綾瀬凛藍は夜に駆けていく   作:眠 いつか

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第4話 ドクター・スゥモアちゃん

杜王警察署 生活安全課

 

初替「えっとっ、ですねっ!なんのようでっ

来たのでしょうかっ」

 

耳障りな話し方と共に、生活安全課の初替巡査が

尋ねる、目の前には黒いパーカーのフードで

顔を隠す金髪の少年が座っていた

つい昨日、ストーカー被害に合っている

女子高生を怒鳴って追い出した翌日

相談したいという少年が尋ねて来たのだ

 

少年「………いじめに遭っていて困っている」

 

初替「学校にはっ相談したのでしょうかっ」

 

少年「いや、構ってもらえなかったんだ」

 

初替「警察はっ、学校には干渉できませんっ

教育委員会などにっ、相談したらどうでしょっ」

 

少年「『警察』は動いてくれないのか

子供が一人大変な目にあっているのに」

 

初替「警察はっ動けないんですっ、

わかってくださいっ」

 

少年「も、もう頼るのが『警察』しか……」

 

初替「しつこいんだよこのガキーーーッ!

警察は動けないって言ってんだろーーーッ!

いじめや傷害なら、証拠を出せ証拠をーーッ!」

 

少年はカランと茶封筒を机の上に出した

 

初替「手紙か?」

 

少年「見ればわかる」

 

初替「凶器か?」

 

少年「見ればわかる………見といてくれよ」

 

少年が席を立つと軽く一礼して

生活安全課の部屋を出て行った

 

初替「何が悲しくて毎日毎日クソガキの相手を

しなくちゃあならねぇんだァ〜、

オレはエリートだぞォォ〜〜、

もっと大事件起きねぇかなァ〜……お?」

 

初替が茶封筒を逆さにして出したのは

 

初替「バカにしやがってクソガキ……

スプーンでどうやって怪我させられたんだ…

 

あ?」

 

と、そのスプーンがッ!赤く発熱し始めたかと

思うとグニャァリと曲がったッ!

 

初替「なんだこりゃ────」

 

杜王警察署、駐車場。少年が警察署に背を向けて

歩き出していた、

振り返りもせずに真っ直ぐと

 

そして……

 

ドッグォォォォオォォォォンッッッッ!!!

 

少年「やはり、『警察』はクソだ。」

 

生活安全課の部屋の窓が轟音と共に割れ飛び、

もくもくと黒煙が上がっていた…………

 

 

〔第4話 ドクター・スゥモアちゃん〕

 

綾瀬が窓に流れる景色を見るように、

窓の方を向いていた

深いエンジン音と、

適度な揺れにうとうとしながら

綾瀬が町内のバスに揺られていた

 

と、揺れた反動で隣に乗っていた小学生が

綾瀬の膝に抱えていたサッカーボールを

ぶつけてしまった

 

母親「あっ!すみません……」

 

綾瀬が軽く会釈する、外出着である

インヴァネスコートのマントを

ふわりとはためかせ

袖を上げると手探りで小学生の頭を撫でた

 

綾瀬「こんにちは、坊や」

 

小学生「こんにちは!お姉さん、

どこ見てるのー?」

 

母親の顔が青くなる、幼いこの子には白杖を持つ

意味がわからない、すぐに訂正しようとしたが

綾瀬が優しく笑った

 

綾瀬「ごめんね〜、

お姉さんは目が見えないんです

だから君のかわいい顔も見れないのです

でも、お話は出来ますよ〜」

 

小学生「目が見えないのか〜?

じゃあこれ何本だ!?」

 

小学生が指を綾瀬名前に出した

 

母親「あぁぁぁ本当にすみませ……」

 

綾瀬「………3本ですね?」

 

母親「え?」 小学生「すごーーい!?」

 

綾瀬「ふふ、目が見えないと他のところが

補うために『進化』するのです、

私の場合は『耳』でした、指を立てる音すら

聴き取るほどに」

 

綾瀬「(ありがとうございます

……『イン・トゥ・ザ・ナイト』)」

 

影の紳士が帽子をあげて会釈と共に

小学生を撫でていた手を頭から離すと

バスの壁から消えていった

 

小学生「すっげー……待ってお姉ちゃんまさか

『たけひめ』ーー!?」

 

綾瀬「たけひめ?」

 

小学生「竹林の中の屋敷にいるっていう

黒いお姫さまだろー?オレも友達と何度か

言ったけど誰もいなかったんだー!」

 

綾瀬「あぁ、それは……確かに私ですね

子供達の都市伝説になっていましたか……

どうりで……」

 

母親「あの、もしかしてですが

この町の綾瀬裁判官ですか……?」

 

綾瀬「そうですよ、プライベートで病院ですが」

 

小学生「オレも!オレはね〜!」

 

バス運転手『次は、TG大学病院前〜

TG大学病院前〜!お降りの際は〜……』

 

綾瀬が手探りでボタンに指伸ばした

だが、それを見かねて小学生がボタンを押した

 

綾瀬「おや……ありがとう」

 

小学生「へへへ……オレもここなんだ!」

 

綾瀬「私は凛藍(りら)、君の名は?」

 

小学生「オレ、ハルヨシ!よろしくなー!」

 

綾瀬「私は眼科なので……良かったら

ロビーまで行きましょうか?」

 

母親「あぁ、すみません本当にご迷惑おかけして

この子は内科に……」

 

ハルヨシ「なんかだるくてさー!」

 

綾瀬「それは良くないですね……

あ、着いたみたいですよ」

 

バスが止まる、そして3人が立ち上がった

 

 

TG大学病院の待合室、綾瀬とハルヨシが

並んで座って話をしていた

 

綾瀬「つまり、最近になってなんかずっと

身体の調子が悪い、と」

 

ハルヨシ「そうなんだよ、前に熱を出して

ここに来て先生に見てもらったんだよ

熱は治ったんだけどなんかさー、

なんだろって!」

 

母親「綾瀬判事すみません……

お話聞いてくださって……」

 

綾瀬「何も問題ありませんよ、

私も子供は好きなので」

 

ハルヨシ「でもいいよなー!

