ちゃんごめん!!」
亜丹がその衝撃でコートに
頭から叩きつけられたッ!
だが、亜丹は何故か構えていた両手をそのまま
挙げたまま下ろすこともなくそのまま倒れた
つまり身体は硬直したままッ!明らかな異常に
すぐさま増尾と篠崎が担架を運びに
走って行った!
河西「先生!!先生!!亜丹先輩がーー!!」
半田「聞こえるかい!?尼丸!!」
増尾「担架待ってきました!!」
篠崎「保健室に運んで来ます!!」
スパイクを打った部員も半泣きで縋り付いている
騒然とする中、2人が担架に丁寧に乗せると
半田、河西もそれに続いて行った
と、体育館から少し離れたベンチに
人影が座っていた
??「こうすれば火花ちゃんの方から現れる」
その瞳は濁った様に『光を失っていた』………
一方その火花はふらふらと校舎内を歩いていた
図書室で時間を潰そうと向かっていた矢先
体育館の方から担架とバレー部員達が騒ぎながら
走ってくるのが見えた
火花「あらら……
誰か怪我しちゃったんだね〜?」
火花はそういうと、廊下の壁に避けて
そっと道を開けてあげた通り過ぎ様、
担架に運ばれる生徒の顔をちらりと覗き込んだ
そして………顔から血の気が引いた
火花「……………あーにゃ!!!??」
そのまま保健室に入って行った、
思わず後を追って保健室の扉に耳を付けた
相手部員「ど、どど、どうしよう……!
ごめん、ごめんね、ごめんね亜丹ちゃん……!」
半田「わざとじゃないだろ、
これは良くある事故だよ気にしないで、
それよりやっぱり様子が変だった」
篠崎「ずっと扉の方見てた気がしますね」
河西「というか亜丹先輩、ぶつかる寸前
おかしかったっすよ?体が固まったというか
あんな強烈なスパイク、
防御も無しに直撃するなんて
亜丹先輩らしくないっす!」
増尾「避けなかった…‥そんな風に見えたわ」
火花「(……?
ただの事故じゃなさそうだね〜…?)」
出てくる気配を感じて火花はさっと身を隠した
4人のチームメイトが、くすんくすんと泣いている
部員を宥めながら体育館への練習へ戻って行った
それを見届けて、火花は静かに保健室に入った
火花「あーにゃ………」
亜丹「ひば……?」
亜丹は氷枕を敷いて、氷袋を乗せられて
布団に横たわり、体温計が脇に挟まれていた
亜丹「ドジった………変なもんが見えて
集中出来なくて」
火花「変なもの……?」
亜丹「頭がピラミッドの宇宙人……はは……
何言ってんだろうなオカ研の
芹香じゃあるまいし」
火花はそれを聞いて背後にラビット・ホールを
出して見せた
火花「あーにゃ、ヒバナの後ろに
なんか見える?」
亜丹「いいや?」
火花「そっか〜……
(明らかにスタンドの攻撃を受けた感じ、
でもスタンド使いじゃないあーにゃが
見えたのは……?
『そういうスタンド』ってこと?)」
火花「…………あーにゃ、もうちょっと
詳しく聞かせて、今回のちょっと不思議すぎる
どんなのを見て、何が起こったか聞かせて〜?」
亜丹が微かに微笑んだ、
そして事の一部始終を語った
しばらくして、火花が保健室から出て
手を振りながら
そっと扉を閉めた瞬間に走り出したッ!
火花「なんとなく予想は出来たッ!
これから向かうべきはさりーのところ!
さりーが攻撃を受けていたらあーにゃが
攻撃された理由も確定する……ッ!」
と、そこに運悪く角を曲がってきた
金髪ブロンドの2人
左腕には赤い[風紀]の腕章をつけていた
だが、事態は一刻を争う、
飛び抜けるしかないッ!
火花「ラビット・ホールッッ!!」
火花が走るすぐ後ろの廊下の床を殴るッ!
巻き起こる火炎の爆風が推進となり、
火花は2人の間を
ジェットのように飛び抜けたッ!
