杜王町の街に、流線型が美しい
真紅のスーパーカーが信号で停車していた。
電気で動く……SV車と言われる
最新鋭の機能を搭載した
テスラ・ロードスターが傾き始めた
夕陽を反射してぴかぴっかに光っていた
運転席でハンドルを握るモモ・スゥモアが
赤信号を見つめながら助手席の綾瀬に話しかけた
スゥモア「大丈夫ですか?綾瀬さん」
綾瀬は見えない夕陽を見つめながら項垂れていた
先ほどの電話、会ったこともないアノネノネに
傍受されたとは露知らず、
ボヨヨン岬に向かったのは
自分の電話を横から聞かれたと思っており
責任を感じていた
スゥモア「慰めになるかはわかりませんが
あの時、綾瀬さんの前にいた私にすら
電話は聞こえませんでしたよ〜」
綾瀬はそれを聞いて……自分の両頬を叩いたッ!
綾瀬「気遣わせてすみません、
くよくよしている場合ではありませんよね
とりあえず先回りにしましょう、SPW財団の
ヘリを撃ち落とさせるわけにはいきません
スゥモアちゃん、
日没まであとどのくらいですか?」
スゥモア「あと……恐らくは
30分くらいでしょうか
私のアカツキちゃんのヘッドライトもつけました
街は薄暗くなり始めていますです〜」
アカツキちゃんと呼んだテスラ・ロードスターの
握っているハンドルを小さな手でパシパシと
撫でるように叩いた
綾瀬「夜が来れば、私の世界です。
いえ、私とイン・トゥ・ザ・ナイトの世界です
今までのを見るに、一度梨沙君を
再起不能にすれば洗脳は解けるはずです、
ですが……」
スゥモア「ですが?」
綾瀬「私が戦ったカゲロウ・デイズ、
火花が戦ったインベーダー・インベーダー
翠と咲織が戦ったB・B・クイーンズと
今回のは大きく違う点があるのです」
スゥモア「独立した自我を持つ
遠距離型スタンド……」
綾瀬「いかにも、私はあの締め落とそうとした時
限界だったからスタンドを引っ込めたと
表現しましたが……あれは果たして本当に、
本体にフィードバックしていたのでしょうか」
スゥモア「つまり万が一、ボヨヨン岬に先行して
私のベビィ・メタルと、綾瀬さんの
イン・トゥ・ザ・ナイトで制圧しても」
綾瀬「音石梨沙を倒せたかどうかが
確認出来ない」
スゥモアが口を結んだ、とんでもないパワーの
スタンドだった、だが綾瀬が影や気配を
あの屋敷前の戦いで感知できていないのなら
恐らく、本体はあの場にいなかった
スタンドは通常、本体から離れれば離れるほど
力が弱くなる、強いスタンドならば
その離れる限界はどんどん短くなる
例えば、スゥモアのベビィ・メタルもわずか1mが
有効射程距離であった
スゥモア「仮に街の中から
操っていたとしたら……」
綾瀬「その射程は何十kmにもなります、
確認する術はとても、
だからこそ麻里奈君に行かせたのです」
綾瀬「倒せなくてもいい、
スタンドの注意を少しでも惹きつけられたら
場合によっては説得出来たら御の字です」
スゥモア「お願いするですよ麻里奈ちゃん……」
綾瀬「もちろん、我々がその前に倒されることが
あってはなりませんが……着きました?」
テスラ・ロードスターが停車した、
スゥモアがエンジンを切ると、運転席から降り
素早く綾瀬の乗る助手席の扉を開けて
肩に手を置いてなぞるように手を握った
綾瀬「ありがとうございます、
白杖を買い直さねば」
スゥモア「あ、でしたら
私が手配しておくですよ〜」
降りたふりは連れ添って、ボヨヨン岬に立つと
そのまま水平線の方を見つめた
[第13話 エレキなギターガール その②]
スゥモア「まだ来ていませんね、
ヘリコプターも、スタンドの方も」
綾瀬がスゥモアの肩に手を回す、
そして抱え込むように庇い込んだ!