オレも今度、りらお姉ちゃんがいる時に

屋敷に行きたいなー!」

 

綾瀬「会えるかどうかは君次第ですよ

お姫様に簡単に会えたらつまらないでしょう?」

 

ハルヨシがへへへと照れくさそうに笑った

と、病院の廊下を看護師達の黄色い声とともに

紫髪に金眼の美形な男性医師が歩いてきた

 

母親「新谷先生!」

 

新谷「内科医の新谷 博人(にいや はくと)です

奥さん、おや君はハルヨシ君」

 

ハルヨシ「先生久しぶりー!」

 

新谷「また君に会うとはね、

今日はどうしたのかな

詳しく聞かせてもらおうかな」

 

新谷がウインクをする、近くの患者や看護師達が

吐息を漏らした、だが綾瀬はきょろきょろと

見回していた

 

綾瀬「おや、呼ばれましたかハルヨシ君?」

 

ハルヨシ「あぁ!じゃーなー!」

 

ハルヨシが立ち上がる、母親も軽く挨拶をして

歩いて行った

 

ふと隣を見ると、綾瀬の左隣には少年に見える

少女が項垂れるように寝ていた

綾瀬がその寝息に思わずふふと笑った

 

綾瀬「これは何とも偶然ですね……ふふ」

 

綾瀬「翠ですね?おはようございます」

 

声をかけられた少女の身体が驚きから跳ねた

 

「…………。……?その声はあやせさん……?」

 

名舟 翠が目を開けた、

ふぁ……と大きな欠伸をする

声が聞こえてきた

 

綾瀬「貴女も大変ですね翠、

いつもの『過眠症」の通院ですか?」

 

名舟「………はい、精神科……に……」

 

名舟がまた項垂れた、

そしてまた寝息を立て始めた

綾瀬はそれを感じて手探りで名舟の肩を掴むと

自分の肩に倒れさせ呼び出しを待っていた

 

「綾瀬さ〜ん?」

 

しばらくして、綾瀬が聞き馴染みのある

声に顔を上げた、目の前には身長130cm

もこもこした髪をカールにした

袖と裾が余りまくっている白衣を纏う少女?が

飴玉を転がすような声をかけながら

綾瀬を覗き込んでいた

 

綾瀬「………スゥモアちゃん」

 

綾瀬の主治医、眼科のモモ・スゥモアが

迎えに来ていた

 

スゥモア「はいです〜、スゥモアです〜!

さぁ綾瀬さ〜ん、定期検診に行くのです〜!」

 

綾瀬が軽く肩を動かすと

名舟はゆっくりと目覚めた

そして、綾瀬とスゥモアを交互に見ると

綾瀬に軽く一礼した

 

スゥモアが背伸びをして優しく肩に触れると

そのまま手を腕をつたって滑らせて小さな手を

握らせると綾瀬を立たせ、ゆっくりと手を引いて

自分の診察室へと連れて行き始めた

 

綾瀬「それでは翠、頑張ってくださいね」

 

名舟「ふぁい………」

 

 

眼科 第3診察室

 

スゥモアが飛び乗るように椅子に座ると

足をバタバタさせて綾瀬へと椅子を漕いで

綾瀬の頰に触れた

 

スゥモア「すみません綾瀬さ〜ん、

いつも通り出張診察に行こうとしたのですが

ここの学会に出ていましてね〜、

うちの明負院長の話が面白いのが悪いです〜」

 

綾瀬「どんな方なのですか?」

 

スゥモア「おじいちゃん先生ですよ〜

良く後を"追いかけて"話をしているのですが

明負院長と私のその姿を見ると祖父孫!とか

言われるくらいにはおじいちゃんです」

 

綾瀬は軽くそんな会話をすると背筋を伸ばした

 

スゥモア「いつも通り眼を見させてくださ〜い

水晶体に傷はないか、網膜に傷はないか

良くない病気になっていないか、

見させてもらいますです〜」

 

スゥモアが椅子のキャスターをゴロゴロしながら

近寄ると綾瀬の目にライトを当てて見始めた

 

スゥモア「今、眼を見ているので顔を

動かさないように〜、当たっちゃいますからね〜」

 

………

 

……………

 

スゥモア「はい!大丈夫です〜!

綺麗な瞳ですよ〜!」

 

綾瀬「ありがとうございますスゥモアちゃん

では……」

 

スゥモア「は〜い、いつも通り少し院内を

散歩してくださって大丈夫ですよ〜、

何かあったら

私を呼んでくださ〜い」

 

綾瀬が立ち上がる、そしてスゥモアの頭を

ぽんぽんと手探りで撫でた

 

綾瀬「(やっぱりなんかちっちゃいのですよね

スゥモアちゃんはどんな姿なのでしょうか……)」

 

スゥモア「えへへ、では診察室の外まで

送りますよ〜!」

 

スゥモアも立ち上がるとガラガラと診察を開いた

と、その時だった

 

母親「あら、綾瀬判事さん!」

 

スゥモア「おや?お知り合いですかぁ〜?」

 

綾瀬「その声、確かハルヨシ君のお母様ですか」

 

母親「はい、ハルヨシは今、診察に……

綾瀬判事さんの方が早かったようですね……」

 

スゥモア「参考までにどなたに?

