斉唱四角学園近くのレストラン通りを
2人の女子高生が歩いていく、
2人は……名舟 翠と早乙女 火花は
肩が触れ合うほどにぴったりと
横に並んで歩いていた
そして、2人の手は指同士をしっかりと握り込む
『恋人繋ぎ』をしていた
では、さぞかし2人ともおアツいのだろうと
思うが……名舟の顔は『困惑』していた
火花の顔は『赤面』していた
互いに恥ずかしさから顔もまともに見れていない
火花「(ど、ど、ど………
どういう状況なのーーーーーーッッ!?)」
火花「(いやおかしくないッ!?マジでッ!
これがあの子のスタンドの攻撃なのも分かるッ!
こうした方がいいのも分かるッ!
わかるけどさァ〜〜ッ!)」
火花がちらりと名舟を見上げた、困ってはいるが
嫌がってはいなさそうだ
火花「(なぁ〜んですいすいは
ノリノリなのかな〜ッ!?
こんなの思う壺だよあの子の〜!?)」
グイッ!
名舟「いっ………」
火花「あぁぁぁごめんッ!腕を強く引いちゃった
痛くなかった、すいすい……?」
名舟「大丈夫……火花
これ……どうしようか」
火花「……もう、本体をぶちのめすしかないよ〜
うぅ〜どうしてこんなことに〜!」
名舟「………そうだね」
火花「だからなんで
ちょっと楽しそうなの〜ッ!?
いくら直接害の無いスタンドとはいえ、
攻撃を受けてるんだよ〜ッ!?」
名舟「いや、普通に手を繋げばいいのに
なんか面白い繋ぎ方して来たから……」
火花が気づいて、パッ!と手を離した
顔を思わず逸らした
火花「……んっんっ!
じゃあ、早く本体探しに行こっか〜」
名舟「あぁ、そうしよう」
と、今離したばかりなのに名舟が握手するように
普通に手を繋いだ
火花「(〜〜〜ッ!!
絶対に見つけてやるッッ!いや、というか、
元はといえばァァ〜〜〜ッッ!!)」
火花が真っ赤な顔で心の中で咆哮していた……
〔第16話 恋の試練は突然に その①〕
夏休みに入った斉唱四角学園は、
それでも在校生で賑わっていた、
ソフトボールと女子サッカーの練習の掛け声
吹奏楽部の練習音、そして補修組の嘆き
火花「あぁぁぁ〜〜〜ッ!
もう、数学わからなすぎる〜〜ッ!
なんでこの『点P』とかいうの
高速で動いてるの〜ッ!?どういう存在〜ッ!?
なんらかの超常現象だよこんなの〜〜ッ!」
亜丹「あぁ……ついにひばが壊れ始めた」
紗良「わかりみ、数学ってオカルトだから」
火花「なら、せりーかに
押し付けようかな〜……」
と、補修用紙に密かに漫画のキャラの横顔を
ラクガキしていたポニーテールを縛った
そばかすのある金本 美里がにへらと笑った
美里「でも、亜丹ちゃんが監督生で良かった〜
私はこうして夏コミのスケッチできる〜」
火花「あーにゃ、学習委員だからね〜
夏休みなのに、しかも部活休みの日なのに
ヒバナ達に教えるって立候補したんでしょ〜?」
亜丹「まぁ……ひばはほら、怪我で休んでたから
あと美里、あとでそれ取り上げるから」
美里「え!?やめて!
ほらこんなに上手く書けたんだよ!?
間に合わないの!」
亜丹「じゃあちゃんと勉強しておけよ……
火花?どうした?」
早乙女火花が席から立った、
そして手に持っていたプリントを差し出した
火花「終わった〜、採点して〜?」
亜丹「そうか、まぁひばは初補習だしな
普段スレスレはあれど、
赤点は取ったことないしな」
火花「先生は治療なら仕方ないって言ってたけど
ノート写しじゃわからなかったし〜
ちょうど良かった〜……今回の数学難しいし
何で兄弟で『湖』の周りを
ぐるぐる回ってるの〜ッ!?
