綾瀬凛藍は夜に駆けていく   作:眠 いつか

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第17話 恋の試練は突然に その②

斉唱四角学園前……カフェ・レストランの集う

ここはヨーロピアン通りの路地裏

火花が路地裏の室外機に座り

繋がれた『コネクト』を自分のスタンドである

ラビット・ホールに掴ませて引っ張っていた

背中合わせの名舟は小さくため息をつきながら

表通りを向いて人通りを見張っていた

 

名舟「やはり、取れそうにないかな?」

 

火花「うーん……かも、パワーのあるなし

とかじゃなくて、やっぱりこれヒバナ達の行動を

感知してるっぽい」

 

名舟「『心から嫌う』か『体ごと愛す』か……

それとも……」

 

火花「『それ』は絶対にだめ、ヒバナなら

たぶん簡単に出来るけど

絶対にそんなことしたくない」

 

名舟「そりゃそうだよ、それに美里を

探して倒せば良いんだから」

 

火花「ただ……一度試してみたいことは

あるんだよね〜」

 

火花と名舟の視線が交差した

やがて火花の視線は名舟の後ろに立つ

ヨルシカへと向いた

名舟はそれで理解した、だから一言こう返した

 

名舟「どっちに向ける?」

 

火花「ヒバナにやって見てよ〜!」

 

名舟は小さく頷くと、火花の瞳を指さした

 

名舟「…………ヨルシカ」

 

ヨルシカは火花にひまわりを向けると

至近距離から太陽の光を浴びせたッ!

火花がガクンと仰反る、室外機から転落する前に

乱暴ながらコネクトで繋がった手首を引いて

引き寄せると

そのまま自分の胸の中に抱き寄せた

 

………

 

………

 

………

 

『コネクト』は何も反応していない。

 

名舟「ダメか……やはり、眠っただけでは

コネクトを騙せないか……」

 

名舟が指をパチンと鳴らすと、火花がゆっくりと

上体を起こした、そして手首に繋がったままの

コネクトを何かいいたげに見つめていた

 

名舟「……分かったのはこれ、眠ったとしても

コネクトは繋がり続けるということだね

これ今日中に外さないと日常に支障がでるかも」

 

火花「泊まるのはりらっち先生ちで良いとしても

食べる時もお風呂も寝る時も繋がれたままは

……まぁヒバナは良いけど不便ではあるかも〜」

 

名舟「とりあえず、綾瀬さんに電話だけしておこう

もしもの際は手錠で繋がれたまま

泊まりに行きますって」

 

火花「言葉にすると凄く変な状況〜!

戦闘力は一切ないけどこのスタンド

凄く『厄介』だね〜!

早くどうにかしないと〜!」

 

 

 

 

〔第15話 恋の試練は突然に その②〕

 

名舟が綾瀬への電話を終えて

スマホの画面を落とした

 

火花「りらっち先生は何だって〜?」

 

名舟「『もちろん良いですよ』だって、

一瞬誤解されかけたけど」

 

火花「え?誤解?」

 

名舟「最初にスタンドの攻撃というのを

忘れたから、捕まったと思ったみたい

……まぁスタンドの攻撃だと伝えた時も

不思議そうな声色してたけど」

 

火花「『2人を手錠で拘束するスタンド』なんて

冗談にしか思えないからね〜

もし、みりりんが正気に戻ったらこのスタンドは

どうやって活用させれば……」

 

名舟「やっぱり中々接近できないカップルさんを

『コネクト』するとか……」

 

火花「ギリ犯罪かも〜」

 

名舟「それも契約制にしてさ

『私と契約して──」

 

火花「なら『恋の魔女』だよ〜……

てか、すいすい頭疲れてない〜?」

 

名舟「疲れてはいるよ、火花とはいえ

こんなに長く女の子と手を繋いだことないし」

 

火花「……そういえば、すいすいの交友って

聞いたことないかも、どんな感じなの

友達いる?3食食べてる?」

 

名舟「君はお母さんか?……

いないわけじゃないけど

君みたいに多くはないかも、でも……」

 

火花「でもでも?」

 

 

名舟「親友なら君がいるから」

 

 

火花「…………!?」

 

火花が顔を背けた

そして繋がれていない方の手で胸を押さえた

 

火花「(あれ?え、すいすいって

こんなかっこよかったっけ?