あ、眼科のモモ・スゥモアです〜!」

 

母親「内科の新谷先生です、

眠れないとかなんとか、大変なんです〜……

それにしても結構時間が経ちましたね……」

 

スゥモア「新谷先生………」

 

母親「ん?」

 

スゥモア「いえいえ!腕のいい内科医です

よく長話をすることでも有名ですのできっと

今回もそうなのでしょう、

ロビーでゆっくりお待ちくださいです〜!」

 

母親「分かりました、では失礼します」

 

母親は頭を下げるとロビーに歩いて行った

綾瀬はそれを見届けるとロビーでも

散歩に行くのでもなく、また診察室に入った

 

スゥモア「わ、わ、わ!?どうしたのです〜?」

 

綾瀬は黙って診察室の扉を閉めた

そして、またさっきの椅子に座った

 

綾瀬「細かいことが気になる職業柄でしてね

スゥモアちゃん、さっき、何故一瞬

内科の先生の名前を『言い淀んだ』のですか?」

 

スゥモアはそれを聞いて、目を伏せた

そして辺りをキョロキョロとしてから綾瀬の

耳元に口を近づけた

 

スゥモア「実は……最近……」

 

と、診察室の奥から看護師が現れた

 

看護師「スゥモア先生、入院患者のカルテ

なのですが……おや?お取り込み中でしたか?」

 

スゥモアが元の椅子に座り直した

そして看護師からカルテを受け取ると

笑顔でお礼を言った、看護師はそれに満足して

また診察室の奥へと消えていった

 

綾瀬「最近、なんです?」

 

スゥモア「えっと……新谷先生の人気が

また上がっていてですね!まーた色恋沙汰で

面倒なことにならないといいな〜!と!」

 

スゥモア「さてさて!

そろそろ散歩に行ってきたらどうですか〜?

綾瀬さ〜ん!日が暮れちゃいますよ〜!」

 

イン・トゥ・ザ・ナイトがスゥモアの背後で

影を掴んでいた、影から伝わる心拍と脈拍は

スゥモアが『嘘』を『付いている』と示していた

 

だが、綾瀬は目を伏せるとまた立ち上がって

診察室を出て行った

 

看護師「スゥモアちゃん先生……

私、よくないタイミングで入りました?」

 

診察室の奥から先ほどのクリーム髪のナース、

眼科の看護師ユイが顔を出した

 

スゥモア「ううんユイちゃん。

むしろナイスです〜

危うく感化されて言うところでしたよ〜

………こんな噂程度の謎現象、

もし本当ならTG大学病院の不祥事です〜」

 

ユイ「新谷先生の診察が最近『長すぎる』という

理由だけですものね……」

 

スゥモア「ただし、何故か『再診患者』が

長すぎるというのも考慮しないとです〜……

でも……ちょっと内科に行ってきますので

ユイちゃん、ここお任せしていいですか〜?」

 

ユイ「わ、良いですね!

ドクター・スゥモアちゃんの事件簿!

今夜の配信ネタに……じゃない、

楽しくなりそうです!」

 

スゥモア「なんか不安なことが聞こえた気が

しますが、聞かなかったことにします〜」

 

スゥモアはそう微笑みかけると、手を振るユイに

見送られて診察室を出て行った

 

 

一方、綾瀬は少し悩みながらも廊下の手すりを

伝って歩いていたところを声をかけられた

 

名舟「あ、いました、綾瀬先生」

 

綾瀬「翠?どうしましたか?」

 

名舟「さっきはあまり挨拶できなかったので

先生も通院……ふぁ……失礼、通院ですか?」

 

綾瀬「はい、スゥモアちゃんのところへ

検診でした、翠もカラメッラ先生のところへ?」

 

名舟「はい、いつも通り眠気覚ましの薬などを、

相変わらず解決の目処は立ちませんが……

それより綾瀬先生、何か悩み事ですか?」

 

綾瀬が顔を上げた、先ほどのスゥモアの様子が

どうしても気になって仕方がないが首突っ込んで

良いものか、だが名舟がいるなら

少し状況は変わる

 

綾瀬「翠、貴女の推理力を少しお借りしても?」

 

名舟「僕のですか?もちろんです先生」

 

 

内科、第2診察室前

 

内科の看護師「あれ?スゥモア先生?

なんでここに?」

 

スゥモア「新谷先生に資料を渡しにです〜!」

 

内科の看護師「あー、それが最近、新谷先生

診察中は開けないで欲しいと言ってましてね

入れないんですよね〜」

 

スゥモア「開けないで欲しい?」

 

内科の看護師「えぇ、いつものですよ

『大天才の私は集中しなくては!』です」

 

スゥモア「看護師のみんなにも『大天才』を

自称しているのですね〜……」

 

看護師は困り顔とともに去っていった

 

スゥモア「…………(『診察室』を

開けてはいけないなんて絶対におかしいです……

そんな医師みたことない)」

 

スゥモアは第2診察室の前に立ち尽くしていた

 

スゥモア「(………正直、私がここまでする

必要はないのですが〜……なんというか

同じ病院内の医師が『悪い人』かもしれないと

思い続けるのは凄く嫌です、

『疑い』は晴らすべきです〜)」

 

スゥモアが磨りガラスの扉に手をかけたッ!