「こらぁ!廊下は走ら……いや飛ばないッ!」
「おい、ちょっと待てッ!」
火花「ごめんなさい黒澤先輩たち〜!
急いでるんで〜!!」
火花が階段に差し掛かるとそのまま駆け上がった
向かうのは2階!2年3組の自分の教室ッ!
2年生エリアに到着すると、
ちょうど金髪を振りながら
自分の教室から出ていく生徒が見えた
それと入れ違うようにして
教室へと飛び込んだッ!
火花「さりーッッ!!」
紗良「びっくりしたし!?ひばちゃんッ!?」
真島「2年の……どうした?」
酒井「練習中ではあるわ……」
だがお構いなしに、
紗良の目の前へと立ちはだかった
火花「さりー……よく周りを見て、
何か変な人が見えてたりしない……ッ!?」
紗良「な、なに……?お昼のあーにゃみたいな
怖いこと言って……
………?」
と、ふと火花の後ろを覗き込んだ、
見えたのは教室前方の扉、それを見た瞬間………
紗良「………は……何……あれ……?」
紗良の視界にも見えた、
『ピラミッドの宇宙人』がッ!
未知との遭遇を果たしたッッ!
教室の扉をグァジリッ!と掴みながら
入ってきたッッ!
紗良「先輩!?なんですかあれーーッ!?」
真島があまりの迫真さに同じ方向を見る、
だが……
真島「なんか……いるか……?酒井は?」
酒井「何も変なのは見えないわ」
だが、一番異変を感じ取ったのは火花ッ!
ラビット・ホールを出して振り返るが
何もいなかった
火花「さりーもやっぱり
別にスタンド使いじゃない
なのにさりーに『だけ』見えているということは
見えるようになる、
なんらかの『条件』があるッ!!」
紗良「こっち来てる……ッ!」
並べられた机を避けるようにして
紗良の視界の中で
ピラミッドの宇宙人はなおも近づいてきていた
そして、『両腕』を『挙げ始めた』
取ったその姿勢はまさに『真理の眼』ッ!
その瞬間ッ!
紗良「がっ………ぁ………ッ!?」
紗良の全身が硬直するように
締め付けられたッ!!
咄嗟に倒れかけた紗良を両側にいた真島と酒井が
背中を支えたッ!
真島「紗良!?大丈夫なの!?」
火花「さりーッ!!えっと、えっとッ!
先輩方ッ!さっきこの教室から出た生徒は
誰ですかッ!?」
酒井「名前を知ってるわけじゃないが……
垂れ目にそばかすの女の子だったわ、
2年だったと思う」
真島「2年よ!校章の色が赤だった!
あとあのなんだっけッ!
光を出してるUFOみたいな
変なバッジつけてたッ!」
火花「そのまま支えていてくださいッ!
………『すぐに』終わらせるんで」
火花が廊下へと飛び出したッッ!
顔を上げたすぐ目の前に既にその子は立っていた
両手で三角を形造り、
真理の眼を構えていたッッ!
明らかな能力使用の合図、だが回避するには
間に合わないッ!
火花「しまッッッ!!!!」
顔を晒す前に緑色の波動をもろに浴びるッ!
頭の中にザザッ、ザザッとノイズのような
雑音が反響するッ!
火花「なんで……ッ!なんでよ………ッ!
せりーかッッ!!」
そこにいたのは隣のクラスの2年4組、
そして、オカルト研究部の部長である
『相川 芹香』が
両腕を広げるように上げて空を見上げた
芹香「やっと釣れましたぁ……
えへへ、火花ちゃん」
火花「やっぱりヒバナがターゲットだったんだね
せりーか……そのためにあーにゃと
さりーを………」
火花が横目で教室内の紗良を見た、
普通に顔を上げて
キョロキョロして辺りを見回している
2人の先輩がそんな紗良を気にかけていた
火花「そして、そのスタンド能力、1人にしか
適応されないんだね〜?