綾瀬「イン・トゥ・ザ・ナイトッ!」
イン・トゥ・ザ・ナイトが
綾瀬の影を掴み上げると
めくりあげるように影を2人の前に盾にしたッ!
同時にその実体化した影の盾に
『音の衝撃波』が激突したッッ!!
『やっぱり、綾瀬センセ、
アンタのその影の探知は厄介すぎるぜ
……なぁ?』
ギュウゥゥゥンッ!
G.D.M『さっきぶりだなぁッッ!!!』
スゥモア「ガールズ・デッド・
モンスターッッッ!!」
綾瀬「こちらの方が早かったようですね梨沙君」
G.D.M『おいおい……なんだありゃ
眼科医が持ってていい車じゃあねぇだろ、
かっこよすぎじゃあねぇか?』
スゥモア「お気に召しましたか私のテスラ車は」
G.D.M『最高だッッ!いいか、
『最新』ってのはいい言葉だ、
『最も』『新しい』ってことだからなァ…』
G.D.M『オレ達が愛するロックンロールも
そうだッ!
古き悪しき時代を、古臭い社会を、古びた慣習を
いつだって面白おかしく嗤って来たッッ!』
G.D.Mが───スタンドなのだが──
深呼吸したかのように見え、そして吠えた
G.D.M『ロックンロールは『人々の魂』だッ!
オレ達は無限には生きられねぇ
無限に生きられたら
全て叶うが、そうは出来ねぇ
だから願うんだ、音楽に、永遠をッ!』
ガールズ・デッド・モンスターが
ギターに手をやった
だが、能力の行使ではない、
まるで自らの腕を見せつけるかのように
激しいカッティングリフが
夕暮れの岬に鳴り響き始める
凄まじいまでのサウンドとテクニック、
スタンドでこれほどということは、
本体の音石梨沙の
ギターテクも通して伺えるほどだった
同時に、その姿を見ながら綾瀬の顔が曇った
ガールズ・デッド・モンスターは、
あるいは、音石梨沙は
ずっと嘘しか語っていなかった、
自分への殺意も、敵意も何もかも
ノイズがかかったように作られたものだった
だが、先ほど語った
彼女のロックンロールへの願い
それだけは、紛れもなく『本物』だった
綾瀬「(この子は……本当にロックが、
好きなのですね、このスタンドだって、
恐らく本来は音を響かせる能力
攻撃力さえ絞れば遥か彼方まで
きっと音を届かせる)」
綾瀬がギリィッと奥歯を噛んだ
綾瀬「スゥモアちゃん、梨沙君を止めましょう。
私、この子を『洗脳』した者を
許せそうにありません」
スゥモアの背中から刀を居合に構えた
ベビィ・メタルが静かに現れた
スゥモア「私も同じ気持ちです、早く悪い夢から
醒まさせてあげましょう」
G.D.M『行くぞ、セカンド・ナンバーの
始まりだッ!』
綾瀬「イン・トゥ・ザ・ナイトッッ!」
夕陽に伸びる影から
イン・トゥ・ザ・ナイトが現れる
そして、足元の影に触れると
影の柱を突き出したッ!
だが、音の衝撃波をバーニアのように一方向に
放出して急速に向きを変えてかわすッ!
ガコォッ……ッ!
スゥモア「刀が入りましたです……ッ!」
ギターのネックに
ベビィ・メタルの刃が食い込んだ
G.D.M『それ……ただの刀じゃあなさそうだな
直に受けたらヤバそうだッ!
あと、これはパパの作った……
ギターだァッ!!』
ギャアンッッ!!
音の衝撃波が飛んでくる、
ベビィ・メタルが距離を取ると
二つのスタンドの間に影の壁が突き出され、
音波を打ち消したッ!
