綾瀬凛藍は夜に駆けていく   作:眠 いつか

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第22話 花の唄 その①

恐ろしいまでの静寂のとばりが

綾瀬屋敷に降りていた

外は日曜日の輝かしい夜明けが輝いているのに

1人の女の子が屋敷を訪れただけなのに

満ちみちる息苦しい『敵意』が支配していた

 

敵意の主が、かつてこの街の闇とまで言われた

とある殺人鬼と戦ったとされるスタンド使い

その娘が、『黄金の精神』の継承者が

 

『広瀬一花』が、屋敷に一歩、足を踏み入れた

 

その頬は紅潮しており、そして満面の笑みだった

緑銀の長い長い髪が朝の風に吹かれて

マントのように翻っている

誰も言葉を発せない、凄まじい威圧感が

誰も動くことを許していない

 

一花「…………私にとって、翠先輩は

憧れなんです、好きです、大好きです」

 

名舟が突然名前を呼ばれて顔を顰める

視線が集まった

 

一花「でも、最近会ってくれなくて

私、寂しくて、悲しくて、そうしたら」

 

広瀬一花が火花を指差した

 

一花「なんで手を繋いでいるんですか、

なんで祭りに行ったんですか、私が………

私の方がッ!先にッ!好きだったのにッッ!」

 

火花「なーんか勘違いしてるね〜?

すいすいはそんな関係じゃ無いよ〜?

ただのともだち、ね?」

 

一花「………嘘つくんですか、私に

あぁ……こんな先輩と一緒にいるから

翠先輩も毒されちゃったんだ……」

 

火花「すいすい?この子いつもこうなの〜?」

 

名舟「いや……明らかに様子がおかしい

確かにちょっと愛が深い子ではあったけど

加害してまで奪うような子じゃ無かった」

 

時折間「それに、あの目……光がないっていうか

『暗闇』だ、深淵みたいな色をしてやがる」

 

綾瀬はいきなり攻撃されないように

黙って、一花の影を押さえていた

好奇心から心の声を聞いて、

………そして綾瀬は『広瀬一花』を知った

 

一花(好きです、すごく好きです、大好きです

私を見てください、私だけを見てください

私以外を見ないでください、

愛しています、愛しています

愛して、愛して、愛愛愛愛愛愛愛愛────)

 

綾瀬「……………ッ!(この子は『違う』ッ!

この感情は植え付けられたものではなく、

元々あった思慕の感情が、例の洗脳によって

『暴走』していますね……ッ!?

説得は不可能……倒すしかないッ!)」

 

火花「すいすい、叩きのめすよ、良い?」

 

名舟「あぁ仕方ない、

ちょっと大人しくなってもらおうか、一花」

 

一花「!……私の翠先輩を、毒して、

奪う気なんだ

自分のものにする気なんだ、

 

あぁ……あぁ……なら、私が…………ッ!」

 

火花「な〜にブツブツ行ってるの〜?

じゃあッ!先手はヒバナが貰うよ一花ァッ!

ラビット・ホールッッ!!!」

 

ラビット・ホール『ラァ〜〜〜ッッ!!

ブラブラブラブラブラブラブラブラブラ!!!』

 

凄まじいラッシュが向かってくる、

炎を伴った避けれない連打ッッ!!

 

一花「…………私が、

 

翠先輩を、

 

 

『綺麗』にしてあげなくちゃ」

 

ドドドドドドドドドドドドドッッッッ!!

 

手応えあり、ラッシュの全発が

当たった感覚があった

火花が自身げに胸を逸らす

 

 

一花「風の中に、彼女の髪が揺れる(ウィンド・イン・ハー・ヘア)

 

 

一花の後ろ髪が、羽をたたんだ天使のように

左右から体の前面を隠していた

ラビット・ホールの拳は全て髪に当たり

『ノーダメージ』だった

 

火花「う………そ………ッッ!?」

 

一花「教えてあげますね火花先輩

ラッシュっていうのは、こうするんですよ」

 

一花の髪が後ろに戻る、そして左右に三束ずつ、

合わせて六束持ち上がったかと思うと、

それぞれの髪の先端が

拳のような形を成したッッ!

 

綾瀬「イン・トゥ・ザ・ナイトッッ!