なんとか言ったらどう〜?」
火花が拳を握った、芹香がやっと目を合わせた
その瞳は『光を失ったよう』に真っ暗だった
芹香「スタンド?
この超能力(サイキック)のことですかぁ?
私の望みの姿になったんですよぉ!
こんなにうれしいことはないですぅ!」
芹香が腕を下ろすと、目の前に現れたのは
亜丹と紗良の視界にいた
あの宇宙人のスタンドッ!
火花「一度せりーなと『目を合わせないと』
見れるようにはならない、
そんなところかな〜?」
芹香「ムーン・ピラミッドの頭、
フラットウッズ・モンスターの腕、
グレイの身体、ウジャトの眼、
フリーメイソンのポーズッ!
これはまさに好きなオカルトの結晶だよぉ!」
スタンドが腕を上げて、
三角を作って一つ目に当てた!
芹香「信じるか信じないかはあなた次第、
名付けてッ!
『インベーダー・インベーダー』ッ!!」
インベーダー・インベーダーが光を放ったッッ!
ラビット・ホール「ブラァッッッ!!」
だがそれよりも早くラビット・ホールの拳が
インベーダー・インベーダーの腹を捉え
なかったッ!!!
火花「あうっ………ッ!?」
拳は確かにスタンドにぶちあたったはず、
だがその拳は何故か空を切り、
火花はその動作で遅れて
まともに金縛りを喰らったッ!
芹香「このまま……このま、ま……
締め殺すよぉ!」
火花「(まるで荒縄で全身を
巻かれているようッ!)
いたい……いっ……ああああっ………ッッ!」
火花がその痛みに目を瞑ったッ!
その瞬間ッ!わずかな一瞬ッ!金縛りが緩んだ
火花「!?………ぐっ……
ラビット……ホール……ゥッッ!!」
ラビット・ホール「ブラブラブラァァァッ!」
そのラッシュは決定的なことを示した、
全てがインベーダー・インベーダーへと
当たりながら
だが水面を殴ったようにビジョンが歪んだだけ
まるで『ここにはいないか』のように
火花「そんな……ッ!『実体』がない!?
当たらない!こんな強力な能力で、
そんなことあるッ!?」
芹香が後ろに下がって距離を取っていく
だがインベーダー・インベーダーはゆっくりと
歩いて近づいてくる、近づくにつれて
火花の身体はより締め付けられていき、
まるで筋骨隆々の男に思いきり
抱きしめられているような苦痛が襲ったッ!
火花「う、あ、ああああああ、
ああああッッ!!!」
火花「ラビット………ホールッ!!!」
激痛の中、ラビット・ホールをなんとか動かし
廊下の床を殴ったッッ!
巻き起こった爆風が火花の
身体を後方へと吹き飛ばしたッ!
背中から廊下に着いた瞬間に転がって
受け身を取る
そして、芹香を視界に入れないように
後ろへ『振り向いた』
インベーダー・インベーダー「ピ、コ、ピ、コ」
目の前、近くはないが視界の遠く、階段室の方に
既にインベーダー・インベーダーがいたッ!
火花「なにーーーーーーーッッ!?」
火花がやむなく、芹香の方へと振り向き直した
インベーダー・インベーダー「ピ、コ、ピ、コ」
だが、芹香の前にも
インベーダー・インベーダーは
既に立ち尽くしていたッ!
火花「……………っ…………!?」
声が出なかった、真っ先に感じたのは不思議でも
疑問でもないもはや『恐怖』、
まるで未知の宇宙人に追われているようッ!
どうやっても火花は
インベーダー・インベーダーを
視界から逸らせなかった
火花「せりーか………やめ………」
火花が頬を叩いた!
火花「『弱音』を吐いてる場合じゃない、
あーにゃとさりーはヒバナが
巻き込んだんだから……ッ!
せりーか……例えどんな理由があろうと
どんなワケだろうと……
『必ず殺す』」
相川 芹香がそのドスの効いたトーンにたじろいだ
あまりの殺気に後ずさった
芹香「ひ、ひばちゃん……ッ!
