綾瀬凛藍は夜に駆けていく   作:眠 いつか

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第2話 綾瀬判事、公判中

綾瀬「………と、いうのが昨晩あったことの

全容です」

 

綾瀬が玄関先のロッキングチェアに

揺られている、

家の中はどやどやと鑑識達が検証し、

縛られていた名舟が念の為に救急隊の手当を

受けているのが見えた、綾瀬は目の前の………

明らかにこの場には場違いに見える

髪色を毛先だけ赤に、それ以外を金髪に染め

ショートツインテールにした少女……

バルコニーの柵に座り、足をぶらぶらさせながら

聞いていた彼女に語り合えた

 

「えぇーっ?マジぃ?りらっち先生、

大変だったじゃーん!ヒバナ呼んでくれれば

良かったのにーっ!」

 

ヒバナと自らを呼ぶ彼女、もう一人の学生バイト

早乙女 火花がわざとらしく身体を揺らして答えた

 

綾瀬「君が来たら、3人とも無事では

済まさないでしょう?」

 

火花「あはーっ!当たり前じゃん!

正当防衛?って奴でオッケーっしょ?」

 

綾瀬「刑法第36条第1項の正当防衛ですね、

やり過ぎると過剰防衛に……

いえまぁ昨日の場合は、君が来てたら

見逃してましたね、それくらい……」

 

火花「ま、無事だったからいいじゃん!

りらっち先生!」

 

名舟「身体検査終わりました、

特に問題ないとのことで

解放されましたよ綾瀬さん」

 

綾瀬「お疲れ様です、

………おや?そういえば時折間君は?」

 

名舟「警備の出勤時間とか叫びながら

走っていきましたよ」

 

火花「今日、公判だしね!あ、りらっち先生も

準備しなきゃじゃん?」

 

綾瀬「えぇ、では始めますか」

 

すかさず名舟が綾瀬の肩に触れ、

そのまま腕を這わすように優しく手を握ると

そっと立たせた、ちょうど中から咲織刑事が

出てきたところだった

 

咲織「盗られたのはありません綾瀬先生、

いくつか物品が破産させられたというところです

床は掃除させておきましたので」

 

綾瀬「ありがとう咲織、そうそう、ところで」

 

綾瀬が咲織の耳元に近づいた

 

綾瀬「例の事件は?」

 

咲織「………先日、今度は警察署に止めていた

パトカー3台のタイヤが全部バーストしていまして

……困ったものです」

 

綾瀬「互いに調べていきましょう、

そろそろ警官達に被害者が出そうです」

 

咲織「もちろんです、ご協力感謝します」

 

咲織がバルコニーの階段を降りて行った

それを追うように鑑識達が会釈しながら

通り過ぎていく、それらを見届けると、

3人は屋敷に入って行った

 

 

〔第二話 綾瀬判事、公判中〕

 

綾瀬「それでは、開廷します。

被告人は前にいらしてください」

 

杜王町地方裁判所、法廷室

綾瀬が黒い法服を纏い、壇上席から宣言した、

学生バイトの二人は傍聴席に座り、

扉を時折間 玄が白い警備服を着て

睨みを効かせる中

 

被告人と言われたジャンバーを着た少年が

気だるげに歩いてきた

 

綾瀬「お名前をどうぞ」

 

「中村 幸っす」

 

綾瀬「お誕生日は?」

 

中村「7月20日っす、つか、目が見えねぇってのに

さいばんちょは俺を裁けるんっすか、マジで」

 

綾瀬「発言は許可していませんよ被告人

これより被告人の強盗事件について審理します

検察人、起訴状の朗読をお願いします」

 

検察人が立ち上がった、顔の暗いインテリそうな

メガネの男がメガネの端をくいっとあげた

 

「検事の金宮 縫(きんぐう ぬう)です、

被告人は平成29年4月6日、14時ごろ

杜王町赤穂地区1-5-6所在の邸宅に無断で侵入、

家の中にいた大石 大奴(73)さんを背後から

縛りあげて脅し、家の中の貯金含めた200万円を

強取したものです、強盗罪、刑法236条第1条

以上について真理をお願い致します」

 

綾瀬「被告人は当法廷において、

答えることも答えないことも出来ます

しかし被告人の発言は、

不利なことも有利なことも

全て証拠となりますのでご注意ください

では、被告人。今、検察人が行ったのは

間違いありませんか?」

 

