そう言う方は後書きに『※優しさマシマシダイジェスト版※』を用意したのでそちらを読んでくだされ
足に大怪我を負って、防具の悉くも剥かれたケンシンとブラッド。なんとか立って歩くことはできるだろうが、逃走は勿論、戦闘も不可能。
ルリはほぼ無傷のままだが、代わりとばかりにその首元には二つの青い注射痕が残っており、正気を感じさせる目とは裏腹に口元からは涎が垂れていて抵抗力を奪われたのは明白だった。
「俺、クライムアクションゲームが好きだったんだ。銀行強盗、銃殺、NPCを火炙りに……。だから、黄金城の自由度の高さに俺は感動した。この手でっ、初めて人を殺した時は射精したな。恐怖に引き攣る女の乳を揉んで後に胸だけ抉りとった時は、笑いすぎて動けなくて、魔物に殺されちまったよ」
カエデレはポンっと軽く鋸を放ると、続けて鞄から後から先まで極太の注射器を取り出し、それに様々な液体や粉を入れて、準備を始めた。
「最初にルリちゃんを見た時、俺は運命だって思ったよ。俺好みの顔、黄金城で見つけた一番幼い体。穏やかで親切、気が利く性格も素晴らしい」
「ああ、こいつは俺に壊される為に生まれて来たんだって思った」
「必死に気弱で冴えない男を演じたよ。こうすれば、優しいルリちゃんは俺を捨てられないだろ? 加入するのに必死すぎて、ちょっと不自然だったのは反省だけど」
「だから、黒霧イベントはサイコーだよ。人目がなく、強い魔物が多いからそれに消耗させればPKもし易い。おまけに、規制緩和バグまで来たとなりゃ、もうヤんなきゃ損だろって。偶然にしちゃあ俺に都合が良すぎる。笑いが止まらねぇよ」
カエデレは緩み切った下衆な笑みを浮かべ、告げた。
「だから、ケンシン、ブラッド……お前らで、ルリちゃんを
気の抜けた「は……?」という声が、漏れ出た。
「お前ら、ルリちゃんのこと好きだろ? エロいことしたいって思ってたんだろ?」
「聖女みたいな少女が、今まで親切にしていた男にレイプされる顔を! 俺は見たい!」
「所詮はゲーム。たかが仮想空間、仮想世界、仮想の体……でも、心は本物なんだ。見せてくれよ、絶望の顔を!」
二人は思わずルリを見た。
衰弱し脱力した体。毒のせいだろうか、発熱しており顔が赤く息も荒い。
曝け出た白い胸元。小さな唇、溢れ出た涎。肉が薄く可愛らしいお腹は呼吸に合わせてゆっくりと上下していた。スカートは裂かれ、捲られ、汚れた下着が顕になっていた。小さな臀部から伸びる白く細い腿、それに薄らと浮かぶ血管。
周囲は黒い霧に包まれて視界が悪い。だけど、彼女だけはまるで輝いて見えた。
ルリは普段はガードが堅くて、可愛らしい格好を好んでしてはいるが明らかに『狙った』際どい衣装を纏うことはない。それはルリの目的ではないし、やる気もないからだ。いつでもルリは貞淑さを保ち、男にも肝心な所へ触れることは許さなかった。
だからこそ、二人は初めて見るあられもないルリの姿に、目を奪われた。息が荒み、心が揺れる。
触れたい。舐めたい。揉みたい。嬲りたい!