なんらかの儀式だよじゃあ〜ッ!」
亜丹「……まさかオカ研の芹香が、理系だけは
得意なのって……いや関係ないか……」
美里「うぅ〜あと1点だったのに〜……
美術部の先生に怒られちゃう〜……」
亜丹「でも、確かに今回の数学は
難しくしすぎたとは聞いた、美里も初だもんな、
数学の先生も教頭から
呼び出しかかったらしいし……
だからあまり気にしないで良い」
紗良「そうだしッ!
気にしないほ〜が楽じゃん!」
火花「うーん、さりーは気にして〜?」
紗良「いいじゃん、夏休みでもあーしに
会えるとかお得じゃぁーん?」
亜丹「いやお前が補修常連のせいで何度かひばと
2人お出かけになってるんだよ」
紗良「え?デートってこと?」
美里「女の子同士でッ!?」
亜丹が2人の頭をバインダーで軽く叩いた
火花が呆れたように笑った
変わってここは斉唱四角学園の正門、
1人の少女が立ち尽くしていた
緑色のセーラー服、ぶどうヶ丘高校の制服を着た
名舟 翠だった
名舟「流石に女子校は入るのに勇気がいるな……
どうしよう……どうしよう……」
名舟が手に持った可愛くデコレーションされた
スマートフォンを見た、背には友人達との
プリクラが貼られた
「早乙女 火花」のスマホだった
名舟「綾瀬さんの屋敷に置きっぱなしにして
行くなんて……えっと、これはどう入れば」
「あれ!?もしかして!」
名舟が顔を上げた、胸元までワイシャツを開けた
金髪の学園生だった、バッグから
ダンス衣装が覗かせている
名舟「あ、えっと……君は確か……吉野陽菜?」
吉野陽菜の顔がパァッと晴れた、
嬉しそうに3匹ほどのB.B.クイーンズが
彼女の周りを旋回した
陽菜「あっマジ?覚えてくれてるんだ
うちのこと〜!嬉しィ〜!
んで、こんなところでなぁにしてんのすいち?」
名舟「(すいち……?)早乙女火花を知ってる?
スマホをバイト先に忘れて行っちゃって」
陽菜「うち、クラスメート!え、案内するし!
着いてきて?」
入って良いのか?と言おうとしたが
陽菜は名舟の右手を掴むとそのまま校内へと
引き連れて行った
名舟「女子校は新鮮だな……」
陽菜「すいちはイケてる顔立ちだから
1人で歩いていたらめんど〜なことになりそう
うちも今日はダンス部の活動終わったから
教室までは案内するし」
名舟「ありがとう陽菜、あともしなんだったら
アイオーンモールの件は気にしてないよ」
陽菜「良かった〜!ちょい気にしててさ
刑事さん共々結構怪我させたっていうし?
前はこのスタンドを手に入れて嬉しくて
痴漢狩りとかナンパ狩りとかやってたんだけど
最近は控えめにしてんだよね〜」
名舟「気をつけて、怖い人に会わないように」
陽菜「あはっ!まぁ暇つぶし的な感じだし!」
陽菜が名舟の顔を見上げると
ウルフカットにグレーの瞳、少年のような
端正な顔立ちが微かに笑みを浮かべていた
陽菜「(……いやカッコよすぎっしょこいつ!?
ぶどうヶ丘高校レベル高すぎじゃん!?
ひばち、こんなのとバイトしてるってマジ!?)
はぁ〜………着いたし」
2人が見上げた、
補修中の2年3組の教室の扉だった
陽菜がガラガラと扉を開けた
陽菜「は〜いちゅうもーく、特にひばち〜」
火花「ひなひな?あれ、部活終わっ……た……」
名舟「いた、火花、スマホ忘れただろ?」
名舟がピンク色のスマホをかざした
火花はすぐに自分のバッグを確認して
慌てた顔を浮かべた
火花「わぁ〜!すいすい!わざわざ
此処まで届けに来てく」
だが、言い終わる間もなく隣にいた
満田 紗良がヘッドロックで火花の顔に迫ったッ!