中村「俺はやってまっせーん」

 

綾瀬「弁護人、如何ですか?」

 

弁護士席から女性がたった、

腰まである桃色の髪を

縦にロール巻きにしたどこか高貴な振る舞いの

女性が、一例とともに綾瀬に語りかけた

 

「弁護人の姫乃 姫子ですわ、

被告人の減刑を主張いたしますの

被告人は4月6日、赤穂地区にある

被害者邸宅近くのコンビニエンスストア

セブントゥエルブ赤穂店の

防犯カメラに一切写っておりません、

そこのカメラに映らずに邸宅に行けるルートは

ありませんわ〜!」

 

綾瀬「弁護人は御着席を、被告人は席へ

検察人、如何ですか?」

 

金宮「証人として被害者、大石 大奴さんを

召集します」

 

と、後ろの席からよろよろと白髪の老人が

証言台についた

 

綾瀬「お名前は?」

 

大石「お、大石 大奴といいます……」

 

綾瀬「手元に宣誓書があると思います、

そちらを読み、宣誓をお願いします。

これからの証言は全て記録します、意図的に嘘を

行った場合、偽証罪にかけることもありますので

お気をつけください」

 

粛々と行われていく裁判を見ながら、

邪魔をしないようにこそこそと

名舟と火花が話した

 

名舟「………なに?」

 

火花「りらっち先生、やっぱり判事さんの時

かっこいいよねって〜」

 

名舟「君はいつも言ってるね……でもわかるよ

僕たちの綾瀬判事だからね、かっこいいさ」

 

火花「ね、ね、どう思うあの被告人」

 

名舟「姫乃さんが言っていたのが気になるね

でも調べたらあの少年、例のグループの……」

 

火花「マジぃ?でもヒバナは現場を

観に行ったけど

確かにあのコンビニを通らずにはってカンジ」

 

と、二人が押し黙った、

なんとなく綾瀬が顔を上げて声のする二人を

見ている気がした、証人尋問はもう終わっていた

 

綾瀬「…………こほん、では弁護人、

立証をお願いします」

 

姫乃「はい、わたくしからは

コンビニエンスストア・セブントゥエルブ赤穂店

4月6日の13時から15時台のカメラ映像を

お持ちしましたわ〜!」

 

金宮「いいでしょう、見てみましょうか」

 

金宮が席を立つと映像が見やすい位置に来た

やがて、見終わると姫乃が胸を張った

 

姫乃「いかがですの!?ご覧の通り、

この日の時間帯は被告人らしき姿どころか

人すら通っておりませんの!ここしか通れない

狭い屋敷外でどうやってそもそも家へ

いくのでしょう!?」

 

金宮「……これだから、頭の悪い雌獅子は、

良いですか?塀を登っていく可能性は?」

 

姫乃「あなたったら見ていないんですの?

古い大石さんの屋敷の塀は返の屋根に加えて

5mもありますわ、5mですわ!どうやって

登るんですの?忍者でいらして?」

 

金宮「だとしても、カメラに写っていないから

やってないは短略的すぎです、

我々検察が犯行時刻を間違えているとでも?

実際に、被害者はいるのですよ雌獅子」

 

姫乃「まぁ!これだから野蛮な黒狼は」

 

綾瀬が、木槌を打ち鳴らした

 

綾瀬「いつものことですが落ち着いてください

双方、一度下がりなさい。

続いての立証をお願いします」

 

綾瀬が手慣れた様子で進行を再開した、

そして…………30分後、互いの論証が終わり

2人ともドカッと不満げに席についた

 

綾瀬「では、双方の意見を伺いましょうか

検察人、どうぞ」

 

金宮「今回の件、被害者や状況証拠より

有罪は確定、ましてや被害者は心理的、

肉体的にも被害を受けており悪質です、

よって強盗傷害により懲役7年を求刑します」

 

綾瀬「弁護人はいかがですか?」

 

姫乃「はい、状況や被害があったとしても

証拠不十分が見受けられますわ、

ならば判断には乏しく、立件も疑わしい、

よって無罪を主張しますわ」

 

綾瀬「被告人、前へどうぞ」

 

中村が気だるそうに歩いてきた

 

綾瀬「これで審理は一度終わりとなりますが、

何か裁判所へ述べておきたいことなどは

ありますか?」

 

中村「えー、あー、じゃーっすねー

なんつーか、意外と緩いんすね、

おままごとみたいで笑っちゃいましたー」

 

傍聴席がどよめいた、だが綾瀬は冷静を装った

 

綾瀬「…………以上でよろしいですか?」

 

中村「えーまだ行っていいーっすかー?