 

スゥモア「博人先生、聞きた……ッ!?」

 

スゥモア「(『鍵』ッッ!?何故、診察室に

鍵をかけているのです〜ッ!?)」

 

「スゥモア君?」

 

スゥモア「わぁ!?」

 

と、スゥモアが飛び上がった、扉から声がした!

 

新谷「私だよ、どうしたのかい?診察中だが?」

 

スゥモア「あぁいえいえ〜!いつも先生が

食べている海苔を貰いに来たのですが

診察中でしたか〜!また来ますね〜?」

 

新谷「すまないね、また来てくれないかい?

今度はあげるよ」

 

スゥモア「はいです〜!」

 

スゥモアはその場から、なぜか逃げるように

後にした、そして少し離れた後で考え込んだ

 

スゥモア「(い、今のは……

『誰が話しかけてきた』のです〜!?)」

 

スゥモアが先ほど不思議現象を思い返す、

今のは確かに新谷の声だった、

だが『磨りガラス』の向こうに

『人影』がなかった

まさに文字の通り『扉』から声がしたのを

実感した

 

スゥモア「そもそも椅子を立つ音も、

患者のハルヨシ君の声も聞こえなかったです〜

診察室に患者ごといないならどこに……」

 

スゥモアが考え込みながら歩いていると

ふと前にあるものが飛び込んできた、

…………首を傾げる

そしてスゥモアは何かを思い切ると

稲荷神社のシールを貼った専用PHSを耳に当てた

 

スゥモア「総合案内ちゃん?眼科のスゥモアです

ちょっと訊いていいですか〜?」

 

総合案内『お疲れ様です、大丈夫ですよ』

 

スゥモア「あの……今って『手術室』の予約って

入ってます〜?」

 

総合案内『入ってませんよ、使いますか先生?』

 

スゥモア「えっ………

 

いや、大丈夫です〜!確認だけです〜!」

 

スゥモアがPHSを閉じる、恐る恐る小さい身体で

上を見上げる、第1手術室は

 

[手術中]のランプが付いていた。

 

スゥモアが手術室前の椅子を見た、

そこには誰も座っていなかった

 

スゥモア「(保証者も待機させず、総合案内に

連絡も入れずに手術室を使用…………

いやでも何者であれそれは病院の

ルール違反です〜ッ!)」

 

スゥモアが手術室のドアノブに目を向けた

そして……

 

スゥモア「ごめんなさいです、

後で自腹で直します……」

 

 

スゥモア「こんにちはです!!」

 

スゥモアが手術室の扉を開けた!!

目を見張った、予約のないはずの手術室には

『二人』がいた、手術台には寝かされて

意識のない少年ハルヨシが、その傍らには

 

スゥモア「こんなところで何しているのです〜?

………博人先生」

 

内科の新谷博人が驚きに固まっていた

 

新谷「君……スゥモア君こそどうしてここに?

鍵もかけていたし、手術ランプも……」

 

スゥモア「先生は、患者に質問されたら

質問で返すのです?私はここで何をしているか、

と、訊いたのですよ〜?」

 

新谷は言葉を失った、そして寝台のハルヨシに

目線を落とした

 

スゥモア「残念です〜、腕も良くルックスもいい

主に女の子から人気も高いあの博人先生が

よく分からないことをするなんて………」

 

新谷「確認と『実験』だよ、

この大天才なりのね」

 

スゥモアは幼い顔で凄んで睨みつけた

 

新谷「君は、『スタンド』という超常の力を

知っているかい?」

 

だが、その睨み顔は疑問へと変わった

 

スゥモア「スタンド?」

 

新谷「私は大天才だ、

それもとびきりの大ッ天才だ

私に治せない患者はいない、

この世に私の知らない

医療など見たことはないッ!

そう思っていたところ

あれは街を歩いて行き交う凡人達の健康を

観察していた時のことだよ」

 

新谷「この新谷博人は一度死んだのだ」

 

スゥモア「はぁ………?」

 

新谷「だが、私は復活したッ!その時知ったのだ

自分の奥底に眠る授かりし力をッ!!」

 

その時だったッ!スゥモアが何かに蹴られて

後方によろめいた!

 

スゥモア「うっ……!?」

 

そして一人でに手術室の扉は閉まりッ!

 

スゥモアは首を何かに掴み上げられたッ!

 

スゥモア「かっ………ッ!!?」

 

スゥモア「(なっ……なんです〜ッ!?

私は一体何に何をされて……ッ!はッッ!?)」

 

手術台の照明が、部屋の薄暗い照明が

確かに!だが微かに!照らしていたッ!

スゥモアの首元には指紋のような不気味ながらも

張り巡らされた緑色の『左手首』ががっちりと

その幼く細い首を掴んでいたッ!

 

スゥモア「………こ……この手首、は、

なんで……す……!?」

 

新谷「!?……まさか、君に見えるのか?

なるほど、つまりもしや君また

この力を授かっているのか、

この大天才も授かったこの力をッ!」

 

新谷が手を挙げると、スゥモアの後ろから

指紋のような緑色の右手首が、足元から右足首が

天井から頭部が、新谷の前に現れた

緑色の胴体に集まっていく

頭、胴体、両上腕、両手首、両腿、両足首の

10つパーツが形を成し、指紋模様が

全身に描かれた人型が姿を現したッッ!!