G.D.M『ち、今の一音だけじゃ無理か……ッ!』
ベビィ・メタルの二の太刀が、
イン・トゥ・ザ・ナイトの影の柱が四方八方から
G.D.Mへと襲いかかる、
だが、それを弾くようにして
ギターを振り回し、攻撃をかわすッ!
そして、時々その場でホップしていた
足音は、ないッ!
G.D.M『オッケィ……ロックンロールッッ!』
ギャアアアアァンッッ!!
音の衝撃波ッ!ベビィ・メタルが距離を取り、
イン・トゥ・ザ・ナイトが影の壁で防ぎ切る
G.D.M『(斬撃と打撃の防御音、
そしてオレの着地音、その程度じゃあ、
あの影の壁は貫けやしねぇか)』
綾瀬『(位置はわかっているのに、
当たった感触はない、全て防がれている『音』
決定打が必要ですね)』
スゥモアも汗が伝った、
流石にここまでの長期戦は
未経験であり、疲れが見えて来ていた
一方のガールズ・デッド・モンスターは……
背筋を伸ばし、右人差し指を掲げた
笑っているような気がした
G.D.M『勝ったな。』
綾瀬 スゥモア『『ッ!?』』
G.D.M『今は『17時』だ……ッ!わかるか?
『17時』だッッッ!』
綾瀬「何を………そうかッ!いけないッ!」
G.D.M『そうだッッッ!
この岬にも聞こえるはずだ
あと、3秒、2、1……
来るぞ『音』がーーーッ!』
その時だったら耳を劈くほどの音量で
ザ・ビートルズの「イエスタデイ」が
杜王町に響き渡ったッ!
子ども達の帰宅を促す、
夕方のチャイムだったッ!
各地区に知らせるために、
わずか30秒のチャイムは近くから、
そして遠くから連続的に鳴り響いていたッ!
ガールズ・デッド・モンスターは……
映画ボヘミアン・ラプソディのポスターのように
ギターを持ったまま空を仰いでいた、
全身でその哀愁漂う
『音』を浴びているかのようだった
イン・トゥ・ザ・ナイトは咄嗟に一番近い
スピーカーを影で塞いだが、音は完全に塞げない
しかもここを塞いでも杜王町全体から響き渡る
イエスタデイは止められないッ!
ガールズ・デッド・モンスターが
ギターを抱きしめるように
前屈姿勢になって構えた
黒い火の玉のような頭部の炎は激しさを増し
全身を青いラインが稲妻のように
走り巡るのが見えた
明らかに今までと違う雰囲気をビリビリと感じた
綾瀬「スゥモア……ちゃん……
私の後ろにッッ!!」
スゥモア「は、はいですッッ!!」
綾瀬の後ろにスゥモアがヒュッと隠れる
そして、綾瀬が叫んだッ!
綾瀬「イン・トゥ・ザ・ナイトッッ!!
辺り一帯の影を掴んで、私達の防御に
全て回してくださいッッ!!」
イン・トゥ・ザ・ナイトが綾瀬の前に立つと
綾瀬は手を伸ばして影を検索するために
わずかな時間ながらイン・トゥ・ザ・ナイトに
あたりを歩かせる、
そして足に触れて感知した影を
引き剥がしまくった、そして全てを綾瀬の前に
柱のように伸ばして視界を埋め尽くした
綾瀬「防げていますかスゥモアちゃんッ!」
スゥモア「多少はッ!あとはもう……ッ!」
綾瀬「食らってみないとわかりませんかッ!
ならば、信じますッ!
イン・トゥ・ザ・ナイトッ!
お願いします………ッ!!」
ガールズ・デッド・モンスターが
背中からカラスのような
黒い翼が広がったッッ!!
まるでその姿はロックの堕天使、
右手を掲げるッ!
G.D.M『ガールズ・デッド・モンスターッッ!!
クロウ・ソングッッッッッ!!!!!!』
右手がギターの弦に振り下ろされるッッ!