紗良「ひばちゃんッ!あの男の子誰ッ!?」
火花「……女の子だよ〜、ヒバナのバイト先の
すいすいこと名舟 翠〜かっこいいでしょ〜?」
亜丹「話には聞いてたけど、想像よりイケてる」
美里「お、お、王子様系じゃん!
火花ちゃんはお姫様系なのにこんなんもう
シンデレラじゃん!裸足でかけてくわ!?」
火花「みんな落ち着いて〜
みりりんとかもう意味不明だよ〜」
紗良が時が加速したかのように
一瞬で名舟の前へ近寄った
紗良「初めましてぇ、満田紗良ですぅ
ひばちゃんの、クラスメイトでぇ」
名舟「あぁよろしく、名舟 翠だよ
ぶどうヶ丘高校生だけど
校内に失礼してごめんね」
紗良「えぇ〜全然良いんですよぉ、
ひばちゃんから話は聞いててぇ、
お会いしたかったですぅ」
火花「あーにゃ、あれ誰〜?」
亜丹「私の知ってる満田 紗良じゃなさすぎる
サラ・マンダーと呼ぼう」
紗良「ちょ、人を火の精霊みたいに言うなし
そっちだってアニ・ニマルじゃん
てか!ひばちゃん、こんなかっこいいって
知ってたんなら先に伝えといて欲しいかったし」
亜丹「誰が獣だ鞭打つぞ。
私、尼丸 亜丹、ひばの友人その2、よろしく」
名舟「陽菜が言ってた面倒なことって
こういうこと?」
陽菜「ま、そういうこと、顔面tier1だし?」
陽菜はにへらと笑いかけると手を振りながら
帰って行った、名舟は言い放って行った
聞きなれない言葉に首を傾げながらも
紗良の肩に、軽くぽんと手を置いてから
火花に歩いて行った、そしてスマホを手渡した
火花「ありがと〜!でも、実はヒバナ
補習終わってさ、良かったら一緒に帰ろ〜?」
名舟「いいよ、帰ろっか」
亜丹「気をつけて帰ってな、ひば
あぁ紗良、お前はまだ帰らせないからな」
紗良「そんな……!
初めてちゃんと勉強しようと思った……」
亜丹「良かったな、お前は後2教科あるから
やる気スイッチを入れてくれた翠さんに
机に頭擦り付けて感謝しろ」
火花が、スマホを受け取った
と、火花と名舟の間にひょっこりと美里が現れた
火花「みりりん?」
名舟「ちょっとちらっと絵が見えた、
かわいい絵を描くんだね」
美里「え、嬉しい〜!いや、私としては
2人の関係良いな〜と思って見てたよ〜
ひばすいうおおおみたいなほんと、ご馳走様」
火花「みりりん〆切近くて
本当に頭おかしくなっちゃったの〜?」
と、美里は唐突に『火花の左手首』と
『名舟の右手首』を鷲掴みにした
美里「だからさ、もっと見せてよ。
『ひばすいてぇてぇ』を」
金本美里が顔を上げた………
『瞳』に『光』が無かった。
火花 名舟「「ッッッ!!!」」
名舟「(この子ッ!『洗脳』されているッ!
まずい、敵だったかッ!?)」
火花「(みりりんまでッ!
怒ってる場合じゃないッ!攻撃に備え………
備え……?あれれ?)」
亜丹「美里?どうかしたか?」
美里「ううん、何でもないよ〜
あ、私も終わったから、はいプリント!
帰るねッ!新刊の発想が、浮かんだんだ
ありがとね?ひばちゃん、翠さん」
美里が、教室から出ようとしている
なんとなく、逃がしてはいけない、
火花はそんな予感がしたッ!