させませ」

 

ズグッッ!!

 

綾瀬「あ………っ……!?」

 

一花「少し、静かにしていて下さい綾瀬さん」

 

一花が綾瀬を指差していた、

余った髪を一瞬で伸ばし

先端を尖らせて綾瀬の右肩を貫いていた

掴んでいた影が手放された

一花が一歩踏み込むッッ!

 

火花「ラビット・ホールッ!防御してッッ!」

 

一花「あは……!!あはっっ!!」

 

ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッッ!!

 

一花「あっはははははははははははッッッ!!」

 

凄まじいラッシュが、六本の拳による連打が

早乙女火花を襲ったッッ!ラビット・ホールで

防ぎ切れるような生半可な攻撃ではないッ!

まるでそれは攻撃の壁、打撃の嵐ッ!

防げたのは二本分だけ、四本分のラッシュが

早乙女火花に直撃したッッッ!!

 

ドッギャァァァーーーーーーーッッ!!

 

火花「ぶっ…………ぁ…………ッッッ!!!!」

 

火花が後ろの壁に物凄い勢いで

叩きつけられてその壁にめり込んだッ!

 

名舟「ヒバナァァァーーーーーッッ!!」

 

綾瀬「(止められなかった………ッ!

何発かそらして、その上で飛んだ火花を

受け止めようとしましたが)」

 

綾瀬が苦痛に歪みながら自分の手首を押さえた

 

綾瀬「(それさえも押し通してくるとは……ッ!

勢いを殺しきれなかった……ッ!)」

 

火花「は、ひゅ……か……はっ、はっ……ッ!」

 

火花「(息が………ッ!い、息が出来ないッッ!

防ぎきれなかった……

ヒバナのラビット・ホールでなお、

そしてこの威力ッ!髪束に分かれて

全く落ちていないッッ!

ヒバナが、いないと……ッ!

ヒバナのスタンドでやっと……戦力……に……)

 

あ、はぁっ…………」

 

ガクンと火花の意識が落ちる

あまりのダメージに早乙女火花は失神した

 

名舟「ヨルシカッッ!!!」

 

一花「あらゆるエネルギーを減衰させる

スタンド、でしたっけ?流石、翠先輩

優しい能力です、そんな先輩を傷つけたくない

なので……」

 

一花が髪の束をロープのようにして

名舟翠を巻き付いて縛り上げると

自分に引き寄せたッ!顔が眼前に近づく

 

名舟「一花………ッ!待って………ッ!」

 

一花「私の後ろで大人しくしていてくださいね

あと、2人なので………」

 

口元に髪がくつわのように噛み込まれて

何も声が出せないまま、名舟翠はゆっくりと

一花に隠されるように最初より多くなった

後ろ髪に飲み込まれていった

 

綾瀬「わかっているとは思いますが……

もはや相手は『子供だから』の

範疇ではありませんよ玄君」

 

時折間「分かってまさぁ、

ゴー・ゴー・ゴーストシップッッ!」

 

ゴー・ゴー・ゴーストシップ『ヨーホーッッ!』

 

ドォンッッ!と放たれたのは鉄の砲弾

だが、それを一花は手のひらに変化させた

髪でキャッチしたッ!

 

一花「『返球』しますね?」

 

そして、身体をターンさせて髪を振り回すと

その勢いのまま砲弾を豪速で投げ返したッッ!

 

時折間「うおおおおおーーーーーッッ!?

『砲撃』しろーーーッ!!」

 

ドォンッッ!

放たれたのは火薬樽ッッ!空中で激突した二つは

激しい爆発を伴い爆風が一花の髪を揺らした

 

時折間「あいつはどこに……」

 

一花「捕まえましたよ?」

 

一花は既に足元ッ!一瞬の判断だったッ!

爆炎をカモフラージュに一気に距離を詰め

その勢いのままウィンド・イン・ハー・ヘアを

胴体に巻き付けさせていたッ!

 

時折間「ぐ、おおおおおおッッ!!」

 

時折間玄の胴体が信じられない圧力で

締め付けられていく、一花が恐ろしいまでの

睨み顔で見上げ込んできた

 

一花「なんで翠先輩の近くにいるんですか、

まさか、手を出すつもりですか?そうですよね

殺すしかありません、『虫さん』のように

捻り潰してあげます」

 

時折間「いや……ッ!俺は何も言ってねぇぞッ!