破壊の化身と化した猛烈な爆音が
ボヨヨン岬に
響き渡ろうとしていた────ッッ!
G.D.M『…………!?』
時間は少し前に遡る……
綾瀬とスゥモアに背中を押されて
杜王町の街に降り立った岩沢 麻里奈は
とりあえずゆかりの場所に行こうと
音石家の玄関ドアを叩いた
音石の父「おっと誰かと思えば
岩沢麻里奈じゃあねぇかッ!
オレのマイスイート・ドゥタァーのリサは?
一緒じゃあねぇのかァッ?」
岩沢「こんにちは梨沙のパパ、
探しているんですが知りませんか?
バンド練習も出来なくて」
音石の父「最近、様子がおかしいと思ったら
やっぱりやってねぇのかァ……
今日の朝、挨拶もなしに出てったきりだなァッ!
『反抗期』ってやつなんじゃねぇかって
ハラハラしちまってるんだ」
岩沢「そう……ですか……すみません、
見つけたら改めて連れて来ます」
音石のパパ「おう!オレもレッド・ホッ……
いや、なんとか探しておくからよォ〜ッ!
悪りぃなァッ!」
岩沢は次に斉唱四角学園の軽音部室に
休日ながら入った、
そこには[デッド・カウント]の
ベーシストの美流(みいる)と
ドラマーの玲音(れいん)が
寂しそうに二人だけで曲の練習していた
岩沢「二人とも………」
美流「あっ!マリナ!……今日もリサは
来ないんだね……」
玲音「これ以上こないと……
解散になっちゃう……」
岩沢「待ってレイン、お願いもう少しだけ……
今探してるの、もう少しでなんとかなりそうなの
だから……だから……ッ!」
美流「わぁ〜!?あ、頭下げないで〜?
マリナが悪いわけじゃないんだよ〜!?」
玲音「別に、帰ってくれば私も加わる
ちゃんと事情はリサに吐かせるから、手伝う?」
岩沢「え、えっと……じゃあ、街のどこかにいる
梨沙を探すのを手伝って……!」
美流「わかったぁッ!」 玲音「ん、わかった」
二人が楽器を置いた。
その後もずっと色んなところを回り続けた
いつも行くレストラン、カフェ、バンドハウス
フードワゴンに、好きな映画館、文化会館、名所
だが、それでも、日が傾きはじめても
足がそろそろ疲れはじめてもどこにもいなかった
市街地の真ん中で岩沢麻里奈が膝をついた
玲音が言葉を漏らした『解散』の2文字が散らつく
人は無限には生きられない、だからいつか来る
『死の秒読み(デッド・カウント)』まで
好きなように音楽と生きられたら
そう語る音石梨沙がかっこよくて、
麻里奈も美流も玲音もバンドを組んだ、なのに
岩沢「こんなところで終わるの……?
こんなわけのわからない理由で………?
いやだ、いやだ……助けて………
どこにいるの……?」
岩沢の目から思わず涙がこぼれた
「あの………もし、大丈夫でしょうか?」
降って来た声に思わず顔を上げた
そこにいたのは薄い青い瞳にクリーム色の長い髪
そして綺麗な青に染められたシスターヴェールと
シスターローブの少女だった、
心配そうに目線を合わせるようにかがみ込み
両手は胸の前で祈っていた
岩沢「シスター……さん?」
シスターの少女「お辛いことがあったのですね
よろしければお聞かせ願えますか?」
岩沢「と、友達を探しているんです
でも、見つからなくて……見つからないと
私の大好きなバンドが
終わってしまうんです……!」
シスターの少女「それは大変、人探しですか……
ね、人探しで困ってるって言ってる。」
岩沢に向けてではない、後ろから来た
シスターの背後にいる人物に向けてだった
赤い瞳に、黒髪を後ろで一つ縛りにした、
黒いハットを被り、白シャツ黒ズボンの上から
黒いロング丈ジャケットを羽織り、
黒いネクタイを締めたメンズファッションを
着こなした少女だった
ハットの少女「人探し?