宵に浮かぶ蛍を見つけた少年のように、気づけば二人は手を伸ばしていた。
「やれよ。やりたいんだろ? ルリちゃんも許してくれるさ。だって、しょうがないんだから」
「しょうが……ない……」
「ああ。俺が見たいのは絶望するルリちゃんの顔だ。お前らがそうしてくれるのなら、俺はお前らも、ルリちゃんも殺さない。お前らがルリちゃんを犯すのは、ルリちゃんを守ることにも繋がるんだ」
「まも、る……」
「バグがあるんだ。いつも以上に痛みを感じるし、死ぬ時はいつもより怖い。でも、ちょっと体を触られるだけで、痛みも恐怖も感じずに済むんだ。お前たちだって、ルリちゃんが怖い目を見るのは嫌だろ?」
「……あ、ああ…………」
二人は気づかない。
ルリが小さく首を横に振っていることに。
毒で重く辛い体で必死に拒絶を示していることに、欲望に目が眩んだ二人は気づけない。
「さあ────!!!」
直後、狂気を
『しょうがない』『守る』。そんな言い訳にもならないような狂言を理由にして。
ルリの顔が絶望に染まった。
「────っ!」
ケンシンの手が胸に伸びる。ブラッドの手が腰へ触れる。
追加で毒を注射されたルリとは異なり、既に二人の毒は治りかけている。完治には遠いが、しかし欲と狂気に染まった二人にとってそれらは大した障害ではなかった。
「やめ、ろぉ!」
初めて聞くルリの乱暴な言葉遣い。それすらも二人にとっては欲を刺激するスパイスにしかならなかった。
「ご、ごめんなぁ! で、でもしょうがないんだ!」
「ああっ、脅されてるから! こ、今度は、次はもっと優しくするから!」
「め、てっ……ほん、とぉ、やめろぉ……っ」
ビリビリと服が破かれる音。
何かを舐める音、吸い付く音。
必死に足掻く少女の鳴き声。
そして主犯たる狂人の高笑い。
それらを少し離れた位置から眺める男が居た。
「(あー、やってんなー、これ)」
リンは薄めを開けて盛っている猿どもを眺めた。
「(いやー、俺の反射神経も捨てたもんじゃないな)」
カエデレの奇襲を咄嗟に右腕でガードしたリンは、即死は免れたものの気絶していた。しかし、実のところ、猿どもが足をギコギコされている時に目を覚ましていたのである。
起きて、すぐに状況を把握したリンはどうしようかと悩んだものの、今すぐ行動を起こしても抵抗はほぼできないと悟り、『待ち』に徹していたのだ。まだ、満は持していないと──。
「(魔力がほぼない。あと、全身に何か刺さって痛いし臭いし。毒……と言うには違和感)」
視界の端に見える魔力ゲージがミリ単位でしか残っていないことに、何が原因だろうかと考えながら、じっくりと自分の体を眺めてようやくリンは気がついた。
自分の全身に刺さっている小さな棘のような物が、自身から何かを吸い上げている。
そして思い出す。道場で受けた『植物講習』でのことを。
「(樹木型魔物の種の中には魔物から魔力を奪う種類があるとかなんとか……これもその一種か!)」
あくまで推定ではある。
だが、『魔力が使えなくなる毒』はあっても、『魔力を消す毒』は今のところリンの知識の中にはない。前者だってきちんと摂取させないとあまり効果はなかったはず。知らないだけで後者が存在している可能性はあるが、その時はその時だ。知っていることがあるのなら、とりあえずはそちらを前提とした方が考えは進む。
だから、今はそれを前提として思考する。
種子の一つ一つは大したことがなくとも、数が揃えば十分な量となる。黒霧の魔物との戦闘で消耗していたところへ種子による魔力の奪取がされたのだから魔力が底を突きかけてもおかしくはない。ひとまず、魔力量の話は説明がつく。
説明がついた所で、これでは魔法どころか魔力での身体強化すらままならない現状は変わらないが。
魔法が使えず、物理も期待できない。
動き出すのであれば少なくとも魔力の復活を待ちたかった。なんせ、カエデレは剣士か、正確には剣も使える『毒使い』と言うべき
だが、魔力枯渇の原因が分かったことで、種子をどうにかしないとずっと魔力は回復しないままということも判明。これでは、絶望がより深まっただけである。
しかし──。
「ぶちゅっ、むちゅっ、甘っ」
「あぁ、柔らかい。すげ、おっぱい!」
「んんぅ──!」
「(あれを見捨てるのはなぁ……俺、可哀想なのは嫌いなんだよ)」
チラリ、とリンは自分の左手、そこ嵌めている指輪を見た。
先日、スイハとの約束の為の資金を使って購入した魔道具──『爆破の指輪』。
効果は『”爆ぜろ”』の詠唱を
問題は、魔道具の詠唱の際には声に魔力を乗せる必要があることだが……。
「(ギリギリいける……か)」