 

新谷「これがこの大天才たるスタンド、

変幻自在に辺りへと人体を分けて飛ばせる

この奇怪な人間を私は……

『ドクター・ファンクビート』

……そう呼んでいる」

 

スゥモア「私を、どうする……気ですか……」

 

新谷「私のこのスタンド研究は二つ、

発現方法と、発現種類、最初は年齢や種類、

きっかけに決まった法則があると思っていた」

 

新谷「だが違ったッ!私はこの能力だが、

街ですれ違ったハンバーグみたいな頭の男も、

子供みたいに小さい男と髪の長い女の夫婦も、

異なる能力を持っていたのだよッ!

私は知りたい、この能力を解き明かしたいッ!

スゥモア君、君も力を持っているのなら

協力して欲しい」

 

スゥモア「断ると言ったらどうなるのです?」

 

スゥモアの首から手首が外れた

だが、その直後にスゥモアの両手首へ

ドクター・ファンクビートの両手が

『テレポート』してきたッ!

 

スゥモア「いっ……!の、伸ばしてきているの

ではなく転移ッ!その人体部位を任意の場所に

飛ばせるのです〜ッ?」

 

スゥモアが磔のように空中に浮いた

目の前に指紋の顔面がついた

ドクター・ファンクビートの頭部が現れた

 

新谷「聞かせたまえこの大天才に!

君のスタンドは何か!

君はどうやってそのスタンドを生み出したか!

………おっと!」

 

スゥモアの腹に右足首がめり込んだ

 

スゥモア「かひゅ……っ!」

 

新谷「『聞かせる』だけだ、

そう『体験する』じゃあない、

話せるようにはした

口だけで君の能力を語りたまえ!」

 

スゥモア「博人先生………

い、痛い、です……ッ!

せ、せめて……足首はどかしてください……

か、語りますです……」

 

新谷が手を招くと足首が

ドクター・ファンクビートの胴体の下へと戻った

スゥモアが息を吸った………

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

1999年。モモ・スゥモア、9歳

医者の両親を持つスゥモアは両親を追いかけて

彼女もそうなろうとしていた

ぶどうヶ丘高校小等部に通いながら彼女は難しい

医者の本ばかりを呼んでいた

 

学校が終わったら、

日が暮れるまで友達と遊んでから図書館へ

そして、夜が更ける前、晩御飯前には家

それが彼女のルーティーンであり

両親も最初は反対していたが医師になりたい

強い意志からならばせめて防犯ブザーを持たせ

ご飯も美味しく作ろうと決めて

スゥモアを応援した

 

あれはある日、街の中に殺人鬼の噂が

多くなってきた中でのある日だった

そんな日に限ってスゥモアは図書館の閉館まで

夢中になって勉強してしまい、

両親の心配の電話で気づいた彼女は

急いで真っ暗闇の杜王町の夜道を帰っていた

 

杜王町を渡る川、その橋で少しだけ、

ほんの少しだけ、息を整えようと立ち止まった

スゥモアは何かがひらひらと夜の闇に

舞い降りてくるのが見えた

 

スゥモア(9歳)「………写真ですか〜……?」

 

写真の老人「矢は、本当に彼女を選んだのか?

どうなんじゃ!?」

 

スゥモアは短い悲鳴をあげた、

写真が喋ったのだッ!それも写真の中にいる

禿げ上がった頭を持つ人間のお爺さんがッ!

黄金の矢を持った老人がッ!喋ったのだッ!

 

スゥモア「な、なんなのです……!?」

 

写真の老人「ならば矢よ、信じるぞォ〜〜ッ!

お前はあの幼女を選んだのじゃなッッッ!」

 

バシュッと放たれた矢はッ!9歳の少女のッ!

モモ・スゥモアの胸に吸い込まれたッ!

布を引き裂くような少女の悲鳴が辺りに木霊した

だがその時ッ!写真の老人もッ!

あるいは矢すらも予想だにしないことが

起きてしまったッ!

 

飛んで来る矢の勢いに、

9歳の少女の身体の重さでは

とても耐えられなかったッ!打ち込まれた反動で

モモ・スゥモアの足は床から離れ、身体は

橋の欄干の向こうへと投げ出されてしまったッ!

 

写真の老人「し、しまったァァァ〜〜ッッ!

殺すつもりはないんじゃッ!まずいのう!」

 

だが、スゥモアは空中で無意味にもがきながらも

夜の暗い川へと頭から転落した………

 

写真の老人「ど、ど、どうするんじゃ……ッ!

う、うぅぅぅ………わ、わしは知らんッ!

選んだ矢のせいじゃ……ッ!」

 

写真の老人はそういうと、

後ろ髪を引かれるように

何度も振り返りながら夜の闇に消えていった……

 

くるしい

 

くるしい

 

つめたい

 

つめたい

 

スゥモアは水中でもがき苦しんでいた、

矢が刺さった痛みと、暗く冷たい激流の怖さに

怯えながら、悲鳴を上げるたびに

目鼻口に流れ込む、川の水をどうしようもなく

飲み込みながら

 

こわい、こわい、こわい、こわい

 

目も霞んできた、息ももうできない

 

ぱぱ……まま………

 

意識が薄れてきた

 

くるしい

 

いきができない

 

しぬ

 

誰か………助けて…………!

 

はい、仰せの通りに、我が主。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

キィ…………ン

 

金属音が響いた、何か鉄の物が振られたような音

新谷がその音に辺りを見渡す、

スゥモアは……笑っていた

 

その瞬間、ドクター・ファンクビートの

顔面にッ!斬撃が走った!!

 

新谷「うああああッッ!!?」

 

悲鳴と痛み、ドクター・ファンクビートは

スゥモアを手放した、スゥモアがゆっくり床に

降り立つ

 

新谷「ざ、斬撃だとォォォ〜〜ッ!