どんな方を探して欲しいですか?」
岩沢「あ、あの貴女達は……?」
ハットの少女は片手でハット軽く整えた、
シスターの少女は祈手のまま軽く頭を下げた
ハットの少女「ぶどうヶ丘高校の風紀委員です
趣味でこうして人助けをしています、
2年の星街 昴(ほしまち すばる)と」
シスターの少女「同じく、2年の
天宮 織姫(あまみや おりひめ)。
名前を教えました、名前は『信頼』です。
貴女も『信頼』してくれますか?」
岩沢がスマホの写真で音石梨沙を見せた
岩沢「『信頼』します。この子を探してください
不躾ですみませんがその……」
天宮「出来るだけ早く、ですね。
……スバル、どう、行ける?」
星街がスマホを見つめながら音石梨沙の顔を
じっと見つめ続けている
捜す相手を記憶するために
星街「………行ける、任せろ」
その短い会話で二人は理解し合った
そして、星街はハットを取ると
胸に当てて一礼した
星街「『マンハッタン・ジャズ・
クインテット』」
片手……というか片翼を胸に、
もう片翼を水平に伸ばす紳士じみた一礼と共に
トップハットとモーニングコートを纏う
モノクルを下げた鳩の頭と、手のような鳩の翼
そしてズボンの裾からは鳥の脚が見える
鳥人の紳士のようなスタイリッシュすぎる
スタンドが姿を現した
二人が同時に一礼から直る
星街「困っている人がいる、
早めで見つける、いいな?」
マンハッタン・ジャズ・クインテットはその場で
くるりと回ると『5羽の鳩』へと分裂したッ!!
一斉に空へと鳩達が飛び立っていくッッ!!
星街が片手を『右目』に当てる、
邪気眼のようなポーズを取って顔を伏せた
岩沢「あ、あの……?」
天宮「見ててください、私のスバルは
あっという間に見つけますので」
星街昴はその場から動かない、微かに吹く風が
彼女のロング丈のジャケットが
静かにはためいているだけ
星街「いた。」
時間にしてわずか2分、星街昴がそう声を上げた
岩沢「いた!?」
星街「杜王町の西、県道45号線を外れて
今、遊歩道を歩いてる、この先は別荘地帯……
いや、方向はボヨヨン岬で間違いない
今から行けば、岬に行く前に追いつけるかも」
岩沢は我慢出来なくなって
その方向へと走り出した
が、途中で立ち止まり、二人に頭を下げた
岩沢「あっ!ごめんなさい!あの、あの!
ありがとうございました!!
あの私の名は……!」
星街「お礼はいいから早く行ってください、
お友達に会えるといいですね」
天宮「無事に辿り着けますように、
貴女に、神のご加護が在らんことを。」
岩沢はその言葉を聞いて言葉を飲み込むと
手を振る二人を背に急いで走って行った
脚が嫌な音を立てている気がした、
何度も何度も転びそうになった
右の脇腹が痛い、息が出来なくて苦しい
17時のイエスタデイが、反響して頭に響く
[この先、新名所・ボヨヨン岬]の
看板が見えた気がしたが
もう朦朧としてわからない
なんなら途中で、「おい!」と声が聞こえたが
自分へ向けてなのかもわからない
岬の先端でかがみ込む綾瀬とスゥモアが見えた
その前には梨沙のギターを持つもやもやが
弾こうとしていた
スタンドとやらを自分は持たない、でも分かった
梨沙は、親友は綾瀬とスゥモアも殺す気だった
止めなくては、
一度でも『人』を『殺してしまったら』
もう、親友ではいられない。
G.D.M『ガールズ・デッド・モンスターッッ!!
クロウ・ソングッッッッッ!!!!!!』
右手がギターの弦に振り下ろされるッッ!
破壊の化身と化した猛烈な爆音が
ボヨヨン岬に
響き渡ろうとしていた────ッッ!