魔道具起動に必要な魔力は微々たるもの。ほぼ枯渇状態の今でも可能ではあるはずだ。
とはいえ、武器はこの爆弾一つのみ。一度でも外せば対策されるだろうし、一回で確実に仕留める必要がある。ならば狙うは頭か首、即死ポイントだけだ。
「さて、お前にも祭りに参加してもらおうか。ヒヒヒッ……楽しみだなぁ……」
カエデレは極太の注射器を持ってリンへと近づいた。
中身は、思考を緩める毒と催淫毒の混合。これを注入されると、紳士ですら発情期の猿になる。
魔力枯渇状態で心身共にデバフの入っているリンにこの混合毒を入れてやれば、既に暴れている二人の猿以上の暴れ猿になることは間違いない。
カエデレは少し過去を振り返った。
初めてルリを、二人の男への優しさを見つけた時の感動を。
あの聖母の如き微笑みを嬲って殴ってぐちゃぐちゃに汚したくて、どうしようもなかった夜を。
当時、自分を追いかけていたPKK集団から殺されたりしながらも逃げ延びて、必死こいて装備や演技を練習したあの日を。
ちょっと強引だけれども、無事にルリ集団に入れた喜びを。
今それらの努力が報われるのだ。芸術が完成する。
リンにも祭りに参加させ、そして三十分くらい楽しんだら男どもは全員殺す。そして、最後には消耗し切ったルリと二人っきりで楽しむのだ。
実は、黄金城には連続ログイン可能時間に限界が存在する。
短くはないが、ここまでの移動や戦闘を考えればそこまで余裕のある物ではない。
ルリが強制ログアウトされた後に、すぐにまたログインしてくれれば存分に楽しめるが、確実にそうはならないのはわかっている。
だからこそ、あまりゆっくりしていられる時間はない。
なにより、もう我慢ができそうになかったのだ。
リンが耳を澄ませていると、ザクザクと僅かに早まった足音が聞こえた。
──来た!
項垂れたままで気絶した振りを継続。感覚だけで左手に引っかかっている短剣の位置を把握。
足音が目の前で聞こえた。
布の掠れる音が聞こえる。手を伸ばせば届く距離。
薄めを開けて、確実な距離感を把握。
カエデレが身を屈めた。
そして、注射針の先端がリンの首に差し迫った時──
「────!」
リンのナイフを握る左腕が跳ねるようにカエデレの首へと向かった!
「
ぱす、と注射器を持っていない方の片手で腕ごと軽々と受け止められてしまう。
だが、これは想定内。
ただでさえ今は魔力強化無しで弱いのに、ほぼ魔力枯渇状態になっている影響でデバフもあるのだ。防がれることは分かり切っていた。
迷いなくリンは短剣を手放し、素早く右手で回収。それを振り抜こうとする。
しかしそれよりも早くカエデレは膝蹴りを繰り出してリンの顔面を潰す。鼻骨が砕けたか──激痛と目眩がリンを襲う。意識も遠のき、視界が揺れる。ナイフも手から落ちていた。
せめて一発でも、と。
繰り出したリンの弱々しい拳はカエデレの腹に当たるが、それはまるで幼児の癇癪みたいに貧弱であった。
「警戒してねぇ訳ないだろ。ま、魔法職から魔力奪ってるから大した警戒はしてなかったけどな」
改めてしゃがみ込んだカエデレは片手に持ったままの薬剤入りの注射針をリンの首に、刺した。ゆっくりと注入されていくそれをカエデレは恍惚と眺めていた。
そうして、カエデレはもっと最低なことになるルリの絶望を夢想して──油断した。
リンの計画通りに。
魔力はない。メインの杖も拾っていない。魔法も使わなかった。足掻きのナイフだって失敗した。最後のパンチだって
だから、リンはもう無力だと。カエデレは思った。思わされた。
──突如、彼の口内へと何かが飛び込んだ。
「(──は?! 何だこれ?!)」
状況がわからず、混乱。
しかし、リンが何かしただろうとは直感していた。
だが、何ができる?
魔力も武器もないこの男に、一体何が?!
直後、何かが自分の舌を撫でた感触にカエデレは硬直した。
同時に察した。
指だ。手だ。何か嫌な予感がする!
そして、カエデレは次の言葉だけを耳に────
「”爆ぜろ”」
────爆死した。
ーー以下ダイジェストーー
キモい自分語りを始めるカエデレ。
実はコイツは可愛い女の子の苦しむ顔を見るのが大好きなド変態にして人間の屑だった!
カエデレは欲望を満たす為、ケンシンとブラッドに対してルリにえっちな悪戯をするよう命じる!
すると、二人は嬉々としてルリにえっちなことを始めたではないか!
そこでカエデレはもっと面白くする為に、リンに催淫毒を注入しようとした。
だが、実は目を覚ましていた我らが主人公、リン。
カエデレの隙を突いて、その口の中に【爆破】の指輪ごと手を突っ込むことに成功する!
そして──ドカーーン!!!
リン「はじめての自爆です」
────”変態”の戦跡、