火花「逃すと思う?みりりん、
ラビット・ホールッッ!」
ラビット・ホール『ブラァッ!』
しかしッ!殴るために拳を突き出した瞬間ッ!
名舟「うわぁッ!?」
なぜか、名舟が膝をついて転倒したッ!
同時に火花も何かにつんのめって、
近くの机に掴まったッ!
火花「うわわッッ!?」
美里「んふふふッ!まだ気づいていないの?
もう既に『恋の試練』は始まっているッ!
手首を見てみなよッ!!」
2人が同時に手首を見た
火花の左手首側はピンク色
名舟の右手首側は青色の『手錠』がッ!
ガッチリと手首をロックしていたッッ!
2人の鉄輪はキス待ちのような顔がついた
ハートが中間についた黄色の鎖で繋がりッ!
多少引っ張っても外れる気配などないッッ!
火花「な、なにこれ〜〜〜ッッ!?」
名舟「手錠ッ!?しかも、ヤバイッ!
頑丈だぞこのスタンドッ!」
美里「教えてあげるッ!
そのスタンドの名は『コネクト』ッッ!!
2人に架す恋の試練ッ!外れる条件は『二つ』ッ!
『心から嫌い合う』か、
『体ごと愛し合う』か。
あ、もちろん、不仲営業は認めないよ?」
美里「ということでよろしく〜!」
火花「もう一つあるよね〜?みりりんを
ぶちのめせば取れるよねェ〜ッ!!
ラビッ………」
名舟「いっ……ッッ!!」
と、さっきの謎が早くも解けた、
ラビット・ホールの隣に立つヨルシカ
てっきり名舟も反撃に出たのかと思っていたが
違うッ!なんとラビット・ホールの左手首とッ!
ヨルシカの右手首もッ!
『コネクト』でロックされていたッ!
ヨルシカ『マスターのご友人、進言します。
そのパワーで動かされ続けますと、
私の右手が、ひいてはマスターの右手が
骨折する可能性大』
ラビット・ホールも困惑して首を横に振っていた
名舟「ごめん……火花、迷惑かけて」
火花「謝らないで〜!こっちこそごめん〜!?
一緒にみりりんをぶちのめしに行こう〜!」
火花が名舟から前に向き直った
と、唐突に名舟の方から火花の手を握った
火花「わ………ッ?」
名舟「これの方が安定する、それに危なくない」
火花「(違う意味でこっちの方が危ないよ〜?
すいすいはまたこういうことするんだから〜)」
紗良「え?ちょっ、な、何して……ッ!」
亜丹「………ひば、ちょっと大胆すぎる
私らも見てるんだけど」
火花「違うんだよ〜!違くないけど〜!
後で説明するから〜!」
と、顔を真っ赤にしながら火花は名舟の
手を引きながら教室から廊下に出て行った……
と、廊下の窓に寄りかかってLINEを打っていた
吉野陽菜と目があった
陽菜「あれ?すいち、ひばち、用は済ん………
何してるし……いや、待って何その手錠」
火花「そっかぁ〜ッ!
ひなひなは見えるんだね〜!?助けて〜!
みりりんにやられた〜!」
陽菜「マジ!?あいつも洗脳されてんの!?
さっき校庭走ってくのが見えたから
たぶん校外だと思う」
名舟「ありがとう陽菜、
それが無かったら校内を探し回るところだった」
陽菜「ま、すいちには借りしかないし
あ、そうだ火花、ひとつ情報あげる」
火花「情報?なに〜?」
陽菜「さっき、生物部のあの爬虫類マニア、
蛇谷 理子がいつものようにヘビやらトカゲやら
引き連れて居たんだけどさ
……あいつ、目に光無かった」
火花「りこぴゃも……?」
陽菜「いつ襲ってくるかわかんないけどさ、
気をつけなよ、特に今のその手錠の状態で
襲われたら何のスタンド相手でもヤバいよ?