G.D.M『…………!?』
岩沢「もうやめて梨沙ッッッッ!!!!!!」
ガールズ・デッド・モンスターと
防御姿勢に入るイン・トゥ・ザ・ナイトの間に
両腕を広げて割り込んだッ!!
G.D.M『…………ッッ!』
ガールズ・デッド・モンスターが、
弦に触れる寸前で腕の動きを止めた………
綾瀬「この声は………麻里奈君!?」
スゥモア「わぁ!?危ないですよ〜〜!?」
岩沢「はぁ………あは、あはは……
なんだ………
結局、私のこと殺せないじゃん、梨沙……」
岩沢は恐怖のあまり、膝から崩れ落ちた
「当たり前だろ」
ボヨヨン岬の坂を登り、G.D.Mの後ろから
パンクファッションの少女が姿を現した
音石「そこを、どいてくれ麻里奈
オレは、こいつらを殺さなくちゃなれねぇ
そしてヘリを落とさなくちゃならねぇんだ……」
岩沢「どうして?」
音石「え?どうしてって、
それは……
え、
あ、あ……!!」
音石梨沙はその場で
頭を抑えてかがみ込んだ……!!
音石「あああ、ああああっ!!」
綾瀬「………もう、おいたわしくて
聞いていられません
イン・トゥ・ザ・ナイトッ!」
黄昏時に影の紳士が走る、
そして鞭のように影から伸びた何本もの
黒いロープが音石梨沙を
その場に縛りつけたッッ!!
綾瀬「スゥモアちゃんッ!!」
スゥモア「ベビィ・メタルッ!です〜ッ!」
狐のゴスロリ侍が柄に手をやると、
そのまま一閃したッ!
スゥモア「成敗ッッッッ!!!!」
音石「ぐ、あああああああッ!
………かはっ……」
音石がその場にくず落ちる、
そして誰よりも早く岩沢がその身体を抱え込み
そのまま岩沢も失神した……
スゥモア「はぁ……終わっ………」
綾瀬「………待ってください、
何の『音』です?」
スゥモアは驚愕、いや絶望した
ガールズ・デッド・モンスターは、
まだ立っていた
弦に手をやろうとしている
スゥモア「え?え?……え?な、なんでッ!?
スタンドがまだ消えていないッッ!
綾瀬さんッ!防御をッ!さっき打てなかったのが
来ますです〜〜ッ!!!」
綾瀬「なんですって!?
イン・トゥ・ザ・ナイト………ッ!」
綾瀬「(しまった、間に合わない……ッ!!
どうしてですか!?独立型スタンドだから!?
それともまだ完全に梨沙君の意識が
落ちていないッ!?
いや、せめて子供達だけでも防御を、
影を全て梨沙君と、麻里奈君に……ッ!)」
G.D.Mが右手を挙げたッッ!!
スゥモア「間に合わ…………ッ!!」
その時、天から光が差し込んだ
そして、
まるで神の裁きが如く、遥か天上より
光の柱がガールズ・デッド・モンスターに
降り落ちた
G.D.Mは大地に叩きつけられて動かない
手を離れたギターをスゥモアが地面に落ちる前に
キャッチしてあげた
やがて、岩沢が抱える音石がガクンと
完全に意識を失うと、
ガールズ・デッド・モンスターは姿を消した。
綾瀬「物凄い音が響きましたが……
何が……!?」
スゥモア「光の、柱、が……空から………」
綾瀬「光の柱………!?