そんなつもりはねェ……ッ!

俺は空気の読める男だからなァァ〜〜〜ッ!

自分で言うのもなんだが

一途なんだぜ俺ァよォォ〜〜ッ!」

 

ギリギリギリ……!

 

時折間「このパワーッ!ヤベェッッ!

万力のような圧力ッ!

綾瀬さん逃げてくだせぇッ!

見た目通りの髪の毛のパワーじゃあねェッ!

ぐ、わあああああ!!!」

 

ギュッ……と髪の毛が完全に締め上がった

時折間がだらりと身体が垂れ下がるのを見て

一花は髪の毛を解いた

 

そしてふと、綾瀬凛藍のいたソファを見ると

そこには誰もいなく、

[通話終了]の画面のスマホと

今さっき開け放たれたばかりの窓が残されていた

 

一花「逃げましたね、

いえ、外に『戦闘』を移すつもりですか」

 

一花が背中側に髪の毛を伸ばし

玄関のドア枠に髪の毛を這わせる

そして後ろ髪の中にいる愛しの名舟翠を

しっかりと固定すると

そのままパチンコのように後ろ向きに

自分の身体を射出した

 

勢いのまま、屋敷から飛び出して

少し離れた位置に受け身をとって着地したッ!

 

が、その着地地点付近の影から

影の柱が三本飛び出したッ!

 

一花「ッ!」

 

一花が咄嗟に髪の拳を三つ作って抑えた!!

 

綾瀬「驚きですね、その対応力、

やはり『磨かれている』、

昨日今日でスタンド使いになったよう

ではなさそうですね」

 

一花「驚きはこちらです、読んでいたのですか?

私が飛び出してくる位置を?見えない目で?」

 

綾瀬「まさか」

 

この状況で、綾瀬は極めて冷静だった

下手に焦らず、決着を急がず、玄関バルコニーの

階段に腰掛けると白杖を地面について

先端を片耳を当てた

 

一花「では何故………ッ!」

 

一花が反応した、真後ろから影の柱ッ!

それを拳で弾く

間髪入れずに左右から柱ッ!これも弾くッッ!

 

綾瀬「『7時』です」

 

一花「…………え?」

 

綾瀬「この時間帯の我が屋敷の竹林は

まだ影がある、だから外に誘ったのです

位置を『狙った』のではありません、

今この広場そのものが、『私の戦闘領域』です」

 

綾瀬「………これ以上私の屋敷の中で

暴れられるのも困りますからねぇ……」

 

影の柱がまたしても襲いかかる、

後ろ髪の強度を上げると、

それとは別の髪束で拳を模って弾いた

 

一花「先輩が私の後ろ髪にいるのですよ

忘れましたか!?」

 

綾瀬「貴女が守ってくれるでしょう?

なので私は、気兼ねなく攻撃出来ますッ!」

 

一花「…………先輩……ッ!」

 

一花は焦った、そうなると話は違う

抱えているために後ろ髪は重さが増している

その状況で、『戦わなくちゃいけない』

しかし、『守り切らなくちゃいけない』

どちらか一つ、どちらかを捨てる

一花は考えた

 

考えた末に、

 

綾瀬と目を合わせて両足を軽く開いた

 

綾瀬「おや」

 

一花「選ぶのは『両方』よ。

パパとママが言っていたの、『黄金の精神』こそ

最も尊いのだと、貴女を倒して、せんぱいも守る

 

私は、広瀬一花だから」

 

綾瀬「…………残念です、本当に、

貴女のような子を、操るなんて卑劣極まりない」

 

綾瀬「そして………今はっきりと実感しました

貴女は、今まで戦ってきた

どの『スタンド使い』よりも手強い」

 

一花が指差した

 

一花「音を聴いているのね、私の足音を、

だからその構え、だから私を的確に攻撃できる

なら、これならどうかしらッ!

 

ウィンド・イン・ハー・ヘアッッ!!」

 

髪先をスコップのように変化させると

そのまま地面を抉って土を空中にぶちまけたッ!