あたしのスタンドでも今の2人なら勝てると思う」
名舟「いや、B.B.クイーンズは素で強いよ」
火花「ありがとう〜!爬虫類マニアのりこぴゃに
スタンドが出たとしたら想像するだけでも
怖すぎるけど頑張る〜!
ちょっとみりりん、ぶちのめしてくるね〜!」
2人が繋がれたまま駆けて行く背中を
吉野陽菜は手を振って見ていた
陽菜「(あたし、せめてあの髪の長い女で
良かったかも、ひばちのスタンドの
ラッシュ喰らうとか怖すぎじゃん………)」
斉唱四角学園近くのレストラン通りを
2人の女子高生が歩いていく、
2人は……名舟 翠と早乙女 火花は
肩が触れ合うほどにぴったりと
横に並んで歩いていた
そして、2人の手は指同士をしっかりと握り込む
『恋人繋ぎ』をしていた
火花「(ど、ど、ど………
どういう状況なのーーーーーーッッ!?)」
火花「(いやおかしくないッ!?マジでッ!
これがあの子のスタンドの攻撃なのも分かるッ!
こうした方がいいのも分かるッ!
わかるけどさァ〜〜ッ!)」
火花がちらりと名舟を見上げた、困ってはいるが
嫌がってはいなさそうだ
火花「(なぁ〜んですいすいは
ノリノリなのかな〜ッ!?
こんなの思う壺だよあの子の〜!?)」
グイッ!
名舟「いっ………」
火花「あぁぁぁごめんッ!腕を強く引いちゃった
痛くなかった、すいすい……?」
名舟「大丈夫……ヒバナ、
これ……どうしようか」
ジャラッと名舟が手首を胸の辺りまで上げる
手を繋いだままの火花の腕も上がった
火花「……もう、本体をぶちのめすしかないよ〜
うぅ〜どうしてこんなことに〜!」
名舟「………そうだね」
火花「だからなんで
ちょっと楽しそうなの〜ッ!?
いくら直接害の無いスタンドとはいえ、
攻撃を受けてるんだよ〜ッ!?」
名舟「いや、普通に手を繋げばいいのに
なんか面白い繋ぎ方して来たから……」
火花が気づいて、パッ!と手を離した
顔を思わず逸らした
火花「……んっんっ!
じゃあ、早く本体探しに行こっか〜」
名舟「あぁ、そうしよう」
と、今離したばかりなのに名舟が握手するように
普通に手を繋いだ
火花「(〜〜〜ッ!!
絶対に見つけてやるッッ!いや、というか、
元はといえばァァ〜〜〜ッッ!
なんなのこのスタンドッ!?
『コネクト』だっけ?
みりりんがビターエンド厨の
百合モノ好きだから〜〜ッ!?)」
名舟「(外れる方法は二つ……でも、
2つとも、どちらかの意味で火花を傷つける
僕には無理だ……美里を倒すしかない
それに言っていた、『もっと見せて』と
なら恐らく、
彼女は僕達が見える近くにいるはず)」
名舟が辺りを見回した、細かい路地、
レストラン通りの店内まで。
だがここは斉唱四角学園の学生による
利益を狙った
ヨーロピアンなカフェ・レストランの密集地
テラス席も、店内もギンガムチェックに
白いワイシャツ、ネクタイかリボンの制服姿の
黒髪か茶髪か金髪の女子高生でごった返している
名舟「なんか……僕が相手するスタンド、
こんなんばっかだな」
火花「え?」
名舟「火花、この街の景色から近くにいるだろう
金本美里を見つけられる?」
火花「……難しぃ〜かも……この時間はちょうど
部活の午前練と補修が終わる時間だから、
みんな、ここでランチしちゃうんだよ〜
ヒバナもよくここで屯してるんだ〜」
名舟「つまり、今、目に見える範囲の
女子高生は殆どが……」
火花「うん、斉唱四角学園生、それにみりりんも
ヒバナには見つからないように潜んでるはず〜」
名舟がどうしたものか、悩んでいた
と、繋いだ手を見ている火花、
名舟より背丈の低い
金髪ツインテールの頭越しに
『何か』が……テラコッタタイルの道を
這ってきていた
名舟「…………?」
いや、違う、這っているのではないッ!