そ、そんな超攻撃特化の

すタ、ん、ド……かッ!?」

 

新谷が喉を抑えた、斬られていない喉を

 

新谷「(なっ、、だ、こレ……息がッ!

息がッッ!?でき、くるし……)」

 

スゥモア「先生の言葉を借りるなら、

私も一度死んでいるのです、

深い暗い冷たい水の中

私は一度きっと溺れたのです

苦しかった、怖かった、息もできなかった私を

この子は『導いて』くれた」

 

スゥモアの後ろに人型のビジョンが

立ち上がっていく

 

スゥモア「もう私は、誰にも『苦しめられない』

貴方にだってッッ!」

 

ゴスロリのドレスを纏う二足歩行の女狐が

左腰に差した太刀の柄を右手で押さえて

臨戦体制に入っていた

 

スゥモア「懲らしめてあげるですッッ!!

行くですよ………ッ!

『ベビィ・メタル(鋼鉄の麗人)ッッッ!!!」

 

ベビィ・メタルが抜刀しながら向かった!

 

新谷「くっ、か、はぁぁあっ……!

かっこいい……スタンドの姿じゃあないかッ!

だがッ!

 

ドクター・ファンクビートッ!」

 

ドクター・ファンクビートが両腕を飛ばすが

ベビィ・メタルはそれを峰打ちで壁まで

右!左!と弾き飛ばした!

 

新谷「なんとぉッ!?」

 

ベビィ・メタルが居合を放つ!なんとか新谷は

交わすが上の吊り下げた蛍光灯に刀が当たった!

 

新谷「危なかっ………」

 

そしてその蛍光灯が吊り下げ機ごと落下してきて

新谷に直撃した!!

 

新谷「うおおぉッ!なっ、何ィィィィ〜〜ッ!」

 

スゥモアを見た、次に吊り下げ機、

切れているのではなく接続部がグズグズに

綻んでいる、先ほどの初撃の苦しさ

 

新谷「わたしは大天才だァァァ〜〜『ピーン』と

来たぞォ〜〜、ベビィ・メタルの能力は

刀の特性を持ちながら『斬った場所』に

『酸素』を叩き込む能力だなァ〜〜ッ!」

 

スゥモア「流石は当院一の内科医、流石です〜

そう、私のベビィ・メタルの刀は言わば酸素の剣

普通なら呼吸に欠かせない酸素も

オゾンとまではいかなくても

過剰に叩き込まれれば猛毒です〜」

 

新谷「金属は酸素を取り込みすぎると酸化する

つまり『錆び』だ、それで斬った金属は

故に錆びる、今のも、この部屋の扉も

スゥモア君が錆びさせたのかァ〜ッ!」

 

新谷「ドクター・ファンクビートッッッ!」

 

指紋の人間が新谷へと抱きついた!

 

新谷「私を部屋の外に転移させろォォォッ!」

 

スゥモア「なっ!?」

 

新谷がスタンドごと手術室前の廊下に現れた!

そして……一目散に逃げ出した!!

 

スゥモア「まっ、待つのです〜〜ッ!?」

 

新谷は廊下を走りながら冷や汗を撒き散らした

 

新谷「勝てないッ!勝てないッ!

この大天才にして大秀才、ルックスもイケメン

失敗もない!このスーパーウルトラアルティメットハイパージーニアスたる新谷博人を持ってして

スゥモア君とベビィ・メタルに正面からでは

勝てないッ!」

 

患者たち、看護師たち、医師たちの間を

潜り抜けて新谷が走っていく

と思わず角で女医がぶつかりそうになって躱した

緑色の変な髪型に、へそを露出した

十字架が大きく描かれた白衣、

名舟 翠の診察を終えたばかりの

精神科医カラメッラだった

 

カラメッラ「おっ……と!ハクト!気をつけろ、

私にぶつかったらどうするつもり

……って、おーい!?」

 

スゥモア「カラメッラちゃん!」

 

カラメッラ「……スゥモア?

ハクトはどうしてしまったんだ?」

 

スゥモア「ちょっとね……

それよりもどこに行ったか分かる!?」

 

カラメッラ「え?あ、あぁ……あっちだ

倉庫棟の方じゃないか?」

 

スゥモア「ありがとです〜!

あとで3つ、いや4つ角砂糖あげるです〜!」

 

カラメッラ「いや私が角砂糖好きなんじゃなくて

ペットのモグラのドレミファソラティ・ドが……

あぁ、多分聞こえてないな……」

 

と、カラメッラが首を傾げながら振り返る

何者かに話しかけられた………

 

 

一方

 

新谷「倉庫だッ!まずは倉庫でこの騒動が

落ち着くまでッ!この大天才のキャリアが

こんなところで潰えていいわけじゃあないッ!」

 

スゥモア「まぁぁぁぁてぇぇぇ〜〜!」

 

新谷は後ろから追ってくる

小さな影を振り切ろうと

近くの倉庫の扉の前で立ち止まった、ドアノブに

手をかける、鍵は掛かったまま、だがッ!

 

新谷「ドクター・ファンクビートッッ!

『頭部』ッッ!」

 

スタンドから指紋のような顔だけが倉庫の中へと

テレポートした、頭部を通して中を見る

 

新谷「異常はないッ!『右手』ッッ!

内側から鍵を開けろッッ!」

 

右手が倉庫内へとテレポートしかと思うと

カチャリと鍵を開けた、スタンドと共に新谷が

飛び込むと倉庫の扉も鍵も閉めたッ!