確かに人たらし朴念仁なところは

あったけど、え?)」

 

火花「(それとも……今の状況が吊り橋効果を

生んでるってこと?もしかして『コネクト』

意外ととんでもない能力なんじゃ……)」

 

火花が顔を上げた、そしてコツンと

ビル壁に頭を寄りかからせた

 

 

『ワニ』の口が壁から現れて

火花の頭を挟み込もうと顎を大きく開いたッ!

名舟が思い切りコネクトを引いて火花を自分ごと

座っていた室外から転がり落としたッ!

 

バグンッッ!!

 

火花「J・ソウル・ブラザーズッッ!?」

 

名舟「ここはまずったか……?」

 

壁面から反対側の壁面へとワニが飛び移る

かと思いきや、

前方突き当たりの壁にもワニの頭が

ハンティングトロフィーのように

ずずずと出てきている

 

名舟「壁面や床を『水面』のように泳いで

奇襲を敢行するスタンド……ッ!

なら路地裏はまずい

壁と壁の距離は短く、床も狭いッ!!」

 

両側の壁からワニの兄弟が飛び出したッッ!

 

名舟「ここは『狩場』だッ!!

ワニの狩場だァーーッ!」

 

火花「いいやッ!違うよすいすいッ!

狭いからいいのッ!

襲いかかってくる方向は限られる

つまり迎撃も容易いッ!

ラビット・ホールッッ!」

 

ラビット・ホール「ラァ〜ッブラブラァッ!」

 

発火する拳のが迷いなく振り抜かれる!

空中を飛びかかってきていた

J.S.Bは避け切れない!

 

ドドトドドドッッッ!!

 

J.S.B「「ギシャアアアッッ!」」

 

だが振り抜けたのは繋がっていない右腕だけ

ラッシュにならない上に左腕にかかった力により

半分の威力が精一杯だったッ!

 

悲鳴を上げながらもワニの兄弟は、

壁に潜水して逃げる

そして、辺り一体の壁を縦横無尽に泳ぎ始めた

 

火花「だめ…ッ!全然、スピードが出ない…ッ!

右腕だけじゃ、ラビット・ホールの

爆発的な火力が生かし切れてない……ッ!」

 

名舟「いや、それもあるけど

恐らく左手がヨルシカと

繋がっているからだ、無意識なブレーキを

ラビット・ホールの方がかけてくれているんだ

全身の動きっていうのは連動している

本気で振り抜けば………」

 

火花「反動でヨルシカを振り回してしまう……

そうなればすいすいが危ない……ッ!」

 

赤いワニが飛びかかってくるッ!

それをラビット・ホールが迎撃する

今度は緑色のワニッ!だがそれも迎撃する

背後から今度は襲いかかる、

先にヨルシカが振り向いて

眠らせようと光を浴びせるがそれを感知されて

潜って逃げられた

 

自然と名舟と火花、

ヨルシカとラビット・ホールで

それぞれ背中合わせになった

 

名舟「本来……彼女に対して言い方は悪いけど

君のラビット・ホールなら簡単に仕留められる」

 

火花「だけど、

ヒバナ達が『コネクト』されているから

元の攻撃力まで辿り着けてないってことね……」

 

名舟「強力な攻撃も、理不尽な攻撃もないが

恐ろしいスタンドだ

手錠をかけるという最小限の動作で

こんなに僕らを追い詰めるなんて」

 

火花「どうすんのッ!?

このままじゃジリ貧だよ〜

いつか耐えられなくなった瞬間に、

ヒバナたちはワニの餌食だよ〜〜ッッ!」

 

名舟が考える、まずは路地裏を出る

三面から襲ってくるのはあまりにも辛い

ではどこに逃げるか。

その時、路地裏から見上げた

細い空を『鳩の群れ』が横切っていった

 

名舟「そうか、あんな感じの高い場所なら……」

 

火花「何!?」

 

名舟「ヒバナ!あるところに行きたいんだけど

この近くから登れるところあるかッ!?」

 

火花「路地裏も探検コースだから

言ってくれれば!