よく目を凝らした、
『泳いでいた』ッ!細長い木の棒のような形の
何かしらの『生物』ッ!ごつごつとした肌を持つ
生物が、音もなくッ!早乙女火花に
忍び寄ってきていたッ!
名舟「……………ッ!………火花ァッッ!!」
火花「え?………わぁっ!?」
名舟が咄嗟に火花の腰に腕を回すッ!
そして、自分ごと背中側に身を投げたッッ!
バクンッッッッ!!!!
地面から垂直に伸びたのはッ!
いや閉じられたのは『緑色のワニの口』ッッ!
先ほどまで火花が立っていた位置に
その大口の顎が勢いよく閉じられたッッ!
火花「なにごとーーーーーッッ!?」
名舟「スタンドの攻撃だッッ!
音もなく忍び寄ってきていたんだッ!」
「あは、惜しかったじゃーん」
2人の行く先にコツと斉唱四角学園生が立った
癖のついたウェーブヘアを
両肩でおさげにしている
首にアオダイショウが巻きつき、
左肩にはイグアナがしがみついた女子高生
んべっと出した舌は先端が二股に分かれ
瞳は縦に細長い、一目見たら忘れられない
強烈なスタイルの少女、
だがその美しい瞳もまた、光を失っていた
火花「りこぴゃ!?さ、最悪だーーーッ!」
アオダイショウ「シャーーーッッ!」
理子「落ち着いて、『サクラ』
あは、終業式ぶりだねヒバナ、元気?」
火花「たった今、元気じゃなくなったかも〜」
理子「あは、そっちは初めまして、名舟 翠
あたしは理子、生物部の蛇谷 理子
このアオダイショウは『サクラ』
イグアナは『オリオン』、美しいでしょ?」
火花「待ってりこぴゃ!今はやばいッ!
ちょっと待ってッ!」
理子「待たなーい、あは、
てか本当に手錠されてる
美里の言った通りだ」
名舟「え?どういう……」
理子「言われたんだよ、火花と翠を
手錠でコネクトしたから、今がチャンスって
今襲えば、きっと『美しいものが見れる』って」
火花「……相変わらずたまに怖いよみりりん」
名舟「随分個性的な子なんだね……?」
理子「真意はあたしには分からないけど
ま、チャンスなのは確か、利用しない手は
………ないッ!!」
2人の間の足元にワニの鼻が見えたッ!
2人はそれに同時に気づいて反応する、
……までは良かったが
咄嗟に左右に避けてしまったッ!
ビィンッッ!
名舟「わぁっ!」 火花「きゃっ!!」
互いの手首に引っ張られて2人が折り重なるように
内側に転倒したッ!!
そこにッ!ちょうど並ぶ2人の頭部分に
『赤いワニの口』がバカリと地面から開いたッ!
名舟「ヨルシカッッ!!口を閉じる咬合力を
眠らせてッ!」
ヨルシカがラビット・ホールを伴って現れると
ひまわりを片手で支えたまま光を放った
火花「すいすいッ!ちょっと我慢して
ラビット・ホールッ!ヒバナの足を掴んで
後ろに引きずってッ!」
ラビット・ホールがヨルシカと並ぶように
火花の後ろに現れ直した、そして火花の足首を
掴み上げるとそのまま名舟ごと引き摺った
ワニの口がゆっくり閉じる、
名舟の革靴スレスレを牙が掠めたッ!