重力に惹かれて巻き上がった土が

地面を『叩く』ッ!!

同時にッ!一花が駆け出したッ!!

 

綾瀬「(なんと………ッ!凄まじい対応力、

音が分散した……ッ!

いえ、重量を聴き分けるのです私……

土の打撃音と、足音は違う……ッ!)」

 

その前に綾瀬が保険のために影を捲りあげて

盾を作ったッ!

 

だが………ッ!

 

一花「ハズレですよ、綾瀬凛藍………ッ!」

 

『空中』から声がした。

 

綾瀬「はっ………ッ!」

 

一花が髪束を纏めてハンマーの形にすると

空中で身体を捻ったッ!!

 

一花「はぁッッッ!!!」

 

バギャアァーーーッッ!

 

バルコニーの木の階段が粉々に粉砕された

間一髪で身体を投げ出して躱すのが精一杯だった

綾瀬がなんとか、受け身をとって転がりながら

白杖を地面に突いた

外してしまった一花がめりこんでしまった髪を

地面から抜くと、綺麗に撫で上げた

 

綾瀬「(土を巻き上げて足跡のダミーとして

駆け出す……と見せかけてジャンプからの奇襲

凄まじい戦闘センスですね………)」

 

綾瀬が思わず、屋敷の方を見た

 

綾瀬「(『戦力』が足らない………ッ!

せめて遠距離から

撹乱できる玄君がいれば……)」

 

綾瀬がため息をついた、白杖を地面に突き直した

 

綾瀬「ないものねだり、私の悪い癖ですね

イン・トゥ・ザ・ナイトッッ!」

 

綾瀬が両手で指示を出す、あたりの影から

突き出た影の柱が一花に襲いかかる

 

それをまずは拳型の髪で先端を掴んで止め切る

そして後ろ髪を前に振ると槍状にした髪が

物凄い勢いで伸びてきた

 

綾瀬がその先端を影越しに掴み上げる

挟み込むつもりで現した影の柱は止められた

どころか万力のようなスタンドパワーで

ゆっくりとこじ開けられていくッ!

 

綾瀬「なんと………ッッ!」

 

一花「この程度の手数とパワーで、

私を止められると思いましたか……?

残念、でした、ねッッッ!」

 

一花が後ろ髪をバネのようにして綾瀬に向かって

飛んできた

 

綾瀬「イン・トゥ・ザ・ナイトッッ!」

 

空中で身を翻して振られてきた髪のハンマーを

足元の影を伸ばした壁で受け止める

 

一花「あはッ!!」

 

だがッ!間髪入れずその壁を迂回して伸びてきた

髪の拳が綾瀬の脇腹に突き刺さったッ!

その衝撃は綾瀬を空中に浮き上げるッ!

 

綾瀬「がっっ………!!」

 

一花「足がッ!離れましたねッ!

『空中』で『地面』の音が聴けると

良いですねぇッ!」

 

一花が後ろ髪を手櫛で整えると

後ろ髪を8本に分けて空中にいる綾瀬目掛けて

槍のように放ったッッ!!

 

綾瀬「はあっ……あっ………

イン・トゥ・ザ・ナイトッ!

私の影を掴んでくださいッッ!!」

 

影の紳士が空中を舞う綾瀬の、地上に映る影から

ゆっくりと現れる、そしてかがみ込んで

綾瀬自身の影を掴むと

そのままグイッと横にずらしたッ!

 

目測は外れ、虚空を八本槍が貫くッ!

綾瀬は受け身を取り損ねて

地面に叩きつけられて転がりながらも

なんとか立ち上がった

 

一花「『人』があるから『影』はその真似をする

でも、貴方のスタンドはその逆も出来るんだ

侮ってたわ、影を支配するスタンド、

中々どうして強いじゃない」

 

一花「でも、そうじゃないとつまらない」

 

広瀬一花が静かに歩いていく、

綾瀬から距離を取りながら、

竹林広場の入り口を塞ぐようにゆっくりと

 

綾瀬「はぁっ……はぁっ……決定打に欠ける

防ぐので精一杯、こんなに手応えがない相手は

初めてです………ッ!

あらゆる攻撃が私を上回る、聴覚頼りも

限界ギリギリです……ッ!」」

 

一花「でも、もう終わりにしましょう?