どこに行きたいの〜!?」

 

名舟「この店舗街の屋上にッッ!」

 

火花が『コネクト』を引いて名舟を抱き寄せると

手を握って、走り出した

後ろからJ.S.Bが追撃してくる!!

 

火花「ラビット・ホールッッ!!」

 

ラビット・ホール『ブラブラァッッ!!』

 

牽制ッ!威力のない右拳を軽くいなされて

また近くの壁に潜航したッ!

だがその一瞬の隙をついて

鍵のかかったフェンスを

二人で息を合わせて乗り越えると

店舗裏の非常階段を登り始めたッッ!

 

非常階段が面する壁をものすごい勢いで

2匹が登ってくる、追いつかれるのは時間の問題

ここで名舟が思い切ったッ!

 

名舟「…………飛ぶよッッ!!!」

 

火花「飛ぶ!?飛ぶって何ッ!?わぁッッ!!」

 

名舟が火花を抱えると

なんとそのまま非常階段の

手すりを超えて空中に身を投げたッ!!

 

J.S.B『『!!?!?』』

 

上空を舞いながら、

コネクトを火花の胴体に巻き付け

自分にしっかり固定する

 

名舟「ヨルシカッッ!!

落下エネルギーを眠らせてッ!」

 

二人が空中で静止した

 

名舟「今から僕のタイミングで、

重力エネルギーを眠らせて………今ッ!」

 

名舟が空中を踏んだッ!

まるで空気の床を踏んだように

虚空を飛び上がったッ!

 

名舟「今ッッ!!」

 

ヨルシカ『理解しました、マスター』

 

名舟が虚空を足場に上空へと跳んでいく

壁から飛び掛かるしかないJ.S.Bを置いていく

火花は下を見ないようにしっかりと

名舟にしがみついていた

 

やがて一つのレストランの平たい屋根に

転がりながら着地した

 

名舟「ごめん、非常階段いらなかった」

 

火花「や、やる時は言って欲しいかも〜〜ッ!

でもかっこよかった〜〜!」

 

J・ソウル・ブラザーズが

屋根からいつものように

回転しながら飛び出して着地ポーズを決めた

 

火花「そろそろうざったいな〜」

 

名舟「ヒバナ、スタンドはスタンドでしか

攻撃できない、だったよね?」

 

火花「え?うん、基本的には?」

 

名舟「ヒバナ、ちょっと耳貸して」

 

火花「ふん………ふんふん…………

え!!めっちゃ面白そう!!」

 

名舟「それにはヒバナと

息を合わせないとだけど」

 

火花「あはっ!行けるよ、すいすいとならね」

 

J・ソウル・ブラザーズがじりじりと

距離を詰めてくる

そして、一気に二人が駆け出した!

 

火花「どっちの方にする!?」

 

名舟「緑がわずかに遅れてるッ!

ヒバナ!赤いのを!!」

 

火花「りょーかいッ!ラビット・ホールッッ!」

 

ラビット・ホールの拳が

赤い方のワニを掠めたッ!

だが、それを余裕でかわして屋根に潜航する

緑のワニが間髪入れずに大口を開いたッッ!

 

名舟「行くよヒバナッ!」

 

火花「ぶーちかーませ〜ッ!」

 

二人が互いに距離を取ったッ!

コネクトの鎖がビィンッ!と真っ直ぐに伸びる

その張りきった鎖に緑のワニの噛みつきが

突っ込んだ

同時にッ!!二人が踏み出すッッ!

 

二人が張りきったコネクトの鎖はしっかりと

ワニの顎奥にピッタリと嵌り、二人の踏み込みで

反動がついた鎖は一度たわんでから元に戻るッ!