そ、れは………
『無理』だよぉ、だってひばちゃんはもう
インベーダー・インベーダーに
『見られた』んだよぉ」
一瞬たじろいだものの芹香はなんと言い返した
インベーダー・インベーダーが両手を上げていく
その姿に火花は意外さと違和感を感じた
………いや、あるいはずっと
火花が右に目線を逸らしてみる、
教室の中にいる紗良と目があった、
『その後ろ』に
インベーダー・インベーダーが立っていた
今度は反対側の左、窓の外、
『空中』にインベーダー・インベーダーが
立っていた困惑する自分の顔も窓に映った
火花「映った………『映った』………ッ!?
まさか………ッ!!」
火花が芹香とは逆側に駆け出した
芹香「あ、ダメだよぉッ!
逃がさないんだからぁ!」
芹香もその後を追っていくッ!
だが火花はいきなり向きを変えると
自分の教室に飛び込んだッ!
酒井「また来た………?」
呆れ戸惑う吹奏楽部の3人を尻目に
自分の席に向かい
学生バッグに手を突っ込んだッ!
そして取り出したのは可愛いハートでデコった
『コンパクト』ッ!パカりんと開いて
自分の顔を見たッ!
火花「やっぱり………だからどこを見ても必ず
インベーダー・インベーダーを
逸らせなかったんだ……
だからせりーかが見て、スタンドが見るなんて
面倒な二段階で能力が発動したんだッ!」
火花「インベーダー・インベーダーは
『瞳の中』に映っているッッ!!!」
火花の可愛らしい蒼い瞳の中、
そこに両腕を掲げた
インベーダー・インベーダーが佇んでいたッ!
芹香「はぁ……はぁ……
し、しまったぁ……ッ!」
火花「……せりーか、外で『お話』しよっか」
目の前に現れたインベーダー・インベーダーが
光を放ったッ!!!
ラビット・ホール「ブラァァァッッッ!」
ラビット・ホールの拳はまともに芹香の腹に
クリーンヒットしたッッ!
芹香「がっふぁっっっ!?」
そのまま、扉をぶち破って窓下の壁に
叩きつけられた
芹香「う、そぉ……な……んで……
私に届い……!?」
火花の顔を見た、両目を固く閉じていた
火花「インベーダー・インベーダーは
ヒバナの『瞳』に閉じ込めたわ、
もうせりーかの能力は使えない」
芹香「そんな……『目も見えない』のに
どうやって私の位置が………ッ!!」
火花「……………」
りらっち先生凄いよね!
どうやっていつもヒバナの位置がわかるの〜!?
声です、その人から放たれる声は何者か、
何処からか何を言っているか、
全て教えてくれます
もちろんヒバナ、君の可愛らしい声もですよ
火花「…………」
火花「声よ、せりーかから放たれる声が、
何処にいるかを教えてくれる」
芹香が口を抑えた
芹香「…………っ!!!」
火花「じゃあ殺すね、せりーか、
ヒバナね、ヒバナがどうなってもいいけど、
『友達』を傷つけられたら
そいつは必ず殺すと決めてるんだ」
芹香「ひっ………ひ……ぃ………ッ!
ひばちゃん……まっ……まっ……て………ッ!」
火花「ラビット・ホール。」
ラビット・ホールが火花の後ろに立った
そして、拳を振りかぶった
芹香「う、わ、わあ、ああ、
ああああああああ!!」
ラビット・ホール「ブラァァァッッッッッ!!」
豪腕を振り抜くッ!その拳は芹香の顔面に
狙いを定めたッ!
だが、その拳は芹香の鼻先数cmでぴたりと
停止した、相川 芹香はガクンと
目を開いたまま気絶した
火花「でも、せりーかも『友達』だよ」
その時、火花は目を開いてはっきりと見た
芹香の暗い漆黒の瞳は、
光が灯るように青空色に戻った
火花「やっぱり、いくら急に能力を持っても
せりーかは『じゃあ火花に危害を加えよう!』
とはならないのはヒバナがよく知ってるよ〜」
火花「………いるんだね?