先輩は私が貰いますね?

 

…………ウィンド・イン・ハー・ヘア」

 

一花の後ろ髪が一束一束、槍のように鋭く

変化していく、綾瀬もそれを感知している

如何に凌ぎ切ろうか思考を巡らす

一花が髪に合図を出すために手を挙げた

 

一花「さよなら、綾瀬さん。」

 

ジャキンッッッッ!!!

 

バ、サァッッッ…………

 

一花「え………?」

 

一花の、後ろ髪がごっそりと斬り落とされた

髪の重さと先輩の重さが急に無くなった一花が

前によろめく、ショートカットになってしまった

自分の髪を驚愕の表情を浮かべて撫でた

 

一花「は?」

 

綾瀬「ん…………?」

 

落ちた髪の中から咳き込みながら

名舟翠が立ち上がる、そして見た

 

 

スゥモア「時間通り出張検診に来ましたです〜

これはどういう状況です〜?」

 

刀の柄を持ってバトンのように回したかと思うと

『ベビィ・メタル』が静かに納刀した

 

綾瀬「スゥモアちゃんッッ!」

名舟「スゥモア先生ーーー!!」

 

一花「わ、私の………髪…………ッッ!」

 

スゥモア「とりあえず綾瀬さんが

ピンチっぽかったので髪をカットしましたけど

大丈夫だったです〜?」

 

名舟「ありがとうございます、完璧です」

 

一花「…………わたしの、自慢の……」

 

名舟「一花、もう大人しくするんだ……」

 

ガギィンッッ!!

 

突然の金属音!!綾瀬も名舟も無反応ッ!

ただ、スゥモアだけがワンテンポ遅れて

「ひゃあっ!」と悲鳴を上げたッ!

 

………スゥモアの首筋を狙ったであろう

刃のような髪の先がスゥモアの首を切断する

寸前で自動に出てきたベビィ・メタルが

刀で受け止めていたッ!

 

名舟「どういうことだッ!髪は確かにッ!

スゥモア先生が『カット』したはずッ!」

 

綾瀬「いいえッ!翠ッ!

よく見てください私の代わりにッ!

今髪の毛はどうなっていますか!?」

 

名舟が刃からストレートヘアに戻る

緑銀の髪を見た、カットされた髪の毛先の真ん中

それが既に伸びていた

 

スゥモア「うそ……さっき確かに……ッ!」

 

一花「あはは……あはははッ!

 

あっははははははははッッッッ!!」

 

広瀬一花が狂笑する、スタンドのオーラと共に

切断された髪の毛先が伸びていく

 

名舟「髪が伸びていますッ!

呪いの人形のようにッ!凄まじい勢いでッ!」

 

綾瀬「なんですって……ッ!無敵ですか

ウィンド・イン・ハー・ヘアはッッ!!」

 

元の長さに戻ってしまった髪を翻して

モモ・スゥモアに向き合った

 

一花「髪を、整えたんです

翠先輩に見られても恥ずかしく無いように

 

でも、

 

 

あなたに切られて台無しです」

 

ベビィ・メタルがカチッと剣の柄を握りしめた

スゥモアの顔が引き攣る

 

一花「だから、ぶっ殺しますね」

 

と言い終わるや否や、

髪を四束に分けたかと思うと先端を刃のように

硬化させてベビィ・メタルに襲いかかったッ!

 

スゥモア「ベビィ・メタルッッ!

全て防いでくださいですッッ!!」

 

キィンッ!カァンッ!ガギィンッ!ギャンッ!

と物凄い剣戟の音と共にベビィ・メタルは

その高速の斬撃を片端から弾きまくったッ!

 

うち二束が突然止まったッッ!

 

綾瀬「イン・トゥ・ザ・ナイト、

良い剣戟音です、捉えましたよ」

 

一花「髪束の影をッッ!」

 

そしてもう二束も空中で急停止したッ!

 

名舟「ヨルシカは、君の髪の活動を眠らせた」

 

一花「せんぱいッッ!!?」

 

一花「(四束に集中させちゃダメだったッ!

ここは敵が多すぎるッ!まさか止められるなんて

こうなったら……もう………)」

 

 

一花は懐から床屋ハサミを取り出すと………

 

掴まれている髪を、

自らジョッキリと『切断』したッ!