 

新谷「こ、これでしばらくここにいるぞォ〜ッ!

スゥモア君が来ない限り私はァ〜〜ッ!」

 

だが倉庫の『ドアノブ』は、

バラリと『錆落ちた』

 

スゥモア「Open sesame、です〜〜〜ッ!」

 

新谷「なッ、何ィィィ………ッ!」

 

スゥモアがゆっくりと倉庫に入って来た

新谷が後ずさる

 

スゥモア「私もこの力は気になっていたのです

だからいつか他の医師に聞こうとは

思っていました、いたのですよ新谷先生」

 

新谷「な、なんだと……ッ!」

 

スゥモア「でも、こんなことになって

残念です〜……

少し、お仕置きしなければ、ですよ〜」

 

新谷「いいや、私が何故この倉庫に来たか

わからないのかスゥモア君」

 

バァァンッッ!と倉庫の扉が閉められたッ!

倉庫の中は真っ暗闇に包まれた!

 

新谷「ドクター・ファンクビートッッ!

両手が今、扉を閉めたッ!」

 

スゥモアが扉を身体で押すがびくともしないッ!

 

新谷「無駄だスゥモア君ッ!今、両手は扉を

抑えている、そ、し、てェェッッ!」

 

スゥモアの身体が背中から蹴られたッ!

そのまま背中を両足で踏みつけられ

床に抑え込まれたッッ!

 

スゥモア「あうっ……せん、せ……ッッ!」

 

スゥモア「(まずい、何も見えない……ッ!

何も見えなければベビィ・メタルに

どこを斬らせればいいのか分からないッ!)」

 

新谷「この大天才のキャリアはこんなところで

終わらせられなぁいッ!スゥモア君、

君は何も見なかったッ!そう誓いたまえッ!

何も見なかった?いいね?」

 

スゥモア「あ……ぐ……ッ!」

 

新谷「イエス・マイ・ドクター、だッ!

さぁッ!返事はイエス!マイ!ドクターだッ!」

 

スゥモア「(やるしかない……ッ!私は床、

新谷先生は立っている、恐らく……先生の方が

先ッ!イチか、バチかッッ!)」

 

スゥモア「ベビィ・メタルッッ!

この空間を斬り続けてッッ!!!」

 

ベビィ・メタルが頷いた、抜刀と共に

めちゃくちゃに太刀を振り回しまくった!!

 

新谷「私に当たるまでがむしゃらに斬ろうって

ことかッ!?ついに無我夢中になったな

スゥモア君〜〜ッ!」

 

スゥモア「わ、あ、ああああッ!

(見えない、どこにいるのか……

せめてほんの少しでも灯りがあれば……ッ!)」

 

その時だった、なんの悪戯か、なんの運命か

誰も触れていない新谷の後ろの棚にあった

埃をかぶったブラウン管テレビが

 

パッと、ついた。

 

スゥモア「!?」 新谷「何!?」

 

わずかな明かりが倉庫の中を

ほんの少しだけ照らした、

位置は完全にわからない

だが、扉の位置と部屋の広さ、大まかな位置

モモ・スゥモアにはそれで充分だったッ!

 

スゥモア「ベビィ・メタルッッッ!!」

 

新谷「まだやるかッッッ!」

 

太刀が掠めた、だが当たってはいないッ!

 

新谷「テレビの明るさだけでは

私は捉えきれないッ!君が言うことは……」

 

スゥモア「私の能力を忘れちゃったのです?

私が斬っているのは先生じゃないです」

 

新谷「なんだと……ぐッッッこれはッッ!!?」

 

新谷が膝をついたッ!

そして口を抑えて嗚咽を漏らした

 

新谷「気分が悪い……ッ!これは……ッ!」

 

スゥモア「ひゅー……ひゅーっ……!

この部屋全体に酸素を与えまくりましたです……

今この倉庫は加圧状態……ッ!は、ひゅ……

もちろん、私もただではすみませんが……

立っている貴方はもっとですッッ!!」

 

新谷「息が……ッ!

ドクター・ファンクビートッ!扉を開けろッ!」

 

スゥモアはこれで降参を促すつもりだった

だが、130cmの9歳くらいの子供の体躯と

170cmの大の大人の体躯ではあまりに違うッ!

新谷がスゥモアを抑えたまま扉へと向かったッ!

 

スゥモア「な………ッ!」

 

新谷「この私はこんなところでェ〜〜ッ!

大、大、大、大天才だぞォォォ〜〜ッ!!」

 

扉を開けたッッ!!

 

 

 

綾瀬「イン・トゥ・ザ・ナイト」

 

新谷が首をむんずと掴まれたッッ!!

扉を開けたそのすぐ前に影の紳士が

立っていたッ!

 

綾瀬「イン・トゥ・ザ・ナイトは、

貴方の影を捉えました」

 

新谷「な、なにィィィッッッ!!」

 

スゥモア「綾瀬ちゃん!!!」

 

綾瀬「扉から出て来たのは内科の先生ですね?」

 

名舟「は、はい!間違いなく!

ところでなんで浮いてるんです……!?」

 

綾瀬「わかりました、

やはり君は私の眼ですね翠」

 

新谷「綾瀬、判事だとォォォ〜〜ッ!?」

 

綾瀬「翠、さっき何を見たのでしたっけ」

 

名舟「そうです新谷先生、あの手術室に寝ていた

男の子は、ハルヨシ君は一体……ッ!」

 

新谷「私は、大天才だぞォ〜ッ!

気になったことを

調べようとしただけなのにィィ〜ッ!