そんなら、うん、言っちゃいますかー、

んじゃあ一言だけー」

 

綾瀬「どうぞ」

 

 

中村「『インヴィジブル・マン』」

 

瞬間ッ!その一言の直後だったッ!

中村の姿が被告人席の前から消滅したッ!

 

金宮「なッッッ!?」

 

姫乃「えっ!?中村様!?」

 

傍聴席のどよめきが波紋のように広がっていった

綾瀬が、木槌を手に取るがそのあまりに異様な

雰囲気に立ち上がった

 

綾瀬「金宮検事、何が起こっているのですか?」

 

金宮「綾瀬判事、えー……被告人が消えましたね

『逃げた』とか、『弾け飛んだ』とかじゃあなく

『消えた』、幽霊や幻のように跡形もなく」

 

綾瀬「(こんなところでスタンドの

発動ですか……『インヴィジブル・マン』

そう言っていましたね……)」

 

綾瀬「法廷の皆さん落ち着いてください

時折間警備員」

 

綾瀬が法廷の大扉の前にいる時折間に声をかけた

 

時折間「へい、分かってます。俺はここから

一歩も動きません」

 

名舟「な、何が起こったんだ?」

 

火花「うーん、すいすいは分からなくて

良いかも〜」

 

と、火花が名舟へと顔を向けると、

名舟の身体がなぜか浮き上がっていく

 

火花「えっ、えっ!?すいすい!?」

 

中村「動くんじゃあねぇッッ!!」

 

中村が名舟の背後に姿を現した!

名舟の細い首に中村のがっちりとした両手が

添えられていた

 

中村「一人でも動いたらこの少年の首を

ボギリと絞めるッ!逃げるためなら法廷内で

殺人だってしてやるぜェ〜〜!」

 

金宮「殺人未遂が追加、と」

 

姫乃「弁護がしにくいことをしますのね〜」

 

中村「大体よォ、弁護士がちゃあんと

俺を弁護してれば良かったんだァ〜

こんなことさせやがってよォ〜ッ!」

 

金宮「確かに雌獅子の実力不足もありますが

犯行を起こしているのは君です、今すぐに席に」

 

中村「動くなって言ったよなァァァァッ!

俺を侮っているなァァァッ!」

 

名舟「がっ………あっ……っ……!!」

 

火花「すいすい!!………ちっ……

(いや……ダメよヒバナ!この法廷で

私のスタンドは強すぎる……ッ!二次被害を

出しちゃう……ッ!)」

 

金宮「綾瀬判事」

 

姫乃「判事様………」

 

綾瀬「………時折間君、扉を開けなさい」

 

時折間「……へい」

 

時折間が扉を開け放った

 

名舟「………けほっ………うぅ………」

 

と、その前に名舟がガクンと身体が脱力した

 

時折間「なっ、何ィィィィィッ!!テメェ!!」

 

中村「えっ?いや、俺はそこまで」

 

と、火花がその隙に飛び込むと名舟を抱きしめて

自分ごと後ろに倒れ込んだ!!

 

中村「あっ、おまっ、ま、まぁいいッ!

誰も追うんじゃあねぇぞッ!!」

 

中村が困惑しながらも時折間を押し除けて

法廷外へと飛び出さしていった

 

綾瀬「では、時折間君。捕まえてください

君なら出来ますよね、法廷からは逃しましたが

この裁判所からは逃さないように」

 

時折間「そうこなくっちゃあです、

任せてくだせぇ!」

 

時折間も飛び出して行った!

 

廊下に出ると、中村の後ろ姿が見えた!

 

中村「げっ!!!!」

 

時折間「待ちやがれッッ!」

 

中村が角を曲がる、時折間も角を回ると

まだ背中が見えた

 

中村が近くのパンフレットをばら撒くが

それを突き抜け、

中村が倒したゴミ箱を飛び越え

何も知らずに歩いてきた掃除屋の水バケツを

ひっくり返すもそれを避けて走っていく!