理子「やるじゃん……ッ!」
名舟「!?火花、見たか今のワニの色ッ!」
火花「色!?色って何!?」
名舟「理子、だっけ?お前……
ただのワニのスタンドじゃないなッ!
最初のワニと色が違うッ!」
理子が、んべぇっとスプリットタンを出した
理子「『爬虫類』はかつて、地上の王だった
鋭い牙、硬い鱗、空想じみた瞳、獰猛な習性
特異な生態ッ!『爬虫類の美しさ』とは
『強さの美しさ』よッ!
だから、あたしは魅入られた」
理子がアオダイショウのサクラをそっと撫でた
イグアナのオリオンがチロチロと舌を出した
理子「他にも家にはカメレオンの『コスモス』と
ミドリガメの『リュウセイ』がいる……
でも、特定生物だからどうしても飼えない
爬虫類が1匹だけいるのよ、
でもあたしのスタンドはッ!
それを叶えてくれたッ!」
理子「そう、『ワニ』だッ!
ワニこそが最もかつての地上の王達に近いッ!」
地面から緑色のナイルワニと、
赤色のインドガビアルが
理子の両脇に飛び出してきた
だがその姿は、なんと二足歩行しているッ!
簡素なプロテクターを関節部に纏い
そして、その目にはサングラスをかけた
ファンキーな二体一対のスタンドッ!
飛び出した勢いで回転していた2匹はそのまま
地面に着地し誇らしげに前屈姿勢で構えを取った
理子「『J・ソウル・ブラザーズ』ッッ!!
さぁッ!!狩りを再開しようかッ!」
理子が腕を掲げて合図を出したッ!
2匹が地面に飛び込むッ!まるで入水するように
何の抵抗もなく2匹が潜行していったッ!
ワニの眼と上顎部分が火花と名舟に
接近してくるッ!
名舟「二匹一対のスタンド……ッ!
しかも今の僕たちはこんな状態……ッ!
火花ッ!」
火花「わかってるよ〜ッ!すいすい、
連携しよう、向こうは二体、でもこっちは実質、
片方のスタンドしか使えないッ!
動く時も互いを意識して動こう……ッ!
さっきみたいになったら
もう終わりだから……!」
2人の前に2匹ともが接近して来たッ!
それぞれに顎が開かれるッ!!
名舟と火花が同時に
地面を蹴って後ろに跳んだッ!
そしてその噛みつきを同時に回避した
火花「(繋がってるのは左手首だから〜)
ラビット・ホールッ!右拳で殴っちゃえッ!」
ラビット・ホール『ブラァッッ!!』
右拳が赤いワニへと振り抜かれる、
だがその拳をワニは前脚……
いや右手で包み込むように受け止めたッ!
火花「嘘ッッ!?」
そして、捕まえたままワニが口を開いたッ!
だが、ラビット・ホールが捕まったということは
名舟「させないッ!」
ヨルシカがラビット・ホールの『真隣』から
太陽光を放ったッ!
赤いワニがのけ反って膝を付くッ!
火花「危なかっ………ッッ!」
だが、その横からヨルシカの
ワンピースの裾目掛けて
地面から飛び出した緑のワニが襲いかかったッ!
火花「ラビット・ホールッ!!」
ラビット・ホールはヨルシカの腕を掴むと
そのままその腕を軸に位置をスイッチすると
かぶり付く寸前の緑のワニの
上顎を殴り伏せたッ!
だがまとわりつく土で発火しきれないッ!
今度は赤いワニが襲いかかってくるが
2人がほぼ同時にスタンドを引っ込めたッ!
反撃をして来ていた緑のワニ共々
J・ソウル・ブラザーズの噛みつきが
空を切って2匹とも着地する
今度は緑のワニだけが2人に噛みつきかかるが
名舟が火花と目線を交わすと、
コネクトで繋がれた手首を掴み上げ、
火花の身体を自分に引き寄せたッ!