リングローブに叩きつけられたレスラーのように

あるいはパチンコで射出された小石のように

緑のワニは哀れ、遥か後方にぶっ飛んだッッ!!

 

J.S.B(緑)『シャアアアアァァァ〜〜〜………』

 

赤い方が慌てて飛び出してきたッ!

だがその頭にラビット・ホールの爆発力のある

拳が振り下ろされるッッ!

 

J.S.B(赤)「ギャアアァンッッッ!!」

 

名舟・火花「「よしッ!」」

 

緑のワニが飛び出したッッ!!!

 

名舟「は?」

 

火花「も、もう一度やる!?どうする!?」

 

名舟「ダメだ間に合わな………」

 

一瞬の動揺、一瞬の困惑、一瞬の迷い

名舟が緑のワニのタックルを

まともに食らったッ!

 

名舟「がッッ…………!?」

 

火花「すいすい………うわぁッッ!?」

 

名舟がレストランの屋根から吹き飛んだ

下は店前のテーブル席、

コネクトで繋がった火花も

道連れに空中に引き込まれたッッ!

姿勢は仰向け、最悪だった

これでは先ほどの空中歩行は使えないッッ!

 

名舟「(見誤った……ッ!接近戦ばかりだから

潜航速度はそんなじゃないと思ってた……ッ!

多少吹き飛ばしたくらいじゃ瞬く間に

戻って来れるのかッッ!)」

 

火花「(この高さなら死にはしないけど、

大怪我は免れないよねッ!?まずい……ッ!

あのJ・ソウル・ブラザーズの

目の前で動けなくなるなんて

手負いのインパラッ!格好の獲物すぎるッ!)」

 

その時、恐らくは同時に二人が気づいた

学園生達が談笑している6つのテーブル席

その一つだけがパラソルを開いていた

二人組の客のようだが、同い年くらいだろうか

少女達が食事を取っていた

 

名舟「………あとでちゃんと謝ろう」

 

火花「ごめんね〜……そのパラソル使う……

 

よッ!」

 

ガッシャァァアアアンッッ!!

 

「わぁっ!?」「むぅっっ!?」

 

2人が目測を合わせてパラソルへと

身体を落下させた

座っていた2人が驚きのあまり飛び下がる

衝撃でパラソルを支えていた机が崩壊して

砕けた食器とカトラリーが散乱した

 

名舟「ご、ごめんなさい……ッ!

訳はあとで……」

 

 

星街「…………翠?」

 

顔を上げた名舟が仰天した、

紅茶のソーサーとカップを持って立ち尽くし

目を丸くしていたのは、

黒いポニーテールに紅い瞳

暑さゆえに帽子は無く、ネクタイを緩めて

ワイシャツの袖を捲っている

同じ学校の先輩風紀委員の星街昴だった

 

名舟「昴先輩!?ということはこっちは……」

 

天宮「もぐ………もぐ………」

 

反対側で立ち尽くしていたのは

グレーの半袖ワンピースを腰のベルトで

留めた服装で、ニューヨークチーズケーキを

フォークで頬張りながら目を丸くしている

同じく風紀委員の天宮織姫だった

 

火花「知り合い〜〜?」

 

星街「あ、貴女が翠といつも共にいるっていう

早乙女火花さんかな?」

 

天宮「もぐ………もぐ………」

 

火花「!そうです〜!こんな出会い方で

ごめんなさい〜!すいすいがいつも言ってる

昴先輩と織姫先輩ですよね〜!」

 

星街が軽く会釈した、

そしてマンハッタン・ジャズ・クインテットを

出してティーセットを預けると2人の手を掴んで

立たせてから、落ちて来た空を見上げた

 

星街「何かに襲われてるのか?手伝おうか?」

 

名舟「いえ……襲われてはいますが大丈夫です

いつも困った時に、昴先輩と織姫先輩がいると

安心してしまう、

僕もスタンド使いになったんです

これから戦いも多くなりますから

………火花の力になりたい」

 

天宮「ごくん………スタンド使い?なったの?」

 

火花「わぁ〜!綺麗なお声、

そうなんですよ〜!」

 