 

中村「しつこいんだよォォォォッ!

オメーはよォォォォォォッ!」

 

時折間「まだだ……

まだ射程距離じゃあねェ…ッ!」

 

中村「だったら、これはどうだッッッ!

 

インヴィジブル・マンッッッ!!!!!」

 

中村の背後に現れたのは、白も灰色のチェックが

全身に入った体の線だけがあるマネキンのような

人型スタンドッ!それが現れた瞬間ッ!

中村の姿が消えたッ!!

 

時折間「やられた………ッ!」

 

中村「最初っからこうすりゃあ

良かったんだッ……俺は透明人間さ、

もっと透けていたいんだ…ッ!」

 

時折間が辺りを見渡す、だが全く姿が見えない

中村の足音が遠ざかっていく

とりあえず勘で時折間が歩き回るが、

見つけたところでどうしようもないのも

わかっていた

 

時間が過ぎていく、刻々と中村が裁判所の玄関に

向かっていくのを感じる、時折間が焦り始めた

 

時折間「こ、このままじゃあ……ッ!

くそっ、くそっ!綾瀬さんなら音だけで

わかるだろうにッ!俺じゃあ分からねェッ!」

 

時折間が走り出した、と、その時だった

 

時折間を横切るかのように、

 

髪で顔の見えない灰色に色が抜けた

モノクロの少女が

 

ピタ、ピタ、と、裸足で歩いて行った

 

時折間「あぁ………また来やがったな……

『シンデレラ・グレイ』」

 

シンデレラ・グレイは何も答えない

ピタ、ピタ、ピタ、ピタと何も言わずに歩いていく

 

そして、立ち止まった

 

時折間「着いてこいってことか?」

 

時折間が歩いて着いていくと、

シンデレラ・グレイは曲がり角で霧のように消え

曲がった直後、その先の廊下に背中が見えた

そしてその廊下から

 

中村「くそッ!もう来やがった……ッ!」

 

中村の声が消え、足音が遠ざかっていく

シンデレラ・グレイは何も答えない

まっすぐ歩いて行った、

時折間もそれに続いた……

 

 

一方、法廷では

 

名舟「う、うぅ〜ん?」

 

綾瀬「おはようございます翠、

びっくりしました」

 

火花「急にガクンってなったから

寝ちゃったな〜って!

その隙に、火花が助けたんだよ?褒めて?」

 

名舟「ありがとう火花、助かったよ」

 

金宮「寝ていただけということですか?」

 

名舟「僕、昔からこうなんです

緊張したらするとすぐ眠たくなっちゃって

何かしている時以外は

いつも寝ているんですよね」

 

姫乃「寝すぎも良くありませんわ、

まぁそこの狼のように寝なさすぎは

もっと良くありませんが」

 

金宮「一々、煽ることしかできない頭の弱い女は

嫌いなんですよ雌猫が」

 

姫乃「いま、雌猫って言いました?

訴えますわよ?」

 

名舟「姫乃さん、出来たらでいいのですが

休廷中の今の間、証拠映像を僕が見ることって

出来ますか?」

 

火花「すいすい?」

 

綾瀬「翠、私の事務なので特別に構いませんが

その際はこれを読んで私に簡易でいいので

宣言してください、ここは私の法廷、

どんなことでも証拠になりかねません」

 

名舟が手渡された偽証、欺瞞をしない宣誓書を

読み上げた、金宮検事を見ると空気を読んで

何も言わなかった、姫乃がパソコンの画面を

名舟に見せた

 

名舟「犯行時刻は13時から15時の間、ですよね

推察でいいので正確な時刻は

わかっているのでしょうか」

 

金宮「14時30分ごろと検察は見ている」

 

名舟がパソコンのカメラ映像の時間を動かし

画面を凝視した、さっきまで眠たそうだった目は

すっかりと見開き、画面の隅々まで見つめていた

綾瀬は気配だけで名舟の背後に来ると優しく

肩に手を置いた

 

名舟「綾瀬さん……?」

 

綾瀬「何かわかりますか、翠」

 

名舟「……………ん?」

 

名舟が映像を止めた、そして画面から離れて

背筋を伸ばした

 

名舟「綾瀬さん、警備室に行ってもいいですか?