 

綾瀬「なッ!!」 スゥモア「えッ!?」

名舟「何をしているんだ君はァーーッッ!!」

 

ハラリハラリと舞い散る『髪』吹雪の中、

うすら笑みを浮かべた広瀬一花が

名舟翠に目線を合わせた

切られたはずの髪の毛はその背中で

ぐんぐんと伸びていく

 

一花「だめじゃないですか、せ・ん・ぱ・い?

私の知っている翠先輩は、

私の邪魔なんかしないはずですよ?

これはお仕置きです、教育してあげなくちゃ」

 

一花が、一瞬で翠に距離を詰めると

自分の両腕で抱きしめて、自分ごと髪で

しっかりと固定した

 

綾瀬「いけないッ!させませんッッ!」

 

一花は綾瀬を指さして

綾瀬目掛けて髪の槍を伸ばしたッ!

 

ラビット・ホール『ブラァッッッ!!!』

 

だが炎の拳がそれを殴り阻んだッ!

 

火花「遅くなっちゃ」

 

綾瀬「火花!!翠を!!

『連れて行かれます』ッ!」

 

火花「おっけぃ!!」

 

火花が駆け出したッ!

 

綾瀬「スゥモアちゃんッ!

髪を切ってくださいッ!逃げられる前にッ!」

 

しかし、それを聞いた一花が髪の刃を振るって

牽制したッ!

 

そして残りの髪が左右に天使の翼のように

大きく、大きく、展開した

 

火花「ラビットッ!ホーーーールッッ!!」

 

ラビット・ホールの拳はッ!

 

 

空を、切った…………ッ!

 

 

バッサッ!バッサッ!と髪を翼のように動かし

広瀬一花が空中を飛んでいた

 

綾瀬「待ってくださいッ!

翠を、連れて行かせはしませんッッ!!

イン・トゥ・ザ・ナイトッッ!!」

 

ありったけの影の柱が上昇していく

広瀬一花へと向かうが、射程限界より高く

羽ばたいた広瀬一花には届かないッ!

 

一花「殺さないだけ温情、翠先輩は

私が、守るんだから………」

 

一花が翼を羽ばたくと一瞬で竹林の上空から

滑空していったッ!

 

火花「あーーーッ!逃げられたッッ!」

 

スゥモア「うわーーーッ!しまったですッ!」

 

綾瀬はひざまづきながら、

だが焦っていなかった

 

綾瀬「本来は狙撃のために……ですが、

目的が変わりました、お願いです……

お願いです察してください……

追ってください………ッ!」

 

スゥモア「ん?………あれってッッ!!」

 

スゥモアが空を指差した、火花が釣られて見た

 

綾瀬が安堵の笑みを浮かべた

 

 

 

『五羽の鳩』が、V字の編隊を組んで

竹林の上空を飛翔していった

 

 

 

時折間「綾瀬さん、ここにいやしたかッ!

綾瀬さんに電話でさぁッ!」

 

こちらも気絶から立ち直った時折間が

屋敷の中から走ってきたかと思うと

着信のジャズが鳴り続けているスマホを

綾瀬に差し出した

 

綾瀬「もしもし………!」

 

 

 

星街『大丈夫ですか?綾瀬先生?

狙撃観測のために来たら明らかに敵らしき人物が

飛んできたので追跡していますが……?』

 

 

 

綾瀬「ありがとうございます……ッ!

賢い子ですね、お願いします……

貴女なら、貴女ならきっとッッ!」

 

星街『か細いお声ですね……お任せください、

杜王町にスタンド使い多かれど

 

こと索敵においては、

 

 

我が『マンハッタン・ジャズ・クインテット』に

勝るものはいませんので』

 

電話が切れた、綾瀬が立ち上がった

その元に時折間玄、早乙女火花、

モモ・スゥモアが集ってきた

 

綾瀬「着いてきてくれますか?

名舟翠を取り戻し、広瀬一花君も助けるために」

 

否定することもない、気持ちは皆同じだった

全員が、無言で頷く

そしてひとまず綾瀬屋敷へと踵を返していった

 

To be continued………

 

 

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