名舟「………こんなかっこいいお姿なんですね

星街先輩のスタンドって」

 

マンハッタン・ジャズ・クインテットが

ティーセットを星街に返すと、

軽くハットの唾を摘んで頭を下げた

 

星街「そうか…織姫、ティータイムを続けよう」

 

天宮「援護しないの?」

 

パラダイス・ハズ・ノウ・ボーダーが姿を現した

名舟の目が釘付けになった

 

天宮「私、いつでも撃てるよ」

 

星街「彼女達の戦う意志を踏み躙れない、

翠と火花さんに任せよう」

 

天宮「…………わかった」

 

2人の背後からスタンドが同時に消えた

 

名舟「あの……もしかして鳥のスタンドですか?

さっきから飛んでたりしました?」

 

天宮「うん、次にいく良い店を探してもらってた

で、私の光の柱は最小出力になると

攻撃力が無い、だからそれで屋根にマーカーする

いつもそうしてる」

 

名舟「(じゃあさっき思いつくきっかけになった

『鳩の群れ』ももしかして……)」

 

星街「ちなみに日差しが強いからとパラソルを

開かせたのは織姫の方だ」

 

名舟「……ありがとうございます

昴先輩、織姫先輩、頑張って来ます」

 

火花「ありがとうございます〜!

また今度ゆっくり自己紹介しましょう〜!

あ、私のことはヒバナって呼んでください〜!」

 

天宮「じゃあ私たちのことも好きに呼んで」

 

火花「じゃ〜ぁ〜……

ばるばる先輩とおりひー先輩!

頑張って来ます〜!」

 

2人が立ち上がる、その時初めて昴と織姫は

2人が手錠のスタンドで繋がれていると気づいた

会釈しながら走り去っていく後ろ姿を見ながら

昴は軽くため息をついた

 

天宮「…………心配?」

 

星街「心配ではあるよ、でも頑張って欲しい」

 

天宮「そうね……ばるばる」

 

星街「お前はダメだ、おりひー

ほら、店員さん呼びにいくよ」

 

天宮「ん、終わったらいつも通り

純喫茶『ムーン・リバー』、行くでしょ?」

 

星街「もちろん行くよ。

椎菜が首を長くして待ってる」

 

2人が店内に入って行った。

 

 

2人が手錠で繋がれた手を繋いで、

斉唱四角学園生が行き交う

ヨーロピアン通りを駆け抜けていく

 

火花「!!…………

意外とそうなんだよね〜……」

 

名舟「ヒバナ?何かいた……?」

 

火花「みりりん!!!!」

 

美里「え!?は!?

なんで普通に動けてんの!?」

 

普通に歩いて来ていた美里が仰天を顔に浮かべて

踵を返した、耳にスマホを当てた

 

美里「ちょっ!理子!理子!!

『オータム・イン・ニューヨーク』の屋根から

突き落としたって言ったよね!?

普通に走って追われてんだけど!?」

 

理子『あは、悪運が強いね、今どのあたり?

再度ワニ達を向かわせる』

 

美里「今……今………『マギカ』の前を過ぎた!

あの魔女帽子のカフェ!!」

 

理子『あは、オッケ〜〜〜』

 

火花「人なら片手で十分だよ〜〜ッ!

ラビット・ホールッッ!!

ちょっと痛くするよ〜!」

 

理子の背中に追いついた、ヨルシカがしっかりと

ラビット・ホールの片腕に掴まっている

拳を振りかぶったッッ!!

 

理子「きゃああああッッ!」

 

火花「さぁ、この場で跪け〜〜〜ッッ!!」

 

と、その時突然、ラビット・ホールが急停止した

後ろ側につんのめるようにして

ヒバナも尻餅をついた

火花が状況を確認する、そして察して絶望した

 

困惑を顔にした名舟 翠が跪いていた

 

火花「え、あ………は?

いや、すいすいじゃなくて!……みりりん!?」

 

だが、金本美里も困惑していた、やがて

 

美里「はは、あははっ………ははははははっっ!