せりーかを操った『クズ』が?」
気絶する芹香の前で火花はそう呟いた
しばらくして、目が覚めた芹香に火花は
泣き縋れていた
芹香「ごべぇぇぇん!!
亜丹ちゃん、紗良ちゃん、ひばちゃんを
ひどいめにあわじじゃっだぁぁぁ!」
火花「大丈夫だよ〜!本当に大丈夫だよ〜
ところでなんであんなことに?」
火花がそっとハンカチを渡した、
芹香はそれを受け取ると目頭を拭っていた
芹香「わがんなぁい……一昨日の夜に校庭で
『コーリングシグナル』を描いてたら『矢』に
射られてぇ……
気がついたらこれが見えるようにぃ」
火花「スタンドの『矢』……」
芹香「そうしたら頭にガバー!ってなったらぁ
ウワーンってなって……そのぉ……」
火花「ヒバナを倒さなきゃって?」
芹香が物凄い勢いで首を縦に振った
色々考えたいことはあるが火花は
とりあえず彼女をオカルト研究部の部室に
連れていくことにした
歩きながらふと、芹香が尋ねた
芹香「そういえば
『インベーダー・インベーダー』
これからどうしよぉ」
火花「『スタンド』は『無意識の才能』だよ〜
せりーな、そのスタンド、もしかしてだけど
戦っている時、ヒバナの視界を覗き込んでた?」
芹香「なんでわかったのぉ!?そうだよぉ!」
火花「あまりにも追跡が上手すぎるからかな〜?
そしたら、それ、動物にも使えるんじゃない〜?
例えば……『危ないところ』とかに
入る時に……」
芹香「先に野生動物の『視界』で確認するぅ!
凄い、凄いよぉ!ひばちゃん!
斉唱四角オカルト新聞の次月号は
楽しみにしててねぇ!」
火花「え、あ、うん……着いたよ〜」
芹香がまたしても平謝りしながらなにやら
魔法陣やら宇宙人の顔やらモンスターの姿やらが
ゴテゴテに貼られた空き教室に入って行った
中から声が漏れてきた
「ねぇ!私、宇宙人が見えるように
なったのぉ!ほらぁ!」
「うわー!なんか視界に現れましたよ
芹香先輩!」
「え、私も私も!見せてください……
わぁぁぁ!?グレイ型エイリアンがー!?」
火花「………まぁ、楽しそうならいいかな〜?」
尼丸 亜丹:たん瘤は作ったがその日に部活へ復帰
満田 紗良:前よりオカルトを信じるようになった
早乙女 火花:オカ研に次月号の監修に
付き合わされる
相川 芹香:今回の罰として
カフェ・ドゥ・マ・ゴの新作パフェを
3人分奢らされる………
To be continued…………
[インベーダー・インベーダー]
【破壊力-B/スピード-E/射程距離-?/
持続力-A/精密動作性-C/成長性-A】
緑色のピラミッド型の頭にメジェド神のような
両目に対し、グレイのような胴体と
黒く変色した細長い指の手を持つ奇妙なスタンド
対象者"だけ"の視界の中に現れ、ゆっくりと
近づいてくるが瞬きされると元の位置に戻される
だが視界の中で間合に入ると両手で三角を作って
右目に当て、見つめられている間は
全身を金縛りのように強く締め上げる
本来は『相手の瞳に取り憑いて、
三角から覗いている時だけその視界を借りる』の
能力の方が、実は主な能力ではある
元ネタはきゃりーぱみゅぱみゅの楽曲から
能力は都市伝説の「瞳の中のアリス症候群」
姿は「ムーン・ピラミッド(頭)」
「グレイ型宇宙人(体)」
「フラットウッズモンスター(両手)」
「フリーメイソン・マーク(能力使用ポーズ)」と、オカルト好きの彼女らしい姿である
ちなみに斉唱四角学園の名前の元ネタは
日本のスリーピースロックバンド
UNISON SQUARE GARDENです。