………スゥモアちゃん、近くに鳥……
いえ、『鳩』は飛んでいますか?」
スゥモア「え?…………あ、はい、5羽くらい?」
綾瀬は微笑みを浮かべると空へと手を振った
目視はできないが、
きっと鳩達は空にいるだろうと。
杜王町市街地、二人の少女が、
共に夕空を見上げていた
天宮「………どう?」
星街「着弾を確認、完璧に狙い通りだ」
天宮「ん、よかった」
天宮の後ろにはコンサートの指揮者のような
燕尾服にジャボがわりにベルを付けた
右手が黄金の弓になっている
頭の上に天使の輪、背中には天使の翼を装着した
これまたクールなスタンドが空へ弓を向けていた
天宮「寸分の狂いもない、方角も距離も狙い通り
さすが昴の観測(スポット)
そしてさすが、私の狙撃(スナイプ)
私の『パラダイス・ハズ・ノウ・ボーダー』」
星街「………あ、綾瀬先生が手を振ってる
さては気づいたな、私の、
マンハッタン・ジャズ・クインテットの観測に」
天宮の後ろから天使の弓兵が消えた、
綾瀬の頭上からも5羽の鳩が消えた
天宮「じゃあ、さっき言ってたカフェ行く」
星街「もちろん、織姫なら絶対好きなタイプの
パフェだと思う」
天宮「奢り?」
星街「奢らないよ?」
二人はそう言いながら夕闇の街を歩いて行った。
杜王町の森の中、とある廃ホテル
アノネノネ「マジ?」
イヴ「なぁに♡どうしたのぉ?」
アノネノネ「リサ・オトイシ、
ゲーム・オーバーァァァ〜〜………
うちの洗脳下から外れたしぃ
当たりキャラだと思ったんだけどなぁ〜」
ノース「どうするの、ヘリ、もうすぐ来る」
イヴ「じゃあ、あっちに指示飛ばして♡
商店街の方で
ゲン・ジオリマと戦ってるでしょ♡」
アノネノネ「そうじゃん!2Pが残ってたッ!
ゲンを始末次第、海岸で撃墜させるって
攻略でどう?」
イヴ「じゃ、それでお願ぁい♡
あ、それとノース」
ノース「ん?」
イヴ「アノネノネを信じていない訳じゃないけど
やっぱり、階下で遊んでる『あの双子』も
海岸に向かわせて」
アノネノネ「バックアップってことね了解?
ゲームオーバーの後にコンティニューは辛いし
うちはオッケ〜〜」
ノース「ダー(分かった)、
『ヘリの撃墜以外はするな』そう伝えておく」
イヴ「あ、お願〜い♡余計なことして、
あたしらのことがバレたら、
惨たらしく殺すくらいのこと言っていーよ♡」
ノースはそれに頷くと、暗闇に消えて行った
アノネノネは指示を飛ばし始めた……
商店街で時折間玄と戦っているスタンド使いに。
To be continued……
[ガールズ・デッド・モンスター]
【破壊力-A/スピード-A/射程距離-A/
持続力-A/精密動作性-C/成長性-A】
一言でいうのならギターを持つ黒い亡霊
頭部が炎のように燃え、半月のような目と
凹凸のない身体を持つ
ウィングタイプのエレキギターを携えた
漆黒のスタンド、
その能力は「音を吸収し、音を放出する」
という文字に起こせばシンプルなものであるが
音を吸収し切ればあらゆる行動も無音に変え
溜めた音をギターサウンドと共に放出すれば
あたり一帯の窓ガラスを粉砕し
壁にすらヒビを入れるという強力なスタンド
爆音そのものも攻撃力を持ち、
まともに喰らえば遥か後方まで吹き飛ばされる
ちなみに最大まで貯めた時に能力で弾いた時は
背中からカラスのような翼が展開され、
劇中では放たなかったが「クロウ・ソング」と
名付けられたその大技は、
大地や建造物を丸ごと吹き飛ばす
まさにマスターの「かっこよさ」の具現である
元ネタは日本のアニメ「Angel Beats!」の
作中に登場するガールズバンド
技名の「クロウ・ソング」は同バンドの
楽曲の一つから
ちなみにデッド・カウントの名前の由来は
梨沙、麻里奈が歌唱担当のLiSAとmarina、
ベーシストの美流は楽曲「Hot Meal」
ドラマーの玲音は楽曲「Rain Song」から