そっか、そっかぁ……もしかして進化した?

私の『コネクト』が?」

 

火花「(知らない……ッ!?)」

 

名舟「(危機に応じてスタンドの能力が

覚醒した、そういうことか……ッ!?)」

 

美里「『心から嫌う』か、『体ごと愛す』か

つまりそれは、心を繋ぐ(コネクトする)スタンド

だからなんだ、だから心が通じ切った相手は

その体を操れる、そういうこと……ッ!」

 

火花「いや、でもヒバナは

みりりんに言った……」

 

美里「でも『コネクト』が繋がってるのは2人

なら、操れるのは2人ってこと……ッ!」

 

火花「も〜〜訳わかんない〜〜!?

とりあえずもう『口を閉じて』〜〜〜!?」

 

名舟「むぐッ!!?」

 

何か言いたげな名舟の口がいきなり結ばれた

むーっ、むーっと口が閉じられた

 

火花「え……違う、違う!

ヒバナはみりりんに……」

 

美里は火花と名舟の後ろを見た、

ワニの頭が2つ泳いできてるのが見える

思わず笑みが止まらなかった

 

美里「私への唯一の懸念は

ラビット・ホールもヨルシカも

片腕が封じられてなお脅威だとということ

そしてコネクトされてなお、2人の連携が

異常なまでに高いこと。でもッッ!!

下手に口に出せない、伝えられないッ!

そんな状況で、J・ソウル・ブラザーズの襲撃を

凌げるかなぁッッ!!?」

 

赤いワニが大口を開いて先に飛んできた、

狙いはまだ立ち上がりきれない名舟の方ッッ!!

 

美里「勝ったッッッッッ!!!

 

もう何も怖くないッッッ!!!!」

 

火花「………わかってないね〜……

本当に心が繋がってるなら

………口に出す必要もないじゃん」

 

ヨルシカが後ろを振り向いて、飛んできたワニに

おひさまの光を浴びせるのではなく、

一瞬だけ光らせたッ!!

 

赤いワニは一瞬眠り、また起きた

だがそれのせいで空中の姿勢制御が崩れたッ!!

 

火花「コネクトは強い、J・ソウル・ブラザーズも

脅威すぎる、だから………こうすれば、いいッ!

ラビット・ホールッッ!!!」

 

ラビット・ホールが拳を振り抜くッ!

だが殴らない、

赤いワニの下顎の先端に拳を当てると

そのまま優しく、素早く、顎をなぞり

飛んでくる軌道を受け流したッッ!!

 

火花「『パリィ』ッッッッ!」

 

軌道が逸らされた赤いワニが空中で

ばたつきながら、屈み躱した火花の頭上を

通り過ぎるッ!

 

美里「……………え?」

 

美里の顔の前に、

大口を開けた赤いワニが飛んできていた………

 

美里「ッ!?いやあああああ!!!!」

 

バグンッッッッ!!!

 

美里の上半身がワニに咥え込まれた!!!

籠る悲鳴があたりにこだまする

 

理子「やば!!!

J・ソウル・ブラザーズ戻って!」

 

赤いワニが消える、美里の身体が地面に墜落した

上半身は繋がっている、出血も酷くない

だが少女にとってそれはあまりある恐怖であり

白目を剥いて失神していた

 

名舟翠と早乙女火花の

『コネクト』が消えた………

 

理子「はっ………はっ…………ッ!やっば………

 

く、ぅぅぅうううッ!!

 

『J・ソウル・ブラザーズ』ッッッ!!!」

 

火花「凄いねりこぴゃ、この状況で折れない

その心、本当に凄いと思う、友達に戻ったら

………いざという時は助けて欲しいな」

 

名舟「ヨルシカ。」

 

飛びかかって来たワニの兄弟が空中で静止した

 

火花「でも凄くヤバかったから

一回仕返しだよッ!

ラビット・ホーーーールッッ!!」

 

ラビット・ホール「ラァァァ〜〜〜〜ッッ!