火花の背中すれすれを緑のワニの牙が通過する
だが、間髪入れず互いの身体を支え合う形で
密着する名舟と火花に赤いワニが襲いかかるッ!
火花は咄嗟に名舟のネクタイの結び目を
掴み上げると自分ごと地面に引き倒したッ!
名舟の後ろ髪の上を赤いワニの牙が通過する
理子「あは、すっご、マジでデキてんの?
即興でよくかわせんね今の二撃」
2人が手錠に繋がれた腕をしっかりと
掴み合いながらゴロゴロと地面を転がる
先に名舟が立ち、スカートを庇う火花を丁寧に
立たせていた
名舟「(埒が開かない……ッ!
本来だったら正直、ラビット・ホールも
ヨルシカもある程度なら応戦できるはずッ!)」
火花「(でも、腕が繋がれてるから
ヒバナとすいすいも、スタンドも2つとも
回避優先の反撃しかできない……ッ!)」
2人が同時に、互いの手首を繋ぐ
『コネクト』を見た
名舟 火花「「(せめてこれが外れれば……)」」
『心から嫌い合うか』『体ごと愛し合うか』
正直、両方とも論外である
前者は今からではコネクトを欺けるほど
嫌い合う仕草など出来ない
後者は互いに互いを親友として想っているが故に
相手を傷つけることなんて出来ない
あるいは『どちらかを外すことは出来る』のだが
その方法はあまりにも2人に出来るわけがない
火花「すいすい、先にこれを外す
だからみりりんをぶっ飛ばす、それでい〜い?」
名舟「それで行こう、この通りの道案内は
任せても?」
火花「もっちろんだよ〜!ヒバナも全力、
絶対にみりりんを見つける……そしてッ!」
潜行して飛びかかって来たワニの兄弟を
2人同時に屈んでかわすと、火花ががっしりと
手錠で繋がれた名舟の腕を掴むッ!
そのまま名舟が力を込め、火花の両足を
テラコッタタイルに滑らせるように遠心力を掛け
2人揃って逆方向を向いたッッ!
屈んでかわされたJ・ソウル・ブラザーズが
またしても地面に潜るのを確認すると
2人は同時に右足を踏み出して、
蛇谷理子から逃げていった………
理子「あは、体制立て直す気かな?」
理子の後ろにどこからともなく少女が……
金本美里が姿を現した
美里「流石だねひばちゃん、翠さんも凄い
まさか理子のスタンドの猛攻を交わすなんて
でも……私を探してるんじゃないのかな?」
理子「あは!ここにいるのに?
楽しくなって来た……あたしはこのまま
追いかけるよ。
美里、いいものが観れるといいね
J・ソウル・ブラザーズッッ!!」
ワニの兄弟が回転しながら地面から飛び出して
かっこよくポーズを決めた
そして、走り始めた理子の後ろへ着いていった
美里「(もう気づいてるんでしょ2人とも、
三つ目の外す条件に、
『コネクト』は『生物同士』を繋ぐスタンド
だから、どちらかが生物でなくなればいい
つまり………ね?)」
美里「……『片方が死ねばいい』
片方を助けるために、愛を以て命を捧げる。
出来るかな?早乙女火花、名舟翠
その『鬱くしい結末(ビターエンド)』を」
To be continued………
[コネクト]
【破壊力-E/スピード-E/射程距離-C/
持続力-A/精密動作性-E/成長性-E】
ピンク色の手錠と、ブルー色の手錠が
キス待ち顔のような顔がついたハートが
中間についた鎖で繋がれている小型スタンド
指定された『2人の人間』の手首をロックする
一度ロックされたら自力で外すには
「心から嫌い合う」か「体ごと愛し合う」か
「どちらかが命を落とす」しかない
厄介なのは、互いがスタンド使いだった場合
スタンド同士の手首にも手錠がかかるため
能力によっては互いのスタンドが邪魔になり
封じられるどころか同士討ちすら
引き起こしかねない
名前の由来はClariSの楽曲から