被告人を止められるかもしれません」

 

火花「すいすい!なーんかわかったのぉ!?」

 

綾瀬「わかりました、許可しましょう」

 

名舟はそれを聞くと一礼してから

法廷を飛び出して行った

 

 

中村はインヴィジブル・マンを発動させながら

音も立てずゆっくりと歩いて

エントランスホールに到着していた

中村が胸を撫で下ろす、あとはこれで自動ドアを

通って街中に逃げればもう何も怖くない

一歩踏み出した

 

だが、そこにシンデレラ・グレイに導かれながら

警備員の時折間玄が到着したッ!

 

中村「(な、何ィ〜〜ッ!あと少しだったのに

ここからもう数歩で自動ドアが反応しちまう

そうしたら、『誰もいない』のに、

自動ドアが『開く』なんて俺しかいない

じゃあねぇかッ!)」

 

時折間「まだ、逃げてないよな?

いや、逃げたか?

入り口はここしかないからなァァァ〜?」

 

中村「(テメェがいるせいで動けねェんだッ!

ボケェ〜〜ッ!)」

 

時折間「お前、スタンド使いだろ?

わかるぜ、オレにはよォ……まだいるってんなら

すぐに姿を現せ、じゃなかったら

オレのスタンドがお前を逃さねぇ……

こんな、風になァッ!」

 

時折間が虚空を指差す、その隣にガシャンッ!と

足音が聞こえた、髑髏が描かれた三角帽子に

ボロボロのコートの幽霊船長のような姿

だが、その義足も腕も、あるいはその骸骨の顔も

全てが錆びついたブリキの機械で出来ていた

 

時折間「『ゴー・ゴー・ゴーストシップ』ッ!」

 

持っていたラッパ銃を両手で構えたッッ!

 

中村「(な、なんだあいつはァ〜!?

どう見ても強そう、いや、まともには

勝てる気がしねェ……

このまま息を潜めさせてもらうぜェ)」

 

時折間「物音一つしねぇな、

やっぱりもう逃げちまったか?」

 

中村「(だから、テメェがいるせいで

動けねェんだッ!)」

 

中村はその場でじっと動かず、

時折間はゴー・ゴー・ゴーストシップと共に

辺りを見回していた、場は膠着していた

誰も動けない、誰も動かない、その時だった

 

名舟「時折間さん!」

 

時折間が振り返る、

名舟が何かを振りかぶっていた

投げたそれは防犯用の『カラーボール』ッ!

ゆっくりと放物線を描き、

まるで見えているかのようにッ!

寸分の狂いもなく、中村の服の胸あたりに

『直撃』したッッ!!?

 

中村「なッ!何ィィィィィッッッ!?」

 

弾けた匂いと塗料が何もない空間にッ!

人影を浮かび上がらせた!

 

時折間「おい、翠ちゃん、どういうことだッ!?

なぜここが分かったッ!なぜ当てられたッ!」

 

名舟「さっき……君が犯行したと思われる時間の

映像を確認したんです、

姫乃弁護士の『映像』を」

 

中村「写って、なかったじゃあねぇかァ〜!」

 

名舟「いいえ、バッチリと写っていましたよ

コンビニ前の『カーブミラー』にッッ!」

 

時折間「カーブミラーだと!?」

 

名舟「まさかと思って警備室に行ってきました、

そうしたら、その通りでしたよ、

透明なつもりでしょうが君、今写ってますよ」

 

名舟がエントランスホール上、赤く点滅する

防犯カメラを指差した

 

時折間「つまりなんだ、こいつのスタンドは

透明になる能力ではなくッ!」

 

名舟「『スタンド』……というのですか?

ともかく彼の超能力は、『観る』という感覚

そのものに干渉する能力です。

見えなくなる能力ではなく、見えなくさせる能力

それが、『インヴィジブル・マン』」

 

中村「お、お前ェ〜〜〜ッ!」

 

時折間「もう逃げられないなァ、

カラーボールの匂いはよォ、2週間は取れねェぞ

塗料もどこで落とす気だ?

構えろ、ゴー・ゴー・ゴーストシップッ!」

 

ガシャとラッパ銃が向けられた!

その時だったッ!

時折間が側頭部に衝撃を受けてよろめいたッ!