ブラブラブラブラブラブラブラ

ブラブラブラァァァァッ!!!」

 

ラビット・ホールの爆発を伴う炎のラッシュが

身動きの取れない

ワニの兄弟を猛烈に襲ったッッ!

 

ラビット・ホール「ブラブラブラブラブラブラ

ブラブラブラブラッッッッ!!

 

ラブ・イズ・オーバーーッッ

(ウンザリよ)!!」

 

ドッグォォンッッッ!!

 

理子「んぎぃやぁぁぁっっっ!!!!!」

 

J・ソウル・ブラザーズが吹っ飛ぶッ!

同時にその後ろにいた蛇谷理子も悲鳴をあげて

火炎に包まれながらヨーロピアン通りの

テラコッタタイルに

背中から崩れ落ちた………ッ!

 

火花「はぁ……はぁ………

たい、へんだったぁ……」

 

ふらついた火花を名舟が手と肩を取って支えた

 

名舟「よく分かってくれたねヒバナ

ありがとう」

 

火花「おみとーし……だよッ、

すいすいの考えてることなんて………」

 

名舟がふと、近くのカフェの庇を見た

シルクハットを被った五羽の灰色の鳩が

止まって見ていた、それに名舟が笑顔で返すと

鳩達も消えていった

 

名舟「昴先輩………やりましたよ、

僕たちだけで」

 

火花「え?なに?」

 

名舟「いや………何でもないよ」

 

2人はなんとなく手を繋いだまま、

そのまま帰ろうとした時だった

 

ドサッ…………と、

カバンが地面に落ちる音がした

 

名舟が音のした背中側へ振り返る

 

広瀬一花が、驚愕の表情で立ち尽くしていた

 

一花「せん………ぱい…………?」

 

火花「ん?あれ、すいすいの知り合い?」

 

名舟「知り合いというか、後輩………だよ」

 

一花「こんな公衆の面前で

何をしているんですか?

せんぱい、その女は誰です?」

 

火花「(ふーん?)早乙女火花だよ〜〜ッ!

すいすいとは同じバイトの友達〜〜ッ!」

 

一花「じゃあなんで手を繋いでいるんですか」

 

名舟「確かになんで?コネクトの攻撃は

終わったのに?」

 

火花「あったかいから?でも、はいっ

………これで良いかな〜?」

 

火花がぱっと名舟の手を離す

一花は無言だった、ただ眼をこちらに向け

あまりにも静かに立ち尽くしていた

風が彼女の髪を撫でていた

やがて、

 

一花「あはっ、ごめんなさい早乙女先輩!

何か私、勘違いしてたみたいですね

怪我しているようですし

引き留めてごめんなさい」

 

名舟「ごめんね一花、今度話すから」

 

火花「一花ちゃんっていうの?

ばいば〜い、また今度お話ししよ〜〜ッ!」

 

一花「はい…………………お気をつけて。」

 

疲労感を隠せない2人がゆっくりと去っていく

その姿を一花は眺めていた

 

…………近くの標識が、

物凄い力で握られたようにひん曲がっていた。

 

 

金本美里:正気に戻ったがワニがトラウマになる

なお、夏コミは間に合わなかった

蛇谷理子:正気に戻った後、改めて

自分のスタンドに感動、自宅の爬虫類飼育部屋で

時々自分のスタンドも眺めているらしい……

 

To be continued………

 




[J・ソウル・ブラザーズ]

【破壊力-A/スピード-B/射程距離-E/
持続力-E/精密動作性-C/成長性-B】
サングラスをかけた二足歩行のワニ兄弟
赤色のナイルワニと緑色のインドガビアルと
2体1組のスタンド
咬合力と隠密は健在のまま
床や天井などのあらゆるところを
水面と見做して『潜水』することが出来る、
ただし完全には潜れずワニ頭の上半分だけが
必ず水面から露出する
だが、それはまさにワニの狩りであり
「爬虫類こそ生物の美」という
マスターの理子の憧れの発露とも言える
元ネタは日本のダンス&ボーカルグループ
三代目J SOUL BROTHERSから
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