まだ、3人目だぞォ〜、誰も死んでない〜ッ!

後遺症も残していないのに〜ッ!」

 

綾瀬「容疑を認めた、ということですかね

スゥモアちゃん、どうします?」

 

スゥモア「無断に人を実験に使った時点で

もう、このモモ・スゥモアは

許すつもりはないです〜……

……こっちによこしてください綾瀬ちゃん

お仕置きしなければです〜ッ!」

 

綾瀬「イン・トゥ・ザ・ナイトッッ!」

 

イン・トゥ・ザ・ナイトが新谷をそのまま

倉庫の中へと放り投げたッ!

そして………

 

スゥモア「ベビィ・メタル…………ッ!

 

『成敗』ッッッ!!」

 

ベビィ・メタルが刀を一閃したッッ!

 

新谷「ぐわァァァァッ!!?」

 

新谷の身体が……床に崩れ落ちた

キィン……と刀が納刀され、ベビィ・メタルは

姿を消していった

 

綾瀬「スゥモアちゃん、どうするのですか?」

 

スゥモア「………ハルヨシ君をお母様の元へと

何事もなかったかのように返してあげてください

………このことは、秘密にしてくださいです」

 

綾瀬「………ほう?」

 

スゥモア「しでかしたことの調査をして

もし大事でなかったなら、新谷先生にはこのまま

『内科の大天才』であり続けてもらわねばです

スタンド……スタンドですか……」

 

名舟「その、僕にはなんのことか……」

 

スゥモア「そんな変な力があるのですよ翠ちゃん

ところで………」

 

3人が倉庫の奥の棚、つきっぱなしのテレビを見た

 

綾瀬「先に言うと私ではないです」

 

スゥモア「え?ち、違うのです!?じゃあ……」

 

と、名舟がふと何気なく人で溢れた

院内の廊下を見た、見慣れた人影の背中が見えた

 

名舟「…………カリメッラ先生………?」

 

そして、角を曲がって姿が見えなくなると

倉庫のテレビもプツンと切れた。

 

内科医 新谷博人(あらたに はくと)

スタンド名:ドクター・ファンクビート

数時間後、気絶から復帰した彼は、

スゥモアのマジギレの説教を受けて考えを改めて

スゥモア達と共に非公式の研究会を設立

後に、スピードワゴン財団にも頼りにされる

スタンド研究団体「スタディ=マジック」の

誕生である───ッ!

 

スゥモア「新谷先生はこのままここで

『休憩』させておきましょう、

私は医務に戻らなければ」

 

名舟「ハルヨシ君は僕がお母さんに

返しておきます

院内で迷子になっていたと伝えておきますね」

 

名舟が手術室へと向かっていくのを見送る

と、その時、院内のスピーカーが入った

 

『コード・ブルー、

繰り返しますコード・ブルー』

 

スゥモア「………!?すみません、

コード・ブルーがかかってしまいました、

綾瀬ちゃん後はお願いします」

 

スゥモアがロビーへと走っていく

綾瀬はなんとなく気になって杖をつきながら

ロビーへと向かうと、もうスゥモア、カリメッラ

その他にも外科や整形外科、口頭耳鼻科などの

医師が集まって来ているのか各科の専門用語が

飛び交っていた

 

綾瀬「………これは邪魔しないでおきましょう」

 

「………綾瀬先生?」

 

綾瀬が顔をあげて声のする方を向いた

 

咲織「あぁやはり、綾瀬先生!

杜王町警察署捜査課の焔森 咲織です、

お疲れ様です」

 

綾瀬「大変ですね……咲織」

 

だが咲織は顔を落とした

 

咲織「大変なんてものじゃありません

ついに所内をやられましてね……

その……うちの『生活安全課』が

吹き飛びました」

 

綾瀬「え……まさか?」

 

咲織「はい───『スノビズム』が

ついに動き出しました」

 

To be continued………




[ドクター・ファンクビート]
【破壊力-E/スピード-E B/射程距離-E/持続力-D/
精密動作性-B/成長性-A】
頭、胴体、両上腕、両手首、両腿、両足首の
10箇所に分離している指紋のような模様の
顔面を持つ緑色の人型スタンド
任意の場所にパーツをテレポートさせる能力
しかもスタンドのルールが分離した状態でなお
適応されているため動かすことも
感覚同期も可能で、遠隔に手首を飛ばして
掴んだりなど無限の使い方を
可能としているスタンド
正直、マスターの職業的にも悪用するよりも
真っ当に仕事に使った方が絶対に良い
ちなみにドクターがつくスタンド、ナルシスト
ルックスもイケメンの爽やか外道など
実は羽 伴毅の一巡前の姿である
元ネタは大天才Pのボーカロイド楽曲から


[ベビィ・メタル]
【破壊力-B/スピード-C/射程距離-E/持続力-D/
精密動作性-C/成長性-B】
ゴスロリ姿に刀を背中に刺した
二足歩行の狐という
ちゃんとしたヴィジョンを持つ近距離スタンド、
と思いきや、どちらかというとトリッキー的な
能力を持っており知識が多大に求められる
その能力は「斬った場所に酸素を含ませる」
火を斬ったら激しく燃え、
鉄を斬ったら急激に錆び
酸欠の人を撫でれば酸素を吸入させられる
少し挙げただけでもこれだけが可能となる非常に
応用力が高いスタンド
ちなみにBabyがつくスタンド、幼い姿のまま、
確固たる戦闘意思と覚悟などから
実は似ても似つかないが
プアー・トムの一巡前の姿だったりする
由来は日本のガールズメタルバンドから
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