 

時折間「な……んだ……と……!?」

 

中村「お、お前ー、勝った気でいたなー……

そうだなァァ〜〜〜」

 

名舟「………!!鎖です時折間さん、

自動ドアの姿を見てくださいッ!」

 

ガラスに映る中村の姿の右手には

鎖が握られていた

 

中村「おーい、いうんじゃあねぇよー

やっぱりさっきお前の首をぶち折っておけば

良かったなぁぁーーーー!」

 

ヒュウンッ!と見えない鎖が風を切る、

ガラスを見て自分に来る、そして足手纏いだと

判断した名舟がバック転で距離を取ると

逃げ出した

そして、差し出されたラッパ銃が鎖を絡めた!

 

時折間「姑息な悪あがきしやがって、

鎖を巻き付かせちまったな?お前の負けだ!」

 

中村「はっ………!!」

 

時折間「ゴー・ゴー・ゴーストシップ、

撃てェッッッ!!!」

 

ボォンッ!と発砲音と共にッ!中村にッ!

 

しゃれこうべが転がった。

 

中村「…………ん?」

 

時折間が、頭を掻きむしった

 

時折間「『ハズレ』だ、悪運の強い野郎だ

俺のスタンドは撃つまで何が出るかは

誰もわからん

だから、たまにこんな使えないやつが撃たれる」

 

中村「かっ………勝ったァ〜〜〜ッ!

ならもう敵じゃあねぇッ!さぁ俺は何を持ってる

どこに逃げる!何をするッ!見切ってみやがれ

このヘナチョコがッ!

インヴィジブル・マンッッッ!!」

 

中村の姿が虚空に消えていこうという中

 

時折間「撃てーーーーーッ!」

 

ボォンッ!と吐き出したのは羊皮紙ッッ!

 

中村「紙じゃあねぇかッ!

ハズレだァァァァッ!」

 

書かれていたのは『その場で飛べ』

中村はそれに操られるように

その場でジャンプしてしまったッ!

 

中村「なッ!にィィィッッ!!」

 

時折間「ゴー・ゴー・ゴーストシップッッ!

撃ちやがれェッッッ!」

 

ボォンッ!と放たれたのは『大砲の弾』!!!

空中を間抜けに漂う中村へと飛んでいく!

そしてッッ!

 

ボォォォォォォンッッッ!!

 

中村「どぎゃあああああっっっ!!」

 

時折間「『ヨーホー』ッッッ!!」

 

中村は爆炎に飲まれると

そのまま地面に叩きつけられて

ピクピクしていたが

駆けつけた警官達が彼を抱え立たせていった……

 

 

しばらくして、法廷

 

綾瀬「彼は再逮捕です、ということで

前代未聞ですが強盗の件は予定通り数日後に判決

その後に、今回の件の審議をします」

 

金宮 姫乃「「異議なし」」

 

綾瀬「時折間君、翠、お手柄です

君たちのおかげで捕まえることができました」

 

時折間「いやぁ、へへ……この裁判所のためなら

当然でやがりますね」

 

名舟「ありがとうございます、

あ、僕は心配なく寝ていただけですので」

 

綾瀬がくすりと笑った、

そして木槌を振り上げると

カンッと鳴らし、閉廷を告げた。

 

To be continued………




[インヴィジブル・マン]
【破壊力-E/スピード-C/射程距離-E/持続力-B/
精密動作性-C/成長性-D】
白黒のチェックとグリーンバックに透けそうな
カラーリングを持つ帽子のような突起が頭にある
マネキンのような人型スタンド、
周辺の人間からの認識を阻害させる能力を持ち
擬似的な透明人間となるが、
その能力上、鏡やカメラなど何かを通すと
全く効果を発揮できない
元ネタは東京事変の楽曲から


[ゴー・ゴー・ゴーストシップ]
【破壊力-D/スピード-B/射程距離-C/持続力-B/
精密動作性-D/成長性-B】
壊れた樽を使ったようなパーツによって
オートマチックのような見た目になっている
フロントロック式銃、
ランダムで『爆発する小さな樽』
『小さな骸骨海賊』『カットラス』『大砲の弾』
『何かが書かれた羊皮紙』『花束』を撃ち出す
その内、紙には命令口調で指令が書かれており
相手に強制させる事ができる、
元ネタは米津玄師の楽曲「ゴーゴー幽霊船」から
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